転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4458話

 AFO……オールフォーワン?

 グラントリノの口から出たのは、俺にとって全く理解出来ない単語だった。

 全ては1人の為に?

 最初は暗号化何かかと思ったのだが、その手の者といった表現が出たという事は、それはつまりAFOというのは勢力なり特定の人物を示すなり、そんな感じの奴なのだろう。

 もっとも、それが具体的にどのような人物なのかは分からないが。

 

「えっと……AFOって誰の事です? 残念ながら、そういう人? 勢力? とにかく初耳ですけど」

「……」

 

 俺のその言葉に、グラントリノは黙ってこっちを見てくる。

 俺の言葉が真実なのか、それとも嘘なのか。

 それを見抜こうとしている感じだ。

 とはいえ、実際に俺はAFOというのは知らない訳で……リューキュウ辺りなら知ってるか?

 もしくは、それで駄目なら公安なら知ってるかもしれないな。

 何しろ公安は、プロヒーローを纏める組織だ。

 そしてこの話の流れからすると、多分だがAFOというのはヴィランかヴィラン連合のような組織なのだろうし。

 ただまぁ、口には出さないまでも、どんな相手なのかは何となく予想出来る。

 原作的な流れで考えた場合、恐らく……いや、間違いなく原作主人公である緑谷が戦うべき相手なのだろう。

 

「そうか。どうやら嘘を吐いている様子じゃねえみたいだしな」

 

 たっぷりと数分の沈黙の後、グラントリノがそう言ってくる。

 ようやく俺の言葉を信じたらしい。

 もっとも、どこまでその言葉通りなのかまでは、俺にも分からなかったが。

 

「それで、そのAFOってのは、一体何……誰なんですか?」

「いや、知らねえのなら、わざわざ知る必要はない名前だ。それこそ聞いただけで面倒に巻き込まれるような、そんな奴の名前だしな」

 

 奴……なるほど。勢力ではなく、AFOってのは個人の名前な訳か。

 しかもグラントリノの言い分からすると……恐らくはラスボス的な存在か。

 つまり、原作主人公の緑谷が倒すべき敵が、AFOなのだろう。

 そのAFOについてもう少し詳しい説明を聞きたいところだが……グラントリノの様子を見る限りだと、こっちが話を振ってもそれに答えるとは思えない。

 これでグラントリノが力ずくで俺とAFOとやらの関係を聞こうとしてきたりすれば、こっちも反撃して、情報を聞き出したりも出来るんだが……生憎と、グラントリノがそういう事をするようには見えない。

 となると……緑谷だな。

 今が原作の流れでどのくらいの場所なのかは、生憎と俺には分からない。

 だが、それでもこうしてAFOといった名前が出てくるという事は、恐らくは緑谷もAFOについてはそれなりに知識を持っていてもおかしくはない。

 ……あれ? 原作主人公なんだし、緑谷が実はまだAFOについて何も知らないって事はないよな?

 そうなったら、俺の方では手掛かりが途切れてしまう。

 いざとなれば公安に話を持っていくといった方法もあるけど、そうなると俺がAFOについて知っている、あるいは興味を抱いているといったことを公安に知られてしまうんだよな。

 いやまぁ、それはそれで仕方がないとは思うけど。

 今の俺と公安は、かなり良好な関係を築いているし。

 であれば、公安からも普通に情報を貰える筈だった。

 

「分かりました。なら、これ以上は何も聞きません」

 

 聞いてもグラントリノが口を開かない以上、ここで聞いても無駄だろうしな。

 それでも……予想は出来る。

 ヒーロー殺しと脳無の件でAFOについて聞くという事は、そのどちらかがAFOと繋がっているのは間違いないと思う。

 そしてどちらがその可能性が高いかとなると……やはり脳無、ヴィラン連合だろう。

 ヒーロー殺しはヴィランではあるし、偏った考え方を持っていたが、それでもヒーローの側についての話をしていた。

 それを思えば、やはりUSJで出て来たヴィラン連合がAFOの手の者と考えるのが自然だろう。

 もっとも、だからといってそれが本当に正しいかどうかは分からない。

 これはあくまでも俺の予想でそうなっているというだけなのだから。

 

「そうしてくれ。そして、この話については忘れるんだな」

 

 そう言うと、グラントリノは立ち上がり、俺を促して会議室を出ていくのだった。

 

 

 

 

 

「アクセル……心配はしていなかったけど、大丈夫だったようね」

 

