転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4485話

「あ……その、おはようアクセル」

「ああ、おはよう」

 

 演習試験があった翌日、俺はいつものように拳藤と合流して雄英に向かおうとしたのだが、何だか拳藤の反応がちょっと変だ。

 何というか、こう……ぎこちない?

 とはいえ、ここでどうしたのかと聞けば、拳藤の性格からして決して何故そうなっているのかといったことを話したりはしないだろう。

 であれば、今は取りあえず気にしないようにしておいて、拳藤が話す気になった方がいい。

 そう思い、適当に話をしながら拳藤と共に電車に乗る。

 

「へぇ……そっちはそっちで大変だったんだな」

「大変だったけど、A組のようにオールマイトがいたとか、そういうのじゃなかった分だけ楽だったと思うけど。それにアクセルは、教師全員にミルコも追加されていたんだろ?」

 

 電車の中で昨日の演習試験については話す。

 もっとも、LINとかでもその辺りについての話は普通にしていたので、今更の話ではあったりするのだが。

 

「俺の実力なら、そのくらいの難易度は必要だと教師側でも判断したんだろうな。……実際、無傷でしかもミルコも含めて教師全員捕らえる事に成功したけど」

「……本当に、一体アクセルは何でヒーロー科にいるんだろうな? 普通にもうプロヒーローをやったらどうだ?」

「プロヒーローをやるにも免許が必要だしな。実力だけでどうにかなったりはしないんだよ」

 

 とはいえ、ミルコや優ですらプロヒーローの試験には合格していると考えると、実技はともかく筆記試験の方は実はそう難しくないのかもしれないな。

 ……そんな風に思えば、ミルコはともかく優は怒りそうだが。

 ただ、実際にこの考えはそう間違っていないとは思う。

 勿論、それなりに勉強をした上での話なので、それなりの難易度ではあるのだろうが。

 

「ああ、なるほど。……あれ? でも、アクセルは筆記試験も得意だったよな?」

「今のところは、だけどな」

 

 色々な意味で特殊な俺はともかく、ヤオモモが普通に俺に追いすがっているんだよな。

 この様子だと、時間が経てば経つ程にヤオモモが点数を上げてきて、そのうち逆転されるかもしれないな。

 

「ふーん。やっぱりヤオモモか?」

「そうなるな」

 

 いつもの面子……俺、拳藤、ヤオモモ、三奈、葉隠、瀬呂。

 この中で俺、拳藤、ヤオモモは明確に頭が良い方に入るのだが、三奈、葉隠、瀬呂は……うん。

 この中では三奈がぶっちぎりに成績が悪く、それより少しマシといった程度の葉隠と瀬呂。

 何だか、こう……中間くらいの成績がいないんだよな。

 勿論、これはあくまでもいつもの面子での話だが。

 

「拳藤の方は筆記試験は……まぁ、問題ないか」

「そうだね。毎日の予習復習はきっちりとやっているのもあってか、クラスでも結構いい成績をしているよ」

「さすが委員長」

「……それ、今のところ関係ないんじゃないか?」

「いや、やっぱり委員長は相応に頭が良くないと」

 

 そう思うのは、これまでそれなりの数の学校に通ってきた経験からだ。

 とはいえ、拳藤にそんな事を言える筈もないので、疑問に思われても適当に誤魔化すしかないのだが。

 そうして話して、もう少しで雄英の駅に到着しようとしたところで、不意に拳藤が真剣な表情を向けてくる。

 

「なぁ、アクセル。その……I・アイランドの件なんだけど、本当に私が行ってもいいのか?」

「うん? 何かと思ったら……何だ、拳藤は俺と一緒にI・アイランドに行くのが嫌なのか?」

「そんな訳ないだろう!? 勿論、私もI・アイランドに行けたら嬉しいと思う。けど……アクセルが体育祭で優勝した賞品なんだし、私が一緒に行くのは、その、何か違わないか?」

「そうか? 別にB組だからって、拳藤がI・アイランドに行っちゃ駄目って事はないと思うぞ。……まぁ、物間辺りが知ったら、ネチネチと面倒な事になりそうな気はするけど」

