転生とらぶる2   作:青竹(移住)

1816 / 2196
番外編197話 SEED FREEDOM編 第10話

「これが、シャドウミラーの戦力……とんでもないな」

 

 カガリがオーブの中に姿を現したシャドウミラーの戦力を見て、唖然とした様子でそう呟く。

 無理もないか。

 コーネリア率いる実働班が乗っている各種機体に、量産型Wの操縦する千機以上のシャドウに、文字通りの意味で数え切れない程に存在するメギロートやバッタを始めとする無人機。

 そしてマリューが指揮を執るニヴルヘイムに、ナタルのシロガネ、円のギャンランド、美砂のワンダーランド、シーラのゴラオン。他にも無人機のカトンボやヤンマも多数存在している。

 ここまででカガリが……そして他にもシャドウミラーという存在について疑問を抱いていた者、本当にオーブと同盟を結ぶに相応しいのかと疑問に思っている者達は、唖然と……ただ、唖然とした様子で見ていた。

 現在俺達がいるのは、オーブの中でも恐らくは最も大きな広場だ。

 それこそ国を挙げてなんらかの式典とかを行う時に使うようなそんな広場であったが……シャドウミラーの戦力は、その広場にも収まってはいない。

 ニヴルヘイムを始めとする軍艦……いや、ニヴルヘイムは軍艦と呼ぶのは違うか?

 とにかくそんな軍艦もとい母艦となる諸々は、場所を取る為に空中に浮かんでいた。

 それでもシャドウミラーの戦力はまだ多数存在し……

 

「嘘でしょ……あれ、アークエンジェル? それに、ミネルバも……」

 

 マリューが新たに姿を現した戦力の姿に唖然とした様子で呟く。

 無理もないか。

 ファウンデーションに嵌められて、この世界のアークエンジェルはブラックナイツによって撃沈された。

 マリューの判断が早かった影響もあってか、怪我人こそ出たが死人は出ていないらしい。

 ……もっとも、それはあくまでも俺に開示された情報なので、実際には死人が出ているのを隠しているだけといった可能性も十分にあるが。

 何しろ、アークエンジェルはかなり自動化されているとはいえ、それでも万全の状態で動かすには相応の人数が必要となる。

 そうである以上、幾らマリューが素早く退艦を命じたとしても、本当に全員……1人残らず退艦出来たかと言われれば……微妙なところだろう。

 ともあれ、そうして撃沈されたアークエンジェルが、そして話を聞いた限りだとこの世界ではシンやルナマリア、メイリンが乗っていたミネルバまでもがいるのだから、それに驚くなというのは当然だった。

 しかもアークエンジェルとミネルバはどちらも量産されている。

 ……正確にはシャドウミラーの技術班が手を入れているので、ただの量産ではなく色々と改修された上で量産されているというのが正しいのだが。

 

「フリーダム……」

「ジャスティスも!?」

「デスティニーに……レジェンドも!?」

 

 キラ、アスラン、シンがそれぞれに驚愕の声を上げる。

 もっとも、キラはフリーダムと呼んでいるが実際にはストライクフリーダムだし、ジャスティスはインフィニットジャスティスだ。

 デスティニーとレジェンドは普通にそのままだが。

 

「アークエンジェルやミネルバを含め、ストライクフリーダムを始めとするMSは、別にこの世界に介入するから用意したって訳じゃない。あれらを使っているのは精霊の卵と呼ばれる……まぁ、シャドウミラーの実働班の下部組織といったところだ」

 

 そう俺が言うと、キラ達が複雑な表情を浮かべる。

 自分達の愛機を使っているのが、下部組織……言ってみれば2軍なのだから、そこには当然ながら色々と思うところだがあるのだろう。

 

「アクセルさん、なら……何でその精霊の卵ですか? その組織はこの世界のMSや軍艦を使ってるんですか? 他にも色々な世界と関係があるんですよね?」

 

 俺の言葉を聞いて、我に返ったのかキラがどう聞いてくる。

 そんなキラの言葉で、他の面々も我に返ったらしくこちらに視線を向けてきた。

 実際、シャドウミラーの実働班はとてもではないがMSとは思えない特機であったり、かと思えばオーラバトラーだったりと、MSであるとは考えられない戦力がこうして揃っているのだから、このような疑問を口にするのは分からないでもない。

