転生とらぶる2   作:青竹(移住)

1660 / 2196
4315話

「……これで成功、と」

 

 クリスマスパーティが終わった翌日、俺は事務所にあるシャワールームにいた。

 龍子や優、ねじれからのアドバイスで、ガラスフィルムはスマホを使うよりも前に張った方が、画面に指紋とかが付かない分やりやすいと言われ、その為に優のアイディア通りに下着だけになってシャワールームの中でガラスフィルムをスマホに貼っていたのだ。

 ガラスフィルムを貼ったスマホをあらゆる角度から見る。

 優の話によれば、小さな埃でも入っていればガラスフィルムに気泡が出来るらしい。

 勿論それでも全く何の問題もなく使えるのだが、使っているとどうしても気になるんだとか。

 そんな訳で、ガラスフィルムを貼った後で色々な角度から見てどこにも埃が入っていないのを確認する。

 そうして完全な……パーフェクトな状態であるのを確認すると、俺はシャワールームから出て、部屋に戻る。

 こちらもまたプレゼントとして貰ったスマホケースに入れる。

 ……ちなみにこのスマホケース、何でも外国では軍隊が使っているケースで、かなり頑丈に出来ているのだとか。

 ただ、その頑丈さの影響で結構な重量があるらしい。

 雄英のヒーロー科に入ると、場合によってはスマホが衝撃で壊れる可能性もあるという事で選んだらしいが……うん。まぁ、実際スマホを持ってもそこまで気にはならない。

 いや、この頑丈なケースを付けていない状態でスマホを使っていたところに、このケースを使ったりした場合は、ケースがない状態でのスマホの重量に慣れているから違和感はあるかもしれないが、俺の場合は最初からこれだけだったしな。

 さて、次は……

 

「これだな」

 

 空間倉庫の中から取り出した、技術班謹製のハッキングツール。

 これの凄いところは、接続端子の問題をスルー出来るという事だろう。

 スマホの接続端子にもしっかりと使え、スマホの中身を調べていくのだが……

 

「ありゃ」

 

 予想外な事に、特に仕掛けらしい仕掛けはなかった。

 公安からも金が出ているという話だったので、何らかの仕掛けであったり、普通なら分からないような場所に盗聴用のアプリがあったりとか、そういうのを予想していたんだが。

 これは、どう考えればいいんだろうな。

 公安が俺を信用したのか。

 ……いや、下手に何かを仕掛けても俺に見破られれば、俺からの信用を損なう事になると考えて、敢えて何も仕掛けなかった可能性の方が高いか。

 ともあれ、これでスマホも自由に使えるということで、その日はスマホに慣れるべく色々と試すのだった。

 

 

 

 

 

「うわ……凄い人だな」

 

 大晦日……正確にはもう少しで日付が変わり、新年になる時、俺は龍子と優の2人と共に初詣に来ていた。

 ちなみにねじれは、同級生と一緒に別の場所に初詣に行くらしいので、ここにはいない。

 ねじれの着物姿は見応えがあっただろうに。

 

「……何よ」

 

 俺が着物を着ている龍子と優を見ていると、優が不満そうに言ってくる。

 龍子にしろ優にしろ、普段は着物とかは着ないらしいので、今こうして着物姿でいるのは微妙に恥ずかしいらしい。

 

「いや、似合ってると思ってな」

「……そ、そう?」

 

 何だかすぐに優が上機嫌になったんだが。

 どうやら俺にからかわれるかと思っていたところでこうして素直に褒めたので、余計に嬉しくなったらしいが……こんなにチョロくて大丈夫か?

 

「こほん」

 

 優に呆れの視線を向けていると、聞こえよがしな咳払い。

 咳払いのあった方に視線を向けると、やはりと言うべきか、龍子の姿。

 どうやら龍子も褒め言葉を聞きたいらしい。

 

「龍子も似合ってるぞ」

「……そう」

 

 こっちは優程露骨に喜ぶような事はなかったが、それでも嬉しそうにしているのを見れば満更でもなかったらしい。

 いつか……そう、公安から土地を貰ってゲートを設置したら、異世界の着物を2人に、あるいはねじれも入れて3人に渡してみてもいいもしれないな。

 まぁ、そういう事が出来るようになった時は、また色々と忙しくなっていそうではあるが。

 

「で、俺はどうだ?」

 

 龍子と優が着物を着ている以上、当然ながら俺も着物を着ている。

 ……別に買った訳ではなくレンタルの着物なんだが、それでもそれなりの値段だった。

 まぁ、年に1度くらいならいいかと思える程度の値段だったが。

 

