転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4328話

「……で、何で優が? 龍子が来る予定じゃなかったか?」

 

 雄英から合格の連絡を貰ってから数日後、俺は優と共にデパートにいた。

 昨日は俺の合格祝いという事で、夕飯はちょっと高級なレストランでの食事となった。

 ちなみに打ち上げの時は用事があって来られなかったねじれも、昨日は特に用事がなかったらしく合格祝いに参加している。

 で、今日はマンションで使う家具や家電を一通り購入する為にデパートにやって来たのだが……何故か龍子ではなく優が俺の隣にはあった。

 

「あのね、今更? タクシーの中では何も聞かなかったのに」

 

 龍子の事務所からこのデパートまで、タクシーでやって来た。

 俺は電車やバスでもよかったのだが……優がそれなりに名前も顔も売れているヒーローだという事で、そうなった訳だ。

 

「いや、何となく優が一緒にいるのが自然だったからな」

「……あのね、そういうのは私じゃなくて同級生とかに言いなさいよ」

 

 呆れた様子で言う優。

 どうやら口説かれていると思ってしまったらしい。

 別に俺としては口説いているつもりは全くなかったんだが。

 

「そうだな。もう少しで雄英に通う事になるし、同級生にそういう風に言うよ。……幸い、受験の時に知り合った面々は全員合格していたし」

 

 三奈、拳藤、葉隠、瀬呂。

 LINを使ったやり取りで、全員が合格してるのは知っている。

 ちなみに葉隠は正直なところかなり不安だったとか何とか。

 閉じ込められるまでは、透明なのを利用して全裸でロボの機能を停止させていたらしいが、やっぱり最後の最後で閉じ込められてしまったのを気にしていたらしい。

 それでも閉じ込められる前の行動で合格をしたので、かなり喜んでいた。

 ……なお、俺が首席だと教えても誰も驚かなかったのはどうなんだろうな。

 三奈曰く、学科試験の点数からそうであってもおかしくはない。

 拳藤と瀬呂曰く、0Pをあそこまで派手に破壊出来たのだから、それは当然。

 葉隠曰く、自分は見てないけど他の人がそう言ってるのでそうだと思った。

 うーん……他の3人はともかく、葉隠は自分で見た訳ではないのに、他の人が言ってるからという理由で素直に信じるってのはどうなんだろうな。

 ねじれとはまた違った純粋というか、ピュアな性格はヴィランに騙されないかどうか心配になる。

 

「ふーん。それは珍しいわね。雄英を受ける人は大抵が記念受験でしょう? なのに、アクセルが知り合った4人全員が300倍の倍率を勝ち抜いて合格した訳でしょ?」

「……そう言われると、凄い確率だな」

 

 300倍の中から4人。俺を入れると5人か。

 そんな者達が固まっていたのだから、普通に確率が仕事をしていないと思ってもおかしくはない。

 

「でしょう? ……さて、それじゃあ家具や家電を買いに行きましょうか。カードは持ってるのよね?」

「ああ」

 

 そう言い、カード……俗に言うブラックカードを見せる。

 このカードは俺の生活費とかに使う為のカードで、当然ながら支払いは公安持ちだ。

 今日の家具や家電を買うのにも普通に使える。

 ……とはいえ、優が俺についてきたのは、その為という一面もあるんだと思う。

 普通なら10代半ば、中学生や高校生といった年代に見える俺が、ブラックカードを持っているという時点で怪しいのだから。

 本来なら、ブラックカードというのは会社の社長や会長、もしくは政治家といったような地位の高い者が使うようなカードだ。

 それを俺のような子供が持っていれば、支払いを行う時に店員に怪しまれるのは間違いなかった。

 それこそ俺が誰かからこのカードを盗んできたか、もしくは何らかの手段で偽造したカードといったように疑われてもおかしくはない。

 だが、そこに優が……マウントレディがいれば、特に問題なく使える筈だった。

 ……使える、よな?

