転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4348話

 オールマイトがいきなり言い出した、戦闘。

 その手の中にあるBATTLEと書かれたカードを見れば、オールマイトの言い間違い、書き間違いではないのは明らかだった。

 

「戦闘訓練!?」

 

 クラスの中の誰かがそう叫ぶ声が聞こえてくる。

 実際、その気持ちも分からないではない。

 何しろA組にいる生徒達はヒーロー科の生徒ではあるものの、ついこの前まで中学生だったのだ。

 ある程度の自主訓練とかはしていたかもしれないが、それでも戦闘訓練をしていた者は……ああ、何人かこれから戦闘訓練をやると聞かされても、そこまで驚いていない者もいるな。

 

「そして戦闘訓練を行うに伴って……こちら!」

 

 オールマイトの言葉と共に教室の一部……具体的には壁側の部分からガゴ、という音がし、ゴゴゴゴゴという音と共にせり出してくる。

 この教室にこういう仕掛けがあったんだな。

 ……ただ、普通こういうのって教室の後ろにあるのがパターンじゃないか?

 まさか、横とは。

 

「入学前に送って貰った個性届と要望に沿って作った、ヒーローコスチューム……いや、この場合はこう言おう。戦闘服と!」

『おおおおおおおおおおおおおっ!』

 

 オールマイトの言葉に、教室の中が一気に盛り上がる。

 まぁ、当然だろう。ヒーローコスチュームというのは、プロヒーローの第1歩と言うべきものなのだから。

 それをこうして……しかも入学前に送った要望に沿って作って貰った物が、教室にこうしてあるとは誰も思いもしなかったのだろう。

 

「着替えたらグランドβに集まるんだ。格好から入るってのも大切な事だぜ、少年少女。自覚するのだ! 今日から自分はヒーローなのだと!」

 

 そう言い、こちらの気分を盛り上げるだけ盛り上げてオールマイトは教室から出ていく。

 そうなると、当然のようにこの教室に残った者達はやる気に満ちあふれた様子で自分の名前が書かれているケースを取りにいく。

 そうしてケースを持つと、それぞれ更衣室に向かう。

 ……ただ、個性把握テストを使った時とは違って、男女隣り合った更衣室だ。

 合理性を重視する相澤の性格を思えば、最初からこの更衣室を使わせればいいと思うんだが。

 もしかして、個性把握テストの成績によっては最下位どころか、全員が除籍になっていたとか、そういう可能性もあったのか?

 そんな風に思いつつ、ヒーローコスチュームに着替える。

 ちなみに俺のヒーローコスチュームは、魔王をモチーフにしたものだ。

 何しろ、基本的に俺の能力があればコスチューム……正確にはサポートアイテムによる補助とかはそこまで必要ないしな。

 そんな訳で俺が要望として出したのは、まずはマント。

 このマントは炭素繊維に特殊合金を組み込み、更にそれに色々と手を加えた……言ってみれば、相澤の捕縛布だったか? それの上位互換的な感じだな。

 具体的には、防弾、防刃のマントだ。

 防刃の方は斬るだけじゃなくて突くにも対応している。

 他にも耐火、耐水、耐氷……それ以外にも多くの耐性能力を持つ、黒いマントとなる。

 恐らく俺のコスチュームの中で一番金が掛かっているだろう。

 他にはマントを着るための肩パッド。

 この肩パッドもマントと同じ特殊な素材を使って作られており……見た目の威圧感を重視し、魔王っぽい感じにする方が重要視して作られた肩パッドだ。

 次に、仮面……というのか?

 よく仮面パーティとかで使われているような、目の周囲だけを覆っている仮面だ。

 この仮面は通信機であったり、それなりに詳細な分析が出来たり、目の部分がモニタになっており、そこに各種データを表示出来たりする。

 当然この仮面についても魔王をモチーフにしており、威圧感というか迫力が重要視されていた。

 

「うわっ、アクセル……お前、それ……マジか?」

 

 上鳴が着替えた俺の様子を見て、そう驚きの声を発してくる。

 そんな上鳴の言葉に、他の面々も俺を見て、そのヒーローコスチュームに驚いていた。

 

「ヴィランっぽい……」

 

 緑谷が俺を見てそう言う。

 まぁ、対峙した相手に威圧感を与えるのを目的としたのは間違いないので、ヴィランっぽいという緑谷の言葉は間違っていないだろう。

 個人的にはヴィランじゃなくて魔王っぽい……いや、UC世界での異名である月の大魔王から、大魔王っぽいと見て欲しいと思うんだけどな。

 

