鏡あきらさん、ありがとうございます。
話数での具体的なタイトル
https://syosetu.org/novel/179815/3.html
人物紹介
https://syosetu.org/novel/179815/14.html
システムXNを使い、宇宙に転移する。
ここに集まっている戦力は、その大部分がシャドウミラーの戦力だ。
それは間違いないのだが、その中にはコンパスの戦力もいるし、オーブの戦力もある。
キラが言っていた陰謀の証拠の件によって、ファウンデーションは現在オーブに攻め込む気満々だ。
とはいえ、レクイエムについてはこっちも戦力を割いて、レクイエムに必要な中継点となる廃棄コロニーを次々と破壊している。
それはいいのだが……
「あの軍艦の情報、欲しいな」
俺がそう口にしたのは、マリューが……こちらの世界のマリューが乗っている軍艦についてだ。
マリューが乗っていたアークエンジェルは、俺がこの世界に来た時の戦いで破壊された。
そうなると、当然ながらマリューには指揮する軍艦がないのだが……幸いなことに、コンパスにはアークエンジェル以外にもまだ軍艦が……それも最新鋭の軍艦があった
それが、ミレニアム。
正式名称はスーパーミネルバ級MS惑星強襲揚陸艦。
その名称通り、ミネルバの後継艦とでも呼ぶべき軍艦だ。
それだけに、シャドウミラーとしても、是非とも入手したい軍艦となる。
新型のMSであったり、このミレニアムであったり。
そう考えると、一種の事故ではあるが、それでもこの世界に来て良かったと、しみじみと思う。
「コーネリア、明日菜はどうなった?」
コーネリアの機体であるラピエサージュに通信を入れると、ニーズヘッグの映像モニタにコーネリアの顔が映し出される。
『心配はいらない、量産型Wやコバッタと共に既にアルテミスに突入準備が出来ている』
そう言ってくるコーネリアの表情に不安の色はない。
それだけ明日菜の実力を信頼しているのだろう。
実際に明日菜を生身で倒すのは、ブラックナイツであっても不可能だろう。
シンから聞いた話によると、ブラックナイツは生身での戦いでもある程度の強さはあるらしいが、それを考えた上でも明日菜を相手にどうにか出来る筈もない。
ましてや、ブラックナイツはファウンデーションの最精鋭なのだから、アルテミスにいるとは思えないし。
「そうか。なら、ラクスの救出は明日菜に任せる。明日菜なら、何があっても対処出来る筈だ」
『それを、直接明日菜に話してやった方がいいのではないか?』
「ん? 何でだ? まぁ、激励するという意味では、そうした方がいいのかもしれないとは思うけど」
『いや、そのような事では……まぁ、その話については、戦いが終わってからだな。アクセルなら問題ないと思うが、気を付けろよ』
「俺を誰だと思っているんだ? ……とはいえ、心配をしてくれたのなら、嬉しく受け取っておくよ」
今回の戦闘においては、いつものように俺が最初に突出する形となる。
……ムウには正面から堂々と戦えば問題ないと言ったものの、その正面から堂々と戦うというのはあくまでもシャドウミラー流での事だ。
つまり、俺がニーズヘッグに乗って突出し、先陣として相手の陣形を崩す。
最初にそれを聞いた時、この世界の面々は全員が反対した。
いやまぁ、普通に考えれば一国の代表が先陣として戦いに参加するというのだから、それこそいつの戦い方だと思ってもおかしくはない。
国を率いる者が1人で先陣を走って戦うというのは……それこそ、どれくらい昔の話だろうな。
第2次世界大戦、第1次世界大戦……いや、それこそ明治維新の時か、それとも戦国時代か。
とにかくそんなくらいまで戻らなければ、国を率いる立場にある者が戦いにおける最前線で戦うといった事はまずないだろう。
だが……一見すれば自殺行為でしかないこの戦術だが、シャドウミラーが戦う上で最善の選択なのは間違いない。
そもそもニーズヘッグは個としても圧倒的な強さを持つ。
何重にも存在するバリアがあるし、PS装甲もある。
そして……何よりも、ニーズヘッグのパイロットである俺は混沌精霊だ。
魔力や気を使った攻撃ではないと、俺にダメージを与える事は出来ない。
つまり、この世界における戦闘においては、万が一……億が一、兆が一にもニーズヘッグが撃破されるような事になっても、俺にダメージを与えるといった事は不可能なのだから。
だからこそ、シャドウミラーの最高戦力であるニーズヘッグを先陣に置き、最初の接触で敵に致命的なダメージを与えれば、それを切っ掛けにしてこちらにとって非常に有利な状況になる。
そんな風に思っている間にも時間が経過していき……
『アクセル、出撃許可が出たわ』
ニヴルヘイムに乗るマリューからの通信。
この戦いにおける主力は間違いなくシャドウミラーなのだが、それでも主役という意味ではコンパスやオーブとなる。
なので、戦力の大半はシャドウミラーだったが、戦いの指揮はこのオーブのカガリが執る事になる。
あるいはコンパスのトップであるラクスがいれば、ラクスが指揮を執っていたのかもしれないが、生憎とラクスはいない。
次点となるとマリューなのだが……やはりマリューよりはカガリの方が地位は高い。
いや、しみじみとこの世界のカガリは凄いと思う。
俺の知っているカガリであれば、とてもではないがそんなことを任せたいとは思わなかったしな。
あ、でも今のSEED世界のカガリなら、あるいはそれその辺もどうにかなったりするのか?