 これが龍子なら全く問題はないのだが、優だと……うん。

 

「ちょっと、何?」

 

 俺が心配そうな視線で見たのに気が付いたのか、優が訝しげな様子でそう聞いてくる。

 

「いや、何でもない。それでまずは何から見て回る?」

「……何だか誤魔化されてるみたいだけど。まぁ、いいわ。じゃあ、家具からにしましょう。先輩から聞いたけど、アクセルが借りた部屋って別に家具とかそういうのがあるようなタイプのマンションじゃないんでしょ?」

「そうなるな。だから、マンションにはそういうのにアドバイスをしてくれたり、足りないのを用意してくれるサービスとかもあるみたいだ」

 

 当然ながら、無料ではなく有料のサービスなのだが。

 

「となると、アクセルがどうしても欲しい物を買って、残りはそっちで用意して貰った方が手っ取り早いかもしれないわね」

「分かった。……それで、こういう時は何を買えばいいんだ?」

「そうね。取りあえずベッドはしっかりとしたのを買った方がいいわね。人生の多くは寝ているんだから。ベッドの質が良いのなら、自然と睡眠の質も良くなって、疲れも取れやすいわ。もっとも、どういうベッドが自分の身体に合うのかは実際にベッドに寝て試してみるしかないわね。……いえ、正確にはベッドじゃなくてマットレスが重要なんだけど」

 

 そう主張する優の言葉になるほどと頷き、俺はデパートの中でも寝具を売ってる場所に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 寝具売り場は、デパートの中でもかなりの広さがあった。

 まぁ、ベッドのフレームやマットレスとか、場所を取るしな。

 そんな訳で、優の勧めに従ってベッドやマットレス、それに敷き布団や掛け布団といった寝具一式を購入するつもりなのだが……

 

「それで、どれを買えばいいんだ?」

「いや、それを私に言われても分かる訳がないでしょ」

「……それはどうなんだ? 元々は優が買った方がいいと言ったんだろ?」

「そうした方がいいとは思うけど、どういうのを買えばいいのかってのは分からないわよ」

 

 そうして言い争い……とまではいかないが、とにかくやり取りをしていると店員がこちらに近付いてくる。

 

「お客様、どうかしましたでしょうか?」

 

 店員のその言葉に、俺と優は会話を止めて店員に視線を向ける。

 

「実はこの子が雄英に合格したのですが、今暮らしている場所は遠いのでマンションを借りたのですけど、そこで使う寝具をどうしようかという事で話してまして。私もこの子も、寝具についてはそこまで詳しい訳ではないので」

 

 即座に猫を被る優。

 優の性格的に猫を被るというのは滅多にしないと思っていたんだが……まぁ、優もそういう事をしたくなる時があるのだろう。

 

「そうでございましたか。では、私が寝具について説明させて貰いたいのですけど、構わないでしょうか?」

 

 カモネギ……いや、ちょっと違うか。

 とにかく、寝具についての専門家が説明してくれるのなら、俺も優もそれを断る事はなかった。

 そんな訳で寝具について聞いたのだが、やはり寝具の中で重要なのはマットレスらしい。

 そしてマットレスには、大雑把に分けてスプリング、ウレタン、ファイバー、ラテックスという4種類がある。

 実際にはこの中でも更に色々と分かれるらしいが。

 ともあれ、それらを聞いた中で俺が選んだのは、スプリングの1種であるポケットコイルというマットレスだった。

 店員からもお勧めの中に入っていたので、問題ないだろう。

 ちなみにベッドはダブルを購入し、マットレスもそれに合わせたのを購入した。

 掛け布団は羽毛布団……どうせ公安持ちという事で、マザーグースとかいう一番高い布団を購入する。

 他にも枕は低反発枕だったり、シーツもシルクで出来た奴とか。とにかく値段が高くても高品質な物を選んだ。

 

「何でダブルなの?」

 

 ぎょっとする金額の支払いが終わり、やはりブラックカードだったのを驚かれつつも、優が適当に誤魔化し……そうしてマンションに運んで全てを設置して貰うサービスを頼み、寝具売り場を出たところで優がそう聞いてくる。

 

「寝室が広いというのもあるから、どうせならシングルよりもダブルの方がいいと思ってな。それに支払いは公安なんだから、広い方がいいだろ?」

「……言っておくけど、雄英で妙な問題を起こしたら、私や先輩に迷惑が掛かるんだからね」

 

 優の言う問題が何なのかは、ダブルについての話をしていた事で容易に想像がついた。

 ……色々と反論したいところだが、20人程も恋人がいる身としては、反論するのは難しい。

 とはいえ、ゲートが設置されていないこの世界では、ベッドをそういう目的で使う機会があるのかないのか。

 

「さて、次はテーブルとか椅子とかだな。洋風の部屋だけに、そういうのも購入しないと」

「……何か誤魔化してない?」

「そんな訳がないだろ。ほら、行くぞ」

 