「ヴィランっぽいかもしれないが、雄英がこれを認めたんだから、問題はないだろ」

 

 そう言っておく。

 実際には、雄英側でも恐らく迷ったんだとは思う。

 その上で公安からの影響もあって、渋々認めた……といった感じじゃないかと思っていたが。

 まぁ、その辺については俺がどうこう考える事じゃないか。

 重要なのは、雄英の方でそれを認めたといったものなのだから。

 

「それより、早く着替えた方がいいぞ。もう着替え終わってる連中も多いし」

 

 そう緑谷に言う。

 実際、緑谷は他人のヒーローコスチュームがどういうのなのか気になったようで、それをチラチラと見ていた。

 俺の魔王……いや、大魔王然としたコスチュームに気が付いたのも、それが理由なのだから。

 

「え? あ、本当だ!?」

 

 そうして着替え始める緑谷をその場に残し、更衣室を出る。

 

「アクセル君、君は本当にそんなコスチュームでいいのかい?」

 

 

 そう俺に声を掛けてきたのは、飯田……えっと、あれ? 飯田でいいんだよな?

 顔とかが一切出てない、どこかロボっぽい感じのコスチューム……コスチューム? 寧ろパワードスーツとか、そういう表現の方が似合ってる人物が近くを歩いていた。

 いや、声を聞けば飯田だと分かるんだが。

 

「ああ、問題ない」

「いや、しかし……首席の君は、言ってみれば現在のところ雄英の1年の代表と呼ぶべき存在だ。そのような人物がヴィランのようなコスチュームを着るというのは……問題がないか?」

「大丈夫だ。さっきも緑谷と話している時に話したが、もし本当に雄英側が問題あるとすれば、俺が要望書を送った時に却下されて修正するように言われていた筈だ。けど、実際にはこうして特に何の問題もなく、普通にヒーローコスチュームが出来ている」

「なるほど! 学校側がそのように判断したのなら、アクセル君の言う事も分からないではないな!」

 

 説明に納得したのか、離れていく飯田。

 そんな飯田を見つつ、ああいうパワードスーツ的な奴でもよかったのなら、いっそ人型機動兵器……勿論MSとかは駄目だから、大きさ的にはKMFかオーラバトラーといった感じか? そういうのを用意しても面白かったかもしれないな。

 俺の空間倉庫には、KMFもオーラバトラーも入っていないが。

 俺が、そしてシャドウミラーが入手したそういうのは、全て技術班の保管庫に入っている。

 現在空間倉庫に入っているのは、いつものように俺の相棒であるニーズヘッグに、ミロンガ改、サラマンダーと、どれでもヒーローコスチュームだと言い張るには無理がある。

 ……いや、KMFやオーラバトラーも大きさ的にヒーローコスチュームと呼ぶには無理があるか?

 ヒーローコスチュームの定義がちょっとな。

 オーラバトラー辺りがありなら、サーバインとかそういうのを持ってきても面白い……だからゲートが設置出来ないと無理だって。

 今度から、空間倉庫の中にKMFやオーラバトラーも入れておいた方がいいかもしれない。

 ただ、KMFはサクラダイトから出来るエナジーフィラーから動いていて、サクラダイトはギアス世界の固有物質だ。

 いっそ技術班にエナジーフィラーじゃなくて、別の動力源を用意して貰う……ああ、いっそオーラコンバータじゃなくて、マジックコンバータをKMFに搭載するというのは……小型機同士の技術の融合という事で、ちょっと面白そうな気はする。

 そんな風に考えていると、オールマイトが指示したグランドβに到着した。

 そこは、俺達が受験の時に実技試験を行ったのと同じ場所だった。

 ただ、まだオールマイトは来ていないらしく、それぞれがヒーローコスチュームについて批評する。

 

「うわ、アクセルの何それ……ヴィランみたい」

 

 そう俺に言ってきたのは、三奈。

 緑谷、飯田に続いて三奈もか。

 それだけ、このヒーローコスチュームはヒーロー科の生徒にしてみれば異質なのだろう。

 

「俺はそのマントと肩パッド……いいと思うぞ」

 

 三奈に続いてそう言ってきたのは、常闇。

 鳥の頭だが、その顔には見て分かる程に感嘆の色が、羨ましそうな色がある。

 どうやら常闇的には俺のヒーローコスチュームは悪くない……どころか趣味にあったらしい。

 

「ね、ね。アクセル。じゃあ、私のヒーローコスチュームはどう?」

 

 そう言い、自慢げに見せてくる三奈だったが……

 

