転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4441話

「ふぅ、疲れた……んー……」

 

 ホテルの地下にある駐車場から出て来た俺は、大きく伸びをする。

 保須市に向かう途中で高速道路のサービスエリアで食事をしたが、狭い車……正確には運転席と助手席は広いのだが、後部座席はかなり狭くなっているスポーツカータイプの車に乗りっぱなしなので、どうしても疲れる。

 車から出てこうして背伸びをすると、生き返った……というのは少し大袈裟かもしれないが、とにかくすっきりとした気分になる。

 

「ほら、アクセル。行くわよ。他の2人も。まずはホテルにチェックインしないと」

 

 龍子に促され、俺と同じように伸びをしていた峰田とねじれは龍子を追う。

 

「って、なんでねじれも俺達と同じようにしてるんだよ? ねじれは助手席だっただろ?」

「え? アクセルが楽しそうだったから」

 

 あっけらかんとそう言われれば、俺もそれに反論するのは難しい。

 いやまぁ、別に俺達と一緒に伸びをしているのが悪い訳じゃないし。

 ……寧ろ峰田の場合は、もの凄い大歓迎といった様子でねじれの胸を見ているが。

 ねじれはそれなりに胸が大きい。

 ヤオモモには及ばすとも、No.2の座にある三奈や葉隠と同じくらいには巨乳なので、こうして俺達と一緒に伸びをすると、その胸が強調されるのだ。

 だからこそ、龍子に呼ばれたねじれが伸びを止めると、露骨に残念そうな表情を浮かべる。

 そうしてホテルのカウンターでチェックインをすると、案内された部屋に向かう。

 ちなみ龍子達3人で4人用の部屋を1つ。そして俺と峰田でツインの部屋を1つとなる。

 公安からの依頼があった時は、峰田が来る予定はなかった。

 それでも俺の部屋がシングルになったのは、龍子達の部屋と同じ階層で空いている部屋がツインの部屋しかなかったらからしい。

 いっそ公安にはスイートルームとかそういう部屋を頼んでみても面白かったかもしれないな。

 ……まぁ、峰田を1人にするのは性犯罪的な意味で危険だろうから、俺と一緒にしておいた方がいいのだろうが。

 

「峰田、ベッドはどっちにする?」

「オイラはどっちでもいいけど……こんないい部屋に泊まってもいいのか?」

 

 心配そうに峰田が聞いてくる。

 この部屋はツインとはいえ、ホテルそのものが結構な高級ホテルだ。

 保須市の中でもトップクラスのホテルなのは間違いない。

 それなりに……というか、結構栄えている保須市には当然ながらホテルの類も結構あるのだが、そんな中でトップのホテルとなると、国の重要人物とまではいかないが、それなりに地位のある人物が泊まるようなホテルのツインの部屋だ。

 これがヤオモモなら、家の関係でこういうホテルにも泊まり慣れているのかもしれないが、峰田は別に家が金持ちという訳でもない。

 ……峰田の場合、家が金持ちならそれこそ金の力で女を買って好き放題しているだろうし。

 そういう意味では、峰田が金持ちでなかったのは峰田本人にとっても良かったのだろう。

 ともあれそんな訳で、峰田はこういう高級ホテルに泊まる機会はなかったらしい。

 もっとも、そういう意味では俺もそこまでこういうホテルに泊まる機会があった訳ではないのだが。

 シャドウミラーの代表である以上、その気になればどれだけの高級ホテルにも泊まれるが……別にそこまで高級ホテルに泊まりたいとは思わないしな。

 寧ろ俺にしてみれば、ホワイトスターにある家の方が安らげる場所だし。

 それに、今回のヒロアカ世界のように、未知の世界に行く事もあるので、そうなるとその世界では高級ホテルに泊まるどころではない状態になったりもする。

 オルフェンズ世界なんか、そのいい例だよな。

 

「龍子や優が出してくれてるんだし、構わないだろ」

 

 峰田は俺の事情を知らないので、今回の件が公安からの依頼だというのは言わないでおいた方がいいだろう。

 とはいえ、一緒にヒーロー殺しの一件に関わっていけば、そのうち自然と今回の件が公安からの依頼だと察するかもしれないが。

 

「うーん……オイラ、そこまで期待されてるのか?」

「まぁ、ヒーロー殺しを捕らえるのに峰田のモギモギが役に立つのは間違いないだろうしな。それでベッドは?」

「あ、ああ、アクセルが先に選んでくれよ」

 