 グラントリノ達が帰ってから少し経ち、3時くらいになったところで龍子が病室に顔を出す。

 

「ああ、俺なら問題ない。それで、龍子だけか? 優は?」

「……ちょっと始末書をね」

「は? ……一体何をやらかした?」

 

 優の性格を思えば、それこそ何をやらかしても不思議ではない。

 だからこそ、一体どうしたのかと聞いたのだが、珍しく龍子はそこまで怒っている様子ではない。

 

「脳無だったかしら? それが暴れて、ビルが崩れて落下してきそうになったのを、マウントレディが巨大化して止めたのよ」

「それはまた。……うん? 何でそれで始末書を?」

 

 龍子からの話を聞く限りでは、特に何らかの問題があったようには思えない。

 それこそ何故始末書を書くのかと疑問に思っていると、龍子は苦笑を浮かべつつ言葉を続ける。

 

「ビルの崩落を防いで人助けをしたのはいいんだけど、巨大化する際に急いでいたんでしょうね。近くにあった建物や車に被害を与えたのよ」

「でも、それはビルの崩落を防ぐ為だったんでしょう? なら、マウントレディが怒られるような事は……」

 

 俺と龍子の話を聞いていたのだろう。

 トップヒーローの1人という事で目を煌めかせながら龍子……リューキュウについてブツブツと呟いていた緑谷は、今の話を聞いてそう言ってくる。

 ……まぁ、今日の午前中に署長からもその辺について色々と言われていたし、その辺りで色々と気になるところもあったのだろう。

 

「貴方は、アクセルのクラスメイトよね? 体育祭で見たわ」

 

 龍子の言葉に、緑谷の顔が興奮か、嬉しさか、とにかく赤くなる。

 オールマイトオタクにして、ヒーローオタクの緑谷にしてみれば、龍子が自分の事を知っていたとは思わなかったのだろう。

 原作主人公なんだから、その辺についてはそれなりに覚えていてもおかしくはないと思うんだが。

 

「は、はい。リューキュウに名前を覚えて貰っているなんて……」

 

 感動した様子の緑谷だったが、そんな緑谷を見た龍子は小さく笑みを浮かべる。

 龍子はその美貌から男に人気があるし、凜々しい系の美人という事で女からも人気がある。

 また、ドラゴンに変身出来る個性ということで子供からも人気がある。

 そうして幅広い層に人気のある龍子だけに、緑谷のような反応は珍しくないのだろう。

 ……ちなみに人気があるという点では優も同じなのだが、優の場合は男と子供に人気が偏っている。

 若い男の場合は、優の美貌に。

 子供の場合は巨大化という個性に。

 だが……若い女の場合、男に媚びているという事で、あまり人気は高くないらしい。

 この辺が龍子が次のヒーロービルボードチャートでトップ10は確実だと噂になっているのに対し、優は上位に入るもののトップ10には入れない理由だろう。

 もっとも、その辺については優も仕方がないと諦めているというか、認めているというか……そんな感じなのだが。

 優は自分が女受けしないのは十分に理解している。

 勿論、女受けしないからといって、ヒーロービルボードチャートでトップ10に入れない訳でもないのだが。

 その典型的な例が、エンデヴァーだろう。

 ネットして調べた限りだと、エンデヴァーはファンサービスの類も殆どしないのや強面で高圧的な言動をする事もあり、決して人気は高くない。

 だが、そんなエンデヴァーはヒーロービルボードチャートにおいて、常に2位なのだ。

 それはつまり、人気以外のところで点を稼いでいるのだろう。

 もっとも、世の中には物好きな者もいる。

 多くの者がエンデヴァーのファンではなくても、中にはそれがいいと、エンデヴァーのファンがいてもおかしくはない。

 とはいえ、それはあくまでも少数だろうが。

 とにかく、優がヒーロービルボードチャートの上位だけではなく、最上位とも呼ぶべきトップ10に入るには、今は支持されていない女達からの人気を貰えるようにするか、あるいは存分に仕事をこなし、それによって点数を稼ぐしかない訳だ。

 ……俺が知っている優の性格からすると、どっちも難しいように思えるけど。

 とはいえ、それはそれで優らしいが。

 これで優がエンデヴァーのような感じになったりしたら……うん、色々と、本当に色々と不味い事になりそうな気がする。

 それこそ今支持してくれている若い男達も離れていってもおかしくはない。

 

「とにかく……アクセルも峰田も無事で何よりだったわ」

 

