転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4391話

 4時間目の現代文の授業が終わり、昼休みになると……

 

「USJのような事はあったけど……何だかんだと、テンション上がるな、おい! 活躍して目立ちゃあ、プロヒーローへのどでけえ1歩を踏み出せるからな!」

 

 教室中に切島の声が響く。

 USJの件のように、色々と思うところはあるのだろう。

 だが、それでも切島は……いや、切島だけではなく、他の面々もやる気に満ちた表情を浮かべていた。

 また、何故か麗日がもの凄いやる気を見せており、三奈から顔がうららかではないと、突っ込まれている。

 この場合のうららかというのは、麗日ではなくうららかという事なのだろう。

 自分で考えていてもちょっと分からないが、それでもこう……ニュアンス的には十分に理解出来るのも事実。

 そんなやり取りをしつつ、俺は瀬呂や常闇、砂藤と共に食堂に向かうのだった。

 

 

 

 

 

「うん? ああ、アクセル。席がないならこっちに来て食べなよ」

 

 食堂で料理を受け取ったのはいいが、今日はそれなりに混んでいて座る席がない。

 どうしようかと思っていたところで、そんな風に声を掛けられる。

 声のした方に視線を向けると、そこには拳藤の姿があった。

 それと以前食堂で一緒になった取蔭と、後は……髪の毛が植物の蔦になっている女子生徒がいる。

 

「いいのか?」

「いいよ、いいよ。アクセルともちょっと話したいと思っていたし」

「ふーん。毎朝一緒に来てるのに、まだ話したい事があったりするんだ」

「ちょ、いきなり何を言うんだよ!」

 

 取蔭のからかうような言葉に、拳藤が慌てたように突っ込む。

 そんなやり取りを聞きながら、拳藤の言葉に甘えて一緒に食事をする事にするが……

 

「常闇と砂藤はそっちでいいのか?」

「ああ、闇に包まれたいくらいだ」

「えっと、まぁ……初めて会う人だしな」

 

 常闇と砂藤がそれぞれにそう言ってくる。

 砂藤が微妙に人見知り……あるいは女が相手だからなのか、拳藤の隣の俺の隣に座っているのは分からないでもないが、闇に包まれるってのは一体なんだ?

 常闇の性格を考えれば、そういう風に言ってもおかしくはないが。

 ちなみに席順は、拳藤、俺、砂藤、常闇。向かいが髪が蔦の女、取蔭、瀬呂といった順番になっている。

 

「前もそうだったけど、アクセルは凄い食べるな」

 

 俺が用意した食事……豚の生姜焼きと親子丼、鴨南蛮、餃子、春巻き、シュウマイ、酢豚。

 当然ながら普通のお盆で持ってこられる筈もなく、大きなお盆を2枚使ってようやく持ってくる事が出来た感じだ。

 瀬呂は俺と一緒に食事をする事が多いので、そこまで驚いてはいない。

 常闇と砂藤は俺と食事をする事はあまりないが、以前のお好み焼き屋の一件もあって、俺の食事量を見ても特に驚いてはいない。

 拳藤と取蔭は以前学食で一緒になった時に見ているので、そこまで驚いてはいない。

 ただ……髪の毛が蔦の女は、目を大ききく見開いて俺を見ていた。

 

「ああ、紹介を忘れていたな。彼女は塩崎茨だ」

 

 塩崎の様子を見た拳藤が、そう説明する。

 そして拳藤が俺と瀬呂について説明し、俺が常闇と砂藤の紹介をする。

 こうして簡単に自己紹介が終わると、食事が開始された。

 

「そう言えば、B組の方でも体育祭についての話はあったのか?」

「ん? ああ、あったよ。クラスの皆がやる気を出している」

 

 そう言いながらも、拳藤の表情はどこか微妙な感じを見せていた。

 何だ? 何かあったのか?

 そう疑問に思うも、それよりも前に取蔭が口を開く。

 

「B組の中に、ちょっとA組を敵視……いや、そこまではいかないけど、ライバル心を抱く奴がいるんだよ」

「……あまり、好ましい事ではないのですが」

 

 取蔭と塩崎がそれぞれ言う。

 なるほど、学級委員長の拳藤にしてみれば、A組を敵視する奴がいるのをどうにかしたいと思っているのだろう。

 取蔭は敵視じゃなくてライバル心と言ってはいるが、それについては取蔭が意図的に表現を軟らかくしたのだろう。

 実際、塩崎はそんな取蔭の言葉に残念そうな様子で追随しているし。

 

「いや、けどよ。何で俺達がライバル視されるんだよ? B組と誰か揉めたか? ……爆豪と峰田辺りか」

 

