転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4279話

「そう。それでアクセルはハマーン・カーンとの仲を進展させてきたと」

 

 飲んでいた紅茶をテーブルの……ソーサー? に置きながら、そう言うセイラ。

 俺の隣にいるモニクが、何故か緊張した様子でクッキーを口に運んでいた。

 何だ? 今の状況で何かモニクが緊張する理由があったか?

 そう思いながら、俺はセイラの言葉に頷く。

 

「そうだな。ハマーンはまだ若いけど、かなり強力なニュータイプだ。……まぁ、セイラには及ばないのは間違いないが」

 

 これは別にセイラの様子は不気味というか、怖くて今のような事を言った訳ではなく、純然たる事実だ。

 ハマーンのニュータイプ能力はかなり強いのは間違いない。

 実際、俺と最初の接触だけでマリオンは楽に越えただろうし、俺と2度の接触、具体的には最初に触れた時と、俺に抱かれた時の2度に渡ってニュータイプ能力が強化されたクスコに追いつくかどうかといったくらいまでの強化がされている。

 これはハマーンの持つニュータイプとしての素質が強かったという事を意味していいた。

 だが……同時に、それはセイラにも言える事なのだ。

 セイラもまた、俺との接触は俺が初めてこのUC世界に来た時に触れ、その影響によってニュータイプ能力が強化されたのだが、その時点でセイラのニュータイプ能力はUC世界において最強と呼ぶに相応しいだけのものとなっていた。

 つまり、セイラもハマーンも俺とまだ1度しか接触してニュータイプ能力の強化がされていないという点では同じで、今のセイラとハマーンの間にも圧倒的……とまでは言わないが、それでもかなりのニュータイプとしての差があるのは間違いないのだから。

 

「私が言いたいのはそのような事ではないのだけれど……まぁ、アクセルにそれを期待する方が間違っているでしょう」

「ん? どういう意味だ?」

 

 セイラの言葉に首を傾げると、俺の隣に座っているモニクが呆れの視線を向けてくる。

 

「そういうところよ、アクセル」

「……そういうところと言われてもな。具体的にどういうところなのか教えて貰わないと、俺としては何とも言えないというのが正直なところなんだが」

 

 そんな俺の言葉に、モニクとセイラは無言で視線を交わす。

 そして、セイラが不意に話題を変える。

 

「とにかく、アクシズについては分かったわ。それで、アクセルはこれからどうするのです?」

「ん? まぁ……そうだな。デラーズの起こした星の屑についても無事に防いだ。そうなると、UC世界でも暫くは大きな動きはないと思ってもいいだろう」

 

 そうか? と自分の言葉にそう突っ込みたくなるも、おそらくは大丈夫だろうと思えるのも事実。

 強硬派……いや、ティターンズの動きが心配だったが、そのティターンズも自分達の組織の整備を行わないといけない。

 勿論、ジャミトフやバスク……後はジーン・コリニーだったか? そういう者達も思いつきでティターンズという組織を作った訳ではない以上、当然ながら以前から組織についての整備は進めていた筈だ。

 星の屑の阻止によって一気に組織の整備が進んだのは間違いないだろうが。

 それでも、やはりティターンズという組織が当初予定したように……ジャミトフ達が考えていた規模でとなると、数年くらいは掛かってもおかしくはない。

 その為、UC世界において暫く大きな動きがないという俺の予想はそんなに間違ってはいないだろう。

 ……もっとも、それを言うのならルナ・ジオンも大きな動きを見せるような事は暫くないだろうが。

 茨の園の改修もあるし。

 

「茨の園の方は現在どんな様子なんだ?」

「茨の園? アクセルが確保してくれた2基のコロニーのお陰で、居住性は間違いなく上がったわね。それこそ純粋な居住性なら、アクシズよりも茨の園の方が上だと思うわ」

「まぁ、コロニー……それも普通に使えるコロニーなんだし、そういう風になるか」

 

 アクシズは小惑星基地だ。

 しかも1年戦争終了後に逃げ込んできた者達も多く、元のアクシズだけでは住居が足りないので、追加でモウサと呼ばれる居住用の小惑星をアクシズに接続させた程だ。

 俺がアクシズに行った時はある程度アクシズの中を歩いてみたものの、その居住環境は決して好ましいものでなかったのは間違いない。

 そんなアクシズやモウサと比べ、コロニーは人が住むのを目的に作られた建造物なのだ。

 そうなると、当然ながら居住性を最優先……いや、最優先は安全性か? とにかくそれでも居住性がコロニーを建造する上での最重要項目の1つだったのは間違いない。

 そんなコロニーを……それも2基も使えるんだから、茨の園の居住性が良くなるのは当然だった。

 もっとも、用意したコロニーのうちの1基はソーラ・システムによって表面がそれなりに被害を受けているので、そういう意味では修理が必要なのだが。

 

