転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4471話

「うー……あー……辛い、本当に辛い。何で私、毎日しっかりと勉強してなかったんだろ」

 

 昼休み、学食でチキン竜田バーガーを食べつつ、三奈が嘆く。

 

「俺もそれには賛成だな。そうすれば最下位になんて……」

 

 今日は一緒に昼食を食べている上鳴が、三奈の言葉に同意するように言う。

 A組ワースト1位と2位の言葉だけに、その言葉には強い実感がある。

 

「ケロ、2学期からは頑張りましょうね」

 

 梅雨ちゃんの言葉に、三奈と上鳴……それ以外の者達も、決意を込めて頷く。

 もっとも、今はこうして三奈や上鳴もやる気を見せてはいるが、テストが終わって夏休みになり、2学期が始まったらどうなるか。

 何となく……本当に何となくだけど、三奈や上鳴、それ以外にも成績の悪い者達は2学期になったら今の事はすっかり忘れて、遊び呆ける……とまではいかないが、復習とかはしないようにしそうな気がするんだよな。

 あくまでも俺の予想であって、もしかしたら2学期になってもしっかりと勉強している可能性も否定は出来ないが。

 

「アクセルさんは……聞くまでもないとは思いますけど、午前中のテストの結果はどうでしたか?」

 

 チキンピラフを食べていたヤオモモがそう聞いてくる。

 ちなみにチキンピラフ以外にもキムチ炒飯とパエリア、鶏肉とキノコの炊き込みご飯がある。

 

「まぁ、悪くはないな。ヤオモモは?」

「私もそうですね。幾つか難しい問題はありましたが、それなりに出来たと思います」

 

 そんな俺とヤオモモの会話に、呻いていた三奈や上鳴が恨めしげな視線を向けてくる。

 

「うー……アクセルとヤオモモ、ずるい」

「いや、ずるいって言われてもな。それなら最初から勉強していればいいだけだろ?」

「だってぇ……」

 

 三奈が不満そうに言ってくるが、これについては本当にどうしようもない。

 俺の場合は特に復習とかをしなくても、授業の内容で基本的に問題はない。

 だが、それが無理なら、やはり予習や復習をする事によってしっかりと授業の内容を覚えていくしかないのも事実なのだ。

 峰田なんかは、俺と同じタイプだな。

 それでいて中間テストでは10位だったんだから、もっとしっかりと勉強をしていれば、より上位にいけたと思うんだが。

 まぁ、その辺についてはここで俺がどうこうと考えるような事ではない。

 峰田が自分でそれで問題ないとして、今のような成績になってるんだろうし。

 それに中間テストで10位だったのを考えると、それを基本として、期末テストではより順位を上げてくる可能性は十分にあった。

 

「ほら、とにかく午後からのテストに向けてしっかりと食べた方がいいぞ。昼休みに嘆いていた結果、食事をろくに食べる事が出来ずに午後の試験を受けるようになったら、腹が空いてそれどころじゃなくなるだろうし」

「そうですわね。お腹が減っていると頭の働きも鈍ってしまいます。そうなると、テストの内容が余計に難しくなりますから」

 

 俺とヤオモモにそう言われ、ついでとばかりに梅雨ちゃんにも注意された三奈と上鳴は、ようやく嘆くのを止めて昼食を食べる。

 そして一度食べ始めれば学食の料理は美味いので、手を止める事もなく食べ続けていた。

 

「午後からのテストもあるから、腹一杯は食べるなよ。眠くなってテストの途中で眠ってしまって、結果として回答欄を埋めない……とかなったら、最悪だからな」

 

 一応、そう注意しておく。

 テストを完全に終わらせて、その上で寝るのなら、それはそれで構わない。

 だが、昼食を食べすぎた結果として午後のテストで眠ってしまい、その結果としてそのテストの結果が悪くて赤点になったら、洒落にならない。

 教師によっては、それによって不真面目な対応と判断し、内申点を下げるといった事にもなりかねない。

 ただでさえテストの成績が悪い三奈や上鳴だ。

 テストの成績が悪く、その上で内申点もマイナスという事になれば目も当てられないだろう。

 

「うぇーい、分かってるよ」

 

 テストに対する忌避感からか、微妙にウェイっている上鳴を見て本当に大丈夫なのか? と思うのだった。

 

 

 

 

 

