明日からはまたヒロアカ編を再開します。
ステイン編が終わった直後からですね。
ちなみに、以前本編でフルメタル・パニック編をやろうかと少しプロットを考えていたのですが、今更ですがまさかの続編が。
なので取りあえず一旦棚上げとしました。
プロットではヒロインはかなめとマオだったんですよね。
ただ、続編が……
いえまぁ、アナザーの方でマオとクルツの子供がいた時点で……
その辺をどうにか出来る目処がついたら、フルメタ編をやるかもしれません。
面白いと思ったら、評価の方よろしくお願いします。
「貴様ぁっ、貴様がアクセル・アルマーか!」
ファウンデーションの騒動のゴタゴタが一段落した頃、不意にそんな風に声を掛けられる……というか、怒鳴られる。
ただ、その怒鳴る声は聞き覚えがある声で、その割に俺を知らないかのような態度で……声のした方に視線を向けると、そこには予想通りイザークの姿があった。
しかし、イザークはイザークでもそれは俺の知っているイザークではない。
というか、隣にディアッカがいるのを見れば、姿を現したイザークがこの世界のイザークであるというのはすぐに理解出来た。
理解出来ないのは、この世界のイザークが何故俺に怒鳴ってきたのか……こうして怒っているのかということだった。
俺の名前を知っていて、こうしてオーブに来たのだから、当然ながら俺達がどのような存在なのかは理解している筈だ。
……自分と同じ存在と会っているのだから、そのように思うのは当然の話だった。
「この世界のイザークか。それで、なんでそんなに怒ってるんだ?」
「言わないと分からないのか!」
「いや、言ってないのに分かれって方が無理だろ」
イザークが怒りやすい性格をしているのは俺も知っている。
それでも、俺にしてみれば初対面の相手にこのように怒鳴られるってのは理解出来なかった。
「まぁまぁ、ほら。イザークもその辺にしておけって」
そんな怒り狂っているイザークに声を掛けたのは、イザークの隣にいるディアッカ。
俺が介入したSEED世界でもディアッカはイザークの相棒的な存在ではあったが、それはどうやらこの世界でも変わらないらしい。
「ふんっ!」
しかし、そんなディアッカの言葉が不満だったのか、イザークは顔を背ける。
……あれ? これ、多分イザークも自分の言葉が言い掛かりであるというのは、理解しているっぽいな。
だからこそ、ディアッカの言葉を聞いても睨み付けたりはせずに視線を逸らした……そっぽを向いたのだろう。
「で? 一体何の用件だ? わざわざプラントから地球の、オーブまでやって来たんだ。それもファウンデーションの一件やザフトの反乱が終わってから、まだそんなに経っていないこの時期に」
「俺を鍛えろ」
「……は?」
「あー、いや。ほら、イザーク。折角来たんだから、時間は有効に使う必要があるだろ?」
再度ディアッカがイザークに声を掛けて黙らせると、ディアッカは再びこちらに視線を向けてくる。
「実はさ、反乱の時にイザーク……あんたの世界のイザークや他の面々の戦いを見た」
「まぁ、だろうな」
同じ戦場にいた……というよりも、戦力として向こうに送ったのだから、同じ戦場でお互いの戦いを見るのは自然な流れだろう。
それ自体は、特におかしな事ではない。
「けどさ……その……シャドウミラーのイザークがかなり強くて……それこそ、圧倒的といった方がいいくらいに強かったんだよ。それこそ他の面々もそうだったけど、イザークが目立っていた。それを見たうちのイザークが……な? 分かるだろ?」
ディアッカは最後まで言わなかったが、その言葉の意味は理解出来た。
つまり、イザークにしてみれば異世界の自分の持つ圧倒的な実力に思うところがあったのだろう。
「ここに来た理由は分かった。けど、それで俺にどうしろと?」
イザークにしてみれば、同じ自分なのに実力が圧倒的なまでに離れていたのには、思うところがあってもおかしくはない。
それは分かるが、だからといってここで俺に声を掛けてきても、それで何かが解決するとは思えないのだが。
というか、シャドウミラーのイザークとこの世界のイザークの間に、実力差が出るのは当然だろう。
何しろシャドウミラーのイザークは、毎日のように実働班で行われている厳しい訓練を受けてきたのだから。
何しろ、シャドウミラーには魔法球がある。
政治班がいくら優秀な人材がいるとはいえ、あのような少人数でやっていけているのは魔法球のお陰だ。
