転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4365話

 結局、A組の学級委員長はヤオモモになり、副委員長は飯田となった。

 ……多分だが、原作ではこれが逆だったんだろうなと思う。

 ヤオモモが投票数でトップになったのは、俺が投票したからだ。

 つまり、もし俺が投票していなければヤオモモは2票で、緑谷の3票には負けていた。

 そうなると、ヤオモモと飯田の立場が逆になっていてもおかしくはない。

 もっとも、それはあくまでも原作での話だ。

 俺が介入したこの世界については、そこまで気にする必要はないだろうけど。

 その後も色々と連絡事項があり、それが終わり今日の授業は本当の意味で終わる。

 相澤もどこか安堵した様子で教室を出ようとし……

 

「相澤先生、ちょっといいですか?」

「うん? どうした、アクセル」

 

 相澤に声を掛けると、すぐにそう反応する。

 ……ちょっと意外だったのは、相澤が特に面倒そうな様子を見せていなかった事だろう。

 俺が知ってる限り、相澤の性格を考えると面倒そうな様子でこっちを見てくるとばかり思っていたんだが。

 あるいは、俺の相手をするのが面倒だから除籍を匂わせてくるかも? といった不安もあったのだが、どうやらその辺は俺の勘違いだったらしい。

 生徒のこちらにしてみれば、そっちの方が助かるのは間違いなかったが。

 

「雄英では、放課後に訓練場を使うことが出来るんですよね?」

「そうだが……詳しいな」

 

 少し驚いた視線をこちらに向けてくる相澤。

 この辺については、ねじれから聞いてる。

 ねじれは雄英のビッグ3の1人だ。

 当然ながら、今まで自主訓練とかもしっかりとやって来ただろう。

 そんなねじれだけに、放課後に訓練場を自由に使えるという話を俺にするのは半ば当然の流れだった。

 

「まぁ、雄英に来る以上は色々と調べるので」

 

 これは別に嘘じゃない。

 ねじれから話を聞くのだって、調べるという行為の一種なのは間違いないだろうし。

 

「そうか、分かった。ただ、俺も新学期が始まったばかりで忙しい。それに今日は昼の件もあるしな。だから、俺以外の教師が一緒になるが、構わないな?」

「ああ……いえ、ええ、構いません」

 

 こういう口調に慣れていないのもあって、時々地が出そうになるな。

 この辺りについては、少しずつ慣れていくしかないだろう。

 幸い、相澤も俺が言い直したのもあってか、特に責めたりする様子はない。

 ……元々、相澤はその辺について特に気にしたりしないタイプだったりするだろうし、当然の事かもしれないが。

 

「分かった。それで、何人で訓練をやるんだ?」

「えっと、詳細はまだ。ただ、ヤオモモと三奈と葉隠と瀬呂は参加する予定です。他にも教室で声を掛けてみるから、参加する人がいるかもしれませんけど」

「……分かった。なら、少し広い場所の方がいいな。まずは人数を決めてから職員室に来い。その間に俺の代わりに訓練を見る教師を探しておく」

 

 そう言い、相澤は踵を返すと職員室に向かう。

 そんな相澤の後ろ姿を見送ってから、教室に戻る。

 すると当然だが、既に授業が終わったという事もあってか、帰ろうとしている生徒達が多くいる。

 

「おーい、ちょっと待ってくれ」

 

 そう声を掛ける。

 自慢ではないが、俺は現在A組でのトップの実力の持ち主と見られている。

 その為、A組の中でそれなりに影響力はあるんだよな。

 

「相澤先生に相談して、自主訓練をする為の訓練場を借りる事になった。これから自主訓練をしたいと思うけど、希望者がいるなら一緒に訓練をしてもいいけど、どうする?」

 

 そう言うと、話を聞いていた生徒の何人もがやる気を見せる。

 ヒーロー科に来てるだけあって……それに学級委員長の時も大勢が立候補していたのを見れば明らかなように、自分を磨こうとする者が非常に多い。

 とはいえ……

 

「けっ!」

 

