転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4470話

 最後の休日が終わり、数日……いよいよ筆記試験の日。

 

「おはよう、アクセル」

「……珍しいな。拳藤でもやっぱりテストは緊張するのか?」

 

 いつものように拳藤と待ち合わせていた場所に行くと、そこでは少し緊張した様子の拳藤があった。

 これが演習試験であれば、拳藤が緊張するのも分かる。……いやまぁ、拳藤は演習試験の内容はロボとの戦いだと思っている様子だから、そこまで緊張はしないのかもしれないけど。

 実際、拳藤は入試の時の実技試験では結構な数のロボを倒していたしな。

 そのロボとまた戦うといったところで、どうという事はないのだろう。

 もっとも……俺個人としては、期末テストの演習試験の内容はロボとの戦いではないだろうと思ってはいるが。

 何しろ、相澤がいるし、ヴィラン連合の襲撃があったし、何より原作主人公の緑谷がいるし。

 

「やっぱり最初の……きちんとしたテストだしね」

 

 拳藤の言葉に、だよなと同意する。

 正確には中間試験もあったのだが、その内容は基本的に中学の時の復習。

 また、期末試験にはある演習試験の類もなく、本当に筆記試験だけだった。

 ……もっとも、だからこそ現在のクラスでの順位が如実に表れたのだが。

 もし中間テストにも演習試験があったら、三奈や上鳴といったようにクラスの中でも成績が悪いものの、身体を動かすのは得意な者達が演習試験で成績を盛り返す必要があった。

 いやまぁ、三奈や上鳴にしてみればそれが出来なかったのはかなり悔しいと思っているのは間違いないだろうが。

 

「今回のテストの結果次第では、色々とこの先の事についても影響してくるだろうしな」

「あはは。そこまで考えてはいないけどね。……そういえば、この前の日曜にヤオモモの家で勉強会したって聞いたけど、どうだった?」

「悪くはなかったな。もっとも、俺はどちらかというと教える側だったから、自分の勉強という意味ではどうかと思ったけど」

「どちらかというとって……アクセルは中間試験の時、クラスでも1位だったんだろ? なら、教える方に回るのはおかしくないと思うけどな」

 

 拳藤と会話をしながら駅に入り、電車に乗る。

 電車の中は当然のように雄英の生徒がかなりいて、中には教科書を読んでいたり、単語帳をめくっている者もいた。

 まさにテストって感じだな。

 いやまぁ、中間テストの時もこれと似たような感じではあったけど。

 

「ヤオモモは教えるのに向いているけど、俺はそういうのに向いていないんだよな」

「それでも何とかなったんだろう?」

 

 そう言われると、俺もその通りだと言うしかない。

 実際。尾白とかそれなりに成績のいい相手にはしっかりと教える事が出来たのだから。

 会話をしていると、近くにいた数人の生徒が恨めしげに、そして羨ましそうにこちらを見てくる。

 今日が期末テストの筆記試験の日だというのに、特に勉強らしい勉強もしないで、女と……それも拳藤のような美人と話をしているのが原因だろう。

 この電車に乗っているのは雄英の生徒が多いが、社会人も多い。

 いわゆる、サラリーマンとかそういうタイプだな。

 そういう者達は、基本的に生活リズムが一定だ。

 つまり、知り合いではないにしろ、顔を見た事がある奴だなとか、そんな風な相手もそれなりにいる。

 勿論電車と一口に言っても、同じ時間の電車に乗るか、もしくはこの電車に乗っても同じ車両に乗るかで色々と違いはあったりするが……それでもやはりそれなりに顔見知りはいるようになるんだよな。

 そういう連中にしてみれば、俺が毎日のように拳藤と一緒に通学しているのを知れば……うん、嫉妬の視線を向けられても仕方がないか。

 

「どうしたんだよ、アクセル」

「ん? ああ、いや。ミッドナイトじゃないけど、青春してるなと思って」

「はぁ? ……いきなり何を言ってるんだ?」

 

 俺の言葉が理解出来ないといった様子の拳藤。

 無理もないか。

 話の途中で、いきなり青春してるとか、そういう風に言ったのだから。

 

「拳藤と一緒にこうして登校してるのも、見ようによっては青春だろう?」

「……青春か?」

 

 どうやら拳藤は納得出来なかったらしい。

 

「拳藤のような女と毎朝のように登校してるんだぞ? これが甘酸っぱい青春じゃなくてなんだよ?」

「……ばっ! アクセルお前……本当にそういうところだぞ?」

 