 筆記試験も終わり、期末テストのある意味で本番とも言える演習試験当日。

 俺達……生徒は、ヒーローコスチュームを着て指定された場所、駐車場前に集まっていた。

 これがヒーロー科の演習試験であれる以上、生徒がヒーローコスチュームを着るのは特におかしな事ではない。

 ヒーロー科に入学した当初は、ヒーローコスチュームを着られるというだけで興奮していたものだったが、1学期も終わりに近付いて来ている今となっては、既にヒーローコスチュームを着る程度ではしゃいだりはしなくなっていた。

 サポート科に頼んでヒーローコスチュームを更新した時とかは、それを自慢するような奴もいたりするが。

 ともあれ、こうして生徒達がいるのは別におかしな話ではない。話ではないのだが……

 

「なぁ、アクセル。先生達、ちょっと多すぎないか?」

 

 俺の側にいた瀬呂が、そう聞いてくる。

 そう、瀬呂の言うように教師の数がかなりのものになっていた。

 拳藤から聞いた話だと入試や体育祭の障害物競走で出て来たロボとの模擬戦といった筈だったのだが、それなら教師は相澤だけで……あるいは何かあった時の補助を考えても、1人か2人追加するだけでいい筈だ。

 なのに、今俺達の目の前には何人もの教師の姿があった。

 

「多いな」

 

 瀬呂の言葉にそう冷静に返せるのは、拳藤からロボの話を聞いた上で、これが原作の流れだと考えるとこうなるだろうと思っていた為だ。

 当然ながら、俺はこのヒロアカ世界の原作については知らない。

 ……あるいはペルソナ世界のニュクスと戦う前の俺なら、この世界の原作知識を持っていた可能性もあるが、それはもう今更の話だろう。

 ただ、原作知識がなくても原作の流れを考えた場合、予想出来る事もある。

 この演習試験の内容も、その1つだろう。

 入試と体育祭の障害物競走で一度……いや、二度戦ったロボとの戦いが期末テストの演習試験? まさか、そんな甘くはないだろうと。

 また、原作知識云々を抜きにしても、相澤がいる時点でPlus Ultra、ロボとの模擬戦というのはないだろうと思った。

 

「さて、ではこれから演習試験を始める。この試験でも勿論赤点はあるから、林間合宿に行きたいのならみっともねえ真似はするなよ」

「先生の数多いな」

「5……6……8人?」

 

 相澤の言葉に耳郎と葉隠がそんな風に話しているのが聞こえてくる。

 

「諸君なら事前に情報を仕入れて、何をするか分かっていると思うが……」

「ロボだろ、ロボ無双」

「花火、カレー、肝試しーっ!」

 

 上鳴と三奈がそれぞれやる気満々でそう言う。

 一応あの2人にも、ロボじゃない可能性もあるとは言ってあるんだが……それでもこの態度という事は、単純に俺の言葉を信じなかったのか、それとも信じたくなかったのか。

 

「残念、今回から諸事情あって変えちゃうのさ!」

 

 そう言ったのは、相澤のマフラーの中から姿を現した、獣……ネズミだった。

 雄英について調べた俺は、あの獣が何なのか……誰なのかを知っている。

 入学式に参加していればその顔を見るような事も出来たのだろうが……このイタチ? ネズミ? そんな獣は……

 

「校長先生!?」

 

 俺の近くで瀬呂が叫ぶ。

 そう、この獣こそ雄英の校長。

 ……それこそ調べて分かったのだが、この世界ではオールマイト並に……いや、場所によってはオールマイト以上に世界的に有名な人物――人じゃないが――だ。

 まさに偉人と呼ぶのが相応しいような、そんな相手がこの校長だった。

 もっとも、何故か世界的に有名なのは間違いないものの、日本ではその件はあまり知られていないのだが。

 せいぜいが雄英の校長として知られているくらいだ。

 この辺りの違いって、一体なんなんだろうな。

 個性というのが存在しても、日本という国ではそういう感じなのだろう。

 その校長は、愛らしい姿でよじよじと相澤のマフラーから地上に下りると説明を始める。

 ようは、演習試験でロボを相手に戦ういうのは、実戦的ではなくて生温いという事らしい。

 うん、まぁ……分からないではないが。

 それこそ具体的には、俺達はUSJでヴィラン連合に遭遇したし、職場体験でも緑谷、飯田、轟、峰田、俺はヒーロー殺しのステインと遭遇した。

 正確には兄の仇討ちとしてステインを狙っていた飯田に他の面々が乱入したといった感じなのだが。

 それはともあれ、とにかくそんな訳で教師達にしてみれば何故か騒動に出くわす俺達生徒を見て、いつも通りのロボでは駄目だと判断したらしい。

 まぁ、原作の流れを考えると、俺もその意見には賛成だ。

 何しろ俺の介入によって、間違いなく緑谷の実戦経験は原作よりも減っている筈だ。

 ステインとの戦いでも俺が介入せずに緑谷を含めた面々に戦わせたが、それだってステインとの戦いでもし何かがあったとしても、その時は俺がいるという安心感があった筈だ。

 何もやらないよりはいいが、原作の……俺がいない、そして俺がいないという事は、俺がいたからこそステインとの戦いに参加したのだろう峰田もいないのだろう状態で戦った時と比べると、間違いなく戦闘経験は劣っている筈だ。

