転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4311話

 雄英高校の受験をする事になり、勉強を続け……気が付けば12月も半ば。

 そう、クリスマス。

 俺の認識としては、11月がいつの間にか飛ばされてしまったかのように思える。

 まぁ、勉強もそうだし、龍子、優、ねじれの生身での戦闘訓練をしたり……あとはネットで色々と調べたりしていたのもあるので、いつの間にか時間が流れていてもおかしくはない。

 

「……つまり、遊んでいて気が付いたらそういう時間になっていたと? まぁ、こっちではまだ10日くらいだが」

 

 呆れたように言うのは、狛治。

 俺が召喚魔法で呼び出したのだ。

 狛治と召喚の契約を結んでから、未知の世界に転移しても狛治経由でホワイトスターとやり取りが出来るというのは大きいよな。

 呆れてはいるものの、こっちでは既に2ヶ月なのに、向こうでは10日くらいとなると、時差は結構大きいな。

 オルフェンズ世界でもそれなりに時差があったし、何より時の指輪のお陰で基本的には不老だから、そこまで時間の流れを気にしたりはしていないだろうが。

 

「そんな感じだ。ただ、個性というのがこの世界にある以上、色々と調べるものが多くてな。……それに個性も千差万別で、公安直属のヒーローとかに見張られている可能性もあったし」

「今は大丈夫なのか?」

「まぁ、さすがに国外までは来ないだろうし」

 

 現在俺がいるのは、大西洋にある島国……オセオンという国の中にある森の中だ。

 この国を選んだ理由は別に何かがある訳ではない。

 ただ、何となくで選んだだけにすぎない。

 ともあれ、今も龍子の事務所にある俺の部屋では、布団の下にダミーの人形を置いてきたので、暫くの間は騙せる筈だ。

 それに、龍子も既に俺を監視するという依頼は放り投げてるしな。

 ただ、それでも朝になって俺が起きなければ、龍子が起こしに来るだろうから、あまりゆっくりもしていられない。

 大丈夫だとは思うが、何かあって龍子が俺の部屋に来るといった可能性もない訳ではないし。

 そんな訳で、召喚した狛治には悪いがゆっくりと話はしていられない。

 

「だが、個性というのは……血鬼術のようなものと考えればいいのか?」

「あー……どうだろうな。似てると言えば似てるような気がしないでもない」

 

 血鬼術というのは、鬼滅世界における鬼が使える特殊能力だ。

 個人――鬼だから個鬼と称すべきかもしれないが――によって違う、その鬼特有の能力と考えれば、個性と血鬼術は似ている……のか?

 

「まぁ、血鬼術とかじゃなくても、レモンやマリューなら、特殊能力とかスキルとか、そういう風に説明すれば分かると思う」

 

 コーネリアには、あるいはギアスと説明した方が分かりやすいか?

 ギアスもまた、個人によって能力は違う。

 もっとも、8割の者が個性に目覚めると考えれば、ギアスとは規模が違うが。

 

「分かった。では、そう説明しよう。それでゲートの設置はいつ頃になる?」

 

 狛治のその言葉に、難しい表情を浮かべる。

 

「分からないというのが正直なところだ」

「……分からない? 何故だ?」

「成り行きというか、この世界に来て早々にヒーローと接触したのはいいんだが、その後、話の流れから公安に連絡がいってしまってな。今はその公安と協力関係……というのは少し違うか? ともあれ、友好的な関係を築けているのは間違いない」

 

 今にして思えば、公安と接触したのは良かったのか、悪かったのか。

 龍子や優と遭遇しても、すぐに逃げれば……まぁ、その場合は怪しい奴として追われる事になり、ヴィラン街道まっしぐらといった感じになっていたので、表通りを歩けなかった可能性もある。

 ただ、その代わりって訳ではないが、ゲートの設置はすぐに出来ただろう。

 そしてホワイトスターと行き来が出来るようになれば、この世界でも色々とやりようはある。

 あ、でもそうだな。そうなると暗躍ルートっぽい感じになったのは間違いなかったが、今の立場だからこそ雄英の試験を受けられるという話の流れになっていたんだよな。

 この世界の原作において、恐らく……本当に恐らくだが、主人公は雄英にいる可能性が高い。

 ねじれと同じ2年、そして俺が入学した時の3年なのか、あるいは今の1年、俺が入学した時の2年なのかは分からないが。

 というか、原作知識がない以上はその辺については成り行きに任せるしかないんだが。

 けど、今までの経験から考えると、多分来年の1年に主人公がいるような気がするんだよな。

 明らかに原作キャラとして特別な存在であるオールマイトが教師になるのも、来年からだし。

 

