転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4333話

「あ、あった。俺もA組だな」

 

 瀬呂がそう言うと、続けて三奈と葉隠もそれに追随するように口を開く。

 

「あったー! 私もA組だ!」

「私もA組だよ! やった!」

 

 そうしてここにいる5人のうち、4人が続けて自分がA組だと、クラスが一緒になったと喜ぶが……

 

「なん……だと……」

 

 不意に聞こえてくるそんな声。

 その声のした方に視線を向けると、そこにいたのは落ち込んだ様子の拳藤。

 まさかと思い、B組の名前が書いてある方に視線を向けると、そこには拳藤一佳という名前がしっかりと書かれていた。

 

「うわぁ……」

 

 俺の隣で、瀬呂が思わずといった様子でそんな風に言う。

 いや、まぁ……その気持ちは分からないでもないけどな。

 まさか5人いて4人がA組なのに、1人だけがB組になるとは思わないし。

 ……あ、でも確率的に考えればそうでもないのか?

 寧ろ5人いて、その全員がA組、あるいはB組に纏まるといった可能性の方が低いのか。

 そう考えると、もしかしたら2人と3人という風になっていた可能性もある訳だ。

 もっとも、拳藤にすればこの中で自分1人だけが別のクラスというよりは、誰か1人でも顔見知りが自分と一緒のクラスになって欲しかったのだろうが。

 

「あー……ほら、その、これも運だし。それに、別にクラスが違うからって一緒に遊べなかったりしない訳でもないだろ?」

 

 励ます意味も込めてそう言うが、それを聞いた拳藤は微妙な表情をこちらに向けてくる。

 今日は入学式だからという事で元気だったサイドポニーも、心なしか力なく垂れ下がっているようにも見える。

 

「そうだな。……うん、それにB組にも仲良くなれるような奴がいるかもしれないし。そういう意味では、まだ期待は出来るか」

 

 話しているうちに、拳藤も元気を取り戻してきたらしい。

 ……空元気なのは、見ても明らかだったが。

 とはいえ、拳藤が言ったようにB組にも拳藤と仲良くなれそうな生徒達はいるだろう。

 ねじれから聞いた話によると、どうしても1クラスでは男の方が女より多くなってしまうらしいが、それでも女が1人だけ、あるいは2人くらいといった事はないらしい。

 そう考えると、B組にも拳藤と仲良くなれる女はいるだろうから、拳藤の性格を考えればすぐに仲良くなれるとは思う。

 あるいは姐御系の拳藤だけに、仲良くなるというか、慕われるといった感じになるかもしれないが。

 

「じゃあ、いつまでもここにいるのは何だし……私はもう行くよ。また入学式でな」

 

 そう言い、校舎の中に入っていく拳藤。

 

「まさか、一佳だけが別のクラスだとは思わなかったわね」

「ねー。……B組でも無事にやっていけるといいんだけど」

 

 三奈と葉隠がそう言葉を交わすのを聞いていたが、俺達もいつまでもここにいる訳にはいかないのも事実。

 

「ほら、2人とも。俺達もいつまでもここにいると、他の生徒達の邪魔になる。そろそろA組に行くぞ」

 

 そう言い、俺達もまた靴を履き替えてA組に向かうのだが……

 

「うわ、大きいな」

 

 A組の扉を見て、瀬呂が呟く。

 そう、雄英の正門とは比べものにならないが、A組の教室の扉は明らかに普通の扉よりも大きかった。

 

「多分、異形系の生徒用なんだろうな。……ここまで大きい異形系はそういるとは思えないけど……いるところにはいるし」

 

 そう言い直したのは、ドラゴンに変身する龍子と、巨大化する優を知っていた為だ。

 俺と親しいヒーローという意味では、全員が巨大なタイプだ。

 まだプロヒーローではなく見習い的な感じのねじれは巨大化したりはしないけど。

 それと龍子の事務所で働く何人かのサイドキックもそうか。

 ただ、サイドキックの方はそれなりに話したりはするけど、そこまで親しいって訳でもないんだよな。

 そういう意味では、やっぱり親しいプロヒーローとなると龍子と優の2人になる訳だ。

 扉に驚きながら教室に入ると……教室の中にはまだ数人しかいなかった。

 そうだよな、俺は今日早く家を出たし。

 ただ、拳藤や他の面々も同じように考え、その結果普段通りじゃないか? といった様子でいたし、実際に通学路には他にも結構な生徒達がいたから疑問に思ったものの、これが普通なのは間違いない。

 

「まぁまぁ。4人も来るなんて嬉しいですわ。私、八百万百と言います。貴方達の名前を聞いてもいいですか?」

 

