転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4457話

 ヒーロー殺しと戦った日の翌日……病院で出る味気ない食事を食べた俺達は暇を持て余していた。

 TVでは昨日の保須市やヒーロー殺しの件を大々的にニュースで取り上げられている。

 ……いや、それは別にどうでもいいんだけど、どの局もそのニュースだけをやっているってのは、正直どうなんだ? と思う。

 もっと他の……それこそ同じニュースでも保須市以外のニュースをやってもいいと思うんだが、何故か隅田川にアザラシが来たとか、レッサーパンダの威嚇特集とか、そういうのしかやっていない。

 そういうののコーナーもすぐに終わり、また保須市のニュースになるし。

 ドラマとかそういうのをやってもいいと思うんだが。

 あ、でもドラマとかでも途中からだから、それを見ても分からないか。

 なので、やる事はせいぜいがネットを見て回る事なんだが……うん、掲示板では俺のスレが立っており、活発に書き込まれていた。

 ……まぁ、昨日相澤とも話した時に話題になったが、俺がヒーロー殺しを倒した最後のシーンとかでかなり分析されている。

 というか、既にスレの中では当然のようにヒーローコスチュームを着ていたのがアクセル・アルマーだと、体育祭で優勝した人物と同一人物だというのは完全に突き止められている。

 とはいえ、それは別におかしな話ではない。

 マントとかはともかく、顔は目の周囲だけを覆っているマスクなのだから。

 つまり、顔の殆どは隠されていない訳で、そうなると映像でヒーロー殺しを倒した人物がアクセル・アルマーだと判明するのはおかしくはない。

 まぁ、それはいいんだけど、俺の個性の分析であったり、あの場にいた緑谷、轟、飯田、峰田といった面々についての話題もあったりで、本当に目まぐるしく掲示板の話題は変わっていく。

 

「お、峰田が何だか人気高いぞ」

「え!? オイラがか!?」

 

 スマホを見ていた俺の言葉に、峰田が素早く反応する。

 ……そういえば、こうしてスマホを使っていて今更の話だが、病院の中って基本的にスマホとか禁止じゃなかったっけ?

 まぁ、このヒロアカ世界は個性関係で技術が進んでいるんだろうから、その辺は問題ないのかもしれないけど。

 

「ああ。可愛いって評判だな。……あ」

 

 峰田にそう言ったところで、体育祭での峰田の所業が書き込まれる。

 それを見た者達が初めて知ったのか、それとも思い出したのか、とにかく峰田の評判は一瞬上がったと思ったら、次の瞬間には思い切り下がってしまう。

 

「ちょっ、おいアクセル!? 一体今の『あ』ってのは、何だよ!? 嫌な予感しかしないんだけど!」

「正解。体育祭の時のやらかしが……ん? あれ?」

「……おい? 何かまた嫌な予感があるんだけど……またオイラに何かあったのか?」

「ああ、いや。これはちょっと違う。ただ、俺のスレに書いてる中に、多分雄英の生徒がいるな。峰田が色々な学科に顔を出してはナンパとかセクハラをしてるってのが書かれている」

 

 実際には雄英に通っている友人や家族といった相手からの情報かもしれないが……書かれている内容を見てみると、何となく雄英の生徒っぽいんだよな。

 まぁ、別に掲示板に雄英の生徒がいてもおかしくはない……あ、囲め囲めとか言われてるな。

 

「えっと、アクセル君。その……僕の事なんかも書かれてたりするの?」

「緑谷は……それなりに書かれているな。もっとも、緑谷の専用スレがあるから、そっちの方がもっと詳しいと思うけど」

「専用スレ!? 僕の!?」

 

 自分の専用スレがあるというのは予想外だったらしく、緑谷が叫ぶ。

 とはいえ、緑谷も体育祭で最終種目のトーナメントまで残り、しかも1回戦は勝っているんだから、専用のスレがあってもおかしくはないと思う。

 ……ちなみに、爆豪のスレはもの凄い勢いで伸びている。

 まぁ、うん。色々とアレな奴だしな、爆豪。

 他にも三奈や茨、葉隠、麗日……後はサポート科の女のスレもそれぞれ立っている。

 特にヤオモモとサポート科の女のスレはかなりの伸びだ。

 その理由については……うん。

 三奈もそれに続くくらいに伸びているのを思えば、何が理由でスレが伸びているのかは分かりやすいだろう。

 そうして話をしていると、不意に病室の扉がノックされる。

 即座に飯田が返事をすると……

 