「そうね、似合ってると思うわよ」

「私もそう思うわ」

 

 龍子と優がそれぞれに褒めてくる。

 本気で言ってるのか、はいはい取りあえず褒めておけばいいんでしょといった感じで褒めているのか、いまいち分からない。

 そんな風に考えていると……やがて、年が変わる。

 

「新年、明けましておめでとう。今年も1年、よろしくね」

「おめでとう」

「よろしく」

 

 龍子の言葉に俺と優はそう返す。

 そうして、初詣の列が段々と短くなっていき……

 

(出来るだけ早くゲートを設置出来ますように)

 

 500円を賽銭箱に入れ、そう祈るのだった。

 

 

 

 

 

「あ、アクセル。ほら、ここ。ここ計算が間違ってるよ」

「え? あー……ああ、なるほど。ケアレスミスだな」

 

 正月が終わり、1月も下旬。

 来月にはもう雄英の試験があるので、俺はねじれと一緒に勉強をしていた。

 ……ぶっちゃけ、今の状況で勉強する必要はもうあまりないんだが。

 基本的に社会……その中でも歴史以外はどの教科も軽い復習程度で大体問題なかったし、歴史についても個性が出て来る前までの歴史については大体俺の知っている歴史通りだった。

 そんな訳で受験の科目のうち、5教科の1つ社会、その中でも歴史……特に個性が確認されてからの歴史のみが、俺にとっては厄介だった。

 そのような一部以外は問題ないのだから、正直なところ歴史はそのままで受験を受けても問題はないように思えた。

 ただ、俺が入るのは雄英のヒーロー科。

 となると、個性が確認されてからの歴史についても結構重要視されてるような気はするが。

 それに……俺が雄英を受けるのは公安からの依頼でもある。

 1ヶ月100万の依頼料を貰い、住居とか雄英に通うのに必要な諸々の料金についても公安から支払って貰っている以上、仕事は仕事だ。

 ましてや、客観的に考えれば俺にとって非常に美味しい依頼な訳で……

 これからの公安との関係も考えると、ここで真面目にやらないといった選択肢は俺にはなかった。

 つまり俺は、受験についても他の生徒達の壁となる事を期待されている訳で、ここはしっかりと勉強しておく必要があるのだ。

 

「アクセル、こうして受験勉強をしてるのはいいけど、実技試験の方はいいの?」

 

 ねじれの問いに頷きを返す。

 

「実技試験が具体的にどういう試験なのかは分からないが……まぁ、問題はないだろ」

 

 例えばその実技試験が、ネギま世界での魔法界での戦いだったり、あるいはペルソナ世界でのシャドウとの……もしくは神との戦いだったりした場合は気合いを入れる必要があるが、結局のところ中学生が受ける実技試験だ。

 それなら俺にとっては何の問題もない。

 いやまぁ、試験の内容も知らないのにそう言い切るのはどうかと思うが。

 もしかしたら俺が苦手な……どういうのが苦手なのかは自分でも分からないが、とにかくそういう実技試験になる可能性は十分にある。

 その時はその時で……そう、何だったか。

 Plus Ultra? 雄英の校訓通りに行動すればいい訳だ。

 

「ふーん。まぁ、アクセルなら何とかなりそうだけど」

 

 納得したのかどうなのか、そんな風に言うねじれ。

 そんなねじれと共に、俺は勉強を続け……やがて、試験当日を迎えるのだった。

 

 

 

 

 

「私から言う事は何もないわ。アクセルなら実力を発揮すれば大丈夫だから、頑張りなさい」

 

 龍子が笑みを浮かべ、そう言ってくる。

 

「私が試験勉強に協力したんだから、落ちたら許さないわよ」

 

 そう言う優だったが、ねじれならともかく、優に何か勉強を教わった覚えがないんだが。

 まぁ、そう言うと優が不満そうにしそうなので、口にはしなかったが。

 

「アクセルなら大丈夫。でもそうなると、4月からはアクセルは私の後輩なんだね。楽しみ」

 

 こちらは何が楽しいのか、嬉しそうな様子のねじれ。

 この事務所で一緒だった俺が後輩になるのが、そんなに楽しいのか?