「勿論、私のところに入ってきている情報によると、コロニーだけじゃなくて茨の園そのものの改修も行っているけどね。デラーズ・フリートは取りあえず使えればいいと、そういう風に思っていたらしくて、快適性はそこまででもなかったのよ。勿論一部……デラーズ・フリートの幹部が使うような場所はそれなりにきちんと整備されていたけど」

 

 以前直接茨の園に行った時も思ったが、もしかしてデラーズ・フリートにとって茨の園というのはあくまでも一時的な……星の屑が終わるまでの間使えればそれでいい、そんな仮初めの拠点だったりしたのか?

 実際、デラーズ・フリートにしてみれば星の屑は自分達の全戦力を結集して……いや、それでも足りず、キシリア派と手を組んでまでやった作戦だ。

 成功するにしろ、失敗するにしろ、星の屑が終わった後のデラーズ・フリートの戦力は極めて脆弱になっていた筈だ。

 だからこそ、茨の園はあくまでもそれまで使う事が出来ればいいと判断していた可能性は決して低くはない。

 ……それに星の屑が成功にしろ失敗にしろ、それが終わった後はキシリア派に戦力を合流させる事を予定していたようだったし。

 そう考えれば、やはり俺の考え……というか、予想? 妄想? はそんなに間違っていないように思えた。

 まぁ、どのみち既にデラーズは死に、デラーズ・フリートが起こした星の屑も失敗した。

 そういう意味ではデラーズが何を考えていたところで、今更なんだよな。

 もっとも、今回の一件で最も利益を得たのがルナ・ジオンだとすれば、次点となるのはキシリア派だろうが。

 ジオン軍残党という意味では同じでも、ギレン派のデラーズを潰し、その戦力を吸収した。

 それに……

 

「あれ?」

「アクセル?」

 

 不意にそんな声を上げた俺に、セイラが不思議そうな視線を向けてくる。

 モニクもまた、一体何があったのかといったような疑問の視線を向けている。

 

「いや、今デラーズ・フリートや星の屑について考えていたんだが、表向きはともかく実質的な利益となると、ルナ・ジオンが1番で、キシリア派が2番だよな?」

「ルナ・ジオンはコロニー2基に茨の園を入手して、ガンダム開発計画の機体やその設計データ、後は改修機のガーベラ・テトラとガーベラ・テトラ改。そしてノイエ・ジールの実戦での運用試験も行った。それでいながら、戦死者は0。……まぁ、バッタが数機やられたようだけど。こう考えると半ば私達の総取りと言ってもいいかもしれないわね」

 

 モニクがつらつらと並べていくが、こうして聞いている限りだと間違いなく俺達にとっての総取りに近い。

 

「けれども、キシリア派はデラーズ・フリートの残存戦力を吸収したのではなくて?」

「そうですね。アルテイシア様の仰るように、そういう意味では2番目に利益を得たのはキシリア派で間違いないでしょう。……それで、他に何かあるの?」

「いや、星の屑の件ではない。ただ、アクシズで起こったエンツォの反乱。……もしかして、あれにもキシリアが関係してたんじゃないかと思ってな。あくまでもそういう気がしただけで、何らかの証拠があって言ってる訳じゃないけど」

「まぁ、その可能性はないとは言わないけど……ただ、何でもキシリアのせいにするというのはどうかしら?」

 

 モニクの言うように、何かあればキシリアのせいにしてるような気はしないでもない。

 ただ、陰謀を得意とするキシリアだけに、それが十分に有り得ると思ってしまうんだよな。

 特に星の屑においては綺麗に……それこそキシリアが考えていた形で敵も味方も終わってしまったように思えるし。

 

「もしそうであったとしても……アクセルがその反乱を止めたのだから、問題ないのではなくて?」

「まぁ、そうだな。……ただ、念の為にアクシズにもコバッタを送り込んだ方がいいかもしれない。確か、その辺についての交渉をしてたよな?」

 

 俺の言葉に、モニクは頷くのだった。

 

 

 

 

 

 アクシズから帰ってきてから、10日程。

 その間にも、色々と小さな問題はあったりしたが、それはあくまでも小さな問題でしかなかった。

 その為、今日俺は久しぶりに……本当に久しぶりに、未知の世界に向かうという意味でゲートを使う。

 いや、本当に……こうした用途でゲートを使うのはいつぶりだ?

 X世界が最後か?

