転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4350話

「うわぁ……」

 

 戦闘訓練の舞台となるビルの地下室。

 戦闘訓練をしない者達はそこに集まり、映像モニタで戦闘訓練の様子を眺める事になっていたのだが……

 

「うわ、爆豪のやる気が……これってアクセルのせいじゃない?」

 

 近くにいた耳郎が、そう言ってくる。

 それに反論したかったものの、実際にこの活躍次第で俺と戦えると聞いて、爆豪がやる気満々だったのは間違いない。

 そういう意味では、耳郎が言うように俺のせいだと言われても仕方のない一面があるのも事実。

 

「それは否定したいところだけど……素直に否定出来ないのが辛いところだな。とはいえ、耳郎も知ってると思うけど、爆豪と緑谷には結構な因縁があるっぽいしな。その辺も関係してるんだろ」

 

 まだ2日目だが、爆豪と緑谷のやり取りを見ていれば、どういう関係なのかというのは容易に理解出来る。

 爆豪にとって緑谷は、本来なら特に気にするような相手ではない。

 それこそ爆豪が口にするモブといった表現が的確だっただろう。

 何しろ緑谷は無個性だったのだから。

 それに対し、爆豪の個性は爆発とかそういうのなんだろうが、間違いなく強個性と呼ばれる類のものだ。

 そうしてお互いの間には絶対的な差があった筈なのに……気が付けば、緑谷は個性を発現させていた。

 しかもそれが、本気を出せば自分の身体すら壊してしまうような、圧倒的な超パワー。

 爆豪にしてみれば、見下していた相手が一気に自分に追いついてきた……それどころか、追い抜かしていったようにすら思え、その鬱憤やモヤモヤがあの光景を生み出しているのだろう。

 

「にしても、爆豪が先に突っ込んだから、飯田がやりにくそうだよな」

 

 こちらは切島の言葉。

 最初は爆豪が緑谷に襲い掛かったのを見て卑怯だとか、漢じゃねえとか、そんな風に言っていたものの、それも今は落ち着いたらしい。

 そもそも、戦いというのは勝つ事が重要だ。

 勿論ルールの類を破ってとか、そういうのはNGだが。

 

「麗日がどう動くかだろ」

 

 そう、この戦闘訓練は、2対2.

 つまり、爆豪が飯田と組んだように、緑谷は麗日と組んでいる。

 ……ここでもやっぱり麗日が緑谷と組んでいる辺り、やっぱりヒロイン枠っぽい感じだよな。

 ちなみにその麗日は、現在ビルを上に……飯田のいる、核爆弾が置かれている場所に向かっていた。

 

「にしても、緑谷って気が弱そうに見えたけど……爆豪と互角に渡り合ってるのは素直に凄いよな。しかも個性を使わねえで」

 

 上鳴の言葉は正しい。

 俺から見た感じ、緑谷は決して才能に恵まれている訳ではない。

 身体は多少は鍛えている様子だったが、ちょっとした身体の動かし方に才能の片鱗とかそういうのは分かりやすく出る。

 だが、俺から見た限りでは、緑谷は凡人。

 才能がない訳ではないが、だからといって突出して恵まれている訳ではない。

 だというのに、今映像モニタでは上鳴が言うように、特に個性を使わずに緑谷は爆豪と渡り合っていた。

 とはいえ、決して緑谷が有利といった訳ではない。

 五分五分といったところか? いや、ちょっと爆豪が押している感じか?

 緑谷が戦いながら爆豪に何かを叫んでいる様子だったが、映像モニタに表示されるのは映像だけで、音声までは聞こえてこない。

 何らかのそういう個性の持ち主でもいれば、もしかしたら何を言ってるのか分かったりするのかもしれないが、生憎とここにはそういう個性の持ち主はいない。

 だが、あるいはそれが爆豪を怒らせたのか……爆豪はヒーローコスチュームの腕の部分に何かをして構える。

 

「ちょっ、爆豪少年!?」

 

 オールマイトの叫び声が周囲に響く。

 オールマイトは教師だけに、生徒それぞれのヒーローコスチュームがどのような性能を持っているか、知っているのだろう。

 だからこその驚きの言葉。

 そんな驚きの原因は、次の瞬間には明らかとなる。

 ドゴオオォォン!