 そう言い、俺は優と共に家具を色々と購入していく。

 どうせ公安持ちだからと、寝具と同じく値段が高くても品質の高い物を選び、購入していった

 支払いの時は決まって俺がブラックカードを持ってるのを驚かれたものの、その辺については全て優が誤魔化した。

 そして……家具を買い終わると、次に向かったのは家電売り場。

 1人暮らしだが、こちらもどうせならということで60型の大型TVを購入したりする。

 他にも諸々。

 特に洗濯機はかなり高額の商品にする。

 ……そうして家電売り場で手当たり次第に買っていれば、当然ながら店員からは上客だと判断され、商品の説明にも熱が入る。

 ただ……PCについては、こういう家電売り場で売ってるのはいらないアプリとかが大量に入っていたりするので、専門店で購入する事にして断った。

 それ以外にも冷蔵庫は……ぶっちゃけ空間倉庫があるからいらなかったりするんだが、誰かが部屋にやって来た時、空間倉庫を見せられないだろうから、その時の為にもそれなりに大きな奴を購入していく。

 冷凍庫のついていない、本当に冷蔵庫だけの小型の奴もあったんだが……あの高級マンションにそういう冷蔵庫って、明らかに合わないし。

 それに何度も繰り返すが、公安の金だ。

 ……まぁ、公安の金という事は、巡り巡って市民が収めている税金だったりするんだろうが。

 その辺については、俺が雄英で壁として生徒達の……原作主人公だろう存在や、その仲間の壁として立ち塞がる事で、原作よりも優秀なヒーローにしてみせるので、許して欲しい。

 

「ねえ、アクセル。これは買わないの?」

「……マッサージチェアを買ってどうしろと?」

 

 優が示したのは、マッサージチェア。

 しかも100万以上もする高級品だ。

 いや、普通がどのくらいの値段かは分からないから、何とも言えないが。

 ただ、周囲にある他のマッサージチェアを見た限りだと、20万から40万くらいが相場らしい。

 今日、俺と一緒にこのデパートで買い物をした結果、優の金銭感覚は見事に破壊されたらしい。

 

「必要……って訳じゃないけど、あったら便利よ? 特にこの手の商品は値段が性能に直結してるから、このマッサージチェアはかなり良い物でしょうし」

「何で便利なんだ?」

「あのね、アクセルは雄英のヒーロー科に入るのよ? 毎日の訓練は厳しいわ。その為、寝る前にお風呂に入ってゆっくりした後でこれを使う事で、翌日に疲れを残さないのよ」

「……なるほど」

 

 どうやら自分の興味から俺に買えと言ってるのかと思ったが、一応しっかりとした理由があるらしい。

 自分が使ってみたいという思いがあるのも、間違いはないだろうが。

 

「なら、買うか」

 

 俺が使うかどうかは別として、俺の部屋に遊びに来た誰かが使う可能性もあるだろう。

 ……いや、俺の部屋に遊びに来る奴がいるかどうかは微妙だが。

 三奈、拳藤、葉隠の3人は女だからちょっと難しいかもしれないが、瀬呂なら男だし大丈夫だよな?

 

「お買い上げ、ありがとうございます!」

 

 100万オーバーのマッサージチェアを購入するとあって、俺と優の付き添いのようになっている店員が嬉しそうにそう言い、頭を下げてくる。

 この店員にしてみれば……というか、この店にしてみれば今日だけで結構な儲けになったのは間違いないだろう。

 ちなみにこの店にはポイントの類もあり……まぁ、結構な金額分のポイントにはなった。

 そうして買い物も終わり……

 

「じゃあ、乾杯」

「いや、乾杯する程か?」

 

 現在の時刻は、午後3時くらい。

 ちょっと遅めの昼食、もしくは早めの夕食……あるいは、おやつ? をデパートにあるレストランで食べていた。

 レストランと言っても、デパートにあるレストランなのでそこまで高級な店って訳ではない。

 ファミレスよりはちょっと上といった程度か。

 

「乾杯する程でしょう? 何だかんだと、今日は結構疲れたし。……寧ろ何でアクセルがそこまで疲れていないのかが不思議なんだけど?」

 

 ドリアを食べつつ、優が不思議そうに言ってくる。

 俺はそれに、カルボナーラを食べつつ、答える。

 

「体力には自信があるしな。優は鍛え方が足りないんだよ」

 

 そう言う俺の言葉に、優は反論出来ず悔しそうに黙り込むのだった。

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