「あー……そう言われるとそうかもしれないな」

 

 数秒前までの真剣な様子、あるいは悩んだ様子から一転し、どうしたものかと顔を横に振る拳藤。

 サイドポニーがそんな動きに合わせて動く。

 そんな拳藤のサイドポニーに動きを目で追っていると、何故か拳藤がジト目を向けてくる。

 

「アクセル、私の話を聞いてるか?」

「物間だろう? ……いっそ物間に知られないようにすればいいんじゃないか?」

「あいつ、色々とアレな奴だが、B組の面々に対してはそれなりに優しいんだよ。そんな訳で、色々とアレだが、B組ではそれなりに人望があったりするんだよな。……色々とアレだけど」

 

 大事な事なので3回言いましたってか?

 あるいは納得出来ないので3回言いました的な?

 とはいえ、A組の俺達にしてみれば物間は面倒な奴といった認識しかないが、拳藤の話を聞くとB組ではそうではないらしい。

 ……以前食堂で見た時、緑谷に絡んでいるのを見たけどな。

 期末テストが行われる少し前だったか。

 

「つまり、情報が漏れると?」

「うーん、どうだろ。絶対に漏れるとは限らないけど、もしかしたら漏れる……漏れる可能性が高いといったところかな」

 

 漏れる漏れると言ってると、優がどこかでくしゃみをしそうだな。

 昨日は訓練前にしっかりとトイレに行っていたので、漏れるような事はなかったが。

 というか、気絶もしないで俺の殺気に耐えきったんだよな。

 とはいえ優がやっているのは、殺気に耐える訓練ではなく、殺気を感じられるようになる訓練だ。

 まぁ、それでも殺気に耐えられるようになれば……例えば、ステインとの戦いの時の最後の方でステインが気迫と共に叫んでいた中でも動けるようになる。

 俺のように。

 とはいえ、あれは殺気ではなく気迫なので微妙に違うかもしれないが。

 

「取蔭辺りなら、面白がって話を広めそうだな」

「ぐ……それは……何とも言えない」

 

 拳藤と仲の良い取蔭だが、享楽的……というのは少し違うか? けど、面白いのは大好きといった感じなので、拳藤が俺と一緒にI・アイランドに行くというのを知れば、面白がって話を広めそうな気がする。

 

「茨なら話を広めるつもりはない……か?」

 

 俺の下僕であると言い張る茨だ。

 そういう意味では拳藤が俺と一緒にI・アイランドに行くと知っても、その話をわざわざ広めたりはしないだろう。

 だが、その代わりに何故自分が一緒に行けないのかとショックを受ける可能性もあった。

 ……ここで、何故自分を連れていってくれないのかと、俺に不満を持ったりしないのが茨の長所ではあるのだが、俺がI・アイランドに行くと知れば、どんな手段を使ってでも一緒に来ようとしそうな気がするんだよな。

 正直なところ、それはそれでどうなんだ? とは思わないでもなかったが。

 

「……えっと、それはとにかくとしてだ。本当に私がアクセルと一緒にI・アイランドに行ってもいいのかってのが気になったんだよ」

「その辺については、別にそこまで気にしなくてもいいと思うけどな。昨日のLINでのやり取りでもそれは明らかだっただろう? 他の面子もヤオモモが用意してくれたチケットでI・アイランドに行くんだから」

「それはそうだけど……」

「とはいえ、普通に考えれば俺と瀬呂が体育祭の優勝賞品のチケットでI・アイランドに行って、それ以外の女達がヤオモモの用意したチケットで一緒に行くってパターンになると思うんだけど、一体何で拳藤が俺と一緒に行く事になったんだろうな?」

「え? そ、それは……その、色々とあるんだよ、色々と。それよりほら、もう駅に着いたから、下りる準備をするぞ」

 

 そう言い、鞄を持ち直す拳藤。

 何だか上手い具合に話を誤魔化された気がするが……実際、駅に到着したのは間違いなかったので、この話は一旦ここで終わるのだった。

 

「おはようございます」

 

 そして当然のように駅の前には茨が待っていた。

 ……いつも思うんだが、茨って毎日いつから待ってるんだろうな?