 うん、多分そうだな。

 X世界の騒動が終わった後で、ペルソナ世界の稲羽市に行ったところでマヨナカテレビの一件に巻き込まれ、水天の涙を止める為に動きながらペルソナ世界で行動していたら、伊耶那美大神を殺したところで伊耶那美大神が命懸け……文字通り、本当の意味での命を使って俺をペルソナ世界から追い出して、世界の狭間に送られたところで、ダンバイン世界のジャコバ・アオンの力で救われ、オルフェンズ世界に送り込まれた。

 そこでマーベルやシーラと合流し、伊耶那美大神の呪いを解除し、それでようやくホワイトスターに戻れるようになり、オルフェンズ世界での出来事を解決しながらガンダム開発計画に関わるようになり、オルフェンズ世界の方が一段落したらガンダム開発計画に集中し……そして星の屑に巻き込まれた。

 うん、自分で体験してきた事ではあるが、俺ってもしかして生き急いでるんじゃないか?

 

「アクセル、どうしたの?」

 

 見送りに来ていたレモンが、俺を見てそう聞いてくる。

 ちなみにいつもなら恋人達の多くが見送りにくるのだが、今日はレモンだけだ。

 他の面々もレモンに気を遣っているのだろう。

 ……昨夜もレモンが中心になって夜の営みがあったし。

 

「いや、何でもない。未知の世界に行くのにゲートを使うのが随分と久しぶりだと思ってな」

「……なるほど、言われてみればそうかもしれないわね。まぁ、アクセルの事だから大丈夫だとは思うけど……気を付けてね」

 

 そう言い、レモンは唇を重ねてくる。

 ゆっくりと……たっぷり数分の間、レモンの唇を堪能し……そして、ゆっくりと離れる。

 

「さて、じゃあ行ってくる」

「ええ、さっきも言ったけど、アクセルなら大丈夫だとは思うけど、気を付けてね。出来るだけ早く戻ってきてくれると助かるわ」

「……UC世界の件もあるしな」

 

 ティターンズは暫く大きな動きを見せないだろうとは思うものの、それでも万が一という可能性はある。

 まぁ、ルナ・ジオンの戦力だけでティターンズは普通に倒せそうな気はするけど。

 

「そうね。セイラの件もあるし」

「セイラ?」

「何でもないわよ。戻ってきたら、本人から聞いてみたらいいんじゃない?」

 

 意味ありげに笑うレモン。

 そんなレモンの言葉に疑問を抱きつつ、ともあれ俺はゲートに近付く。

 

「よし、やってくれ」

 

 俺の指示に従い、量産型Wがゲートを操作する。

 転移先は、ランダム。

 さて、俺は一体どんな場所に跳ぶ?

 期待半分、不安半分のまま、俺は転移をするのだった。

 ちなみに今までの経験から考えて、現在の俺の外見は10代半ばのものとなっている。

 原作のある世界であっても、その主人公は大体10代半ばって割合の方が多かったしな。

 

 

 

 

 

「えっと、あれ……俺はどんな世界にやって来たんだ?」

 

 目の前の光景を見て、俺は思わずそんな風に言う。

 何故なら、俺の視線の先では巨大な1人の女……それも身体のラインが強調されるような服を着ている巨大な女と、ドラゴンが戦っているのだから。

 ドラゴンは巨大な女と比べると小さめだが、それでもぱっと見た限りだとドラゴンの方が有利に戦いを行っているように思える。

 しかも鎧……というか、服? ともあれ、ドラゴンは防具っぽいのを装備していた。

 これは、あの女を助ければいいのか?

 俺が未知の世界に転移した時、そこでは既に原作が始まっていたり、あるいは原作前でも何らかの戦いが行われている可能性がある。

 そうなると、今回の一件もそれなのかもしれないと思ってもおかしくはないだろう。

 ……勿論、戦いが起こっていないような場所に転移する事もそう珍しくはなかったりするのだが。

 ともあれ、この世界の事情について聞くにも情報源が必要だ。

 そうなると、あの巨人の女を助けた方がいいだろうと判断し、白炎による一撃を放とうとしたところで、不意にドラゴンの体当たりを食らった巨人の女が吹き飛ぶ。

 

「ちょ……参りました、リューキュウ先輩、もう終わりでお願いします!」

「あら、マウントレディの方から模擬戦を頼んできたんでしょう? なら、この程度で……うん?」

 

 リューキュウ先輩と呼ばれたドラゴンが、言葉の途中で動きを止め……そして、手に白炎を生み出している俺を見て、動きを止める。

 当然ながら、今のやり取りから俺も自分が勘違いしていた事を知り、動きを止めるのだった。

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