 不愉快そうにそう呟き、爆豪が教室から出ていく。

 どうやら爆豪にしてみれば、俺と一緒に訓練をやるのはごめんらしい。

 爆豪の性格を見れば、分からないでもないけどな。

 ただ……こうして帰るにしても、そのまま遊びにでもいくのか、それとも1人で訓練をするののか。

 どっちなのかと言われれば、何となく後者のような気がする。

 それはあくまでも俺の予想でしかなく、実際にどうなのかは分からない。

 ただ、爆豪のもの凄い負けず嫌いの性格を考えれば、昨日の戦闘訓練で俺に負け、後は見下していた緑谷にも負けたのに、そのままにしておくとは思えなかった。

 他にも轟も特に何も言わずに帰り……他にも何人かが用事があるからと言って帰る。

 用事……用事か。多分だけど、住んでる場所の片付けがまだ終わってないとか、そんな感じなんだろうな。

 拳藤からちょっと聞いた話によると、拳藤の方もまだ完全には片付けは終わってないらしいし。

 荷物の整理というのは、何気に時間が掛かる。

 ……ましてや、人によっては片付けている最中にアルバムやら写真やら漫画やらが出て来て、思わずそれに熱中してしまうとかあってもおかしくはない。

 そんな訳で……

 

「取りあえず緑谷は強制参加な」

「え? ちょっ、アクセル君、何で僕だけ!? いや、元々僕も参加するつもりだったから、別にいいけど」

 

 緑谷の肩を掴み、そう言う。

 ただ、緑谷の言葉を聞く限りだと、どうやら元から訓練には参加するつもりだったらしい。

 この辺の真面目なところも、緑谷の長所だよな。

 もっとも、緑谷の場合はその個性が強力な分、最近になってようやく個性を使えるようになったばかりだ。

 他の面々が4歳くらいの時から既に個性を使えていると思えば、そこには10年以上の開きがある。

 その差を縮めるというのは、緑谷にとって重要な事だろう。

 原作主人公の可能性が一番高い緑谷だけに、そんな緑谷を鍛えておいて損はない。

 ……そもそも俺の介入によって、原作通りに進まなくなる可能性もある。

 というか、その可能性がほぼ確実だ。

 であれば、原作にはない何らかの騒動があった時の為に、可能な限り緑谷を鍛えるのは当然の事だった。

 

「え? デク君もいくん? なら、私も行こっかな」

 

 俺が緑谷を捕まえて会話をしていると、それを見た麗日がそう言う。

 

「勿論、俺も行くぞ!」

 

 そしていつもの3人組の最後の1人、飯田もそう宣言する。

 多分、この3人は……緑谷が主人公で、麗日がヒロイン、飯田は友人枠といったとこなんだろう。

 

「オイラはちょっと写真集を買うから……」

「峰田、お前もこっちだ」

「ちょっ、何でオイラまで!」

 

 峰田は何故自分までもがと不満そうな様子を見せるが……俺から見ると、峰田の個性というのはかなり強力だ。

 純粋な攻撃力という点では他の強個性に劣るものの、サポートというか、敵を捕らえたり、敵の動きを邪魔するのには、峰田のモギモギは非常に向いている。

 とはいえ、これはあくまでも俺の感想だ。

 あくまでも自主訓練である以上、本人にやる気がないのに無理矢理連れていくといったことは出来ない。

 とはいえ、相手が峰田だと対応もそう難しくはなかったりするが。

 

「いいのか? ここはヒーロー科だ。強くなれば、女にモテるぞ」

「しゃおらーっ! 何をしてるんだ。さっさと行くぞ!」

 

 この変わり身は……コントロールしやすいと思えば、悪くはないのかもしれないが。

 とはいえ、だからといってこんな峰田がヒーロー科でやっていけるのか? といった思いもあったが。

 ここまでストレートに女に弱いと、女のヴィランの色仕掛けにあっさりと引っ掛かりそうな気がするんだよな。

 

「じゃあ、俺も行くかな」

 

 峰田に続いてそう言ったのは、上鳴。

 峰田の相棒的な立場でもあるし、そう考えれば分からないではない。

 そもそも、上鳴も俺が峰田に言った、強くなれば女にモテるというのが聞こえていたんだろうし。

 ましてや、俺の場合はヤオモモや三奈、葉隠といったように女子と仲が良い。

 男子ともそれなりに友好的な関係は築いているものの、親しいと言えるのは今のところ瀬呂だけだしな。

 ……敢えて他に親しいというか、深い付き合いの相手を上げるとすれば、それはやっぱり峰田や上鳴だったりするのか?

