転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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番外編193話 SEED FREEDOM編 第06話

 取りあえず、シャドウミラーとして協力する事に決まった。

 そうなると、まずはゲートをどこに設置するかとなるのだが……

 

「やっぱりオーブだろうな」

 

 そう言う。

 絶対にオーブでないといけないという事はない。

 ないのだが、個人的にはやっぱりSEED世界でゲートを設置する場所となると、オーブが一番やりやすい。

 

「いや、けどよ。そもそもの話どうやってオーブまで行くんだ? 俺達だってオーブには出来るだけ早く行きたいと思ってるけど……」

 

 ムウが困った様子でそう言ってくる。

 何だかんだと、コンパスの面々の拠点……というか、心の拠りどころ? はオーブになるのだろう。

 そんなオーブに行きたい、あるいは戻りたいと口にするムウ。

 他の面々もそんなムウの言葉に同意するように頷いていた。

 は? と疑問に思ったものの、この世界は俺の知っているSEED世界ではないのだと、改めて思い直す。

 これがもし俺の知っているムウとかなら、それこそすぐにでも俺が何を言いたいのか分かると思うんだが、そもそもその辺りの知識がない以上、まずはそれを話す必要がある。

 

「オーブに行くだけなら、手段は幾つかある。まず俺の機体……ニーズヘッグはアギュイエウス……システムXNという転移装置を積んでいるから、それを使えば一瞬にしてオーブまで転移出来るんだが……」

「おい? 何だその尻切れトンボな様子は」

 

 ムウの言葉に、その表現は正しいと納得しながら口を開く。

 

「俺の知っているSEED世界……ああ、忘れていたが、俺達が関与したお前達の世界はそういう呼称になっている」

 

 そう言うと、キラ、アスラン、シンがそれぞれ微妙に反応する。

 あれ? キラやアスランはSEEDを発現させているので、SEED世界という名称に反応するのは分かるんだが……シンもなのか?

 これは正直なところ、ちょっと意外だった。

 そう思いながら、話を続ける。

 

「とにかくアギュイエウスを改良して、テストして異世界のSEED世界に転移しようとしたところ、この世界にやってきた訳だ。そうなると、アギュイエウスを使うのは止めておいた方がいい」

「なら……」

「方法は幾つかあると言っただろう?」

 

 不満そうに何かを言おうとしたムウだったが、それを遮るように言う。

 ムウは俺の言葉に黙り込み、話を聞く態勢となる。

 

「もう1つは、俺の魔法だ」

「……え? 魔法?」

 

 メイリンが俺の言葉にそう反応する。

 少しだけ興味深そうな色があるのは、恐らくそれだけ魔法に興味を持っているのだろう。

 とはいえ、他の面々も信じられないと思いながらも、何人かの目には好奇心の色がある。

 

「ああ、魔法だ。俺達シャドウミラーは、色々な異世界と接触している。それはこの世界のようにMSを使う科学技術の世界もあれば、あるいは剣と魔法のファンタジー世界もある。で、俺はそういう世界で魔法を使えるようになって、その魔法の1つに影のゲート……転移魔法がある」

 

 その言葉に、部屋にいる者達はざわめく。

 魔法というだけでも信じられないだろうに、そこに転移魔法とくればもっと信じられなくてもおかしくはない。

 

「論より証拠だな。……やっぱりここはムウでいいか」

 

 そう言い、ムウに近付く。

 するとムウは、俺の言葉に何かを感じたのだろう。

 すぐに逃げだそうとするが……身体能力で俺に敵う訳もなく、あっさりと捕まえられる。

 

「ほら、逃げるなって、エンデュミオンの鷹の名が泣くぞ」

「そっちの俺もそう呼ばれるのかよ!?」

 

 暴れるムウだったが、俺は掴んだまま影のゲートを発動させる。

 部屋にいる他の面々は、どうするべきか迷っていた。

 これで俺が明確な敵なら、あるいはムウが捕まったのを見て即座に攻撃してきてもおかしくなかったかもしれないが、幸か不幸か俺はブラックナイツとの戦いに乱入し、キラ達の味方をした。

 また、ここで色々と説明をしたのもあって、マリュー達には俺を敵とは認識出来なかったのだろう。

 そうして影のゲートを使い、影に身体が沈んでいき……

 

「え? ちょ……ここどこだよ……って、え? マジか!?」

 

 影のゲートから出たムウは、最初こそ混乱していた様子だったが、周囲の景色を見てここがオーブだと判断したらしい。

 唖然とした表情を浮かべている。

 

