転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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新年、明けましておめでとうございます。
今年も1年、よろしくお願いします。


4361話

「あ、おはようアクセル君。マスコミ凄かったけど、大丈夫だった?」

 

 教室に入ると、葉隠が俺に気が付いてそう声を掛けてくる。

 そんな葉隠の側にいた他の面々も、どうだった? といった視線を向けていた。

 

「あー、うん。何だか急にマスゴ……マスコミの連中が倒れたりして騒動になっていたから、その隙に敷地内に入ってきた」

「……アクセル、今あんた……」

 

 耳郎が俺がマスゴミと言いそうになったのに気が付いたのか、ジト目と呆れの中間といった視線を向けてくる。

 とはいえ、学校前でのやり取りを思えば、マスゴミと言われても仕方がないとは思うが。

 ああいう連中は、自分がそういう風に言われるのを不満に思っているらしいけど……うん。まぁ、自分達なら何をしてもいいと思っているし、それはそれで仕方がないよな。

 

「え? 倒れたの? 何で?」

 

 三奈のその問いに俺は首を横に振る。

 拳藤になら優の件で助けて貰ったので、俺が何をやったのか理解しているものの、三奈はその辺については全く知らない。

 いやまぁ、実験を繰り返して問題ないようになって、技術としてそれを使えるように出来るようになれば、その時は三奈も……そして他の者達も、今日の事を思い出す可能性は十分にあった。

 

「分からないけど、ヴィランの仕業じゃないかって話だったな」

 

 これは嘘ではない。

 いや、実際には違うのは理解しているが、ヴィランの仕業だと断言した訳でもないし、マスゴミの1人がヴィランの仕業だと叫んでいたのも間違いのない事実。

 そう考えると、今の俺の言葉は決して嘘ではないのは間違いなかった。

 

「ヴィランって……雄英のすぐ前に来るんですの? オールマイトがいますのに」

 

 ヤオモモが不思議そうに言う。

 そういう疑問を抱く奴がいるとは思っていたが、出来れば止めて欲しかった。

 普通に考えれば、オールマイトのいる場所にヴィランが自分から出てくるという事は……絶対にないという訳ではないが、それでも可能性としてはかなり低い。

 自分の実力に自信があるとか、あるいはオールマイトに見つかって逃げ切れる自信があるとか、そういうヴィランであれば、納得出来ない訳でもない。

 とはいえ、そういうヴィランがどれだけいるのかとなると、その数は間違いなく少ないだろうし。

 そもそも雄英の近くの地価が高く、アパートやマンションとかの家賃が高いのも、雄英があって、それを嫌ってヴィランが来ないので治安がいいというのが理由なのだから。

 なのに、こうして堂々とヴィランが来たとなれば……それはそれで地価とかに影響が出る可能性が十分にあった。

 

「まぁ、マスゴミに怨みを持つヴィランとか、普通にいそうだしな」

 

 このヒロアカ世界のマスゴミは、民度が低い。

 いや、別にヒロアカ世界に限ってのものではないのだが。

 ともあれ、視聴率を取れたり雑誌が売れる為なら多少の違法行為でも国民の知る権利とか報道する権利とか、そういうのでどうとでもなってしまう。

 それだけに、多分だがヴィランの中には、本来ならヴィランではない者であっても、マスゴミによって偏向報道をされたりして、結果的にヴィランになったような者とかもいる可能性は十分にあった。

 まぁ、そういう風に決めつけるのはどうかと思わないでもなかったが。

 そんな話をしていると、何人かが教室に入ってくる。

 その中に切島がいるのを見ると、切島に声を掛ける。

 

「切島、門の前にいたマスゴミはどうした?」

「マスゴミってお前……相澤先生とかが来て対処してくれたから、問題はなかったぞ。何でもヴィランの攻撃があったとかで、先生達も周辺の警戒をしているらしい」

「あー……そうか」

 

 うわ、これ……思ったよりも騒動が大きくなってないか?