「公安とやらと友好的な関係になったのなら、ゲートは設置出来るのではないのか?」

「いや、公安という立場だからこそ、俺と友好的な関係を築いていても、そう簡単にゲートを設置はさせないつもりだろう」

 

 言い方は悪いが、公安にしてみれば異世界から来た俺がいても、結局のところ1人でしかない以上、いざとなれば力でどうとでもなるといったように考えていてもおかしくはない。

 ……実際には俺は公安に対してかなりの力を隠している。

 場合によっては公安と、あるいはこの世界そのものと戦いになる可能性もあるので、それは当然だろう。

 ともあれ、公安にとって俺は個性とは違う力を使い、非常に強力ではあるものの、結局のところ個人でしかないといったところか。

 だが、もしゲートを設置してホワイトスターと行き来出来るようになると、所詮は1人といった扱いは出来ず、異世界の国家……それもシャドウミラー以外にも多くの世界と嫌でも関わる事になってしまう。

 もっとも、それは別にデメリットだけではないのだが。

 それこそ異世界の技術とかそういうのを入手出来ると考えれば、非常に大きな意味があるのだから。

 ともあれ、公安は今は俺に対してゲートを設置する土地を用意しない。

 それは仕方がないと思うので、個人的には成り行きに任せるつもりだったのだが……そんな中で唯一心配だったのが、ホワイトスターとの時差だった。

 何しろ、時差については実際にゲートを設置するなり、あるいは今回のように狛治を召喚するなりしないと分からない。

 幸い今回はこっちでの2ヶ月が10日くらいらしいので、ある程度の余裕はある。

 なので、公安に急かすような事はせず、向こうがこっちを信用し、ゲートを設置出来る土地を用意するのを待つつもりだ。

 勿論、それはあくまでも今の状況ならの話だ。

 例えば公安が俺を裏切るような事をしたり、使い捨てにしようとしたりした場合は、また話が違ってくるが。

 

「アクセルがそう言うのなら俺は構わないが……シャドウミラーの面々がそれをどう思うのかは、俺には分からないぞ?」

「その辺については上手く言っておいてくれると助かる」

 

 レモンとかなら、便りがないのが元気な証拠とそこまで気にしないだろうが、恋人の中には連絡がないから心配だと思う者もいる。

 あやかや円、ゆかり、クーデリア辺りがそんな感じか。

 

「……俺にそのような事を期待されてもな」

「まぁ、取りあえず俺は元気だというのを向こうに戻ったら知らせてくれ」

「分かった。それとアクセルに聞かせて貰った、この世界についての情報も話しておく」

「頼む」

 

 個性については、恐らく技術班は強い興味を持つ筈だ。

 技術班は自分達の知らない……全く予想外の技術や能力、知識、そういうのに強く反応するしな。

 実際、Fate世界の魔術に関してだったり、俺が持ち帰った金ぴかの身体の一部だったり、もしくはダンバイン世界のオーラ力だったりと、既存の科学技術とは全く違う能力については、強い興味を示していたし。

 それこそゲートが設置されてこの世界とホワイトスターが自由に行き来出来るようになれば、個性について研究したいと思うのは容易に想像出来た。

 以前ちょっと検討したように、ヒーローについては無理でも、ヴィラン辺りはこっちで確保してホワイトスターで研究をしたいとか、そういう風に言ってきてもおかしくはない。

 あるいは……この世界における凶悪犯が投獄されている、タルタロスなんかは狙い目かもしれないな。

 絶対に脱獄も侵入も出来ない、鉄壁の監獄であるタルタロスだが……それはあくまでも個性に対してだけだ。

 影のゲートを使える俺にしてみれば、そういうのは関係ない。

 人の目についても、気配遮断を使えばいい。

 ……もっとも、タルタロスは監視カメラとかそういうのも多数あるので、気配遮断はあまり役に立たないのだが。

 何しろ気配遮断は人の目については完全にスルー出来るが、カメラとかそういうのを通すと効果を発揮しないし。

 そうなると……服役囚のいる部屋に直接影のゲートを開いて、そこから問答無用で服役囚を拉致するとか、そんな感じか?

