転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4385話

 教師達によってUSJに転移してきたヴィランはすぐに縛り上げられ、やって来た警察に引き渡された。

 そして軽い怪我をした緑谷を含めた何人かと、そして一番の重傷だった相澤が病院に運ばれ……

 

「で、何で俺だけ? いや、オールマイトから話を聞いてるから、聞き取りがあるとは思っていたけど」

「そうね。悪いけど、アクセルからの話は最初に聞いておかないといけないのよ」

 

 そう言うのは、ミッドナイト。

 他にはプレゼント・マイクの姿もあり、後は警察の人間だろう人物が1人いた。

 俺だけがこうして隔離されるような感じで事情聴取される事には思うところがない訳でもなかった……オールマイトからその辺について前もって聞かされていたし。

 それに何より、脳無やシラタキとの戦いで、自分の身を犠牲にしても……それこそ限界を超えてでも戦った相澤の姿を見れば、ミッドナイト達が悪意を持ってこういう事をしているとは思わない。

 ……決して、俺の向かいに座ったミッドナイトの豊かな双丘が机の上に置かれている光景に惹かれた訳ではない。

 もっとも、相澤を信じたからといって雄英の教師全員を同じように信じられるかというのはまた別の話だが。

 ただ、悪意を抱いて接していれば察知するのは難しくはない。

 なのでそれ以上の抵抗はせず、素直に話を進める。

 もっともその件については正直に話しても何の問題もない。

 基本的には俺の持つ特殊な力を使ってはいなかったし。

 唯一使ったのは、脳無に対する鬼眼だけだが……その効果も、そこまで派手なものじゃなかったしな。

 これで脳無が石化したり、死んだりとかしていれば、鬼眼について誤魔化すのは難しかっただろうが、気絶であれば殴って気絶させたとか、そういう風に言えばいいだけだし。

 

「なるほど。それにしても、知り合いの女の子を助ける為とはいえ、自分からあの黒霧だったかしら? その転移能力に突っ込むなんて無茶をするわね。……青春だわ」

 

 しみじみと呟くミッドナイト。

 うん、これを見る限りでも俺に悪意を抱いていないのは明らかだ。

 それよりも、寧ろ好意を抱いているように思える。

 勿論それは、男女間の好意ではないが。

 以前自主訓練の監督を頼んだ時もそうだったが、ミッドナイトは青春とかそういうのを好む。

 俺の行動も、そんな青春っぽい感じに思えたのだろう。

 それが喜ぶべきか、それとも微妙な気分になるのかは、どう判断すればいいのか迷うところだ。

 とはいえ、雄英側も当然ながらミッドナイトの趣味嗜好については十分に理解している筈だ。

 それを知った上でこうして俺の取り調べ……というか、事情を聞く役目をミッドナイトに任せたのは、もしかしたら俺はそこまで雄英側に疑われていないのか?

 このような状況になっている以上、全く……完全に、完璧に疑われていないのかと言えば、当然ながらそれは否だろう。

 それも本気で何か怪しんでいれば……具体的には、ヴィラン連合と繋がっていると思ったりしたら、もっと厳しく事情を聞いている筈だ。

 もっとも、俺は公安との繋がりもある。

 それを思えば、俺がヴィラン連合と繋がっているとは……うん、多分思わないだろう。

 あるいは繋がっていても、潜入捜査とかそんな感じか?

 だが、俺はヴィラン連合の中でも幹部だろうシラタキと黒霧を、そしてオールマイトに対抗する為に用意された戦力である脳無を完封している。

 普通に考えれば、そこまでやっておいて繋がってるとは思わない。

 ……あるいはそこまでやって繋がっているとは思わないからこそ、疑われないといったように思ったりしたとか?

 とにかく、今はそこまで怪しまれていないのは間違いない。

 

「青春かどうかはともかくとして、とにかく強制的に転移させれたのがUSJの山岳地帯で、そこにはヴィラン達が待ち受けてました」

「つまり、ヴィラン連合とやらはアクセルリスナー達を最初からバラバラに転移させてヴィラン達に襲撃させるつもりだった訳だな」

 

 プレゼント・マイクの言葉に頷きを返す。

 適当に散らばらせて転移をするといった事をしたのなら、そのような時はヴィランが待ち受けているといったことはまずなかった筈だ。

 それでもあのような状況になったのを思えば、最初からそのつもりだったというのは間違いない筈だ。

 

「そうなりますね。で、ヤオモモ達と協力してその場にいたヴィラン達を倒した、と」

「そのヴィラン達も運が悪かったわね。推薦入学した八百万さんと、首席のアクセルが一緒だったなんて」

 

 ミッドナイトの言葉に、プレゼント・マイクと警察の人間は揃って頷く。

 というか、何で八百万はさんづけて、俺は呼び捨てなんだ?