そして当然ながら、魔法球の恩恵は実働班にもある。
どれだけ厳しい訓練をしても、昼の休憩とかで魔法球を使えば、そこで丸一日以上の休息の時間が与えられる。
普通なら魔法球を使えばかなりの時間を使ってしまうので、使いすぎると年を取るものの……シャドウミラーの人員なら時の指輪の受信機があって、ゲートがあれば不老になるのでその辺りの心配もいらない。
不老になるかどうかの判断は個人によって違うが、不老になろうとは思っていない者であっても、訓練の時はどうしても魔法球の使用が前提になっているので、受信機は使う事になっていた。
もっとも、俺が知る限りだと実働班で不老になりたくないと言ってる者はいないが。
将来的にはどうなるか分からないが、取りあえず今の時点ではそういうのはない。
そうした訓練をしているイザークとこの世界で暮らしていたイザークの間に実力差が出るのはそうおかしな事ではない。
勿論、それはこの世界のイザークがサボっていると言いたい訳ではい。
イザークは他人に厳しいが、自分にはより厳しい。
そんなイザークだけに、この世界でも訓練をサボっていたりはしていない筈だ。
だが、ザフトの一員として……それも白服ともなれば、当然ながら隊長としてやらなければならない仕事は多い。
魔法球を使って濃密な訓練を毎日のようにしているシャドウミラーのイザークに訓練の質ではどうしても劣る。
また、シャドウミラーでは魔力や気を使った戦闘についてもエヴァによって訓練が行われており、身体強化によってGに対する強い耐久力を持つ。反射神経とかそういうのについても身体強化の影響は大きい。
そして……何より、乗っている機体の差も大きいだろう。
俺に入ってきた情報によると、反乱が起きた時にイザークとディアッカが乗っていたのは、デュエルとバスター……正確にはその改修機だ。
そもそもあれらの機体はザフトが奪ったんだから、てっきり戦争が終わった時にオーブなり連合なりに返却されているのかと思ったが、どうやら違ったらしい。
勿論、デュエルやバスターとはいえ、そのままではなく改修した機体だったらしいが。
ともあれ、そんなMSを使っていたイザークやディアッカに対し、シャドウミラーのイザークが乗っているのはヒュッケバインMk-Ⅲだ。
それもシャドウミラーの技術班が手を加えた代物。
操縦技術でも負けて、機体の性能でも負ける。
そうなると、この世界のイザークがシャドウミラーのイザークに勝つのは不可能だろう。
「だから、な? そっちのイザークが訓練をしてあそこまで強くなったのなら、自分も……と、そう思ってもおかしくはないだろう?」
まぁ……言いたい事は分からないでもない。
ディアッカの場合は同じ自分がいなかったのでそこまで強く思わなかったのだろうが、イザークの場合は別の世界の自分を見たので色々と思うところもあったのだろう。
「そう言われてもな。……シャドウミラーとプラントでは、そもそも国としての在り方が違うんだ。なのに、うちのイザークを相手に負けたからどうにかしろと言われても、俺にはちょっと対処しようがないぞ?」
「そこはほら、国家間の交流という目的でイザークにシャドウミラーの訓練を経験させるとか、そういうの出来ないか?」
そうディアッカに言われ、なるほどと俺は頷くのだった。
「ほらほら、どうした? もうギブアップか? お前は本当にイザークと同一人物なのか? こっちのイザークですら、この程度では音を上げないぞ?」
嗜虐的な笑みを浮かべ、エヴァはイザーク……原作の世界のイザークに向かって言う。
イザークの性格ならブチ切れもおかしくはないのだが、今はそのような事は起きていない。
何故なら……
「ぜぇっ、ぜぇっ、ぜぇっ……」
俺の視線の先では、イザークがまさに息も絶え絶えといった様子で地面に倒れ込んでいるからだ。
……ちなみにそんなイザークの側では、ディアッカも同様に倒れ込んで激しい呼吸を繰り返している。
とはいえ、それも仕方がない。
ファウンデーションの騒動が終わり、イザークがシャドウミラーに留学……というのは少し違うか? とにかくシャドウミラーにやって来るまでに、2ヶ月ちょっと。
その間にも原作の世界は大きく動き、ファウンデーションは当然ながら国としてどうしようもなくなり、ユーラシア連邦によって占領された。
何しろユーラシア連邦は、ファウンデーションの策略……自作自演によって核ミサイルを撃ったという事にされ、首都のモスクワをレクイエムによって消滅させられたのだから、ファウンデーションに対して強い憎悪を抱いても仕方がない。