 もっとも、それは嫉妬の視線で見られるという意味で、深いは深いだけど、良い意味での深いではなく、悪い意味での深いなのだが。

 

「じゃあ……あー、まだどこでやるのかは聞いてないから、これから職員室に行って聞いてくる。ただ、相澤先生は4月になったばかりで忙しいから、他の教師が責任者として一緒に来るらしい。誰が来るのかは分かってないけど」

「ミッドナイト! アクセル、ミッドナイトを連れてきてくれ! そうしたらオイラ、もの凄い頑張るから!」

 

 俺の言葉を聞いた途端、峰田が叫ぶ。

 ミッドナイト、ミッドナイト……あー、うん。思い出した。

 俺がこの世界について色々と調べている時に名前を見た記憶がある。

 何でもヒーローとして活動した時にもの凄い扇情的なヒーローコスチュームを着ていて、それが原因で国会で問題になってヒーローコスチュームに規制が掛かったとか何とか。

 ちなみに一応……うん、本当に一応だが、その問題になったヒーローコスチュームを着たミッドナイトの映像を探したんだが、見つける事は出来なかった。

 どうやらその辺についてはしっかりとしているらしい。

 あるいはネットに関する個性を持ってる奴もいるのかもしれないな。

 ネギま世界でも、電子精霊とかそういうのがあったし。

 個性で似たような事が出来てもおかしくはない。

 で、そのミッドナイトだが、ヒーローコスチュームの規制が強くなった今は全身タイツのヒーローコスチュームを着ているらしい。

 ネットで調べた限りだと、ミッドナイトの個性は体臭によって相手を眠らせるという……聞きようによっては峰田が喜びそうな個性だな。

 とはいえ、問答無用で相手を眠らせることが出来るという個性は非常に強力だ。

 制圧力という意味では、その辺の攻撃系の個性よりも上だろう。

 ただ、その個性を使う時は当然ながら体臭を周囲に流す必要があるので、着ているタイツは破くんだとか。

 タイツですら身体のラインがピッタリと出るタイプのもので、その上個性を使う時はそれを裂くのだから……うん。峰田が何を思ってミッドナイトを呼んできて欲しいと言ってるのかは、分からないでもない。

 で、ちなみにこのミッドナイト……微妙に俺とも関わりがあったりする。

 俺と直接関わりがある訳ではないが。

 具体的には、俺の後見人のマウントレディ……優が、ミッドナイトをライバル視しているのだ。

 美貌で売っている優にしてみれば、自分の先輩的な存在であるミッドナイトは強力なライバルなのだろう。

 また、こう言っては何だが、若い……というのもそうだが、そのせいかどこか女子大生的な雰囲気を持つ優に対して、ミッドナイトは成熟した女の魅力を持つ。

 その辺は、優にとってもどうにも出来ないところだ。

 だからこそ、優はミッドナイトをライバル視してるんだろうが。

 ……ちなみに美貌という意味では、優が先輩として慕っている龍子も負けていないんだが、何故か優はミッドナイトはライバル視してるのに、龍子は先輩として慕ってるんだよな。

 疑問ではあるが、恐らく……本当に恐らくだが、龍子の場合は美貌もあるが、それ以上にやはりドラゴンになれるという個性の方が大きな印象を持っているのだろう。

 だからこそ、優としてはライバルというよりも先輩として慕っているんだろうと思う。

 もっとも、龍子がこの件について聞いた場合、一体どういう反応をするのかは分からないが。

 

「あー……まぁ、そうだな。誰が来るのかは分からないが、もし選べるようならミッドナイト先生に来て貰うようにするよ」

「ふーん」

「へー」

「あら、そうですの」

 

 うん? 何故か三奈と葉隠がそんな風に言ってくる。

 ヤオモモは特に何も感じていないようだったが。

 

「おい、アクセル……いや、何でもない」

 

 近くにいた切島が何かを言いかけるも、結局それ以上は何も言う様子はない。

 何か気が付いたことがあったのなら、出来れば言って欲しかったんだが。

 

「本当だな、アクセル。オイラ、お前の言葉を信じるからな」

 

 峰田がやる気満々といった様子で俺に向かってそう言ってくる。

 さっきまでの、どうにかして自主練から逃れようとしていたような様子は、既にそこにはない。

 ……そういう意味では、峰田は何気に扱いやすい存在なのは間違いないんだよな。

 本人にそういう意識があるのかどうかは、また別の話だが。

 

「言っておくが、あくまでも俺はそういう希望をするだけだ。もしミッドナイト先生が忙しいのなら、別の先生が来る事になるぞ」

「……そうならないように祈ってるよ」

 

 どこか遠くを見るような目で、峰田が言う。

 この様子を見ると、峰田の祈りは……いや、その辺については俺がどうこう言うような事じゃないか。

 そういう事もあると思っておけば……うん、どうなっても取りあえずこの件についてはあまり関わらないようにした方がいいように思えるのだった。

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