ウズミの下できちんと国を率いる者として、勉強を続けている訳だし。
ともあれ、そのカガリからの出撃許可が出たのなら……こちらとしては、やるべき事をやるだけだ。
「システムXN、起動。……転移フィールド生成開始」
T-LINKシステムを使い、システムXNを起動する。
ニーズヘッグのシステムXN、アギュイエウス。
それはこの世界……原作の流れそのままでここまで来た世界に転移する原因になったのだが、その辺については既にレモンが問題ないようにしているので、今は普通に使える。
もっとも、この世界に来たのだって異世界に転移しようとしてのトラブルだったので、同一世界間の転移は元々問題なかったりしたのだが。
ただ、だからといってこの世界に来た時のように何があるのか分からないのは怖い。
その為、レモンにはアギュイエウスをしっかりと調整して貰っている。
やがて光の繭のような転移フィールドがニーズヘッグを包み込む。
「転移座標入力……OK。転移」
その言葉と共にT-LINKシステムがシステムXNの転移を実行し、次の瞬間ニーズヘッグはファウンデーションの艦隊の真横に転移していた。
アルテミスを中心……というか、後方に置き、その前方に揃っているファウンデーションの部隊。
まさに横殴りといった表現が正しい……まぁ、意味的には合っているようで違っているのだが、とにかくそんな感じの位置に転移した俺は、即座にT-LINKシステムを使って各種武器を準備する。
この、システムXNを使って転移し、開幕ブッパをする戦術は、極めて強力だ。
特にニーズヘッグにシステムXNという転移装置があるのを相手が知らない場合は特に。
ただ……転移フィールドが光の繭のような形なので、そういう意味では……特に宇宙で分かりやすい。
実際、ニーズヘッグが転移してすぐにファウンデーションの艦隊は移動を開始しているし、MSもこちらに向かって来ている。
とはいえ、そこは小国の悲哀。
ブラックナイツの使っているようなMSは最新鋭MSなのだが、それ以外のパイロットが乗っているMSは基本的にはザフトの旧型MSだ。
ジンとかゲイツとか、ちょっと珍しいところではシグーまである。
シグーはジンの正統後継機といった感じのMSなのだが、正式に量産されるよりも前にヘリオポリスの一件があり、ストライク以外のガンダムがザフトに奪われた結果、シグーではガンダムに対抗出来ないという事になり、ガンダムの技術を解析し、ゲイツが開発された。
つまり、製造されたシグーの数はかなり少ない。
そんなシグーを数機、ファウンデーションは持っていたのだから、不思議に思うなという方が無理だろう。
ただ、少しだけ疑問だったのは、ファウンデーションで使っているのはあくまでもザフトのMSなんだよな。
ぶっちゃけ、ジンはMSの始祖という意味ではこの世界では大きな意味を持つが、性能という点ではそこまで高くない。
ストライクの量産型の簡易型であるダガーと同程度だろう。
いやまぁ、ダガーはビーム兵器を持っているので、そういう意味ではダガーの方が上かもしれないが。
とはいえ、当然ながらそんなダガーはすぐに戦場から消えていった。
連合軍ではウィンダムが正式量産機じゃなかったか?