「あ、グラントリノ!?」

 

 入ってきた人物の顔を見て、緑谷が叫ぶ。

 他にも、俺が初めて見るプロヒーローの姿もあったが、これは飯田が職場体験で行っていた事務所のプロヒーローらしい。

 

「元気そうだな、怪我人ども」

 

 グラントリノの言葉に、緑谷が何と言えばいいのか分からないような表情を浮かべる。

 そうして緑谷とグラントリノが話を続け、そしてマニュアルと飯田も軽く挨拶をしていると……また新たな人物が病室に入ってきた。

 って……えー……こういうタイプもありなのか。

 顔が犬の人。

 顔が犬なら、手や足も犬であってもおかしくはないのだが、そちらは普通の人型だ。

 明らかに違うのは、やはり顔だけ。

 その顔も、俺の目から見れば……うん人面犬ってのが昔あったと思うけど、その反対的な感じか?

 

「保須警察署署長の、面構犬嗣さんだ」

『署長!?』

 

 グラントリノの紹介に、俺を含めた全員が驚きの声を上げる。

 いやまぁ、ヒーロー殺しの件を思えば、署長という立場の者が来てもそうおかしくはないのだが。

 

「君達がヒーロー殺しを仕留めた雄英の生徒だワンね」

 

 ワン……いや、あざとすぎないか?

 自然と出た言葉なのか、それとも犬の顔という事でキャラを作っているのか。

 その辺りについては、生憎と俺には分からない。

 ……まぁ、本人もワンと口にして特に気にしていない辺り、多分自然なものだろう。

 

「ヒーロー殺しだが、重度の骨折と内臓損傷で現在厳重治療中だワン」

「……アクセルの拳を食らってたしな」

 

 轟の言葉に、他の面々も同意するように頷いていた。

 いや、それは……うん。まぁ、否定は出来ないけど。

 

「超常黎明期……警察は統率と規格を重要視し、個性を武に用いないことにした。そしてヒーローはその穴を埋める形で台頭してきた職だワン」

 

 その言葉に、緑谷や飯田は真剣な表情で頷く。

 俺もまた、この世界に来て龍子の事務所に居候としている時に、その辺りについては調べた。

 警察の考えも分からないではないが……その結果として、今の一般的な常識では警察というのはプロヒーローの下請けや後始末役的な存在なんだよな。

 正直、それはそれで分からないでもないけど。

 一般市民の中には、ヒーロー科に落ちた者、あるいはヒーロー科を卒業したものの、プロヒーローになれなかった者が警察に行くという風に認識している者も多い。

 もっとも、これはあくまでもネットで調べた限りの話なので、これが完全に正しいといった訳ではないのだが。

 

「個人の武力行使……容易に人を殺せる力。本来なら糾弾されてしかるべきこれらが公に認められているのは、先人達がモラルやルールをしっかりと守ってきたからなんだワン」

 

 そう言い、署長が個性の使用許可を貰わずにヒーロー殺しと戦った件について、注意してくる。

 俺は一応龍子から許可を貰っていたんだが……何だか流れで一緒に注意されてるな。

 その後もルールの遵守とかそういうのについての問答があったものの……

 

「それで、相澤先生から話を聞いていると思うが……今回のヒーロー殺しについては、アクセル君が倒したという事になるワン」

「すまねえな、本来ならエンデヴァーに任せようと思ったんだが……」

 

 署長に続き、グラントリノもそう言って俺に謝ってくる。

 そんなグラントリノの言葉で、何に謝っているのかについてはすぐに理解出来た。

 

「仕方がないですよ。映像がもうネットに上がっている以上、どうしようもないですし。それに……こう言ってはなんですけど、俺がヒーロー殺しを倒したというのは、これからの俺にとってプラスになる事も多いですし」

「……お前さん、前向きだな。だが、ヒーロー殺しを倒したって事で、マイナスになる可能性も十分にある……いや、ほぼ間違いないんだぞ?」

 