 ねじれが俺に好意を抱いているのが分かる言葉だな。

 もっとも、この好意は友情とかそっち系の好意だ。

 ……スマホに入ったメッセージアプリでやり取りをすることも多いので、その辺については俺も理解出来た。

 というか、ねじれの場合は基本的に性格が……というか、男女関係の件についてはまだ小学生レベルなので、誰に対しても俺のような対応なんだろうな。

 それでいて、ねじれは美人と呼ぶに相応しい外見をしている。

 それこそクラスで1番可愛いじゃなくて、学校で1番、あるいはこの地区で1番といったような感じの美人だ。

 そんなねじれが、友達感覚で気軽に接するのだから……うん。ねじれのクラスメイト達は、ご愁傷様と言っても間違いではないかもしれない。

 ねじれに聞いても恐らく意味は分からないだろうが、クラスの被害者はかなりいてもおかしくはないと思う。

 雄英に入学したら、その辺を確認してみても面白いかもしれないな。

 

「そうだな、よろしく頼むよ先輩」

「……えへへ」

 

 先輩と呼ばれたのが嬉しかったらしく、ねじれが嬉しそうな、表現が悪いがだらしない笑みを浮かべる。

 

「じゃあ、いつまでもこうして見送って貰ってるのもどうかと思うし、そろそろ行くよ」

 

 いつまでもここで話をしていては、それこそ最悪雄英の受験に遅刻してしまう。

 いくら受験勉強が完璧で、実技試験についても自信があるからといって、受験に遅刻してしまえば、そもそも受験が受けられない可能性がある。

 ヒーロー科の入試だけに、誰かを助けて遅刻したとかなら何とか出来るかもしれないが、俺の場合は人助けとかじゃなくて、ここで話していて遅刻とかだし、どうしようもいないしな。

 いざとなれば影のゲートを使って転移をするといった方法もあるが、その辺については出来れば今はまだ知られたくない。

 公安も完全に俺を信じたとは限らない訳だし。

 そんな訳で、きちんと電車に乗って移動をした方がいい。

 

「ええ、そうね。ここであまり時間を取らせても意味はないし。……頑張ってきなさい」

 

 最後に龍子にそう言われ、俺は事務所を後にする。

 スマホを取り出して時間を確認すると、ある程度の余裕はある。

 そう思っていたのだが……

 電車は寿司詰めと言う程ではないものの、かなり混雑していた。

 そして見たところ、今の俺と同じような年代の者達が多い。

 ……おい、これってもしかして、全員が雄英のヒーロー科の試験を受けるとか、そういうんじゃないよな?

 だとすれば、俺が予想した以上に雄英のヒーロー科を受ける奴が多いという事になるんだが。

 ああ、でもそうか。中には自分が雄英のヒーロー科に受かるとは思っていない、記念受験の奴も多いのか。

 勿論記念受験であっても、それで幸運にも受かったりしたら、雄英のヒーロー科に入学するんだろうけど。

 そう考えれば、そこまで驚く事でもないか。

 何しろ雄英は日本にあるヒーロー科の中でもトップクラスの高校なのだから。

 体育祭がオリンピックの代わりになってるって事からも、その辺は明らかだろう。

 そんな訳で、最初の驚きがなくなると俺はそこまで緊張もせずに周囲の様子を確認する。

 もっとも、俺は最初から試験には楽勝で合格するつもりだった。

 そう考えれば、最初からそこまで気にする必要はないんだろうが

 お、あそこにいる3人組の男、見るからに緊張してるな。

 って事は、記念受験じゃなくて本気で受かろうと思っているのかもしれない。

 そういう意味では、あっちの……何だ? 何だかリューキュウに似た、年下からお姉様というよりは、姐御と呼ばれてそうなポニーテール……いや、サイドテールだったか?

 そっちの生徒も少し緊張した様子が見えるので、こっちも雄英が本命なのかもしれないな。

 そうして電車を乗り継ぎ、静岡県にある雄英に向かう。

 ……これもちょっと珍しいよな。

 こういうのの原作がある場合、東京が舞台の事が多いのに。

 ペルソナ世界でもそうだったし……いやまぁ、稲羽市の一件は田舎だったけど。

 あ、でもネギま世界の麻帆良も埼玉県だったが。

 そう考えると、東京が舞台の原作が多いのは事実だが、東京以外が舞台の原作も結構あるんだろうな。

 原作知識が残っていれば、その辺についても上手く考えることが出来たのだろうが。

 静岡か。

 そうなると、受験が終わった後は何か土産を……ウナギ料理? ウナギのお菓子? もしくは、お茶っ葉とかそういうのでもいいかもしれないな。

 そんな風に思いつつ、途中で停まる駅で社会人が降りて、また学生が乗ってくるといった様子を楽しみながら、俺は雄英の最寄り駅までの時間を楽しむのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。