「どうだ? これが影のゲート。転移魔法だ。それなりに魔力を消費するけど。俺ならそこまで問題ないしな」

 

 俺の魔力は莫大だ。

 その上で回復するのもかなり早い。

 

「あー……今日だけで俺の常識が破壊されそうだよ」

「気にするな。とにかくここはオーブだ。それは確認出来たな?」

 

 そう尋ねると、ムウが何と言っていいのか分からない複雑な表情で頷く。

 

「ああ、ここはオーブだ。間違いない」

「なら、戻るぞ」

 

 そう言い、再び影のゲートを使い、マリュー達がいる基地に転移する。

 

「ムウ! 大丈夫だった!?」

 

 真っ先にマリューが反応し、他の面々もムウに駆け寄る。

 無理もないか。

 マリュー達にしてみれば、いきなりムウの身体が影に沈んで、その姿が消えてしまったのだから。

 普通に考えて、それで心配するなという方が無理だった。

 

「ああ、安心してくれ。俺は無事だ。それより……アクセルが言っている、転移魔法ってのはマジだ。今、俺は一度オーブに行って、それでここに戻ってきたんだよ」

「……幻覚とかじゃなくて?」

 

 ムウの言葉に、マリューはそんな風に尋ねる。

 マリューにとっても、ムウが消えたのは間違いないものの、それで本当にオーブに行っていたというのは、素直に信じられないらしい。

 特にキラが精神干渉をされたという話を聞いた以上、その辺について心配するのはそうおかしなことではない。

 

「いや、幻覚とかそういうのじゃなかったと思う。あくまでも俺がそう思っているだけで、アクセルに騙されている可能性はない訳じゃないけどな」

「安心しろ、そういうのは今のところないから。……とはいえ、その辺について信じて貰えないとなると、ちょっとな。いっそ、オーブに転移してカガリとか、そういう連中に会って話してみるか? そうなれば、さすがに幻覚とかそういうのじゃないって分かるだろうし」

「待ってくれ、何でそこでカガリが出る!?」

 

 カガリにと口にした俺に、アスランが勢い込んでそう叫ぶ。

 まぁ、アスランの立場としてはそういう反応をしてもおかしくはないのか。

 ……もっとも、アスラン本人は気が付いているのかどうか分からないが、メイリンが微妙に不満そうな様子を見せているぞ。

 

「この場にいない中で、さっきムウに見せたのが幻影じゃないと説明するにはそれで間違いないだろう? ……とはいえ、正直なところいつまでもここにいるのは不味いと思うし、早くその辺を決めた方がいいと思うけどな」

 

 そう俺が言うと、マリューが口を開く。

 

「じゃあ、私が行きましょう。カガリさんじゃなくてエリカと会うのならいいでしょうし」

 

 エリカ……エリカ・シモンズか。

 俺達の世界でもオーブにいたな。

 アストレイの開発を担当していた技術者だったと思う。

 

「なるほど、俺はそれで構わないけど……問題なのは、エリカがどこにいるのかだろうな」

 

 これがカガリの場合は、国家主席という立場である以上、どこにいるのかという情報は入手しやすい。

 それこそTVとかを見れば、すぐに分かるだろう。

 もしくはネットのニュース記事か。

 だが、エリカの場合は立場こそそれなり……それなりなんだよな? この世界のエリカが現在どんな立場にいるのかは分からないが、とにかくアストレイの開発者なんだから相応の地位には就いていると思うんだが。

 ……可能性があるとすれば、モルゲンレーテとか?

 

「連絡をすれば問題ないわ」

 

 そう言うマリューだったが、それはそれで面倒は事になるような気がしないでもない。

 具体的には、今回の一件……ファウンデーションが核ミサイルによって壊滅したのは、コンパスの仕業という事になっている。

 その辺はネットを見たり、ニュース番組を見たりすればすぐに理解出来た。

 そんなコンパスに所属しているマリューがエリカと会おうと思って連絡をすれば、盗聴とかそういうのがされていた場合、すぐにどこにいるのかといった事を知られる可能性が高い。

 ……まぁ、もしそういうことになったとしても、俺がどうにかすればいいだけではあるんだが。

 それにオーブでもし見つかっても、敵の数はどうしても少なくなるだろうし。

 そう考えれば、やはりここはオーブにマリューを連れていくべきか?