 分からないでもないが……だからといって、本当に特に何かこれといった理由がある訳ではない。

 

「まず一応言っておくが、外見はお前達の知っているMSに見えるかもしれないが、色々と改修されている。それこそ核分裂エンジンじゃなくて、核融合エンジン……でもなく、ブラックホールエンジンを使ってるとか、コンピュータのアップデートとか、関節部分の強化とか色々と」

「ブラックホールエンジン……? その、それって名前の通りに本当にブラックホールを使ってるんですか?」

 

 この世界のMSは性能は高いし、使いやすいし……何より精霊の卵が使うには丁度いいという事でそれらを使っているんだが、当然ながらそのままという訳ではない。

 今説明したように、色々と改修をされている。

 外見の違いは殆どないが、中身は別物……とまではいかないな。

 ただ、それでもキラ達が使っていたのと比べるとかなり改修されているのは間違いない。

 

「そこまでして、この世界のMSを使う必要があるんですか?」

「精霊の卵的には都合が良かったというのもあるし、後はタイミング的な問題もあるな」

 

 そう言うと、キラを含めて微妙な表情を浮かべる。

 とはいえ、キラ達だって今回の戦いにおいては新型機を使う事になっているのだが。

 ……いや、正確には新型機じゃなくて改修機といった扱いだったか?

 まぁ、キラの場合は俺がこの世界に来た時の戦いでMSを破壊してしまったので、当然の流れなのだが。

 今にして思えば少しやりすぎたか? と思ったが、ブラックナイツの精神干渉によって半ば錯乱していたので、ああいう風にする必要があったんだよな。

 

「ともあれ、シャドウミラーの戦力は見ての通りだ。ファウンデーションがどういう戦力を用意しているのかは分からないが、取りあえず負けるという事は考えなくてもいいと思うから、気楽に……リラックスしていくとしよう」

 

 ぶっちゃけ、シャドウミラーの戦力だけでもファウンデーションを壊滅させる事は出来る。

 心配なのはコロニーレーザーとはまた別の凶悪な兵器であるレクイエムだが……そのような戦略兵器だけに、細かい狙いを付けるのは難しい筈だ。

 勿論、こうして戦力が集まっているところに攻撃されたりすると、非常に厄介ではあるが。

 

「そう言って貰えると嬉しいです。……ただ、ラクスを早く助けないと」

「その辺は、明日菜に任せると決めたしな。明日菜の強さについては、十分に理解してるだろ?」

 

 そう言うと、キラは複雑な表情を浮かべながらも頷く。

 キラにしてみれば、生身での戦いにおいてはこの世界でも最強格であるアスランが、あっさりと……それこそ赤子の手をひねるかのように負けた光景を見たのだから、明日菜の強さについては何も不満はないのだろう。

 

「それよりも、ファウンデーションに一手仕掛けるって話だったけど、その準備はいいのか?」

 

 個人的には、ファウンデーションが他の勢力……デスティニープランを受け入れないと明言している国と戦っている隙を突けば、こちらとしては非常に楽になる。

 勿論、その場合はMSを使った戦闘ではなく、あくまでもレクイエムなのだが……レクイエムも別に無敵という訳ではない。

 月の裏側に存在するダイダロス基地から、攻撃を曲げる為の中継点として廃棄コロニーを通って、どこにでも攻撃出来るようになっている。

 だが、それはつまり狙いを変える時はその廃棄コロニーを動かして照準を調節する必要があるのだ。

 そしてシャドミラーなら、そのくらいの時間があればどうとでもなる。

 レクイエムは確かに強力だ。

 月の裏側から、廃棄コロニーという中継地点さえ自由にコントロール出来れば、どこにでも圧倒的な威力のビームを叩き込めるのだから。

 それは、ユーラシア連邦の首都であるモスクワが消滅したのを見れば、明らかだろう。

 しかし……それはつまり、中継点となる廃棄コロニーがなければ、意味がないという事を意味してもいた。

 実際にキラ達から話を聞いたところによると、以前レクイエムを使われた時、中継点となる廃棄コロニーを破壊するといった手段で対処したらしいし。

 それなら、シャドウミラーが廃棄コロニーを対処すれば、問題はない。

 勿論ファウンデーション側も中継点となる廃棄コロニーには護衛の戦力を置いているだろうが……ファウンデーションの戦力はブラックナイツのような精鋭はいるかもしれないが、それでもどうしても数が少ない。

