いきなりぶつかってきた少女。
その少女は、フードが脱げたのに気が付いたのか、慌てて再度フードを被る。
この様子を見ると、もしかして有名人だったりするのか?
「あの、すいませんで……」
すいませんでした。
本来ならそう続く筈だったのだろうが、何故かその少女はこっちを見て動きを止めた。
こっち……そう、俺だ。
背後にいるアランの存在には全く気が付いた様子もなく、ただじっと俺だけを見ている。
何だ? 前に会った事があったか?
何だかんだと、俺もミの国の人間に知り合いは多い。
とはいえ、こういう子供と会った事があれば、さすがに覚えていてもおかしくはないんだが。
そういう意味では、この少女は一体誰なんだ?
「あ……ああ……」
俺の方を見て、何か言おうとするも言えないまま、自分でも分かっていない様子で後退る。
「おい、アクセル?」
後ろにいたアレンも、この少女の様子を見ておかしいと思ったのだろう。
疑問と共にそう尋ねてくるも、正直何故この少女がこんな態度をとっているのか、全く分からない。
ともあれ、このままだと傍から見れば少女――フードを被っているので、小柄な相手にしか見えないが――を苛めているように見ても、おかしくはなかった。
実際、近くを歩いていた者達は一体何があった? といった様子で足を止めて、こちらを見ている。
あー……このまま騒ぎになると、ちょっと面倒な事になるな。
俺はドレイク軍の兵士ではないが、それでもドレイク軍と一緒に行動している。
そんな俺が、ここでこの少女を苛めているように見えた場合……公開処刑の件もあるし、妙な誤解をされかねない。
だとすれば、さっさとここから逃げるか?
この少女が何故俺を見て怯えているのかは、分からない。
分からないが、それでも俺がいなくなれば元に戻るだろうし。
取りあえず、このままここにいるのは不味い。
だとすれば、ここから離れてどこか別の場所……周囲に人のいない場所に行く必要があった。
「取りあえず移動するか。……来てくれるな?」
確認するように、少女に尋ねる。
ここで断られたりしたらどうするか。
そう思わないでもなかったが、幸いなことに少女は素直に俺の言葉に対して頷いた。
……何故か、じっと俺に視線を向けており、それこそ一瞬たりとも目を逸らす訳にはいかないと、そんな風にしていた。
何と言うか、俺という存在に恐怖……いや、畏怖してるのか?
けど、何でだ?
魔力を感じる能力を持ってるなら、まだ分かる。
だが、そもそもバイストン・ウェルにおいては、オーラ力という概念はあっても、魔力という概念はない。
いや、もしかしたらあるのかもしれないが、あってもマイナーなのは間違いない。
そういう意味では、やはりこの少女が俺を特別視する理由というのは分からない。
分からないからこそ、こうして話を聞くんだけどな。
「アレン、お前はどうする? 正直なところ、この件は間違いなく面倒事になる。もしお前も来るのなら止めるようなつもりはないけど、それによってお前もトラブルに巻き込まれるのは確定だぞ」
「そうだな。……けど、このままだとこの先の件が気になって仕方がないし、フェイに土産話でもしてやる必要があるからな。俺も一緒に行くよ」
まぁ、この少女の件はアレンに知られても別に問題はない……と思う。
結局のところ、多分俺の魔力を何らかの手段で感じて、俺を畏怖の対象として見た……といった感じなんだろうし。
そういう意味では、ここでアレンを連れていっても問題はないだろう。
「さて、そうなるとどこかを探さないとな」
幸いなことに、少女は俺を見て驚きはしても、泣いたり叫んだりといったようなことはしていない。
そのおかげで、周囲にいた通行人達もドレイクの兵士を呼ぶといったような真似はしていない。
その辺については、思い切り助かったといった印象だった。
そうして俺とアレン、少女の3人は、適当な宿の部屋を1つ借りる。
大人2人に少女……フードを被ってるので、店の者には子供としか見えなかったが、そのような組み合わせは、店員にしてみれば怪しいという感想しか抱けなかっただろう。
それでも、宿屋にしてみればアレンが渡した金額には十分に満足するものだったのか、特に騒ぐようなことはない。
これで少女が嫌がっていれば、あるいは多少話も変わったのかもしれないが……まぁ、それはそれだろう。
そう思い、ふと気が付く。
これってもしかして俺とアレンがいかがわしい事にこの宿の部屋を借りたとか、そんな風に認識されていたりはしないよな?
