話数の具体的なタイトル
https://syosetu.org/novel/179815/3.html
0083編のキャラ紹介
https://syosetu.org/novel/179815/14.html
です。
どちらも、鏡あきらさんが書いてくれたものです。
鏡あきらさん、いつもありがとうございます。
「一応聞くけど……リューキュウでいいんだよな?」
「ええ、そうね。まぁ、私の個性は希少だし、驚くのも無理はないけど……いえ、そこまで驚いているようには見えないわね。やっぱり私の事を知っていたのかしら?」
訝しげな視線を俺に向けてくるリューキュウ。
金髪のショートカットで、まさにクールビューティといった表現が相応しい顔立ち。
ただ、顔の半分を何というかこう……ドラゴンの爪を模した飾り? っぽいので隠しているのが気になったが。
「いや、知らない。ただ、俺が見せたように魔法とかのある世界にも行った事があるからな。そこではドラゴンに変身する人間はそこまで珍しくはない」
いや、嘘だ。
ドラゴンそのものはネギま世界ではそこまで珍しくはない……いや、勿論珍しいが、それでも探そうと思えば見つける事は出来る。
だが、ドラゴンと人に自由に変身出来るというのは、俺は知らない。
もっとも、俺が知っているのはあくまでもネギま世界の一部でしかない。
もしかしたら希少な種族とかにドラゴンに変身出来る人がいるという可能性は充分にあったが。
「……そう。まぁ、その件については後で色々と聞くとして……それが、貴方の個性?」
リューキュウの視線が、炎獣に向けられている。
可愛らしさを重視して作っただけに、リューキュウの目にはまだ幾らか警戒の色が残っているものの、それもかなり柔らかくなっていた。
マウントレディと違って、リューキュウは俺をかなり怪しんでいた。
そう思えば、相手の警戒を解くという意味ではこの炎獣については間違いなく成功なのだろう。
「個性じゃなくて魔法だな。かなり難易度の高い魔法だが、基本的に魔法というのは誰でも習得出来る。勿論、高度な魔法については習得するのに素質が必要になるが」
これもまた、全てが真実という訳ではない。
魔法が基本的に誰でも使えるようになるというのは事実だが、この炎獣について実際には魔法ではない。
混沌精霊という、俺の種族由来の力だ。
だからこそ、もしリューキュウやマウントレディが魔法を使えるようになっても、炎獣を生み出すのは……まぁ、似たような魔法を開発すれば同じような事が出来るかもしれないが、炎獣と全く同じといった事はまず不可能な筈だった。
とはいえ、ネギとかならもしかしたら? と思わないでもなかったが。
「へぇ……魔法、ね。マホウという個性を使うマジェスティックというヒーローはいるけど」
「それはまた、個性ってのも何でもありだな」
リューキュウの言葉は俺にとっても少し……いや、かなり意外だった。
そういうヒーローがいると言われれば、俺にとってもそうかと納得するしかないのも事実だっだが。
「ともあれ、そのマジェスティックとかいうヒーローについてはともかく、俺が異世界からやって来たというのはそろそろ信じて貰ってもいいんじゃないか?」
「……正直なところ、半信半疑……いえ、2信8疑といったところなんだけど」
「えー、リューキュウ先輩。ほら、可愛いですよ。こんな可愛いのを出せる人がヴィランな筈ありませんって」
「あのねぇ……マウントレディ。貴方はまだヒーローになったばかりってのもあるけど、そういう判断力は甘すぎるわよ。だから、前に聞いたヘドロヴィランの件で一般人に無茶をさせる要因になったんでしょう?」
「う……いえ、でも……ほら、だからこしてリューキュウ先輩に訓練をお願いしている訳ですし。それに、リューキュウ先輩にとっても私のちゃんと全力で訓練出来たんだから、いいじゃないですか!」
「……まぁ、それは否定しないけどね」
2人の話を聞く限り、この場所にいた理由が何となく理解出来た。
リューキュウはドラゴンに変身出来る。そしてマウントレディは巨大化出来る。
最初に会ったのがこの2人だったから、もしかしたらこの世界の能力者……いや、ヒーローというのは巨大化するのデフォなのかと思ったが、どうやらそれは違ったらしい。
マジェスティックとかいうヒーローの話を聞く限り、そっちは魔法……いや、マホウか? それは使えるものの、俺の使う魔法とはまた別の能力らしいし。