 そして廃棄コロニーの数を考えると、ブラックナイツの数は足りないだろう。

 俺に殺された奴もいるし、俺に精神干渉しようとして発狂した奴もいるし……まぁ、発狂した奴はもしかしたら復活してるかもしれないが。

 ……それ以前に、ファウンデーションにしてみればブラックナイツはコンパスとの戦いに使う戦力である以上、廃棄コロニーの護衛に回す事は出来ないか。

 だとすれば、ここはやっぱり廃棄コロニーを先に破壊した方がいいかもしれないな。

 問題なのは廃棄コロニーが具体的にどこにあるのか分からない事だろう。

 とはいえ、分からないのなら探せばいい。

 幸いにもシャドウミラーにはバッタとメギロートといった数の戦力もある。

 特にバッタはメギロート以上に数に特化した無人機である以上、探索にはうってつけだ。

 メギロートも数の点ではバッタに劣るが、その代わりその辺の戦力を相手にした場合は勝てる。

 相手がブラックナイツだと厳しいかもしれないが、ブラックナイツが廃棄コロニーの護衛に回っていたりはしないだろうし。

 

「ええ、この前の戦い……あの時、ファウンデーションが仕掛けた陰謀の証拠があるので。それを使えば、ファウンデーションの今回の一件も失敗……もしくはそこまでいかなくても、大きく足を引っ張られる事にはなる筈ですから」

「その辺については任せる。ただ……モスクワの件もあるから、ファウンデーションに宣戦布告……宣戦布告? とにかく陰謀の証拠があると匂わせるのなら、こちらの戦闘準備が完全に整って、宇宙に布陣してからの方がいい」

「そのつもりです」

 

 俺の言葉に、沈痛な表情を浮かべるキラ。

 何だかんだと心優しい性格なのは、俺達が介入した世界のキラと同じだ。

 もっとも、俺達の世界のキラは俺達が介入したあの戦いが終わった後はMSに乗る事はあっても、せいぜいがオーブ軍の模擬戦の相手で、敵を殺すといった事はしていなかった。

 だが、この世界のキラは2度目の戦争にも参加し、コンパスに所属してからもブルーコスモスの残党と戦っていたりした訳で……これはどっちが幸せなんだろうな。

 とにかく、そうして戦いを続けていてもキラの優しい性格は変わらず、ユーラシア連邦の首都であるモスクワが壊滅……いや、消滅した事に心を痛めているのだろう。

 ましてや、その理由の一端にキラが精神干渉によって半ば洗脳状態になっていたといのもあるのだから、余計に。

 

「そうか。なら、後はとっととこの馬鹿騒ぎを終わらせてしまえばいいだけだな。この馬鹿騒ぎが終わったら、キラも助けたラクスと一緒に暫く休暇を取ったらどうだ?」

 

 コンパスのトップとして、そしてコンパスのMS隊の隊長、最強の戦力という象徴として働いてきたラクスとキラだ。

 長い間、休みらしい休みも殆どないままに働いてきたのだろうというのは、容易に予想出来た。

 だからこそしっかりとした長期休暇をした方がいいと思うのは、俺だけではない筈だ。

 ……実際には以前からそのように思ってはいたのだろうが、忙しくてそれが出来なかったんだろうけど。

 

「あはは、そうですね。アスランにも色々と言われましたし、そうしたいと思います」

 

 キラがそう言いながら、アスランの方を見る。

 アスランに? と疑問を抱いてアスランに視線を向けると、アスランはそっと視線を逸らす。

 えっと、これ……一体何がそうなったんだろうな。

 まぁ、この2人はそれこそ小さい時からの友人同士だ。

 であれば、2人の間で何かあってもおかしくはない。

 それが具体的にどのような事があったのかは……気になるが、今ここで何を言っても恐らくどういう事があったのかといった風に言ったりはしないだろう。

 

「とにかく、何をするにもファウンデーションの一件を解決してからだな」

 

 結局のところ、この戦いはファウンデーションをどうにかすればそれで終わるのだ。

 だからこそ、とっとと片付けてしまった方がいいのは間違いない。

 そして一度戦闘になれば、シャドウミラーの戦力があれば、あっさりと終わる事になるだろう。

 そんな俺の言葉に、キラを含めてこの場にいる者達は真剣な表情で頷くのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。