転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4461話

「ぶははははははっ! マジか……それ、マジか爆豪!」

 

 ひぃ、ひぃ……と、腹が痛くなる程に笑ってしまう。

 拳藤達と一緒に登校し、途中で別れて俺は峰田と一緒に――峰田からは不満そうに色々と言われたけど――教室までやってきたのだ、そうして教室に入った俺を待っていたのは、爆豪だった。

 ……いや、勿論爆豪以外に他にもクラスメイト達はいたのだが、そんな中でも爆豪は……爆豪は……

 

「ぶはははっ、腹、腹が痛い……死ぬ、笑い死ぬ……」

 

 7:3分け……いや、8:2分け? そんな髪型の爆豪を見て、笑いが止まらない。

 それこそ、ヒロアカ世界にやってきてから一番命の危険を感じる程に笑い、笑いすぎて腹が痛い。

 ちなみに笑っているのは俺だけではなく、切島や瀬呂、他にも爆豪に見られないようにしながら、隠れて笑っている者も多い。

 先程までは俺に恨めしげな視線を向けていた峰田ですら、笑いを堪え切れていない。

 ……冷静に考えてみれば、個性の関係もあるけど峰田の髪型も色々と変ではあるのだが。

 ただ、峰田の場合は最初からこの髪型だったから違和感はないのに対し、爆豪の場合は普段の髪型が……

 

「ぷぷっ、だ、駄目だ……くそ……爆豪、お前もしかして、ヴィラン連合の手先だったりしないよな? 俺を笑い殺そうとしてるとか……ぐふっ!」

「笑うんじゃねえ! 癖がついちまって、洗っても直んねえんだ。おいこら、笑うなっつってるだろうが! そこのヒモ野郎! ぶっ殺すぞ!」

 

 爆豪のすぐ側で笑っている切島や瀬呂ではなく、離れた場所で笑っている俺に向かって凄む爆豪だったが……

 

「ぐはっ! だ、駄目だ……頼む……そんな髪型で凄まないでくれ……頼むから」

 

 普段なら爆豪の言動には迫力があるのだが、今の8:2分けの髪型で凄まれても、俺は笑う事しか出来ない。

 

「ぐぐっ……ぶっ殺すぞごらぁっ!」

 

 叫ぶ爆豪。

 ……当然ながらこんな風に叫べば目立つ訳で、教室の中で意識して爆豪を気にしないようにしていた者達も反射的に爆豪を見て、吹き出してしまう。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……あー……笑った。腹が痛い。それでも……ぷっ!」

 

 何とか笑いが収まったものの、既に一度笑いのスイッチが入ってしまっている為か、ちょっとした事でも笑ってしまいそうになる。

 

「ブッペロポンジャ」

『ふはっ!』

 

 いきなり意味不明な言葉を口にした峰田の言葉に、それを聞いていた者……俺を含め、何人かが思わずといった様子で噴き出す。

 

「ウェイウェイウェイ」

『ぶほっ!』

 

 そんな峰田に続いて、上鳴がいきなりウェイる。

 正確にはウェイった訳ではなく、その振りをしただけなのだが……それでも、俺を含めて笑いのスイッチが入っていた者達が落ち着くまで5分程は掛かる事になる。

 それでも何とか落ち着くと、爆豪からは視線を逸らしつつ、職場体験についての話をする。

 ……ちなみに爆豪もそうだが、職場体験の中で一番変わったのは、やっぱり麗日だろう。

 麗日といった名字に相応しくないくらい、こう……武闘派の雰囲気を放っている。

 以前の麗日は、個性そのものはかなり戦闘向けだった。

 何しろ、このヒロアカ世界では無重力を体験した事のある者はいない……訳ではないだろうけど、かなり希少だ。

 つまり、麗日は相手に一撃を与えれば、その時点で大抵の相手には勝利が確定している。

 それこそ爆豪や轟といったクラスのNo.2を相手にしても、勝利出来る可能性がある。

 もっとも、それはあくまでも相手にしっかりと触れることが出来たらという前提条件があってこそだが。

 体育祭のトーナメントで爆豪と戦った時も、結局爆豪に触れる事が出来ず、麗日は負けた。

 まぁ、破壊された舞台の破片を空中に浮かべて、一発逆転を狙ったりしていたんだが、それも残念ながら失敗していたしな。

 つまり、相手に勝つ手段があるからといって、それがあればその時点で勝ちとはならない。

 麗日の場合、相手に触れる事が出来て、初めて勝利出来るのだ。

 だからこそ、麗日は自分の未熟な戦闘力を補おうと、戦闘を得意とするプロヒーローの事務所に職場体験に行ったのだが……染まってしまったな。

 まぁ、体育祭の件を相澤が口にした時も、やる気満々で今と同じく麗日という名前には相応しくない態度をしていた。

 それを思えば、今もこうして染まっていても仕方がないのかもしれない。

 