 まさかここまで騒動が多くなるとは思わなかったんだが。

 ……まぁ、生放送していたカメラとかもあったんだろうな中で、リポーターが次々と気絶していったんだから、騒ぎになるのは当然かもしれないけど。

 と、取りあえずこの世界において殺気とかそういうのは基本的にはフィクションとしか思われていないし、まさかその殺気をピンポイントで放って相手を気絶させるような事が出来るとは、思ってもいないだろうな。

 というか自分でやっておいて何だが……うん。多分だけどこれって本当に殺気だけをピンポイントで放っているとかそういうのじゃなくて、念動力が何らかの仕事をしてそうな感じなんだよな。

 俺としては、単純に目的が果たされているので、それはそれで何の問題もなかったりするのだが。

 

「やっぱりヴィランですのね」

 

 ヤオモモが心配そうに呟く。

 

「もしヴィランでも、雄英の教師が見回っているんだから大丈夫だと思うぞ」

 

 そうヤオモモに声を掛ける。

 別に俺はヤオモモを怖がらせるつもりでマスゴミを気絶させた訳ではないのだが、それでヤオモモがこうして怖がり、不安になっているのなら、しっかりと励ましておく必要もあるだろう。

 ただ、こうしてヤオモモを励ましておいて何だが、これってある意味で自作自演に近いんじゃないか? と思ってしまう。

 ……うん、そうだな。取りあえずその辺については気にしないでおこう。

 

「はよーっす。あ、アクセル。ちょっと話があるんだけどいいか?」

 

 ヤオモモに対して少しだけ悪く思っていると、上鳴が教室に入ってきて、俺を見るとそう声を掛けてくる。

 

「どうした?」

「あー……ちょっとここだと。その、向こうの方で頼む」

 

 何だか話しにくそうな様子の上鳴。

 いやまぁ、俺の席の近くには三奈の席があり、その三奈の席の周囲には多くの女が集まってきていたしな。

 疑似ハーレム的な感じか?

 実際、いつの間にか登校していた峰田は、いつもの如く血の涙を流しながら俺を睨んでいるし。

 ともあれ、女達には聞かれたくないらしいので、俺は三奈達に少し行ってくると声を掛けてから、上鳴と共に教室の隅に向かう。

 

「で、どうした? まさか、女と仲良くなれる方法を教えてくれとか、そういうのじゃないよな?」

「え? それ……それ、教えて貰えるのか!?」

 

 俺の言葉に食いつくように聞き返す上鳴。

 

「アクセル、そこは親友のオイラを仲間はずれにするって事はないよな?」

 

 そして、離れた場所にいて、十数秒前には血の涙を流しながら俺を睨み付けていた峰田も、一瞬にして俺の側までやって来てそう言う。

 ……瞬動でも使ったのか? と思うくらいには素早い動きだった。

 これを昨日の戦闘訓練の時に使っていれば、もっと有利に戦えただろうに。

 あ、でもヤオモモと組んで罠を仕掛けまくっていたんだし、そこまで素早い動きとかは必要なかったのかもしれないな。

 

「……お前達……まぁ、いいけどな」

 

 別に俺もどんな相手とでも仲良くなれる方法なんてのは知らない。

 20人近い恋人がいる俺がそんな事を言っても説得力はないかもしれないが。

 とはいえ、そんな俺でもこの2人に……特に峰田の方に言える事があるのは事実。

 

「取りあえず言いたいのは、露骨な視線は向けるなって事だな。特に峰田。女は男の視線に鋭い。それこそ男のチラ見は女のガン見と言われるくらいにはな。そんな中で、峰田みたいに胸や腰や足といった部分をガン見していれば、そういう欲望の対象にされる女がどう思うのかは、分かるだろう?」

 

 もっとも、これは峰田には言わないが……世の中には男のチラ見は女のガン見と同じように、ただしイケメンに限るといったような言葉もあったりする。

 勿論、イケメンであっても欲望の視線で見られるのは嫌だという女もいるし、逆に欲望の視線を向けられる事そのものが嬉しいという者もいるのだから。

 性癖は人それぞれって事だ。

 

「それは……オイラに女を見るなっていうのか? あの魅力的な乳を、尻を、太股を、腰を、うなじを、二の腕を、肋を、踵を!」

 

 血の涙を流しながら言う峰田に、何と言えばいいのか迷う。

 乳、尻、太股といった部分なら、男として普通に理解出来る。

 うなじも……まぁ、普段は隠れているので、それを見て興奮するというのも分からないではない。

 けど、二の腕や肋や踵って一体何だ? どういう性癖だよ?