 そんな音が、地下にあるこの部屋まで聞こえてきたのだから。

 

「おいおいおいおい、授業だぞ、これ!」

 

 慌てたように叫ぶ切島。

 あるいはヒーロー科の授業であれば、このくらいは普通なのかもしれないと思ったが、どうやら違うらしい。

 

「アクセル、お前……何でそんなに平然としてられるんだ?」

 

 砂藤がその特徴的なタラコ唇で、驚きながら聞いてくる。

 

「こう見えて、それなりに修羅場慣れしてるしな」

 

 今の爆豪の爆発は間違いなく凄かった。

 だが、シャドウミラーの生身の戦闘訓練を行うと、エヴァはこの程度の規模の攻撃は挨拶代わりや小手先の一撃として放つ程度のものだ。

 ……考え方を変えると、爆豪の放つ一撃は本気ではないにしても、エヴァが気軽に放つ一撃並であるという事でもあるのだが。

 それに生身ではなく、MSとかに乗って戦っていれば、頭部バルカンの1発がこの程度の威力を持っているというのはそう不思議な事でもない。

 そんな戦いを数多く経験してきた俺にしてみれば、爆豪のこの攻撃は多少は驚くものの、結局のところそれは多少でしかないという事でもあった。

 

「嘘だろ、一体どんな修羅場を潜ればそうして平然としていられるんだよ」

「色々と、だな」

 

 残念ながら、俺としてはこう答えるしか出来ない。

 まさか異世界で多くの戦乱を経験してきたなんて事は言える筈もないし。

 ただ、こうして適当に誤魔化しておけば、恐らくヴィランに襲われたりしたことがあるんだろうなと、そんな風に思ってもおかしくはなかったが。

 そんな風に砂藤と話している間にも、映像モニタの中で事態は進む。

 オールマイトから次に今の技を使ったら失格だと言われ、爆豪は素直に従う。

 ……俺が言うのも何だが、今の一撃ってそんな適当な扱いでもいいのか?

 俺個人としては、緑谷はこの世界の原作の主人公だろうと思っているので、より多くの苦難を与えて成長して欲しいとは思うが。

 まさに雄英の校訓のPlus Ultraといったように。

 爆豪は先程の攻撃を使わず、爆発の個性を使って緑谷に近接戦闘を挑む。

 それに対して緑谷が最初の方と同じくカウンターを狙おうとしたのだが、そのタイミングを見計らって爆発を起こし、緑谷の頭の上を通り越し、背後に着地する。

 

「目眩ましを兼ねた爆破で軌道変更。そして即座にもう1回……考えるタイプには見えねえが、意外と繊細だな」

「慣性を殺しつつ有効打を加えるには、左右の爆発力を微調整しないといけませんしね」

 

 轟の言葉にヤオモモがそう相槌を打つ。

 するとそんなヤオモモの露出度の高いヒーローコスチュームに目を奪われていた峰田が、呆れたように口を開く。

 

「才能マンだ才能マン。……やだやだ」

「そうだな。実際、爆豪はかなり優秀なのは間違いない。自分の個性とはいえ、あそこまで使いこなしているんだし」

「って、おい! そんな爆豪に勝っているアクセルが言うなよ! オイラから見れば、アクセルも十分……いや、寧ろ爆豪以上に才能マンだってのに!?」

 

 峰田の言葉に同意すると、何故かそんな風に突っ込まれる。

 理不尽なと思わないでもなかったが、少し考えれば当然かと思い直す。

 こうして直接対人戦を行った訳ではないが、それでも受験において首席になり、昨日の個性把握テストにおいてもトップだったのだから。

 そういう意味で、今のところ……あくまでも暫定的にではあるが、俺がこのクラスのトップであるというのは多くの者が思っているのだろう。

 俺も意図的にそうしているので、クラスのトップというのに異を唱える事はない。

 何しろ俺は公安から生徒達の壁となるように依頼されて雄英に通っているのだから。

 寧ろ意図的にクラスでNo.1の実力者としての地位を確立しておく必要があった。

 そうこうしているうちに、緑谷と爆豪は激しい戦いを続け……それによって、最終的には、緑谷の超パワーによって上の階層にダメージを与え、そのドサクサに紛れて麗日が核爆弾を確保するのだった。

 

 

 

 

 

「さて、これでアクセル少年以外は全員終わりだな」

 

 俺以外の全ての対戦が終わると、オールマイトがそう言う。

 他の面々の戦いも、まだまだ荒いものではあったが、見応えのあるものが多かった。

 特に驚いたのは、轟だろう。

 まさか、建物の外から建物全体を凍らせるといった事が出来るとは思いもしなかった。

 ……もしエヴァが轟を見たら、同じ氷系という事でかなり気に入るんじゃないだろうが。

 もっとも、エヴァに気に入られるという事は、厳しい……それこそ絶望的といった表現が相応しい修行が待っているという事を意味しているのだが。

 また、ヤオモモと峰田のコンビも轟とは別の意味で見応えがあった。

 ヤオモモの創造によって生み出された各種道具や、峰田のモギモギだったか? それを大量に巻き散らかしていた。

 ヴィラン側……つまり、防衛側のヤオモモと峰田がやるのは、どうかと思わないでもない。

 他にも色々と見応えのある能力を持っている者もいた。

 ただ……緑谷の圧倒的なまでの増強系の能力を見ると、同じような増強系の砂藤の能力は少し見劣りしてしまう。

 もっとも、緑谷の個性は1度使うと身体が耐えられないという諸刃の剣だ。

 そういう意味では、緑谷のような致命的なデメリットのない砂藤の個性の方が使いやすいとは思うんだが。

 もっとも、今のところは俺の混沌精霊の個性も増強系と思われていたりするのだが。

 