 俺達の姿に気が付いた女が、読んでいた本を閉じると近付いて来てそう声を掛ける。

 多分、これはあれだな。俺と瀬呂だったら声を掛けてこなかったんじゃないかと思う。

 三奈と葉隠がいるから、同じ女同士という事で声を掛けてきたのだろう。

 ……葉隠も制服は女用のものなので、女だと認識出来たんだろうし。

 

「私は芦戸三奈。よろしく」

「私は葉隠透だよ」

「瀬呂範太だ」

「アクセル・アルマー」

 

 そうして自己紹介をしていると、丁度タイミングがいいとでも思ったのか、教室にいた何人かがこっちに近付いてくる。

 

「俺は常闇踏陰だ。よろしく頼む」

 

 最初にそう言ってきたのは、小柄な男。

 ただ、異形系らしく顔は鳥のような形をしていた。

 

「障子目蔵だ。これから共にヒーローを目指そう」

 

 こちらもまた、異形系の男。

 常闇とは正反対の大きな身体で、マスクをしているのが特徴的だった。

 

「砂藤力道だ。……本当なら初日だしクッキーでも持ってこようかと思ったんだけど、時間がなくてな」

 

 こちらは前の2人と違い、異形系ではない普通の男。

 タラコ唇が印象的だ。

 どうやら、既に学校に来ているのはまだこれだけらしい。

 

「それにしても、4人で一緒にくるという事は……前からのお知り合いですの?」

 

 八百万が不思議そうに聞いてくる。

 まぁ、普通に考えればそんな風に思うのは当然か。

 300倍の競争率を潜り抜けて合格したのだから、基本的には全員が見知らぬ相手である可能性の方が高い。

 とはいえ……これが主人公なら話は変わってくるが。

 そういう意味で、デク……緑谷の知り合い、かっちゃんだったか? 正確な名前は聞いてないけど、とにかくそのかっちゃんが合格していれば、緑谷がこの世界の原作の主人公である可能性は高まる。

 

「いや、受験の時に知り合ったんだ。三奈と俺は学科試験の時に席が隣同士で……」

「実技試験の時に私が瓦礫に閉じ込められたのを、アクセル君と瀬呂君と、後もう1人いるんだけど、そっちはB組になったけど、その3人に助けて貰ったんだよね」

「そうそうそう、それで受験が終わった後で、その縁で打ち上げをする事になって、アクセルが仲良くなっていた芦戸も呼んで、打ち上げをした感じか」

 

 俺の言葉に葉隠と瀬呂がそれぞれ続ける。

 

「それはまた……一般の受験も難しかったようですわね」

「ん? じゃあ、八百万……うーん、呼びにくいな。ヤオモモって呼んでいい?」

「ヤオモモ!? ……あ、はい。ええっと、構いませんわ」

 

 三奈の言葉に、八百万が戸惑ったように……それでいて嬉しそうに言う。

 

「その、皆さんもよろしければヤオモモと……」

「分かった。じゃあ、そう呼ばせて貰うよ」

「うん、じゃあ私もそう呼ばせて貰うね!」

 

 俺と葉隠は即座に八百万の……いや、ヤオモモと呼ぶ事を承知するが、他の面々は躊躇った様子を見せる。

 まぁ……うん。ヤオモモは見るからにお嬢様だし、美人でもあり、身体付きも既に大人のものに等しい。

 そんな相手に、男が気軽にヤオモモといったように呼び掛けるのは難しいだろう。

 俺の場合は、恋人が皇女だったり、財閥の娘だったり、歌姫だったりする者達がいて、そういう相手と深い付き合いがあるので、俺は特にヤオモモと呼ぶのに躊躇はない。

 ましてや、本人がそう呼んで欲しいと言ってるのなら尚更だ。

 葉隠も同じ女という事で、遠慮なくヤオモモ呼ばわりは問題ないらしい。

 だが……瀬呂を含めた他の男連中はヤオモモ呼ばわりは躊躇していた。

 

「えっと、その……まぁ、もう少し仲良くなったらそう呼ばせて貰うから。さすがに初対面でいきなりヤオモモ呼びはちょっと」

「えー、アクセルは普通に呼んでるじゃん」

 

 三奈が瀬呂の言葉に不満そうな様子で言う。

 ヤオモモという呼び名を提案したのが自分だったので、余計にそのように思えるのだろう。

 そんな風に会話をしている間にも、1人、また1人と生徒達が入ってくる。

 

「おはよ。……えっと、これは何の集まり?」

 

 そう声を掛けてきたのは、耳の下からプラグが伸びている、ショートカットの女だった。

 

「あら、初めまして。何と言われましても……新入生同士、同級生同士、親交を深めていたのですわ」

「そう。じゃあ……私は耳郎響香。よろしくね」

 