 そう言われたので、窓に近い方のベッドを選ぶ。

 特に何か理由があってこっちのベッドを選んだ訳ではないのだが、外の景色が見やすいかといった程度の理由からだ。

 

「じゃあオイラはこっちだな。……うーん、何だか凄く緊張してきた」

「ヒーロー殺しのいる保須市だしな。俺達は正確にはまだプロヒーローじゃないが、それでも雄英の生徒だから、いつ狙われるか分からないしな」

「アクセル、妙な事を言うなよ。……精神を落ち着ける必要があるな」

「おい」

 

 着替えが入っている服の中から何かの本を取り出す峰田。

 峰田が持っている本である事を考えると、それがどのような内容の本なのかは、考えるまでもないだろう。

 スマホでその手の画像を見られるのに、わざわざ本を持ってくるってのはどうなんだ?

 そう思ったが、それはあくまでも俺の考えで、峰田には自分なりの考えがあるんだろうな。

 

「いいだろ、別に。オイラの精神を安定させるには、こういうのが必要なんだから」

「お前……俺達が一体何をしに保須市に来たのか、分かっているのか?」

「それは……」

 

 俺の言葉に何かを答えようとした峰田だったが、その峰田が何かを言うよりも前に部屋の扉がノックされる。

 

『アクセル、峰田君、いる? 少し保須市を見て回りたいと思うんだけど』

 

 扉の向こうから聞こえてきたその声は、龍子の声。

 その声を聞いた瞬間、峰田は即座に……それこそ、速攻といった表現が相応しい速度で本をしまう。

 ……こいつ、この動きを普通に出来たのなら、一気に戦力が上がるのでは?

 そんな峰田の様子に呆れつつ、扉に向こうにいる龍子に声を掛ける。

 

「分かった、すぐに行く。ちなみにヒーローコスチュームは着ていくのか?」

『ええ、プロヒーローとしての活動だから、それでお願い』

「だ、そうだ」

 

 龍子の言葉を聞いて、峰田にそう声を掛ける。

 ヒーローコスチュームの入ったケースを取り出し、着替えていく。

 ヒーローコスチュームに着替えるのはそれなりに時間が掛かるのだが、それでも何度か着替えていることもあって、すぐに着替えを終える。

 

「峰田、準備の方はいいか?」

「ああ、問題ない」

 

 そうして準備を整えると、俺達は部屋を出るのだった。

 

 

 

 

 

「ふおおおおおおっ!」

「落ち着け」

 

 ベシン、と叩き付けられた峰田が床にへばりつく。

 いやまぁ、峰田が奇声を上げた理由は分からないでもないけど。

 何しろ俺と峰田の前には、龍子……いや、リューキュウ、マウントレディ、そしてネジレちゃんの3人がいるのだから。

 その中でもリューキュウとマウントレディは、車の中に乗っている時にもうヒーローコスチュームを着ていたので、峰田もそれなりに見慣れていた筈だ。

 だが、ネジレちゃんのヒーローコスチュームは峰田も初めて見る。

 そういう意味で新鮮だったのだろう。

 ましてや、ネジレちゃんのヒーローコスチュームは胸の形がはっきりと分かるような……そんな身体に密着したタイプだ。

 ミッドナイトのヒーローコスチュームに近い。

 もっとも、ネジレちゃんのヒーローコスチュームはミッドナイトのように身体のラインを浮き上がらせるくらいに密着した奴の上から、更に着込んでいるが。

 ……ただ、それでも胸の形ははっきりと分かるんだよな。

 だからこそ、峰田がこうして絶叫したのも分からないではない。

 ちなみにネジレちゃんのヒーローコスチュームで他に特徴的なところは、角が生えているといったところだろう。

 一体あの角は何に使うのやら。

 あるいは武器として使うの?

 

「はぁ。……いい? これから2手に別れて保須市を見て回るわ。チーム分けは、マウントレディと峰田君、そして私達」

「え!?」

 

 リューキュウの言葉に、峰田がそんな声を上げる、

 峰田にしてみれば、初めて見たネジレちゃんのヒーローコスチュームから、どうせ活動するのならネジレちゃんと一緒に活動したいと思ったのだろう。

 峰田の性格を考えればそれも分からないではなかったが、それでもリューキュウやマウントレディの前で露骨にそういう態度を見せたのは失敗だったな。

 

「あら、何かおかしいかしら? 峰田君はマウントレディの事務所に職場体験に来たんでしょう? なら、この分け方は別におかしくはないと思うけど」

「えっと、いや、でも、その……何でもないです」

 