 照れた様子で叫びそうになった拳藤だったが、それでも何とか叫ぶのを我慢し、そう言ってくる。

 そういういうところって、何がだ? と思ったが、拳藤の様子を見ると、その辺について突っ込んだりしようものなら、何を言われるか分かったものではないので黙っておく。

 ただ、俺の口から出た言葉は拳藤に精神的なダメージを与えるのには十分だったようで、雄英の駅に到着するまで殆ど拳藤は黙り込み、微妙な雰囲気が俺と拳藤の間に漂うのだった。

 

 

 

 

 

「おはようございます、アクセルさん。……あら?」

 

 駅から出ると、そこではいつものように茨が待っていた。

 ……毎日のように俺と拳藤を待ってるけど、これっていつから待ってるんだろうな。

 何だか聞くのは怖いけど。

 もしかしたら、午前6時から待ってるとか……いや、始発でやって来てそれでずっと駅前で待ってるとか、何だかそういう風に言われそうなんだよな。

 なので、取りあえずその辺についてはスルーしておく。

 

「おはよう、茨」

「あ、その……おはよう、茨」

 

 俺に続き、拳藤も茨に朝の挨拶をするものの、少しぎこちない。

 どうやら電車の中での会話をまだ引きずっているらしい。

 とはいえ、拳藤は友人である俺の目から見ても凛とした美人だ。

 俺の恋人の中では、コーネリアやスレイといったタイプの凜々しい系の美人。

 そんな拳藤だけに、中学校の時も普通に男から告白されるようなことはあったとは思うんだが。

 あるいは電車での俺の言葉は別に告白とかそういうのじゃなかった訳で、だからこそ余計にぎこちなくなってるとか?

 ともあれ、少しぎこちない拳藤と茨と共に雄英に向かう。

 ……あれ? いつもなら峰田と通学時間が被って、毎日のように血涙を流して睨み付けてきたりするんだが、今日は峰田の姿がないな。

 まぁ、別に血涙を流しながら睨み付けられるのは嬉しい訳でもないので、いないのならいないで別に構わないのだが。

 そうして雄英に到着すると、拳藤と茨の2人と別れ、A組の教室に向かう。

 

「おはよう、アクセル。ねぇ、ちょっとここを教えて欲しいんだけど」

 

 A組の教室に入って自分の席に座ると、すぐ側の三奈が挨拶をしながら即座に分からない場所について質問してくる。

 

「今こうして頑張るのなら、日頃から復習をしっかりやっておけばいいのにな」

「うぐ……だって、雄英の高校生活なのよ?」

「まぁ、言いたいことは分からないでもない」

 

 実際、自分で言うのもなんだが雄英の高校生活というのは色々な意味で普通の高校生活と違う。

 ……もっとも、ヒロアカ世界の高校という時点で俺の知っている高校生活と違っていてもおかしくはないのだが。

 ましてや、入学式に出ないで個性把握テストだったり、USJでヴィラン連合と戦ったり、オリンピック代わりの体育祭をやったり、職場体験だったり……うん。とてもではないが普通の高校生活とは言えないよな。

 とはいえ、この世界が原作のある世界だと考えると、主人公の緑谷と同じクラスになった時点で様々な騒動に巻き込まれるのはもう決まっているようなものだったが。

 これがB組なら、恐らくそれなりに忙しいだろうものの、A組と比べると大分マシだっただろう。

 とはいえ、だからといってB組に行きたいかと言われると、俺は即座に断るだろうが。

 何しろこの世界での原作に関わるのは、最終的にシャドウミラーとしてもかなり大きな利益になるだろうし。

 

「ここか……っておい、これこの前ヤオモモの家で教えて貰ってなかったか?」

「そうだけど、ちょっとその……ど忘れしちゃって」

 

 これでよく雄英に合格出来たな。

 そう思いながら、三奈が聞いてきた場所を教えてやる。

 この辺りは一度覚えれば簡単には忘れないようなところだと思うんだが。

 

「アクセル君、僕にもちょっと教えてくれないかい?」

 

 三奈に教えていると、今度はこれも俺の席の近くの青山が聞いてくる。

 すると、他にも何人かが聞いてきて……

 

「君達、そろそろ相澤先生が来るから、自分の席に戻るんだ!」

 

