転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4345話

「おっはよー!」

 

 A組の教室に入ると、葉隠が元気一杯に挨拶をする。

 

「おはよ!」

 

 それに続くように、三奈もまたクラスに響くように挨拶を行う。

 うーん、この2人はコミュ強者って奴だな。

 そんな風に思いつつ、俺と瀬呂も挨拶をしながら教室に入る。

 

「ぐぎぎぎぎ……」

 

 そんな俺と瀬呂を、峰田が相変わらず血涙を流しながら睨み付けていた。

 学校に来て朝一番に峰田のそういう顔を見るというのは、正直どうなんだ?

 そう思わないでもなかったが、峰田の女好きを考えれば仕方がないだろうと判断してスルーする。

 とはいえ、席順は出席番号順なので、俺の席は三奈のすぐ近くだから峰田には延々と睨み付けられそうな気がするのだが。

 

「おはよう、アクセルちゃん」

 

 こちらもまた、俺の近くの席の蛙吹からの挨拶。

 

「ああ、おはよう。蛙吹は早いな」

「ケロ。褒められると照れるわ。……梅雨ちゃんと呼んでくれる?」

「……梅雨ちゃん?」

「ケロケロ。ありがとう。お友達にそういう風に呼んで貰えると嬉しいわ」

 

 お友達、ね。

 昨日会ったばかりなのに、もうお友達判定されるとは思わなかった。

 いや、蛙吹……梅雨ちゃんの場合は異形系だ。

 あるいは中学時代には学校でイジメがあったとか、もしくは何かあったのかもしれないな。

 俺の知り合いであるねじれも、中学時代の事は喜んで喋ったりはしないし。

 中学時代の話になると、普段は表情豊かなねじれも微妙な表情になるのを見れば、中学の時に何かがあったのは明らかだ。

 ……とはいえ、ねじれは別に異形系って訳でもないし、個性も強力で、本人も美人だ。

 性格が幼いが、それだって好きな人は好きだろう。

 そうなると、あの何でも聞いてくるのが気に障った奴がいたか、あるいは優等生のねじれが気に食わなかったか。

 恐らくそんなところだろう。

 その分だけ、今は龍子が可愛がりつつ、鍛えているが。

 それに3年になって正式にビッグ3にもなり、同じビッグ3の友人とは楽しく学校生活を送っているらしいので、最終的には問題ないだろう。

 

「よう、アクセル。今日も朝からモテるな。コツを教えてくれよ」

 

 梅雨ちゃんと話していると、こちらも俺からそう離れていない場所に席がある上鳴が、そう声を掛けてくる。

 

「そう言われてもな。別に特に何かをしたとか、そういう事じゃないし。三奈とは受験の時に席が隣で、それで話して仲良くなったんだし、葉隠とは実技試験の時に助けて仲良くなっただけだ」

「それだけで、待ち合わせをして一緒に登校してくるとか、そういうのはないだろ」

 

 羨ましそうな様子の上鳴。

 峰田と違ってそこまで露骨って訳でもないし、顔立ちも比較的整ってる方だ。

 それこそナンパをすれば、百発百中とはいかないが、百発十中くらいには成功すると思うんだが。

 もっとも、最初にナンパを成功させてもそこからよりお近づきになれるかどうかは正直微妙なところだが。

 

「まぁ、運に恵まれたってところか」

「……そんな運があるなら、俺も欲しいところだよ」

 

 羨ましそうに言う上鳴だったが、実際運というのはそんなに間違っていないように思える。

 何しろ俺がこのヒロアカ世界に来た時、最初に遭遇したのが龍子と優が模擬戦をやっていたところだった。

 また、そこから少し離れた場所にはねじれがいた。

 で、上鳴にも言ったが、雄英の受験で三奈、拳藤、葉隠と会っている。

 そう考えれば、俺の運が良いのは間違いないと思う。

 

「日頃の行いだな。……梅雨ちゃんはどう思う?」

「ケロ? そういうのを女の子に聞くのは駄目よ」

 

 そう注意される。

 梅雨ちゃんは見た感じどこか姉っぽい雰囲気があるな。

 本人にそれを自覚してるのかどうかは微妙なところだが。

 

「そうか、悪いな。……それで梅雨ちゃんは上鳴と付き合いたいとか思うか?」

「……まだ、会ったばかりだから分からないわ」

 

 申し訳なさそうに、そして困った様子でそう言ってくる梅雨ちゃん。

 どうやら梅雨ちゃん的に見れば、上鳴を恋人にするというのは、なしらしい。

 

「ぐ……告白をした訳でもないのに、フラれた……」

「あー……うん、悪い。そういうつもりじゃなかったんだが」

 