 

「分かった。ただし、オーブでエリカに連絡をしようものなら、それを察知した敵が襲ってくるかもしれない。その時は、こっちも相応の対応をするしかなくなるけど、それでも構わないか?」

「……出来れば殺さないで欲しいのだけど」

 

 この辺は俺のマリューとこのマリューの違いだな。

 勿論、俺のマリューも優しさはあるが、敵を殺さないといけない時は容赦なく殺す。

 ……こっちのマリューにもそういうのはあるのだが、それでも俺のマリューよりも敵に対して甘いような気がする。

 

「前向きに善処する方向で検討するよう考慮するよ」

「政治家か、お前は」

 

 俺の言葉にムウが呆れた様子で言う。

 うん、こういう突っ込みをしてくるところはやっぱりムウだよな。

 そんな俺とムウのやり取りを見てか、マリューも少しは気が楽になった様子で俺に近付いてくる。

 

「じゃあ、お願いね」

「分かった。けど、影に沈む感触は人によっては気持ち悪くなるらしいから、気を付けろよ」

「おい、俺の時は何も言わなかったよな?」

「だってムウだし」

「……お前の世界での俺って、どんな扱いになってるんだ?」

 

 それについてはスルーして、影のゲートを発動する。

 

「きゃっ!」

 

 足下の影に沈む感触にマリューの口から小さな悲鳴が上がるものの、それでも混乱したり、逃げたり、暴れたりといった様子はなく……俺とマリューの姿は影に沈んでいくのだった。

 そして次の瞬間、先程ムウが出たのと同じ場所に姿を現す。

 

「これは……本当にオーブね」

 

 影のゲートから出たマリューは、そこがオーブであるとすぐに納得したらしい。

 ムウから聞いていたというも大きいのだろうが。

 

「幻覚とかそういうのじゃないのは理解出来て貰えたか?」

「……ええ、こうして実際に見ると、幻覚とはとても言えないわね。もっとも、私が知らない何らかの方法で幻覚を見せられていると言われれば、反論出来ないけど」

「疑り深いな」

「アクセルにとっても、そのくらいの方がいいでしょう?」

 

 そう言うマリューに、確かにと納得はする。

 これでマリューがあっさりと俺を信じると、それはそれで問題となるだろうし。

 

「好きにしてくれ。それよりもエリカと連絡を取るんだろう? なら、早くした方がいいんじゃないか? 宇宙に脱出したファウンデーションの連中が何をやらかすか分からないし」

 

 国土を核ミサイルによって焼かれた……といった風に見せ掛けているのを考えると、それを下地に何らかの行動を起こすのだろうとは思う。

 問題なのは、それが具体的にどのような行動なのかという事なんだが……とりあえず碌な行動でないのは間違いない。

 

「そうね。じゃあ……少し待っていてちょうだい」

 

 そう言い、マリューはスマホの類ではなく、道端にある公衆電話に向かう。

 この手の公衆電話って、まだあるんだな。

 いや、世の中にはスマホとかを持っていない者も……いる、か? うん。とにかくいるかもしれないし、あるいは何らかの災害があって電波障害とかあった場合とか、そういう時に緊急の連絡用として使ったりするんだろう。

 ともあれ、それを使い……何だか特殊な順番でボタンを押すマリュー。

 なるほど、そういう仕掛けがあるのか。

 ……これ、この世界だけじゃなくてSEED世界のオーブでも使われているかな?

 あるいは、アスランとかもこれを使ってカガリと連絡を取り合っていたのかもしれないな。

 そう思っていると、ふと気が付く。

 俺達の世界のSEED世界出身者についての話は色々としたが、アスランの父親……パトリックについては何も話さなかったし、そもそもアスランに聞かれなかったなと。

 この世界のパトリックがどうなったのかは、俺には分からない。

 だが、俺の世界のパトリックは、最終的にはアズラエル共々ホワイトスターで軟禁されて死んだ。

 別に毒を盛ったとか、死刑にしたとか、そういうのじゃなくて、あくまでも自然死。

 そういう意味では悪くない最期だったと思う。

 この世界のパトリックがどのようにして死んだのかは分からないので、ホワイトスターで死んだパトリックの方が幸せな最期だったとは断言は出来ないが。

 そうだな、一応世界は違ってもアスランはパトリックの息子だ。

 そうである以上、アスランにこの辺の話はしておいた方がいいだろう。

 アズラエルは……まぁ、関係者が出て来たらという事で。

 そう思いながら、俺はマリューが電話を終えるのを待つのだった。

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