 そう耳郎が挨拶をすると、他の面々も挨拶をする。

 耳郎は、いわゆるサバサバ系って感じか。

 女を意識せず、気軽に付き合えそうだ。

 

「ならばぼ……俺も挨拶をしよう。俺は飯田天哉だ。よろしく」

 

 耳郎よりも少し前に入って来た眼鏡の男……飯田が、持ってきた鞄を時自分の席に置くと、そう言ってくる。

 あれ? この飯田って男……実技試験の時にプレゼント・マイクに質問していた奴だな。

 デクに絡んでいたのを見た覚えがある。

 ……見た感じ、真面目な性格をしてるのは間違いないんだろうが……微妙に俺とは合わさなさそうな感じがするな。

 あくまでも第一印象での話なので、この先学校生活をしていく上でその辺が解消されるかもしれないが。

 にしても……学校生活か。

 ネギま世界やペルソナ世界でも学校に通いはしたが、それはどっちも途中で終わったんだよな。

 普通に卒業をした事はない。

 そういう意味では、この雄英での生活はどうなるのやら。

 俺が雄英に通っているのは、あくまでも公安からの依頼によるものだ。

 その公安の依頼も、いつまで続くのかは分からない。

 ゲートを設置したら、恐らく俺は学生をやっていられないような気がするし。

 もっとも、ゲートを設置してホワイトスターと自由に行き来出来るようになっても、この世界の政治家とやり取りをするのは基本的に政治班の面々だろうけど。

 ああ、そう考えればゲートを設置しても俺は雄英に通っていてもいいのかもしれないな。

 もっとも、シャドウミラーを率いるアクセル・アルマーとして行動する必要がある時には、学校を休む必要が出てくるが。

 当然ながらそうなると、俺の外見は20代のものに変わる訳だが……クラスの連中も気が付くかどうかだな。

 

「ん?」

 

 そんな事を考えていると、殺意……というよりは憎悪、嫉妬? そういうマイナスの感情が向けられているのに気が付く。

 特に何もしてないのに、何でだ?

 そんな疑問を視線の元に向けると……

 

「あ」

 

 そこには、血の涙を流しながら俺を……そして瀬呂を見ているブドウ頭の小柄な男の姿があった。

 

「瀬呂、おい瀬呂」

 

 俺はブドウ頭からそっと視線を逸らし、砂藤と……尻尾の生えている男と話している瀬呂に声を掛ける。

 

「ん? どうしたんだよ、アクセル」

「あれ。ほら、あれ」

「……げ!」

 

 ブドウ頭に見えないようにそちらを指さすと、瀬呂はそっとそちらに視線を向けて、そんな反応を見せる。

 通学路の時も血涙を流しながら俺達を睨み付けていた相手だ。

 その特徴的な姿から、それが誰なのかというのを見間違える筈もない。

 というか……うん。あのブドウ頭もヒーロー科の生徒だったんだな。

 つまり、実技試験を突破した訳で……あの身体で、よくロボを倒せたな。

 あるいはそういう個性の持ち主なのか。

 ともあれ、瀬呂がブドウ頭の方を見たので、ブドウ頭の怨嗟の視線は俺から瀬呂に移る。

 あのブドウ頭にしてみれば、俺は拳藤と一緒に登校していたが、瀬呂は三奈と葉隠の2人と一緒に登校していた。

 ましてや、拳藤はB組でこのクラスにはいない。

 そして三奈と葉隠は今このクラスにいる。

 そう考えると、ブドウ頭の視線が瀬呂に向けられるのは当然の事だった。

 ……にしても、あそこまで女に興味津々となると、それこそ俺の正体については決して話すことは出来ないな。

 何しろ、ホワイトスターには……そして他の世界にいるのも合わせると、俺の恋人は20人くらいいるのだから。

 ましてや、毎晩のようにその身体を貪っているとなれば……うん。それこそ知られたら、呪われそうだ。

 

「えっと……アクセル、どうすればいいと思う?」

「いや、それを俺に聞かれてもな。……いっそ、フレンドリーに話し掛けるとか?」

「何だか、話し掛けた瞬間に噛みつかれそうなんだが」

 

 ……そう言われると、実際にそういう風に思えてしまうのがちょっと怖いな。

 しかも血涙を流しているのも関係してるのか、噛みつかれると妙な病気や呪いの類を貰ったりしそうだし。

 

「アクセル、どうしたんだ?」

 

 俺と瀬呂が話していると、常闇がそう声を掛けてくる。

 そんな常闇に対し、俺はブドウ頭に視線を向けると、常闇がその視線を追う。

 

「暗黒を撒き散らかす相手か」

 

 いや、その表現はなんなんだ?

 そう言いたかったが、その表現が的確な以上、そう言う事は出来なかった。

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