 単純に、俺とは多少なりとも親しいからそういう風に呼ぶとか?

 もしくは、男と女の違いか?

 ……どのみち、そこまで気にするような事でもないか。

 

「あそこにいたヴィランの事を思えば、同情は出来ませんけどね。……ミッドナイト先生なら、分かるんじゃないですか?」

 

 そんな俺の言葉に、ミッドナイトも何を言いたいのか分かったのだろう。

 一瞬不愉快そうな様子を見せるも、すぐにそれを消す。

 何しろミッドナイトは身体のラインが強調されるようなタイツをヒーローコスチュームにしている。

 その上で、ミッドナイトは顔立ちも整っており、大人の女といった感じだ。

 もしそんなミッドナイトがヴィランとの戦いで負けたりしたらどうなるのか。

 女を強調させ、ヴィランの劣情を刺激するようなコスチュームを着ているだけに、ミッドナイトもその辺についてはしっかりと理解しているだろう。

 もっとも、ネットで調べた限りだとミッドナイトの個性は体臭で相手を眠らせるといったものだ。

 つまり、もしミッドナイトに勝利したヴィランがその身体を蹂躙しようとしても、タイツを破いた瞬間に眠ってしまう。

 そういう意味では、ミッドナイトのコスチュームが相手の劣情を刺激するようなものであっても、問題ないのかもしれないが。

 

「なるほどね。……後でしっかりとケジメをつけておくわね」

 

 ケジメと言うミッドナイトの口には、笑みが……それも凄惨なといった表現が相応しい笑みが浮かんでいる。

 うん、あのヴィラン達がどんな目に遭うのかは分からないが、ご愁傷様と思っておこう。

 ……中には急所に葉隠の蹴りを食らったヴィランとかもいるんだが。

 でも、そうだな。女子高生に急所を蹴って貰ったと思えば、特殊な趣味を持つ者にとっては、ご褒美かもしれないし。

 

「えっと、ミッドナイト……警察としてそれは……」

「あら、うちの子達に不埒な真似をしようとした相手と、ちょっとお話するだけよ?」

「……あ、はい」

 

 ケジメという言葉に警察官……いや、警察の制服を着てないから、刑事か。

 その刑事が何かを言おうとしたものの、ミッドナイトの言葉に反論出来ずにそう返す。

 

「話を続けてもいいですか?」

「ええ、そうね。まずはアクセルの話を聞かないと。それでヴィラン達を倒した後はどうしたの?」

「ヤオモモ……八百万がスクーターを作れるのは個性把握テストで知ってたので、ヤオモモを連れて一足先に山岳地帯から下りました。で、八百万にはUSJから出て助けを呼ぶように言ったんですけど……ヤオモモじゃなくて八百万から聞いた話だと、飯田よりも少し遅れて外に出たらしいですね」

 

 飯田の個性エンジンは、機動力に特化している。

 ましてや、俺達が黒霧によって転移させられた場所はUSJの扉からそう遠くない場所で、しかも圧勝したとはいえ、一応俺達はヴィランと戦っていた。

 それを思えば、ヤオモモがスクーターを使ってもUSJから出るのが飯田より遅くなっても仕方がないと思う。

 

「ああ、言いにくかったら、ヤオモモでいいわよ。……ヤオモモね。まだ入学してそんなに経ってないのに、もうあだ名で呼び合ってるのね。青春だわ」

 

 青春か?

 ミッドナイトの言葉にそう思わないでもなかったが、ヤオモモでいいのならそうしよう。

 

「じゃあ、ヤオモモで、それでヤオモモと分かれて相澤先生の方に行ったら、相澤先生が脳無に取り押さえられていたので、攻撃して解放させました」

「その事だけど、イレイザーから聞いた話によれば、いきなりアクセルが近くに現れたって事だったんだが……それも混沌精霊って個性の力か?」

「個性というか、技術ですね」

 

 プレゼント・マイクに言葉にそう返す。

 実際には気配遮断のスキルを使ったのだが……まぁ、気配を消すとかそういうのは、実際に技術として存在している。

 それを思えば、俺の言葉も決して間違いではない。

 