「まぁ、いいわ。……さて、それでこれからどうするかだけど……」
「公安に知らせます?」
マウントレディの言葉に、ピクリと反応する。
正直なところ、まさかマウントレディの口から公安なんて言葉が出て来るとは思わなかった。
公安というのは、いわゆる公安警察。
テロとかそういうのに対処する為の、特殊な……より権限の強い警察だ。
勿論、これはあくまでも俺の知っているものであって、この世界の公安が俺の知っている公安と全くおなじとは限らないのだが。
それどころか、こうしてあっさりと公安という名称が出てくるのを考えると、多分だが俺の知っている公安とマウントレディが口にした公安は何となく違うような気がする。
「個性事故って扱いなら、やっぱり公安に知らせた方がいいと思うんですけど。リューキュウ先輩はどう思います?」
「正直なところ、難しいわね。公安には以前から少し良くない噂も聞くし」
まぁ、公安ならそういう噂があってもおかしくはないよな。
勿論、この世界の公安と俺の知っている公安が同じではない。
それどころか、その性質は大きく異なっていると思ってもいいだろう。
だが、それでも公安というのは警戒すべき相手であるのは変わらないらしいし、同時に何らかの後ろめたい噂とかがあってもおかしくはないらしい。
「え? そうなんですか? でも、私はそういう話を聞いた事はないですけど」
「マウントレディはまだ新人だしね。そういうのを聞くような耳はまだ持ってないって事でしょう」
「えー……まぁ、いいですけど。でも、そうなるとこの子はどうするんです? 異世界から来たとかいう話はとてもではないが信じられませんけど……ただ、こうして魔法? を使って見せていますけど」
「……ねぇ、貴方。アクセルだったわよね? もし魔法使いなら、この子達を出す以外の魔法も使えると思っていいのよね? それも見せてくれる? 出来れば、全く違う形で」
「炎獣以外にか? そうだな……」
俺が異世界から来た存在として示す手段は幾らでもある。
とはいえ、それは同時にあまりに俺の力を見せすぎるのはどうかという思いもあった。
何しろ俺の実力の全てを見せるとなると、それこそ俺自身が危険視されかねないのだから。
そうなると、スライムとかは止めておいた方がいいか。
空間倉庫を見せるのも……どうだろうな。
ん? ああ、そうか。別に魔法に拘らなくてもいいのか。
「なら、こういうのはどうだ? えっと……ああ、ほら。あそこに瓦礫があるだろう?」
俺は100m程離れた場所にある瓦礫を示す。
ここは巨大化したマウントレディや、ドラゴンとなったリューキュウが模擬戦っぽいのをやっていた事からも分かるように、かなりの広さがある。
また、しっかりとした場所じゃなくて、恐らく取り壊しとかを予定しているような場所なのだろう。
そういう意味では、色々と動きやすい……ちょっと壊したりしてもいいというのは、嬉しい限りではあったが。
「ええ、あるわね。それが?」
俺の示した瓦礫を見て、リューキュウが言う。
マウントレディの方も、俺が一体何を言い出すのかといったように疑問の視線を向けていた。
「じゃあ、見てろよ。いや、見えないだろうけど」
「え?」
俺の言葉にリューキュウが訝しげにこちらに視線を向けようとした次の瞬間、俺の姿は既に瞬動を使って先程示した瓦礫の側にあった。
「おーい、どこを見てるんだ。こっちだこっち!」
離れた場所にいたリューキュウとマウントレディの2人が、いきなり姿を消したかのように見えた俺を捜しているのに向けて声を掛ける。
すると、2人もその声で俺がどこにいるのかに気が付き、こちらを見て……思い切り驚きの表情を浮かべている。
感情表現が豊かなマウントレディはともかく、クールビューティのリューキュウまでもが驚愕の表情を浮かべているのは、何となく……本当に何となくだが、非常に珍しい光景なのだろうなと思えてしまう。
そんな2人のいる場所までゆっくりと戻っていく。
先程と同じく瞬動を使って移動しても構わなかったのだが、そうなるとそうなったで、リューキュウとマウントレディは自分の見た光景が夢か何かだったと、そう思ってもおかしくはないのだから。
やがて俺がゆっくりと元の場所……リューキュウやマウントレディの側まで戻ると、リューキュウが慎重な様子で声を掛ける。
「アクセル、今一体何をしたの?」
「魔法使いの使う体術の1つだな。瞬動と呼ばれている」
「……何だか、私がイメージする魔法使いとは随分と違うのだけど」