 そう思いながら上鳴の方を見ると、こちらも峰田の言葉に同意するように心の底から頷いていた。

 うーん、これは……どうすればいいんだろうな。

 予想した以上に拗らせている。

 いっそ、風俗にでも連れていけば、あるいはある程度興奮も収まったりするのかもしれないが……そうなると、高1というのが引っ掛かる。

 ああいう店は当然ながら高校生は行けないしな。

 ……勿論、実際にはそれは建前で、中には高校生だと、未成年だと知っていても金があるのなら問題ないと考えている店とかもあったりするのだが。

 

「とにかく、そういう視線を向けている限り、余程の何かがない限り女には嫌われるぞ。……上鳴もな」

 

 峰田がこれ以上ない程に露骨に女を凝視しているのであまり目立たないが、上鳴もまた結構露骨に女達を見ている。

 当然ながら、女達もその辺りについては気が付いているだろう。

 それを口に出すような事はないが。

 

「うぐっ……気を付けるよ」

「オイラは気を付けないぞ!」

 

 上鳴が俺の言葉に気を付けると言うと同時に、峰田はその言葉に反対をする。

 おい。

 そう思ったが、峰田は決して退く様子は見えない。

 それこそ自分の言葉を決して曲げないといった様子を見せていた。

 ……これがこういう内容ではなく、もっと違う事でこうした表情を浮かべれば、峰田を良いと思う女もいるかもしれないのに。

 こういう件でこういう風に言うのは、一体どうなんだろうな。

 峰田も女にモテたいと、そう思っているのは間違いないのだが。

 

「そうだな。別に無理にそうしろとは言わない。あくまでも俺が出来るのはアドバイスだけだから。それをどう思うかは、人によって違うし」

 

 そんな俺の言葉に、峰田と上鳴は揃って頷く。

 もっとも、その頷いた理由は2人とも正反対のものだったのだが。

 

「まぁ、その件はともかく……」

「いや、ともかくじゃなくて、もっとその件について話を聞かせて欲しいんだけど」

「あのな、相澤先生が来るまでそんなに時間はないぞ?」

 

 マスゴミが気絶した件で、相澤を始めとした教師達も周囲の探索をしているらしい。

 そうなると教室に来るのも昨日よりも遅くなるかもしれないが、それでも相澤の性格を考えれば、そこまで遅れるような事はないだろう。

 そして教室の時計を見れば、時間的にあまり余裕がないのも事実。

 つまり、ここで無駄に時間を使えば、当然ながら本題に入る前に相澤が来る可能性が高いという事になる。

 そう説明すると、上鳴は不承不承といった様子で頷く。

 

「分かったよ。……実は昨日の話で、手軽に殺気とか気配とか覚えられる方法があるって言ってただろ?」

 

 ここでその話を持ってくるのか。

 そう思った俺は決して悪くはない。

 というか、本当に一体何でこの状況でそんな話をするんだ?

 その方法を悪用してマスゴミを何人も気絶させたことを思えば、出来れば今はその話題に触れて欲しくはなかったんだが。

 もっとも、この話については別に俺が何かを知って話を持ってきたとか、そういう感じではなさそうだけど。

 

「ああ、言ってたな。とはいえ、あの件についてはあくまでも俺の思いつきだし、実際に試したりもしてないけど」

 

 実際には昨夜マンションに入り込んでいた優に使って、その結果として優は気絶し、大人の女としてのプライドに傷を付けるような有様になってしまった訳だが……うん。まぁ、その件については別に話さなくてもいいだろう。

 あるいは、今度ソースのCMにでも出て貰うか。

 そう思いながら、上鳴と話を続ける。

 

「え? そうなのか? てっきり、もうすぐにでもどうにか出来ると思ったんだけど」

「悪いな。もし本当にやるにしても、安全性とかを確認してからにしたい」

 

 具体的には優で。

 ……あるいは、使う時にも少し思ったが、マスゴミの連中のように実験に使ってもいいような相手とか。

 ただ、マスゴミの連中が気配や殺気を感じられるようになると……それはそれで面倒な事になるような気がするんだよな。

 

「分かった。じゃあ、使えるようになったら、俺にやってくれ」

「それ、本気で言ってるのか? 正直なところ、もし試した場合、一体何が起こるのか分からないんだぞ? それこそ場合によっては……そう、戦闘とかを怖がるようになるかもしれない。それでも試したいのか?」

「う……それは……」

 

 俺の言葉に何の反論も出来ない様子の上鳴。

 実際、まだ殆ど試していないので、実際に上鳴に試した場合にどうなるのかは俺にも分からない。

 まぁ、優の様子を見る限りでは問題ないとは思うけど。

 けどそれだって、人によって違うという可能性もある。

 優には問題なかったが、他の者達なら……といった具合に。

 勿論、その可能性は極めて低い。

 低いが……それはつまり、ゼロという訳ではない事を意味してもいる。

 そんな訳で、取りあえず今のところ、俺は上鳴に試すつもりはない。

 やがて相澤が教室に入ってきたのを見て、話はなし崩しに終わるのだった。

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