……まぁ、事実は違うんだし、もうこの宿に来るような事はないんだろうから、そこまで気にすることはないか。
ともあれ、6畳程の部屋に俺、アレン、少女の3人がいて、部屋の中には沈黙が満ちる。
さて、この場合はどうするべきか。
「で? お嬢ちゃんは一体誰なんだ? 何だって、アクセルを見てあんなに驚いた? いや、アクセルの正体を知っていれば、そんな風に驚くのも納得出来るが……その辺、どうなんだ?」
そんな沈黙を破るように口を開いたのはアレン。
このまま沈黙したままだと意味はないと、そう感じたのか。
もしくは、手っ取り早くこの話を終わらせようと思ったのか。
その辺は俺にも分からなかったが、それでもアレンのその言葉が切っ掛けとなって事態が動いたのは、間違いのない事実だ。
「貴方は……誰ですか?」
そんなアレンの言葉に、少女も自分が話す切っ掛けを得たのだろう。
恐る恐るといった様子で、そう尋ねてくる。
その目には、やはり畏怖の色がある。
やっぱり、何らかの理由で俺という存在についてこの少女は理解しているのだろう。
とはいえ、それがどのような理由からの話なのかというのは、生憎と俺には理解出来なかったが。
「アクセル。アクセル・アルマーだ。……で、お前は? 他人に名前を尋ねたんだから、お前の名前も教えて欲しいんだがな」
「……エレ、といいます」
エレか。
で、問題なのはそのエレはどうやって俺の力……もしくは存在を察知したのかといったところだろう。
「アレン・プレディだ」
エレに続いてアレンも挨拶をした事で、一応これで自己紹介は終わったと思ってもいい。
そうなると、話題になるのはやはりエレの事だろう。
「それで、エレ。お前は一体何者だ。何で俺にそんな視線を向けてくる?」
「私の目から見て、貴方は……そう、大いなる存在のように思えます。それこそ、人の形をしているのが不思議な程に」
大いなる存在……やっぱりエレは、ホワイトスターにいるエルフと同じような感覚を持っているのか?
だとすれば、もしかしたら……場合によっては、魔法を使えるかもしれないな。
「大いなる存在? アクセルが? だとすれば、それってやっぱりアクセルが魔法とかを使えるからか?」
「それもあるのは間違いないと思う」
けど、それだけで大いなる存在とは言わないだろう。
魔法は……そう。例えばエ・フェラリオだってオーラロードを開くといったような感じで、似たような真似が出来るのだから。
それを思えば、やはり俺が魔法を使えるからって、大いなる存在などといったように表現するのはおかしいと思う。
だとすれば、何か他の理由があって俺をそんな風に表現しているんだろうが……一体何が理由だ?
そんな疑問を抱きつつ、エレとの会話を続ける。
「魔法以外に、具体的に何があって俺をそんな大いなる存在なんて風に認識してるのか、聞いてもいいか?」
「それは……アクセルからそのようなオーラが感じられるとしか」
「……オーラ?」
その一言は、俺に疑問を持たせるのに十分なものだ。
何しろ、俺にオーラ力はない。
いや、ない訳ではないが、魔力の方が圧倒的に多い為にオーラ力が掻き消されているといった感じか?
しっかりと検証した訳ではないが、俺の印象としてはオーラ力というのはシャドウミラーで言われる気に近いものがある。
その為、魔力に特化している俺にとって気というのはあまり馴染みがない。
だというのに、少女……エレは、俺からオーラを感じるという。
それもちょっとやそっとのオーラではなく、大いなる者と表現するのに相応しい程のオーラだ。
その辺の事情を考えると、エレが感じているのは俺の持つオーラ力ではなく、魔力なのではないか? という疑問が思い浮かぶ。
とはいえ、そうなるとエレが何故魔力を感じられるのかといった疑問になるが。
……それとも、魔力を感じているというのがそもそも俺の勘違いで、実は何かもっと別の方法で察知していたりするのか?