「技術?」

「はい。俺が持つ技術には気配や殺気を感じたり、自分の気配を消したりといったものがあるので」

 

 その言葉に、微妙な表情を浮かべるプレゼント・マイク。

 刑事の方もプレゼント・マイクと同じような表情を浮かべていた。

 

「そういう技術があるというのは、フィクションとかでは知ってるけど……本当にそういうのがあるのか?」

 

 そう刑事が聞いてくる。

 刑事にしてみれば、もし本当にそういう技術があるのなら、刑事としてかなり興味深いのだろう。

 

「ありますよ。……ちょっと試してみますか? 別に危険じゃないですし」

 

 瞬動とかそういうのなら、場合によっては危険だったりもする。

 だが、気配の件についてはそこまで危険でもないので、そう尋ねたのだが……

 

「是非頼む」

 

 刑事が予想外に乗り気だった。

 ただ、その理由は理解出来る。

 ヒーロー全盛期と呼ばれることも多い、この世界の今、警察というのはプロヒーローの下請けというか、プロヒーローが捕らえたヴィランを引き受けるといったような、そんな感じに見られているのだから。

 そして当然ながら、警察も自分達がそういう風に見られているのは理解しており、それが面白くないと思っているのだろう。

 だが、プロヒーローというのは強個性を持つ者達が、厳しい訓練を受けた上で難易度の高い試験を突破した存在だ。

 勿論中には、プロヒーローよりも警察になりたいと、最初から警察を目指す者もいるだろうが……それが少数派なのは間違いない。

 ともあれ、実際に使ってみて欲しいと頼まれた以上、やるのに否はない。

 

「じゃあ……そうだな。5秒くらい壁の方を見て、それからこっちを見て下さい」

 

 そう言うと、刑事は勿論、ミッドナイトとプレゼント・マイクも俺から視線を逸らす。

 それを確認すると、気配遮断を使用する。

 

「え? あら? アクセルは?」

 

 最初にこちらを振り向いたミッドナイトが、俺の方を見て驚きの声を上げる。

 他の2人もミッドナイトの言葉にこちらを見て、それぞれ驚きの表情を浮かべていた。

 そうして数秒、俺は気配遮断の効果を切る。

 

「え……」

 

 そしてミッドナイトの口から、そんな驚きの声が上がった。

 ミッドナイトにしてみれば、壁を見て、こちらを見たら俺の姿がなく、そして気が付けば再び俺が姿を現したのだから、それで驚くなという方が無理だった。

 勿論、そんな俺の姿に驚いたのはミッドナイトだけではなく、プレゼント・マイクと刑事も同様だった。

 この驚きようを見ると、多分だが俺が技術としてそういうのがあると言ったのを信じていなかったか、あるいは信じていてもここまで露骨に見て分かるようなものではないかと思ったのか。

 

「こんな感じですね」

「……アクセル君、1つ聞かせて欲しい。これは本当に個性じゃなくて、技術……つまり、これは誰でも、それこそ無個性の者であっても取得出来る技術なのかな?」

「そうですね。とはいえ、当然ながらきちんと技術を習得するまでには結構な時間が必要になるでしょうし、才能も関係してくるので絶対に誰もが確実に習得出来る訳じゃないですけど」

 

 そう言うと、俺の言葉に刑事は微妙な表情を浮かべる。

 何しろもしかしたら……という風に思っていたのだろうから。

 とはいえ、だからといって俺としてもその件についてどうこうとは言えないが。

 実際、気配とかそういうのを察知する能力はそう簡単に習得出来るようなものではないのだから。

 まぁ、以前優に試したように、殺気とかを放ってそれを感じさせるといった方法でその手の技術を習得出来る可能性もゼロではないが。

 もっとも、生まれつきの個性とは違って、頑張れば習得出来る可能性があるだけ、マシではあるのだろうが。

 

「……なるほど。興味深い話を聞かせて貰った」

 

 この刑事が何を考えているのかは、俺にも分からない。

 とはいえ、警察の中に広めることが出来れば……といったように考えているのだろうと予想は出来るが。

 とはいえ、この技術が広く知られた場合、最悪ヴィランにもこの手の技術が渡ることになってしまい、それはそれで最悪の未来となってしまいかねなかった。

 刑事も多分それが分かっているので、色々と思うところがあるのだろう。

 ともあれ、その後も色々と話していると……

 

「うん?」

 

 不意に俺が扉に視線を向けると、他の3人もそちらに視線を向け……

 ガラ、と扉が開くと、そこには龍子の姿があった。

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