それだって、シンがザフトとして戦った、俺が関与したSEED世界では起きなかった数年前の戦争だ。
そういう意味では、ファウンデーションもジンとかじゃなくてウィンダムを入手出来ると思うんだが。
それでもザフト系のMSを使った理由は性能と値段の関係か、あるいはファウンデーションがザフトの系列……コーディネイターに上位種であるアコードとかいう存在がいるから、その関係か。
その辺りの理由は俺にも分からないが、とにかくそんな感じでザフト系のMSがこちらに向かってこようとするのを見て……
「愛、直撃……食らえ、フルバーストだ」
精神コマンドを使い、T-LINKシステムによってニーズヘッグの武器が一斉に発射される。
ヒュドラに内蔵された、ランツェ・カノーネが2門、T.T.キャノンとメガ・バスターキャノンから放たれた強力なビーム砲。ブラックホール・ランチャーによる重力波砲、グレートグランドマスターキーから放たれた魔法。
他にも腹部拡散ビーム砲と、ヒュドラから放たれたビーム。
……ヒュドラに内蔵されているファントムや、頭部ビームバルカン、尻尾といった射程の短い武器は使っていないが、それでも精神コマンドの愛や直撃を使って放たれたその攻撃は、圧倒的なまでの破壊力を生み出し、ファウンデーションの戦力を食らいつくしていく。
1機が行ったとは思えない、圧倒的なまでの破壊力。
しかも気のせいでなければ、ブラックナイツのMSも何機か攻撃に巻き込まれて撃破されたように見えた。
まぁ、ビームは効果がないブラックナイツのMSだが、それはあくまでも標準の状態での話だ。
精神コマンドの直撃を使った以上、その手の特殊防御は意味がない。
覚醒を使わなかっただけ、慈悲はある。
もっとも、それは別にファウンデーションを思っての事ではない。
こちらの軍勢の動きを考えての事だ。
なので、次に俺がやるべきなのは、このままファウンデーションの横っ腹に突っ込んで相手を混乱させる事。
そのつもりで、ニーズヘッグのスラスターを使って前方に進もうとし……
『ちょっと待った! ストップ、ストーップ! 止まって! 戦闘は一時停止!』
その瞬間、オープンチャンネルでそんな通信が入ってくる。
当然ながらオープンチャンネルである以上、これはニーズヘッグだけではなく、この宙域にいる全ての者達に届いている筈だ。
それこそシャドウミラー、コンパス、オーブ、ファウンデーション……それら全てに関わりなく。
「えっと……?」
いきなりのオープンチャンネルに、俺の口からそんな戸惑いの声が漏れる。
ただし、俺の口から戸惑いの声が漏れたのは、いきなりのオープンチャンネルだったから……ではなく、そこに映し出されているのが明日菜だった為だ。
そんな明日菜の隣には、ラクスが少し困った様子で立っている。
オープンチャンネルだけに、明日菜は別に俺の視線に気が付いた訳ではないだろうが、不意にしゃがむと床に落ちていた何かを持ち上げ、それを映像モニタに表示する。
……それが何か、いや、誰かというのは、コンパスの面々からの情報提供で十分に理解出来ていた。
オルフェ・ラム・タオ。
ファウンデーションの宰相であり、実質的に国を動かしている人物だ。
そのオルフェは現在完全に気絶しており、明日菜に片手でひょいっと持ち上げられるその姿は、まるで人形のようにすら思えてしまう。
ただ、生きているのは間違いなく、ピクピクと微かに瞼が痙攣している。
また、画面に他にも何人かの女と護衛の兵士だろう者達が気絶している光景が映し出されていた。
そんなオルフェを見せると、次に明日菜が見せたのは量産型Wによって取り押さえられた幼い少女の姿。
とはいえ、それが誰なのかというのもコンパスからの情報で知っている。
アウラ・マハ・ハイバル。
ファウンデーションの女王だ。
……つまり、ファウンデーションのトップ2人が揃って明日菜に捕らえられている訳だ。
正直なところ、一体なにがどうなってそうなった? といった疑問で俺の頭の中は一杯だった。
明日菜はラクスを助ける為に、アルテミスに侵入した。
この様子を見ると無事にラクスを助けはしたのだろうが……問題なのは、その後で一体何がどうなってこのような事になったのかという事だろう。