 図らずも上鳴がフラれる原因を作ってしまった事に対し、謝罪しておく。

 そんなやり取りをしつつも時間を潰していると、そう時間が経たないうちに相澤が教室に入ってくる。

 まぁ、瀬呂が待ち合わせ場所に来るのが遅れたし、瀬呂が来た後でも色々と話をしていたりしたしな。

 そうなると、俺達が教室に到着してからそう時間が経たないうちに相澤が来るのはおかしな話ではなかった。

 そして相澤が来ると、すぐに生徒達は自分の席に戻る。

 昨日の除籍の一件もあって、どうやら相澤は生徒達に恐れられているらしい。

 除籍の件は嘘だと言ってはいたし、それを聞いた生徒達も安堵していたが……俺から見た感じだと、本当に嘘だというようには思えなかったんだよな。

 まぁ、それはあくまでも俺がそう感じただけなので、実際には違うのかもしれないが。

 ただ、嘘であっても生徒達の肝が冷えたのは間違いない。

 もし相澤の言葉が嘘ではなかった場合、入学初日に除籍となっていたのだが。

 そうしてSHRが始まる。

 普通なら高1の本格的に始まる授業初日という事もあって、自己紹介とかそういうのをするんだろうが、効率を重視する相澤がそのような事をする筈もない。

 簡単な注意事項を口にするとあっさりとSHRは終わり、相澤と入れ替わるようにしてプレゼント・マイクが入ってくる。

 

「Hey、リスナー達。元気か? 早速1限目の授業を始めるぜ」

 

 そう言い、英語の授業が始まる。

 始めるのだが……何というか、いたって普通の授業だった。

 俺にとってプレゼント・マイクというのは、受験で実技試験の説明をしていた時の滑った様子が一番印象深い。

 本人がそれをどう思っているのかは別として、俺以外にも同じように思っている者は多いだろう。

 だが……そんなプレゼント・マイクの授業なので、てっきり授業の内容も突拍子もないものかと思っていたが、良い意味でも、悪い意味でも予想を外された形だ。

 俺は席が前の方にあり、それでいて首席というのも関係しているのか何度か当てられたものの……うん。英語なんて俺にしてみれば母国語だ。

 もっともヒロアカ世界では公安によって戸籍が偽造されているから……あ、いや。それでもアクセル・アルマーという名前なので、帰国子女って扱いになってるんだったか。

 そういう意味でも、俺にとっては英語で当てられるのは特に何の問題もないのは間違いなかった。

 そうして午前中の授業が終わると……

 

「昼休みだぁっ!」

 

 午前最後の授業が終わったところで、三奈が嬉しそうに叫ぶ。

 まぁ、うん。俺もこの時を楽しみにしてたしな。

 今日の朝にスーパーで買ってきた惣菜パンは、休み時間に食べ終わってしまったし。

 高校生の食欲を侮ってはいけない。……俺が高校生? と思わないでもなかったが、雄英の生徒である以上は分類的に高校生なのは間違いないし。

 

「ねぇねぇ、アクセル。一緒に学食に行かない?」

 

 そんな事を考えていると、三奈からそう声を掛けられる。

 俺も昼食は学食に行きたいとは思っていたので、それは構わない。

 雄英の学食は、安い、美味い、大盛りといったように最高の環境らしいし。

 ただ……

 

「俺とか? いやまぁ、いいけど、女同士で行くとかじゃないのか?」

「そのつもりだったけど、ほら。LINで雄英の食事は美味しいって話を皆でしたでしょ? だから、どうせならアクセルや瀬呂、透と……後は他に何人か誘って学食に行こうかなと思って。それに、別に私達だけって訳じゃないよ。ヤオモモと耳郎、梅雨ちゃんも一緒だから」

「また、峰田や上鳴に嫉妬されそうだな。……うん? その面子だと麗日はどうしたんだ?」

 

 三奈が口にしたメンバーは、麗日以外のA組の女子全員だ。

 何故そこで麗日の名前を外したのかと疑問に思う。

 まさか、このクラスでイジメとかそういうのはないと思うし、そもそも三奈がそういうのを決して好まないタイプだ。

 

「あー……麗日、気が付いたらもういなかったんだよね。何でも緑谷と飯田と一緒に先に学食に向かったらしいよ」

 

 どうやら、やはり俺の考えすぎだったらしい。

 にしても、麗日もやるな。

 男2人に女1人で昼食ってのは。

 いわゆる、逆ハーレムって奴か?