それでも一応占領したという扱いで、つまりファウンデーションの国民はユーラシア連邦の一員という事になったので、表向きは問題は起きていないが……実際にファウンデーションの国民がどういう扱いなのかは、考えるまでもないだろう。
とはいえ、アウラやオルフェに従った結果なのだから、その件について俺が何かを言うつもりはない。
ユーラシア連邦側でもあからさまに差別をすれば、オーブやコンパスが介入してくるというのは分かっている為か、そこまで露骨に差別はされていないし。
で、そのファウンデーションの上……アウラやオルフェ、後は生き残ったブラックナイツの面々は、きちんと裁かれる事になったらしい。
その結果どういう風になるのか、その辺りは俺にも分からない。
分からないが、それでも今の状況を考えると、何となく予想は出来る。
ただ、こっちについてもファウンデーションへの対応と同じく、シャドウミラーがどうこうするつもりはない。
もっとも、オルフェを倒してアウラを捕虜にしたのは明日菜なので、口を出そうと思えば出せる。
だが、明日菜にその気はないらしい。
いやまぁ、もしこれでアウラやオルフェが問答無用で死刑とか、収監されている場所で暴行を加えられているとかであれば、あるいは明日菜も自分が捕らえただけにどうにかして欲しいと言うかもしれないが、アウラやオルフェが収監されているのはオーブなので、そういうのはない……らしい。
勿論オーブだからといって、全員がしっかりとした者達ではないのを考えると、絶対に安全だとは言い切れないのだが。
ただ、それでもユーラシア連邦の刑務所とかにいるよりはマシだろう。
なら、大西洋連邦は……となったが、この大西洋連邦も今は立場がない。
核ミサイルの件でコンパスを責め、露骨にファウンデーションに擦り寄っていたらしい。
……ダイダロス基地を占拠され、レクイエムを自由に使われるようになり、アルテミスすらも占拠したと考えれば、そちらに擦り寄ったりしてもおかしくはないのかもしれないが。
だが、そのファウンデーションもシャドウミラーとコンパスとオーブによってあっさりと潰されてしまった訳で……うん、大西洋連邦にはドンマイとしか言えないな。
「ほら、休憩はその辺でいいだろう。そろそろ起きろ。馬鹿にしていた子供に負けるのはどんな気分だ?」
エヴァが嗜虐的な笑みを浮かべているのは、イザークやディアッカが最初にエヴァを見た時の態度も影響している。
まぁ、エヴァの外見を見ればそんな風に……
「だから、いい加減にしろ! ステラはお前に興味なんてないんだからな!」
エヴァの様子を見ていると、そんな声が聞こえてくる。
そちらに視線を向けると、アウルがシンを相手にステラを背後に庇いながら叫んでいた。
何でも原作の世界においてステラは死んでしまったらしい。
で、シンとステラは恋人関係……とまではいかないが、それでもお互いに心を許し合っていたらしく、だからこそシャドウミラーでステラが生きているのを知ったシンは、改めてステラとしっかりと話をしたいと思ってこうして会いに来たらしい。
一応、以前に他の面々と一緒に対面した時にはシンとステラもいたのだが、その時は他の面々も色々とあって、そこまでしっかりと話が出来なかったみたいだし。
ただ、それでも……自分の知っているステラとは別人であると理解はしてはいるが、それでもシンとしてはステラと色々と話がしたかったのだろう。
しかし、ステラと会ったシンは強引に迫ってしまった結果、今のような状況になっている訳だ。
……というか、ルナマリアがいるのにこうしてステラに会いに来るのはどうなんだ?
「嘘だろ……マジか……」
「そうなんだよ、アクセルは色んな世界でエンデュミオンの鷹って名前を使ってるから、色々な世界でそれが知られてるんだよな」
「うわぁ……止めてくれ。俺はあんたじゃないんだ」
「お前も俺と同じムウなんだから、一緒に苦しみを分かち合おうぜ」
「俺は……俺は、ネオ・ロアノークだ!」
「誰だよ、それ」
2人のムウが、そんなやり取りをしているのが聞こえてくる。
こんな感じで、原作の世界もシャドウミラーとそれなりに交流が続き……何故か後日ディアッカが超包子で炒飯係として働いていたり、シンがSEED世界のオーブでもう1人の自分や妹と会ったりといった出来事もあったりしたが、とにかくそんな感じで交流は進むのだった。