 であれば、今回の演習試験がより実戦的なものに変わるのは、俺としては願ったり叶ったりとなる。

 ……もっともロボが相手だからという事で自分の個性でかなり有利に戦えると考えていたらしい三奈と上鳴は、動きが固まっているが。

 俺のアドバイスを素直に信じておけばよかったものを。

 

「これからは対人戦闘・活動を見据えた、より実戦に近い教えを重視するのさ」

 

 そう言う校長は、2本足で立って何かこう……闘気っぽいのを発しているように見えた。

 あくまでもそう見えるだけで、実際にはそういうのは発していないんだけどな。

 

「という訳で……これから諸君には2人1組でここにいる教師と戦闘を行って貰う!」

 

 そう宣言をする校長。

 なるほど、そういう意味ではこうして多くの教師がいる理由も分からないでもない。

 分からないでもないのだが……

 A組は21人なんだが?

 とはいえ、この流れは分からないでもない。

 ヒーロー基礎学とかで行われる模擬戦とかレースとか、そういうのでは俺が特別枠――といった表現が正しいのかどうか微妙だが――という扱いになっていた。

 今までのパターンから考えると、俺だけが何か特別な条件での戦いになるのだろう。

 

「先……生達と?」

 

 麗日が恐る恐るといった様子で呟く。

 それを聞いた校長は、その通りと頷く。

 そんな中、校長の言葉を引き継ぐようにして相澤が口を開く。

 

「なお、ペアの組と対戦する教師は既に決定ずみ。動きの傾向や成績、親密度……諸々を踏まえて、独断で組ませて貰ったから発表していくぞ」

 

 そう言い、相澤はペアと戦う教師を発表していく。

 

 轟とヤオモモが相澤と。

 緑谷と爆豪がオールマイト。

 芦戸と上鳴が校長。

 青山と麗日が13号。

 口田と耳郎がプレゼント・マイク。

 梅雨ちゃんと常闇がエクトプラズム。

 瀬呂と峰田がミッドナイト。

 葉隠と障子がスナイプ。

 砂藤と切島がセメントス。

 飯田と尾白がパワーローダー。

 

 こうしてペアの組と対戦する教師が決まった訳だが……

 

「えっと、俺の名前が出なかったんですけど、どうなってるんでしょう?」

 

 半ば予想しつつ、そう相澤に尋ねる。

 

「アクセルは全員の試験が終わった後の特別枠だ」

「……でしょうね」

 

 相澤の口から出た言葉は、俺にとっても予想通りの内容だった。

 その為、その件については特に不満はない。

 もっとも、そうなると俺は誰と模擬戦をするのかといった疑問もあるが。

 普通に考えれば、やっぱりオールマイトか?

 緑谷と爆豪の2人を相手にした後で、俺と模擬戦をやる……まぁ、No.1ヒーローのオールマイトと考えると、そんなに問題はないと思うけど。

 とはいえ、オールマイトだけなのかといった疑問もあるが。

 オールマイトの疲れを考えると、オールマイト以外の他の教師が参加するという可能性もあるのか。

 そうなると……問題なのは相澤だな。

 相澤の個性で俺の個性を消された場合、対処が難しい。

 もっとも、その対処はあくまでも個性が消された振りをするという意味でだが。

 何しろ俺の個性ということになっている混沌精霊は、実際には個性ではない訳だし。

 せめてもの救いは、相澤が抹消の個性で見た場合、見たから個性を消したという事になるだけで、個性を消すのに成功したというのを相澤本人には分からないといったところか。

 ……これで相澤が個性を消したのを確認出来るのなら、俺に個性を使ってもその感覚や反応がない事からおかしいと、疑問に思うだろう。

 だが、それがなければ……それで絶対にどうにか出来るといった訳はないが、それでも対処しようと思えば出来るのがありがたい。

 

「さて、じゃあそれぞれペアと教師と一緒にバスに乗るように」

「相澤先生、俺は?」

「……アクセルは取りあえずリカバリーガールの近くで待機していろ」

 

 そういう事になるのだった。

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