 瀬呂が言葉の途中で即座に問題児2人の名前を挙げるのは、入学してからまだそんなに経っていないのに、それでもあの2人が色々な意味で問題児だと理解しているからだろう。

 爆豪なら、それこそちょっと視線が合っただけでも、何を見ているとか因縁をつけそうだし、峰田の場合は……うん、言うまでもない。

 拳藤は姐御系美人……凜々しい系の美人だし、取蔭は今時の女子高生というか、ギャルっぽい美人で、塩崎は清楚系の美人。

 B組には他に何人女がいるのかは分からないが、まるで雄英は成績以外に外見でも合格者を選んでいるのではないかと思える程に、顔立ちの整った女が多い。

 峰田がB組についてどこまで知ってるのか分からない。

 ……いや、峰田の女好きを思えば、B組どころか普通科や経営科、サポート科とかにもチェックを入れていてもおかしくはないと思うんだが。

 ともあれ、峰田が何かB組の女にちょっかいを出して、それによってB組の中にはA組をライバル視というか、敵視する奴がいたとしてもおかしくはないと思う。

 そうなったら、それこそ峰田をB組に差し出すとかした方がいいのかもしれないな。

 

「えっと、その……ちょっと言いにくいんだけど、一昨日の一件だね」

 

 取蔭のその言葉に、は? と疑問に思う。

 いや、取蔭が何を言いたいのかは分かる。

 一昨日の一件というのは、言うまでもなくUSJの一件だろう。

 それについて示しているのは分かる。

 分かるが、一体何故それでA組を敵視する?

 普通に考えれば、B組がA組を敵視するのではなく、A組がB組を敵視するんじゃないか?

 自分達がヴィラン連合に襲われているのに、B組はのうのうとしていてといったように。

 そんな疑問を抱いたのは俺だけではなく、会話に加わらずとも、しっかりと話を聞いていた常闇と砂藤も不思議そうな視線を取蔭に向けていた。

 

「なんでその件で俺達が敵視されるんだ?」

「あー……うん。つまり、ヴィランに襲われた事で、A組は名前が売れただろう?」

「名前が売れた……売れたか?」

 

 瀬呂、常闇、砂藤の順番に視線を向けると、俺に視線を向けられた面々は微妙な表情を浮かべる。

 取蔭が言うように、名前が売れたという実感があるかどうかと言われれば、俺は否だ。

 他の3人もまた、俺に視線を向けられると、それぞれ首を横に振っていた。

 それはつまり、俺と同じように名前が売れたといった実感がないということなのだろう。

 

「俺も含めて、全員そんな風には思っていないみたいだが?」

「……アクセル達がそう思っていなくても、B組の中にはそういう風に思っている奴がいるってのが問題なんだよ」

 

 そう言われると、取蔭の言葉になるほどと納得するしかない。

 実際に俺達がどのように感じているのかよりも、そのB組で俺達を敵視している奴がどういう風に思ったのかというのが、この場合は大きい。

 

「とはいえ、実際に名前が売れたとか、そういう実感はないんだけど」

 

 瀬呂が取蔭にそう言うと、常闇と砂藤もまたその言葉に同意するように頷く。

 勿論、2人だけではなく俺もまた瀬呂の言葉に同意するように頷いていた。

 

「だから、この場合は瀬呂達がどう思っているのかじゃなくて、敵視している奴がどう思っているのかなんだよ。……それに、名前が売れていないというのはまだ実感がないんだろうけど、これからの事を思えば決してマイナスだけじゃないと思うよ」

「……そうなのか?」

「ああ。全員とは言わないけど、プロヒーロー達に名前が知られたというのは、興味を持って貰えたというだけで大きいと思う」

「興味がなければ、そもそも指名しようともしないでしょうしね。悲しい事ですが」

 