「こういうのを選んだ俺が言うのも何だけど……俺のとは別の意味で目立ってるな」

 

 三奈のヒーローコスチュームは……何だろうな? ボディコン風? それに胸元が大きく開いているのもあって、胸の谷間が見える。

 いやまぁ、ヴィランの……それも男のヴィランの視線を釘付けにするという意味では、悪くないのかもしれないが。

 ただ、一般的に見た場合は峰田が喜ぶようなヒーローコスチュームだと言えば分かりやすいだろう。

 

「えー……その言い方だと、何だかあまりいいように聞こえないんだけど。これ、可愛くない?」

「可愛いというか……常闇、どう思う?」

「俺に聞かれても、その、困る」

 

 そう言い、常闇は俺の前から姿を消す。

 うん、どうやら常闇にとって三奈のヒーローコスチュームをどう言えばいいのかは微妙なところらしい。

 

「それに、私のでそうだったら、麗日やヤオモモの奴を見たら、どう言うのか……」

「ちょっ、ちょっと何でその話題で私の事が出てくるん!?」

 

 梅雨ちゃんと何かを話していた麗日は、丁度三奈の言葉で自分の名前が出たのを聞いて、こっちにやってくると抗議をする。

 抗議をするのだが……うん。麗日のヒーローコスチュームを見れば、三奈が何を言いたいのかはも理解出来た。

 露出度という点では、麗日はかなり少ない。

 だが、そのヒーローコスチュームは身体にしっかりと密着しており、麗日の女らしいボディラインをしっかりと周囲に見せていた。

 あー……分かりやすいのだと、あれか。マブラヴ世界で戦術機に乗るパイロットが着る、パイロットスーツ。

 もっとも、あのパイロットスーツのように、半透明になっていたりはしないが。

 ただ、身体のラインが出るという意味では、マブラヴ世界のパイロットスーツといい勝負をしていると思う。

 

「うう……なんで要望書を送る時……」

 

 自分のミスを悔いる麗日。

 自分の身体のサイズに見栄を張ったのか、あるいはそもそもその辺についてはどうとでもなると考えたのか。

 その辺は俺にも分からなかったが、本人が落ち込んでいるのは間違いない。

 

「麗日よりは私の方がマシでしょ?」

「ちょ……」

「いや、うーん……どうだろうな。胸の谷間を見せつけている三奈と、身体のラインが丸見えの麗日となると……取りあえず、どっちも峰田なら喜ぶだろうと言っておく」

「む……それなら、ヤオモモ、ヤオモモー!」

 

 自分の評価に納得出来なかったのか、三奈がヤオモモを呼ぶ。

 

「呼びましたか? どうしました?」

 

 三奈の声に、ヤオモモが近くに来るが……

 

「あー、うん。分かった。ヤオモモが優勝だ」

「あはは。やっぱりそうなるよね。女の私から見ても、ヤオモモはこう……そそるものがあるもん」

 

 ヤオモモを見た瞬間、俺は文句なくこの中でヤオモモが一番だと……一番露出度が高いと判断してしまう。

 これについては、俺だけではなくA組全員に聞いても恐らく同じ答えになるだろう。

 何しろヤオモモのヒーローコスチュームは、腹の辺りから首まで一直線に空いているのだ。

 三奈の場合は胸の谷間を見せるようになっているものの、ヤオモモの場合はこう……胸の4割……いや、何とか3割か? とにかくそのくらいを見せている。

 

「ヤオモモ……お前、何でまたそんなヒーローコスチュームに? 男のヴィランの目を惹き付ける為か?」

 

 これで、あるいはヤオモモが普通の……年齢相応の身体付きであれば、あるいはもう少しこう、ここまで目を惹き付けないかもしれない。いや、無理か。

 ただ、ヤオモモの身体付きは既に大人のそれだ。

 それだけに、ヴィランの中には自然とそちらに視線を奪われる者も出て来て、それが理由でヒーローに捕らえられたりしてもおかしくはないとすら思える。

 

「失礼ですわね。私の個性を使うには肌の露出が必要なのですわ」

 

 ヤオモモの個性は創造。

 そう言えば、それが具体的にどういう個性なのかというのは見た事がなかったな。

 

「露出が必要?」

「ええ。私が創造した物は空気に触れている場所から出来上がるんです。なので、小さい物なら掌からでも作れますが、それが大きい物となるとやはり露出している場所も大きくなる必要があります」

 

 それでこうして露出が多いのか。

 分からないでもないが……うん、ヴィランを、それも男のヴィランを相手にする時はかなり危険そうだなと思いながら、そういうものかと頷くのだった。

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