 グラントリノが念を押すように言ってくる。

 まぁ、うん。その件については、グラントリノが言う通りだろう。

 さっき見ていたネットの掲示板、その中でも俺についてのスレでは、俺がヒーロー殺しを倒したという事で大きく盛り上がっていた。

 だが、ネットの中にはヒーロー殺しの言葉に感銘を受けた者がいて、一種のカリスマ性を感じている者もいた。

 そのような者達にしてみれば、自分達がカリスマ性を感じたヒーロー殺しを倒した人物という事で、俺を敵視している書き込みも多い。

 グラントリノが言っているのは、そういう連中に関しての事だろう。

 ネットでヒーロー殺しを倒したという事で俺を叩いている者達は、俺を狙ってくるだろう。

 とはいえ、せめてもの救いはそういう連中はヴィランではないという事だろう。

 ヒーロー殺しが重要視していたのは、あくまでもヒーローであって、ヴィランではない。

 そういう意味では、現在俺を叩いている者はあくまでも一般人でヴィランではないので、今回の件が理由でヴィランに襲撃されるといった心配はない。

 まぁ、中にはヒーロー殺しに心酔して俺を狙ってくる一般人や……後はヴィランもいるかもしれない。

 

「何かあったらこっちで対処は出来ますので大丈夫ですよ。一般人が襲ってきたりしても、個性を使わないで取り押さえればいいだけですし」

 

 個性を使って取り押さえるのは問題かもしれないが、それなら個性を使わないで鎮圧すればいい。

 もっとも、俺の個性である混沌精霊は増強系の個性であると多くの者に認識されている。

 そうなると、それはそれでちょっと問題ではあるんだよな。

 何しろ俺の個性は見て分かるようなものではない。

 俺が個性を使っているのかいないのか、その辺は傍から見ても分からないのだ。

 これで轟や峰田、飯田のように個性を使えば一目で分かるような個性の類であれば、俺が個性を使ったかどうかは分かりやすいのだが、増強系の類は個性を使っても分かりにくいのが、この場合は難点だった。

 もっとも増強系と一口に言っても、個性を使えば分かりやすかったりする奴もいるのだが。

 ただ、俺の場合はそういうのじゃないんだよな。

 

「……まぁ、そういう馬鹿は多少痛い目に遭ってもいいのかもしれねえな」

 

 グラントリノがそう言ってくるのは、少し予想外だった。

 てっきり鎮圧する程度ではあっても、一般人に手を出すのは駄目だとか、そういう風に言われるのかとばかり思っていたんだが。

 まぁ、俺にとっては悪くない事なのは間違いないけど。

 

「とにかく……アクセル君以外の君達の行動は、今回は何とかなったが、もし彼がいなかった場合、君達だけではなく君達を預かっていた者達も処罰の対象となる事もあるのを承知して欲しいワン」

 

 そう言われると、緑谷と飯田は真剣な表情を浮かべる。

 この2人は真面目な……いや、生真面目と言ってもいい性格をしているので、それを思えばこういう表情になるのもおかしくはないのだろう。

 轟と峰田は……こっちもそれなりに真面目な表情をしているが、若干不満そうな様子がある。

 とはいえ、この様子だと結局特に問題がないままで終わるのだろう。

 それについては、ありがたい。

 その後も色々と話をしたりはしたのだが、叱られる……というよりも、窘められるといった表現が相応しいやり取りが行われる。

 そうして一通りの話が終わったところで……

 

「おい、坊主」

 

 グラントリノが俺にそう声を掛けてくる。

 

「はい? 何です?」

「ちょっといいか? 少し、話をしたい」

 

 真剣な表情でそう言ってくるグラントリノ。

 そんなグラントリノにどのように反応すればいいのか迷う。

 とはいえ、グラントリノは緑谷の職場体験先……つまり、恐らくだが原作でも存在したのだろう登場人物で、しかも俺の予想ではオールマイトの仲間といった人物だ。

 

「えっと、俺としては構いませんけど……?」

 

 そう言いながら、署長に視線を向ける。

 この場で一番偉い……権力を持っているのは、この署長だ。

 なら、グラントリノと一緒に移動してもいいかどうかを認めるのは、署長だろう。

 もっとも、だからといって絶対に駄目だとか、そういう風に言えるような権力はないのだが。

 

「構わないワン。こちらの用事も全て終わったワンから」

 

 そう署長が言ったので、俺はグラントリノと一緒に病室を出て……到着したのは、昨日相澤と話をした会議室。

 どうやらグラントリノは前もってこの部屋を使えるように病院に頼んでいたらしい。

 まぁ、休憩室とかそういう場所はまた人が一杯だしな。

 ただ、昨日は病室に入りきらない、あるいは軽傷の者達が一度そっちで待機していたのに対し、今日は入院した者達の見舞いに来た者達とか、入院した患者の付き添いとか、そういう者達がそこにいたので、この会議室を取ったのだろう。

 そうして会議室に入り、椅子に座ったところで……

 

「お前、AFOの手の者か?」

 

 そう、グラントリノは聞いてくるのだった。

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