 もっとも、あの3人は受験の時からの知り合いだったらしい。

 そういう意味では俺や三奈、葉隠、瀬呂、それとB組だけど拳藤とかと同じような感じなんだろうな。

 

「なるほど。なら問題はないな。俺はそれで構わないけど……瀬呂は?」

「問題ないっての。ただでさえ峰田に嫉妬されてるんだから、精々元は取らないとな」

「いや、それはどうなんだ?」

 

 食べ放題とかでもそうだが、あれって元を取ると考えると普通の人にはなかなか難しいらしいな。

 なので、元を取るといったことを考えて食べるよりは、好きな料理を好きなだけ食べられると考えた方が精神衛生上いいらしい。

 もっとも、当然ながら俺にとって食べ放題は元を取るのは余裕で出来たりするんだが。

 何しろ、俺の場合は食べた端から魔力として体内に吸収されるので、物理的に満腹になったりとか、そういうのはないし。

 ……だからこそ、店によっては出禁になったり、あるいは入ってもいいけど食べ放題は遠慮して下さいと言われたりする事もあるんだが。

 

「いいって、いいって。とにかく今は学食に行くんだろ? 峰田が爆発しないうちに急ごうぜ」

 

 瀬呂にそう言われ、峰田の方を見ると……

 

「うわぁ」

 

 まさに、うわぁっという感想が相応しい様子で、俺達の方を見ていた。

 表現にすれば、『グギギギギギガガガガガギギギギ』といった感じか。

 そんな表情で血涙を流す峰田。

 これ……うん、本当に一旦どうにかした方がいいんじゃないか?

 そうは思うが、誰もこの状況の峰田に声を掛けようとは思えないらしい。

 俺なら声を掛けようと思えば問題なく声を掛ける事も出来るんだが、峰田にしてみれば俺はそれこそ敵に等しい存在だ。

 もし峰田の個性が呪いとか怨念とかそういうのなら、それこそ俺であってもダメージを受けてもおかしくはない。

 それ程の呪いの視線を、峰田は俺や瀬呂に向けている。

 そんな対象から声を掛けられると、峰田がどう反応するのか分からない。

 

「だろ? だから早く行こうぜ」

 

 瀬呂に促され、三奈に視線を向ける。

 

「……言っておくけど、峰田を誘おうとは思ってないからね」

 

 俺の視線に何を感じたのか、三奈がそう言ってくる。

 透も三奈の言葉に同意するように、両手を激しく上下していた。

 ヤオモモと梅雨ちゃんは困った様子だったが、峰田を擁護する様子はない。

 耳郎にいたっては峰田を擁護する様子は一切ない。

 この短時間でここまで女に嫌われるってのは、ある意味峰田って凄いよな。

 もしくは、峰田は雄英に入学したという事ではっちゃけたのかもしれない。

 いわゆる高校デビュー的な感じか。

 あるいは中学の時は性欲を我慢していたが、雄英に入学してそれが爆発した感じか。

 理由はともあれ、昨日からはっちゃけた峰田の失敗だったのは間違いない。

 俺としても、峰田の個性には興味があるから何とか友好的な関係を築きたいとは思っているのだが。

 ホワイトスターと繋がれば、誰か女を紹介して多少なりとも友好的に接する事が出来るようになるとは思うんだが……今のところ、それはまず無理だろうしな。

 そんな訳で、峰田には悪いと思いつつ、俺は他の皆と教室を出る。

 

「ランチラッシュの作る料理かぁ……どういう料理なんだろうね。アクセルはどう思う?」

 

 歩いていると、耳郎がそう聞いてくる。

 何気に耳郎と話すのは珍しい。

 いや、別にこれが初めて話すって訳ではないのだが。

 ただ、それでも耳郎はあまり男と話すタイプじゃないのは間違いなかった。

 

「俺が聞いた話だと、どの料理も美味くて基本的に外れはないらしい」

 

 ねじれからの……普段から学食を使っている本人からの情報なので、それは間違いないだろう。

 そんな状況であっても外れとなると……そうだな、それこそ自分の嫌いな料理を意図的に注文するとか、あるいは注文した料理に嫌いな食材が入ってたりとか、そんな感じだと思う。

 前者は普通ならしないだろうし、後者にしても嫌いな食材が入りそうな料理なら注文する時にその食材を抜いて欲しいと言えば問題はない。

 あるいはその食材が入ってきても、最悪その食材は誰かにやるか、もしくは残せばいい。

 そんな例外を除けば、料理の外れがないというのは俺にとっても非常に嬉しい事なのは間違いなかった。

 

「ふーん。じゃあ、今日はうどんを食べようかな。今日はうどんの気分だし」

「うどんか。なら、蕎麦やラーメン、パスタなんかの麺類もいいかもしれないな」

「あ、私はカレーを食べたいな。勿論、チキン一択!」

「はぁ? そこはポークでしょ」

 

 葉隠の言葉に耳郎が言い返し……こうして、学食に着くまでの間、カレー論争が行われるのだった。

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