「はい、オーラです。……そちらの人からも強いオーラを感じられますが、貴方から感じられるオーラは圧倒的です」
「……だとよ?」
そう言うアレンの口調は、若干不機嫌だ。
まぁ、自分よりも俺の方が強いオーラを持っていると断言されたのだから、それも当然だろうが。
そもそもアレンは、オーラ力が強いという理由で地上から召喚された。
だというのに、そんな自分が俺よりもオーラ力が低いとなれば、落ち込むなという方が無理だった。
とはいえ、実際に俺の場合普通のオーラバトラーに乗ると、オーラコンバータが俺の魔力に耐えきれずに爆発する。
そう考えれば、俺の方がオーラ力が強いと認識してもおかしくはない……のか?
「俺の場合はオーラコンバータが特殊だから、素直にアレンと比べるのは難しいかもしれないな。……それはともかく、何でエレはそういう力を持ってるんだ?」
オーラ力を感じるというのは、そこまで特別という訳でもないのか?
まぁ、リムルが俺やドレイクを悪しきオーラ力と言っていたのを考えると、オーラ力を感じるのは微妙だと思わないでもないが。
寧ろ、オーラ力を感じる力がないのに、自分に都合が悪いから俺やドレイクを悪しきオーラ力の持ち主と言っていた可能性も否定は出来ない。
とはいえ、ショウ辺りは主人公なんだから、その辺を見抜いてもいいような気がしないでもないが。
「私のこれは、生まれつきです。……その、1つ聞かせて下さい。貴方達はアの国の方とお見受けします」
「ああ」
俺はバイストン・ウェルに合わせた私服だが、アレンは着替えるのが面倒だったのか、何かあった時にすぐ動けるようにと判断したのか、ともあれアの国の軍服を着たままだ。
それを見れば、俺達が……少なくてもアレンがアの国の軍人であるというのは、誰にでも分かる。
そういう意味で、エレがアレンをドレイク軍の者だと認識したのは、おかしな話ではない。
「そうですか。……アの国の軍人は、略奪をしないと聞きました。それをした者を決して許さないとも」
「まぁ、実際に公開処刑をやったのを見た身としては、その言葉には素直に頷くしかないな。……けど、エレはあの公開処刑を見に来なかったのか?」
あの公開処刑には、王都の多くの住人が見学に来ていた。
王都の住人にしてみれば、ドレイクが本当に自分の部下を略奪や暴行をしたという事で処刑するのかどうかを確認したいという思いもあったのだろう。
そして実際に処刑された。
これは、王都の住人達にドレイクは侵略者ではあっても、兵士にも秩序ある行動を取らせているという事で、決して悪い話ではなかった。
事実、あの公開処刑が理由で、完全にという訳ではないにしろ、ドレイク軍はミの国の王都の住人に受け入れられたのだから。
そんな訳で、あの公開処刑は大人は勿論、子供も多くが見に来ていたのは事実だ。
エレよりも小さな子供達も見に来ていたのだから、エレもまた見に来ていてもおかしくはなかった。
しかし、この様子を見る限りではエレは見にきていなかったらしい。
「え? あ、はい。その……母が、そのようなものは見るべきではないと」
少し戸惑った様子で、エレがそう告げる。
なるほど、その言葉は十分に理解出来た。
一般的――あくまでもバイストン・ウェルではなく地上のだが――な考えを持つ母親ではあるらしいが、今回の一件はそれはそれで問題になってもおかしくはない。
こういう時というのは、少しでも自分が周囲と違う行動をとっていれば、それを理由として周囲から責められたり……下手をすれば密告されたりしても、おかしくはない。
幸い、ドレイクはその手の事を推奨している訳でもないので、問題はなかったようだが。
「危ないな」
アレンも俺と同じことを考えたのだろう。
エレを見ながら、少し心配そうに呟く。
トッドの話やマーベルへの態度から、アレンが女好きなのは知っている。
だが、それでもエレのような子供には食指が動かなかったのか、今の言葉にはこれを理由としてエレを口説こうとしているようなものではなく、純粋に心配してのものだった。
「え? その……心配してくれるんですか?」
アレンが自分の心配をしたという事に、驚きの表情を浮かべるエレ。
エレにしてみれば、ドレイク軍は略奪の類こそしないものの、それでもやはり決して友好的な存在であるとは思わなかったのだろう。
そんなエレの様子に、アレンは何と言えばいいのか迷った様子を見せるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1560
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1680