 

「じゃあ、戻すぞ」

「ああ。……俺が言う事じゃないかもしれないが、気を付けてな」

 

 狛治らしくない言葉だったが、狛治の認識だとこの世界の8割が血鬼術を使えるような者達というものなのだから、心配するのは当然か。

 

「任せろ。何があっても、最悪ニーズヘッグのシステムXNを使えばホワイトスターに戻れるしな」

 

 もっともマーカーを置いていかないと、再びこの世界に来るのは難しいだろうが。

 

「まぁ、アクセルなら何とでもなるか。無惨を倒す時もそうだったし」

 

 無惨、か。

 狛治も以前……それこそまだ鬼だった頃に俺と会った時は、上位者として無惨を扱っていたんだけどな。

 というか、無惨……能力的に見ればもの凄いのに、本人がこう……うん。ちょっと残念というか、何というか。

 色々な意味で微妙といった感じだったんだよな。

 誰が言ったんだったか、頭無惨。

 無惨の場合は、自分がトップで行動するのではなく、誰かに使われてこそ上手く動けたんだろう。

 もっとも、無惨は自分が鬼を含めた生物の頂点であると認識していたので、そういう意味では誰かの下につくといった事はまずなかったのだろうが。

 

「無惨が敵なら、寧ろやりやすかったんだけどな」

 

 目良や委員長を含めた公安は、純粋な戦闘能力という点では無惨と比べても大きく劣る。

 だが、交渉能力とかそっち方面では無惨とは比べものにならない程に上手いのは事実だ。

 さすがヒーローという強力な個性を持つ者達を率いる立場だけの事はある。

 それに……そういう立場であるが故に、ヒーローに対する武力も用意していると思ってもいい。

 ヒーローと一口に言っても、ヒーローの中にも当然ながら何らかの不正を働いている者もいるだろう。

 そんな者達に対処するには、公安にも相応の戦力は必要となる。

 もっとも、公安独自というか……実際にはヒーローに指示を出して公安の戦力とするというのが一番可能性は高いように思えるが。

 そういう意味で、公安は戦力についても十分なものがある。

 総合的に見れば、無惨よりも公安の方が余程怖いと思えるんだよな。

 

「今なら俺もそう思うよ」

 

 狛治が俺の言葉に笑みを浮かべる。

 そうして暫く話をし……狛治の召喚を解除する。

 

「さて、オセオンでちょっと遊んでいきたい気はしないでもないんだが、パスポートを見せるように言われると困るしな」

 

 一応、公安のお陰で、既に俺の戸籍はこの世界にも存在している。

 存在してるが、パスポートは持っていない。

 そうである以上、オセオンで遊んでいる時にパスポートを見せろと言われたりしたら、面倒な事になるのは間違いなかった。

 不法入国というのが明らかなのだから。

 そんな訳で、出来ればオセオンで少し遊んでいきたいと思いつつも、俺は日本に戻るのだった。

 

 

 

 

 

 龍子の事務所に戻ると、幸いな事に俺の部屋は暗いままで、無断で出掛けた俺を龍子が待ち構えているといったような事はなかった。

 その事に安堵しつつ、布団の中に用意しておいたダミーと入れ替わる。

 もし俺が出掛けている……抜け出した事に気が付けば、龍子の性格からして、ずっとここで待っているとか、そういう事をしそうだしな。

 それがなかったのだから、俺が出掛けたのには気が付いていないのだろう。

 ……これで龍子が気配とかを察知出来たりしたら、話は別だったのだろうが。

 あるいはドラゴンに変身をすれば、そういうのも出来るようになるかもしれないが……うーん、どうなんだろうな。

 ドラゴンなら何となくそういうのが出来そうな気もするが。

 とはいえ、それはあくまでも俺の予想であって、確証の類はない。

 個性でドラゴンっぽい事は出来るんだから、そっちについてもどうにか出来てもおかしくはないと思うんだが。

 そんな風に思いつつ、俺は布団の中で目を瞑る。

 取りあえず狛治経由でホワイトスターに連絡が出来たので、レモン達に心配を掛けるような事はない。

 狛治を召喚出来るようになったのは、戦力的にも大きいが……うん、むしろこうして俺が未知の世界に転移した時に確実に連絡を取れるようになったというのが大きいな。

 ……狛治がこれを聞けば、微妙に怒りそうな気がするが。

 そんな風に思いつつ、眠りに落ちていくのだった。

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