「授業の最初に言ったように、アクセル少年と対人戦闘する相手は希望者の中から私が選ぶ! さて……じゃあ聞くが……アクセル少年と戦いたい人はいるかな?」

 

 オールマイトがそう言った瞬間、クラスの半分程……いや、7割くらいか? そのくらいの面々が手を挙げる。

 これだけ立候補者がいるとは、ちょっと予想外だったな。

 これは俺の人気があると思えばいいのか、それとも俺を相手にしても勝利出来ると思っている者が多数いるのか。

 

「ふむ、アクセル少年の希望は、強者と戦いたいというものだったね?」

「ああ……いえ、はい。強者であればある程に戦い甲斐はありますしね。可能なら……オールマイト先生と戦えれば、それが一番なんですけど」

 

 キョトン、と。

 オールマイトは最初俺が何を言ってるのか分からないといった様子を見せ……

 

「HAHAHA、アクセル少年の希望も分かるが、生憎と私は教師だ。さすがに教師が生徒と戦う訳にはいかないよ」

 

 何だか妙にアメリカンな笑い声と共に、そう言ってくる。

 そんな会話を聞いていたクラスメイトの面々も、マジかこいつといった視線を俺に向けてくる。

 まさか、俺がオールマイトと戦いたいといったような事を言うとは思ってもいなかったのだろう。

 ただ……爆豪が感心したような視線を向けているのを見ると、爆豪的には俺の提案は悪くないものだったのだろう。

 もっとも、この状況で爆豪に認められても……いやまぁ、爆豪は俺に強い対抗心を抱いているし、壁としての役割云々を考えずとも、こちらに友好的なら悪くはないと思うが。

 

「そうですか。なら、オールマイト先生が強い相手と思う人を決めて下さい」

「ふむ……では、まずは轟少年」

 

 手を挙げた生徒の中で、オールマイトが真っ先に選んだのは轟。

 まぁ、正直なところそれは分からないでもない。

 一瞬にして建物を氷漬けにしたその能力は、見ていた者の多くを驚かせたのだから。

 その実力は、A組の中でもトップクラスなのは間違いない。

 実際、それを聞いた他の面々も納得した様子を見せており、不満そうなのは……ああ、爆豪がいたな。

 

「そうなると、もう1人だが……さて、どうしたものだろうね」

「オールマイト、俺にやらせろ!」

 

 自分よりも先に轟が選ばれて不満そうな様子を見せていた爆豪が、手を挙げながらそう叫ぶ。

 

「爆豪少年か。だが、爆豪少年は最初の戦いの時にやりすぎた。それを思えば、今回は別の生徒に……」

「オールマイト先生、俺は爆豪でいいですよ」

「アクセル少年?」

「さっきも言ったけど、俺が戦いたいのは強い相手です。そういう意味では、轟にしろ爆豪にしろ、訓練の時の映像を見れば、このA組でもトップクラスの実力の持ち主なのは間違いないでしょう。なら、俺が戦う相手としては丁度いいかと」

「……あ? 丁度いいだぁ? 下に見やがって!」

 

 俺の言葉が気に食わなかったのか、爆豪がそう吐き捨てる。

 爆豪にしてみれば、自分が腕試し……いや、腕慣らしの相手として選ばれのが気に食わなかったらしい。

 轟の方も表情には出ていないものの、似たような感じか?

 

「ふむ……まぁ、戦う本人がこう言うのであれば仕方がないか。それでアクセル少年はヒーロー側とヴィラン側、どちらを選ぶかね?」

「俺がやる以上、当然ながらヒーローでしょう」

 

 そう言った瞬間、何人かが噴き出すのが聞こえてきた。

 おい?

 三奈が笑ったのは見逃してないからな。

 ……まぁ、いかにもヴィラン、いかにも大魔王といった格好の俺がヒーローというのを考えると、そういう対応になってもおかしくないのだが。

 ただ、相手が2人となると、防御よりも攻める方がいいし。

 

「分かった。ではそうしよう」

 

 オールマイトが頷き、こうして話は決まるのだった。

 

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