 飯田の言葉で、それぞれが自分の席に戻っていく。

 このタイミングで飯田の言葉を無視すると、相澤が来た時にまだ自分の席に座っていないという事にもなりかねない。

 相澤もそのくらいでどうこう言ったりはしないだろうが……それでも何かを言われるような事もあるし、相澤の事だからすぐに除籍とかそういう風に言ってきてもおかしくはない。

 だからこそ、A組の生徒達は飯田の言葉に素直に自分の席に戻る。

 ……比較的席が近い耳郎はともかく、葉隠とかかなり離れた場所に席があるのに、俺の席の近くに来ていたんだよな。

 寧ろ葉隠の席からなら、ヤオモモとかに話を聞いた方が近いだろうに。

 そうして考えていると、やがて相澤が教室に入ってくる。

 

「おはよう。じゃあ、早速朝のHRを始めようか」

 

 教室に入ってきた相澤は、教室を一瞥して欠席している者がいないのを確認すると、すぐに本題に入る。

 普通の……俺が思い描くような教師なら、誰も欠席していないのを確認しても、わざわざ1人ずつ名前を呼んで返事をさせるんだが。

 この辺りは効率重視の相澤らしいな。

 

「知っての通り、今日は期末テストの筆記試験だ。お前達なら大丈夫だとは思うが、もし赤点を取ったら夏休みの林間合宿には参加出来ず、補修の日々を送る事になる。そうならないように願っている。Plus Ultra。それを忘れずに頑張るように。……ああ、それとアクセル。今日と明日は放課後の自主訓練は出来ない。テストの採点をする必要があるからな」

 

 相澤が俺を見て、そう言ってくる。

 放課後に俺が他の生徒達と行っている自主訓練は、既に毎日の恒例行事となっている。

 だが、当然ながら自主訓練は生徒だけで行う訳ではなく、かならず監督役の教師が必要となる。

 その教師に、峰田の……他にも男のやる気を出す為にミッドナイトに毎回頼んでいた。

 ミッドナイトも青春好きなので、放課後の自主訓練の監督役は喜んで参加し、時にはアドバイスをしたりとか、そんな感じで放課後の自主訓練をしていた。

 しかし、そのミッドナイトもテストの採点がある以上、自主訓練の監督役は無理だということなのだろう。

 

「分かりました。……演習試験前にしっかりと身体を動かして起きたかったんですけどね」

 

 そう言うと、相澤が何故か呆れの視線を向けてくる。

 え? 何で俺がそんな視線を向けられんだ?

 そういう視線を向けられる覚えは……いやまぁ、絶対にないとは言い切れないけど。

 ただ、それでもやはり納得出来ない。

 そのように思っていると、やがて相澤は俺から視線を逸らして、連絡事項を口にする。

 ……ただ、やはり今は期末テストが重要事項なので、それに伴う連絡事項が多い。

 やがて連絡事項が一段落したところで、相澤が教室を見回してから口を開く。

 

「それと、お前達なら大丈夫だとは思うが、筆記試験でカンニングの類は絶対にやるなよ。それをやった奴は問答無用で赤点だからな。当然、夏休みの林間合宿に参加は出来ない……どころか、停学になってもおかしくはないからな」

 

 そう言ってくる。

 今この状況でそういう風に言うという事は、中間テストの時に誰かカンニングをしたりしたのか?

 とはいえ、このヒロアカ世界では多種多様な個性が存在する。

 その中には何かカンニングに向いた個性とかそういうのがあってもおかしくはないと思うが。

 例えば、視力が極端にいい個性の場合、自分の教室から見える遠くにある建物の壁とかにカンニング用の答えを書いておくとか。

 もしくは電波を受信するといった個性の場合、誰か……金で頼むとかそういう事をするのだろうが、公式を電波で流すとか。

 他にも色々な個性によって、カンニングはやろうと思えば出来そうだよな。

 もっとも、雄英の教師は全員がプロヒーローだ。

 何か怪しい動きでもあれば、それを察知したり出来てもおかしくはない。

 それでもこうして相澤がカンニングをするなと言ってくるって事は、何かあったのかもしれないな。

 まぁ、何があったとしても、実際にカンニングをしなければそれで問題はない訳で。

 相澤の言葉に何か思うところがある生徒もいたのか、教室は少しざわついたものの、すぐに落ち着く。

 それを見た相澤は頷く。

 一体何を思って頷いたのかは、生憎と俺にも分からないが。

 ともあれ、こうして朝のHRは終わり……いよいよ、期末試験の筆記試験が始まるのだった。

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