「梅雨ちゃんも、密航者を捕まえたんだよな?」

「ケロ。照れるわ。でも、アクセルちゃんが一番目立ってたと思うけど」

「そうだよね。ヒーロー殺しを倒した映像が、これでもかってぐらいにネットに上がっていたし。……私も一応ヴィラン退治に行ったけど、結局やったのは避難誘導くらいだったしね」

 

 梅雨ちゃんと耳郎、それぞれの言葉に、それを聞いていた者達がそれぞれに頷いたりしていた。

 

「そうそう、ネットでアクセル君がヒーロー殺しを倒している映像を見た時、びっくりしたんだからね。いやまぁ、LINで聞いてはいたけど……」

 

 葉隠が腰に手を当て、私怒ってるんですといった様子でそう言ってくる。

 制服だけが動いているので、葉隠の行動は大きなものになるんだよな。

 LINで話をしたりはしていたが、こうして実際に会うのは久しぶりなこともあってか、何だか妙に新鮮に感じられる。

 

「そうですわ。ヒーロー殺しを相手に勝ったのは素晴らしいとは思いますが、危険な目に遭うのは……学友として心配になりますわ」

 

 そう、ヤオモモが言ってくる。

 ヤオモモは拳藤と同じウワバミの事務所でCM撮影だったので、そういう意味では俺達と全く方向性の違うヒーロー活動をしてきたんだよな。

 登校する時の拳藤の様子からすると、拳藤はそういうCMとかよりも、ヴィラン退治とか、そういうのの方に興味を持っているように思えたが、ヤオモモは少し違うらしい。

 とはいえ、ぶっちゃけ俺が考える限りだと、ヤオモモが一番向いているのは災害救助とかだと思う。

 何しろ現場で足りない物を幾らでも――カロリーは必須だが――用意出来るのだから。

 勿論、その美貌から今回のようにCMにも向いているだろうし、戦闘に必要な各種武器とかそういうのを作れるから、そちら方面でも向いている。

 ただ、体育祭のトーナメントで常闇に負けたように、手数がありすぎるが故に、1歩出遅れるといった事も珍しくないんだよな。

 この辺については鍛えれば対処は可能になるから、どうしようもないといった訳ではないけど。

 

「心配してくれて嬉しいけど、俺は壁だからな。お前達の前に立ち塞がるには、あのくらいの事は出来ないと」

 

 そう言う俺から少し離れた場所では、上鳴がヒーロー殺しの最後の言葉……あの精神が肉体を凌駕した状態での気迫を込めた言葉について上鳴が共感したといったように言っており、緑谷に注意されたりもしていたが、特に大きな騒動にはならなかった。

 以前の……ヒーロー殺しと戦う前の飯田がそれを聞いていれば、恐らく突っ掛かっていったかもしれないが。

 飯田は生真面目な性格なのはともかく、視野が狭いところがあるしな。

 ただ、ヒーロー殺しとの戦いでその辺は幾らか直ったような気がする。

 そううして話をしているうちにやがて時間となり……相澤が姿を現す。

 

「おはよう。皆、それぞれ良い経験をして来たようだな。とはいえ、中にはとんでもない経験をしてきた者達もいるようだが」

 

 そう言うと、相澤は俺達……ヒーロー殺しの件に関係した面々に視線を向ける。

 その中でも一番長く視線を向けられていたのは、やはりと言うべきか俺だった。

 まぁ、映像で見た通りヒーロー殺しを倒したのは俺という事になっているし、そういう風に調整をしたのは相澤だしな。

 相澤としては、出来ればヒーロー殺しを倒したのは俺じゃなくてエンデヴァーにしたかったんだろうが……どこぞの馬鹿が映像をネットに上げたしな。

 それによって、相澤としては俺がヒーロー殺しを倒した人物として前に出すしかなくなった。

 言い方は悪いが、スケープゴートになった形か。

 とはいえ、俺にしてみればその辺りは別に構わなかったりする。

 何しろ俺としては他の生徒にとって壁として存在する為に雄英にいるのだから。

 俺が壁として存在する以上、その実力を他の者に……雄英の生徒だけではなく、学校外の者達にも示しておく必要がある。

 公安からの依頼として受けた以上、その辺りについてはしっかりとやっておく必要があるのだから。

 

「職場体験の経験を、しっかりと忘れずに……それでいて、いつまでも浮かれる事はないようにな」

 

 そう言う相澤の言葉に、俺を含めた生徒達は頷くのだった。

 

 

 

 

 