 何かを言いたそうにしている峰田だったが、最終的には黙り込む。

 リューキュウの視線もそうだが、自分の後ろに立っているマウントレディの視線も感じての事だろう。

 あの手の視線は、時に物理的な力を持っているんじゃないかってくらい、身体や顔に突き刺さってくるしな。

 今まで色々な経験をしてきた俺にしてみれば、峰田が黙り込んだ気持ちは分かる。

 というか、自分でマウントレディの事務所に職場体験に行くと決めたのに、ネジレちゃんのヒーローコスチュームに目を奪われるというのは……いやまぁ、ここで俺がその件についてどうこう言っても意味はないが。

 

「そう、なら話を進めるわね。峰田君とアクセルはあくまでも職場体験として来ているだけだから、もし何かあった場合は私やマウントレディに指示を仰ぎなさい。くれぐれも自分でどうにかしようとは考えないように。特に勝手に個性を使うのは禁止です。……いいですね?」

 

 念には念を押すように言ってくるリューキュウ。

 そんなリューキュウの言葉に、俺と峰田はそれぞれ頷く。

 ちなみに俺達にだけこういう風に言って、ネジレちゃんに何も言わないのは、俺達が職場体験なのに対し、ネジレちゃんはインターンだからだ。

 プロヒーローの仮免許を持つネジレちゃんは、雄英の生徒以上、プロヒーロー未満といったような……いや、感覚的にもっとプロヒーローに近いような、そんな立ち位置になる。

 実際、リューキュウの事務所でもネジレちゃんはサイドキックの1人として、きちんと働いているしな。

 そんな訳で、ネジレちゃんの場合は個性を自由に使っても法的に問題ない訳だ。

 だが、俺達は職場体験……あくまでも、リューキュウやマウントレディにしてみれば部外者といった存在となる。

 だからこそ、俺達がするのはあくまでも職場『体験』であって、プロヒーローの仕事ぶりが具体的にどのようなものなのかを見学する為にここにいる訳だ。

 そんな中で俺や峰田が勝手に個性を使うようなことがあったら、それは俺や峰田を受け入れたリューキュウやマウントレディにも監督責任とかそういうのでペナルティを食らってしまう。

 

「はい」

「分かった」

 

 峰田と俺がリューキュウに返事をすると、マウントレディが峰田を引っつかむ。

 マウントレディは巨大化の個性を使っていなければ、160cmちょっとといった……女としては平均くらいか?

 もっとも、このヒロアカ世界においては異形系の女もいて、その身長は2mとか3mとかあっても不思議ではないが。

 そういう意味では、女の平均とかそういうのは俺の知っている平均とは大きく違う訳だ。

 もっともそれを言うのならマクロス世界とかでもゼントランディやメルトランディ、他にも色々な異星人がいるので、身長の平均とかは信用出来る数字ではないが。

 ともあれ、そんな身長のマウントレディだったが、峰田はマウントレディと比べてもかなり小さい。

 であれば、こうしてあっさりと手荷物のように持たれるのはおかしな話ではなかった。

 

「さて、じゃあ私と一緒に組む時に残念そうな顔をしていた理由を、しっかりと聞かせて貰いましょうか」

「あ……そ、それは……アクセル、オイラを助けてくれぇっ!」

 

 俺を見て叫ぶ峰田だったが、それに関わると間違いなく面倒な事になるだろうと判断した俺は、そっと手を振ってマウントレディと峰田を見送るのだった。

 

「さて、じゃあ私達も行きましょうか」

 

 マウントレディと峰田を見送ったリューキュウは、俺とネジレちゃんに向かってそう言ってくる。

 

「行こう、行こう」

 

 リューキュウに対し、嬉しそうに言うネジレちゃん。

 今のやり取りを理解出来ていないのか、それとも理解していて自分には関係がないからと思っているだけか。

 その辺りは生憎と俺にも分からなかったが、ともあれ俺達も保須市を見て回る事にする。

 

「ああ、そうそう。アクセル?」

「ん? どうした?」

 

 歩き始めてすぐに、リューキュウが声を掛けてくる。

 何だ? と言葉を返すと、リューキュウは笑みを浮かべて言葉を続けた。

 

「さっき言った個性を使っちゃ駄目だという話だけど、アクセルの場合は公安から特別に許可が出てるから、個性を使っても問題ないわよ」

「……いいのか?」

「まぁ、公安はアクセルの強さを知ってるし、ヒーロー殺しの件でも期待してるんでしょうね」

 

 そう言うリューキュウに、どう反応すればいいのか分からず、適当に誤魔化すのだった。

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