 塩崎が取蔭に続いてそう言い、それはそうかもしれないとも思う。

 ねじれが龍子の事務所でインターンを行っているのも、龍子がねじれの事を知っていたからというのが大きい。

 ねじれから龍子に申し込んだのか、それとも龍子からねじれに申し込んだのかは分からない。

 分からないが、それでも龍子がねじれについて知らなければ、インターンで受け入れようとは思わなかっただろう。

 ……そう考えると、USJの一件で俺達の件がそれなりに知られたのは、決して悪いことだけじゃないのかもしれないな。

 勿論、それはあくまでも俺がそのように思っているだけあって、実際にその辺りがどうなっているのかは分からないが。

 ただ、拳藤や取蔭、塩崎の様子からB組の中で俺達に敵対心を持つ奴がいるというのは、十分に理解出来る事だった。

 プロヒーローの数は多いので、ここで俺達に興味を持った者達が全てではない。

 全てではないが、それでも俺達に興味を持った事によってB組はいいやと思う者がいないとも限らないのだ。

 ……A組がヴィラン連合という組織を相手に対処出来たが、それならB組はどうなんだ? と思うプロヒーローも結構いそうな気はするが。

 ただ、B組にいる俺達を敵視しているという奴は、そんな風には思っていないのだろう。

 その辺りについては、それこそ考えようだとは思うんだが。

 とはいえ、ここで俺がその辺についてどうこう言っても意味はないだろう。

 そもそも少し考える頭があれば、俺と同じような事に思い当たっても不思議ではない。

 だというのに、俺達を敵視しているという相手はマイナスにだけ考え、それでA組を敵視しているだろうから。

 

「俺達を敵視しても、それでどうにかなるって訳じゃないと思うんだけどな」

「その意見には私も賛成だよ。ただ、言っても納得してくれないんだ。それに妙に口が上手くて、下手をすれば言いくるめられそうになるし」

 

 厄介な奴だな。

 とはいえ、そういう奴が相手となると俺とも相性は悪そうなんだよな。

 もしここで俺が何かをしたら、それこそ俺達を敵視してる奴が余計に苛立ちそうな気もするし。

 ともあれ、こっちにまだ特に何も被害が出ていないのに、それでどうこうするといった事が出来る筈もない。

 そうなると、俺としては今は特に何かをするのではなく、様子見をした方がいい。

 そう思っていると、不意にピンポンパンポーンといった音が食堂に響く。

 

『ヒーロー科1年A組の、アクセル・アルマーは、すぐに職員室にくるように』

 

 相澤の声が放送で流れ、そしてまたピンポンパンポーンといった音がなり、放送が終わる。

 

『……』

 

 そして、俺と一緒に食事をしていた面々は……いや、食堂の幾つかに散らばっているA組の面々も、俺に視線を向けているのが分かった。

 放送で呼ばれるとは、一体何をしたのかと、そう思ったのだろう。

 ……別に何かをした覚えはないから、わざわざ放送で呼ばれるような事もないと思うんだが。

 

「アクセル、呼ばれてるぞ。何をしたんだ?」

 

 拳藤が呆れの視線を向けながら、そう言ってくる。

 

「アクセルさん、何かをしたのであれば、私が懺悔を聞いても構いませんが」

 

 そして何故か塩崎は俺に懺悔をするように進めてくる。

 

「あのな、本当に俺は何かをやったとか、そういうのはないからな?」

「でも、放送で呼ばれるってよっぽどだよ? 私も中学の時に何度か経験あるけど」

「……あるのか」

 

 取蔭の言葉に、拳藤が呆れたように言う。

 とはいえ、取蔭はこう……ギャルっぽい? そんな感じなので、中学の時も同じような感じだったら、何かをやらかして担任に注意されたとか、そういう事があっても不思議でない。

 もっとも、注意された内容があまりに悪質だったら、内申点とかそういうので雄英に入学するのは難しかったような気もするが。

 内申点、内申点か。

 そう言えば俺が雄英に入学する時の内申点って、一体どうなっていたんだろうな。

 当然ながら、俺はこのヒロアカ世界の中学を卒業したりはしていない。

 そうなると俺の内申点は不明という事になるのだが。

 あるいは雄英は内申点とかは全く気にせず、純粋に学科テストと実技試験の内容だけで入学出来るかどうか決めているのか、それとも公安の方でどうにかしたのか。

 普通に考えれば後者っぽいけど、この世界や雄英について思えば、前者の可能性も十分にありそうなんだよな。

 ともあれ、入学出来た以上は内申点的にはなにも問題がなかったのだろう。

 しかも首席での入学となれば、内申点について何らかの問題があったりする筈もない。

 

「とにかく、放送で呼ばれた以上は何かあるのは間違いないだろうし、早く行った方がいいんじゃないか?」

 

 砂藤の言葉に、俺はまだ半分くらい残っている料理に視線を向け……

 

「相澤には少し待って貰うとするか」

 

 そう言い、俺は残っている料理を急いで腹の中に収める。

 ランチラッシュの作った料理なんだから、どうせならもっとしっかりと味わって食べたかったが、まさか放送で呼ばれたのにそれを無視して食事を続ける訳にもいかない。

 かといって、このまま食事を残していくのも、それはそれで思うところがある。

 その為、取りあえず全部食べる事にするのだった。

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