 俺と峰田の顔を見て、安堵する龍子。

 とはいえ、その安堵の大半は俺ではなく峰田が無事だったことについでだろうが。

 何しろ俺は、龍子と優、ねじれの3人全員を相手に……それも個性を万全の状態で使った上でも模擬戦で勝利出来る強さを持っている。

 純粋な強さという意味では、ヒーロー殺し1人と龍子達3人のどっちが強いのかは考えるまでもないだろう。

 ……もっとも、模擬戦と実戦では大きく違うが。

 それに、戦い方によっては単純に巨大化する優と、ドラゴンになって人の時よりも大きくなる龍子は、血を舐めれば動けなくするという個性を持つヒーロー殺しにとっては、戦いやすい相手だろう。

 ただ、自由に空を飛べるねじれは、ヒーロー殺しにとっては天敵とまではいかないが、戦いにくい相手であるのは間違いなかったが。

 

「心配してくれて嬉しいよ。ただ、それにしては来るのがちょっと遅くないか? 昨日……とまでは言わなくても、緑谷と飯田が職場体験に行ってるヒーローは午前中にはもう来てたぞ」

「ちょっ、アクセル君!? 僕の場合は、グラントリノがもうプロヒーローとしてはあまり活動してないから、暇だったんだと思うよ!? リューキュウとは違うってば!」

 

 緑谷が叫ぶように言う。

 ……ちなみに、飯田もまたそんな緑谷の言葉に無言で頷いていたので、意見は同じなのだろう。

 

「ありがとう。アクセルと違って優しいわね。……まぁ、そんな訳で有名なだけに、色々と忙しかったのよ。それに、私もマウントレディも、大きくなれるから瓦礫の撤去は向いていたのよ」

「なるほど」

 

 言われてみれば、納得出来る。

 とはいえ、巨大化の個性を持つ優ならともかく、ドラゴンになった龍子が瓦礫の撤去に向いているとは思えないけど。

 まぁ、優は始末書の件もあるから、そういう意味でも病院に来られなかったのかもしれないけど。

 ちなみに優が来ないということで、峰田は微妙に安堵しているように見えた。

 ヒーロー殺しのいる場所に向かう時、途中で俺が掻っ攫ってきた時はそこまで優を相手に拒否反応を起こしたりはしていなかったんだが。

 それとも、あの時は避難誘導で忙しかったから、優を怖がっている理由はなかったのか。

 ……本当に一体何があってあの峰田がここまで女怖いといったような状況になるのか、ちょっと不思議だな。

 

「まぁ、優が来ない理由は分かった。それで、龍子が来たという事は、保須市の忙しさも一段落したのか?」

「ええ、そっち方面が得意なプロヒーローとか、もしくは消防署の人達が来たから。そうなると私は邪魔になるでしょうし」

「そうかもしれないな」

 

 実際にそれが本当なのかどうかは、俺にも分からない。

 ただ、消防署の職員とかは、基本的に男が多い。

 勿論、女が誰もいないって訳ではないだろうけど。

 このヒロアカ世界でも、男女の身体能力差はある。

 しかし、同時にこのヒロアカ世界には個性というのもあった。

 特に異形系の場合は常人よりも高い身体能力を持つ事が多いし、あるいは異形系ではなくても、個性を使う事によって本来の身体能力以上の実力を発揮出来たりもする。

 ねじれなんかが、その分かりやすい例だろう。

 空を飛べるようになっているのだから。

 そんな訳で、何気にこのヒロアカ世界においては女もかなり社会進出している。

 それこそ建築関係の仕事だったり、あるいは土木工事の仕事だったりと、他の世界では女がいない訳でもないが、男の方が圧倒的に多いような職場であっても、このヒロアカ世界においては個性のお陰でそういう仕事をしている女も多かったりする。

 とにかくそのような専門職の者達が来たのなら、龍子がいても邪魔になるだけだと判断してもおかしくはない。

 

「それで、これからのことだけど……」

「これから? ああ、明日以降って事か?」

「ええ、そうよ。見たところアクセルは怪我をしていないし、峰田も……いえ、他の子達も軽傷程度の怪我である以上、本人が希望するのなら職場体験に戻ってもいいという事らしいわ」

 

 その言葉に、緑谷は嬉しそうな表情を浮かべる。

 それだけ、職場体験で得る物があったのだろう。

 もっとも、峰田の方は……うん、取りあえず峰田の件については考えない事にするのだった。

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