リューキュウの言葉に、隣でマウントレディも頷いていた。
まぁ、その気持ちは理解出来ないでもない。
普通、魔法使いというのは後衛という認識なんだろうし。
実際その考えは決して間違っている訳ではない、
魔法使いの中にはそういうタイプの魔法使いもいるし。
だが同時に、いわゆる……エヴァ曰く魔法剣士タイプもいる。
魔法を使いながらも近接戦闘を得意とするタイプだな。
当然ながら、俺もどちらかと言えばこちらのタイプに入る。
とはいえ、瞬動なんかはリューキュウ達が想像しているタイプの魔法使いでも普通に使えたりする事が多いが。
これが虚空瞬動だったり、あるいは純粋に空を飛べるといったような事になってくると、もう少し難易度が上がるが。
とはいえ、それでも虚空瞬動はシャドウミラーの技術班であっても全員使えるんだが。
何しろ虚空瞬動の1つでも使えないと、茶々丸やエキドナ、セシルといった面々から逃げ切るのはまず無理だし。
そういう意味では、技術班の面々ってやっぱり才能があるんだよな。
マードックも、最初は虚空瞬動を使えなかったものの、今となっては普通に虚空瞬動を使えるようになっているし。
いや、それでもマードックは寧ろ肉体派なので虚空瞬動を使えてもおかしくはないのかもしれないな。
そういう意味では、ロイドが虚空瞬動を使える方が特別か。
もっとも、ロイドは技術班に所属するに相応しい才能を持つが、同時に他の技術班の面々と同じように暴走しがちだ。
そういう意味ではマードックよりも追い掛けられる頻度は多いので、虚空瞬動を習得するのは寧ろ納得出来るのかもしれないが。
「魔法使いも、後方から魔法を撃っていればいい訳じゃないんだよ。……それで、どうだ? 俺が異世界から来たと納得して貰えたか?」
「……微妙なところね。こうして瞬動? を見せて貰ってなんだけど、子供の中には両親の個性を両方とも使えるというのは珍しいけど、決してない訳ではないもの」
「つまり、俺の場合は魔法と瞬動を使う両親の間に出来た子供だから、今のように両方を使う事も出来た、と?」
「あくまでもその可能性があるというだけよ」
「ふむ。なら……そうだな」
炎獣と瞬動がそれぞれ両親から遺伝した個性だと言われれば、生憎と俺にはそれを否定出来る要素はない。
となると、また何かを見せる必要がある訳だ。
「なら、これとかはどうだ?」
パチンと指を鳴らすと、俺の影が細長く……棒状になって、物質となって俺の前まえで伸びてくる。
「っ!? ……これは……?」
驚いた様子でそう口にするリューキュウ。
リューキュウやマウントレディにしてみれば、いきなり俺の影が伸びて細長い棒になって自分達の前に出て来たのだから、それに驚くなという方が無理だった。
「これもまた魔法の一種だな。影の魔法、操影術と呼ばれる魔法だ。まぁ、これも魔法だし、この炎獣も魔法だから、魔法という個性だと言われれば、反論は難しいが」
「……そうね。魔法という個性と言われれば、そうだと思えてしまうけど」
「ねぇ、リューキュウ先輩。アクセルがいわゆる厨二病かどうか、あるいはもしかしたら本当に異世界から来たのか、調べる方法を思いついたんですけど」
炎獣に触れていたマウントレディが、不意にそう言う。
リューキュウがその言葉に驚いた様子を見ると、どうやらリューキュウでも思いつかない何かをマウントレディは思いついたらしい。
それが具体的になんなのかは、生憎と俺にも分からなかったが。
「何かしら?」
「病院で見て貰えばいいじゃないですか。ほら、個性を持ってる人と無個性を見分けるのに、足の小指の関節が……」
「ああ、なるほど。それがあったわね」
Mt.の言葉に納得した様子のリューキュウだったが、俺にしてみれば一体何を言ってるのか分からない。
そんな俺の様子に気が付いたのだろう。
リューキュウが俺を見て口を開く。
「世の中には個性を持つ人と個性を持たない人……無個性の人がいるんだけど、それを示すのに使われているのが足の小指の関節なのよ」
「……何だ、それ?」
あまりに予想外の言葉に戸惑う。
だが、リューキュウはそんな俺に向かって改めて説明する。
「個性があるかないか、それは足の小指に関節があるかないかではっきりとするの、足の小指に関節がないと個性を使える。関節があると無個性で個性が使えない。そういう事なのよ」
そう言われても、何と言うかこう……素直に納得出来る事ではなかった。