 昼休み、俺はいつものように学食で昼食を食べていた。

 今日一緒に食べているのは、瀬呂と常闇、三奈、耳郎、葉隠の6人だ。

 もっとも、他の者達も学食で食べているのは間違いないだろうが。

 何しろこの学食は安くて美味く、量も多いのだから。

 

「午後から、ヒーロー基礎学だと思うけど、どういうのをやると思う?」

 

 海鮮スープパスタを食べながら、三奈がそう聞いてくる。

 ちなみに俺の昼食はカツ丼、天丼、親子丼、うな丼と担々麺だ。

 勿論、どれも小丼とかそういうのではなく、どれもしっかりとした1人前の量だ。

 ちなみに、当然ながら俺が注文した料理の中では、うな丼が一番高い。

 ……高いとはいえ、学食である以上は専門店で食べるのに比べると半額以下の値段だったりするが。

 そんなうな丼を食べながら、俺は三奈の言葉に返す。

 

「職場体験が終わって初めての授業というのを考えると、模擬戦とかか?」

「その場合。我が力の深淵を見せよう」

 

 生姜焼き定食を食べている常闇が、やる気満々といった様子で言う。

 職場体験で、かなりしっかりと鍛えてきたのだろう。

 ……そんな常闇と戦闘モードになっている麗日が戦ったらどんな風になるのか、ちょっと気になるな。

 とはいえ、それが実際に行われた場合、常闇がかなり有利だと思うけど。

 A組におけるトップは俺で、それに続くNo.2が爆豪と轟。

 そして常闇はそのように順位付けをした場合、No.3の地位に来てもおかしくはない。

 常闇の個性のダークシャドウというのは、それだけ強力な個性なのだから。

 何しろ個性が自我を持っているというのは、それだけで非常に便利だ。

 大雑把にどうしろと説明すれば、ダークシャドウはその通りに動いてくれる。

 その上で、常闇も自分で独自に動けるから、単純計算で手数が倍になる。

 ……もっとも、実際にはダークシャドウを使う上である程度のルールもあり、完全に別行動をするといった事は出来なかったりもする。

 それでも、強力な個性であるのは間違いない。

 

「俺も、良いところを見せられればいいんだけどな」

 

 瀬呂がきつねうどんを食べながら、そう言う。

 瀬呂の個性は単純な分、応用出来るんだよな。

 ただ、模擬戦となると瀬呂の個性はそこまで便利ではない。

 いやまぁ、テープを使えばトリッキーな動きで相手を翻弄出来たりするかもしれないけど。

 

「もし模擬戦だったら、アクセルは爆豪に狙われるんじゃないの?」

 

 ピザトーストを食べながらそう言ってくる耳郎。

 

「そうなんだよな。もし俺が爆豪と戦うようなことになったら、まず間違いなく爆豪が……他にも轟が俺との模擬戦を希望しそうなんだよな」

 

 轟はともかく、爆豪なんかは対戦する相手を自由に決めることが出来るのなら、間違いなく俺を指名してくるだろう。

 爆豪にしてみれば、まだ1度も俺に勝利していない。

 だからこそ、俺と戦う機会があればそれを逃すとは思えない。

 とはいえ、爆豪は性格がアレだが、決して馬鹿という訳ではなく、寧ろ才能マンと呼ばれる程に才能を持つ身ではある。

 そうである以上、極度の負けず嫌いであったとしても……だからこそ、何の勝算もなく俺に挑み、その結果としてただ俺に負けるといったことはないだろう。

 もし爆豪が俺に挑んでくるのなら、それこそ何らかの勝ち筋を見つけての事になる筈だ。

 ……そう考えれば、必ずしも爆豪が今日の模擬戦で俺に挑んでくるとは限らない訳だ。

 とはいえ、挑んでこないとそれはそれで爆豪らしくないという思いもあったりするのだが。

 

「言っておくけど、アクセル。私だってアクセルに挑めるのなら、挑むんだからね」

 

 三奈のその言葉に、視線を向ける。

 すると三奈は、ヤオモモに次ぐ大きさを持つその双丘を見せつけるように胸を張り、口を開く。

 

「私だって、体育祭のトーナメントでアクセルに負けてから、訓練を重ねてきたんだから。今回の職場体験でも色々と教えて貰ったし」

 

 三奈のその言葉は、決して大袈裟なものではないだろう。

 成長した自信があると、そう態度で見ることが出来る。

 ……その大きく張られた胸に、常闇がそっと視線を逸らしているのは気になるが。

 

「そうだな。なら、三奈と戦うのも楽しみにしてるよ」

 

 実際、三奈の個性……酸は、強個性と言ってもいい。

 それを応用すれば、十分な戦闘力になるだろう。

 そう思いながら、俺は昼食を楽しむのだった。

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