 まさか早朝……午前5時とか、そんな時間から待っているとは思わないが。

 今は夏だから問題ない。

 朝方という事でそれなりに涼しいし。

 だが、もっと暑くなって、それこそ朝から30度オーバーとかそんな気温になったら、さすがに茨を待たせるのはどうかと思う。

 あるいは冬、静岡だからそこまで寒くはならないだろうが、それでも寒いものは寒い。

 そんな中で朝早くから持っているとなると……うん、やっぱりこれは厳しいと思う。

 今はいいけど、もう少し暑くなったら、あるいは寒くなったら、茨には駅で待たないように言った方がいいのかもしれないな。

 

「おはよう」

「おはよう。その……ううん、何でもない」

 

 俺と拳藤が揃って茨に挨拶をするが、拳藤の言葉が何か微妙だ。

 いやまぁ、恐らくI・アイランドの件について色々と思うところがあってのものだとは思うんだが。

 実際、茨も拳藤の様子に不思議そうに小首を傾げるが……それ以上は何も言わない。

 拳藤が知られたくなさそうにしているので黙っているのか、それとも今は俺がいるから黙っているのか。

 その辺は俺が気にするような事ではないか。

 

「じゃあ、行くか。いつまでもここにいると、多くの者から視線が向けられているしな」

「はい。では行きましょう」

 

 そうして話をしながら雄英に向かい、昇降口で拳藤や茨と別れてA組の教室に向かう。

 すると、そこでは……

 

「これ、一体何があったんだ?」

 

 教室にやって来た俺が見たのは、切島、上鳴、砂藤、三奈の4人に緑谷が責められているところだった。

 

「あれはね、緑谷君が気休めを言ったのが問題だったらしいね。……おはよう、アクセル君。今日はちょっと遅かったね」

 

 青山が朝の挨拶をしながら、そう言ってくる。

 けど、なるほど。

 緑谷にしてみれば慰めるつもりでそのように言ったのかもしれないが、それが言われた方にしてみれば許容出来なかったのだろう。

 緑谷はクラスメイト思いではあるが、時々相手に不愉快な思いをさせるような事があるんだよな。

 あるいは爆豪が緑谷に対して不愉快に思うのは、その辺の理由があってのものなのかもしれないな。

 ……いや、爆豪の性格を考えれば、緑谷の言動がどうこうというよりも緑谷の存在そのものが気に食わないとか、そんな風になっていてもおかしくはないな。

 けど、三奈も落ち込んでいるのか。

 昨日の打ち上げで行ったカラオケだったり、LINでのやり取りでも三奈はそれなりに元気な様子を見せていたものの、今日こうして見るとかなり落ち込んでいるな。

 今日になって……昨日眠って、その結果として冷静になってしまい、それによって落ち込んだのかもしれないな。

 とはいえ、ヤオモモの家でやった勉強会でそれなりに何とかなった筈だとは思うんだが……それでも駄目なのは駄目だったといったところか。

 この辺については俺が言うのもどうかと思うけど、普段から予習復習をやっていないのが悪い。

 とはいえ、三奈も競争率300倍の受験を突破して雄英のヒーロー科に入学したのだから、地頭は決して悪い訳ではないと思うんだが。

 

「まぁ、もう終わってしまったものはどうしようもないしな。……ちなみに青山はどんな具合だ? 昨日は急いで帰ったみたいだけど」

 

 青山はカラオケとかそういうのが好きそうなのに、何かの用事があるという話で打ち上げに来なかった。

 まぁ、用事があるのなら打ち上げに来ないのは仕方がない事ではあるのだが……ただ、最初のうちは青山も打ち上げに参加するつもりだったらしいんだよな。

 昨日、切島や上鳴から話を聞いた限りでは、演習試験が終わって皆が合流した辺りではそういう感じになっていたらしい。

 だというのに、実際には来なかった。

 つまり何か急用が出来たとか、そういう事になる訳だが……何だか体育祭の時の飯田が思い浮かぶな。

 あの時はステインによって飯田の兄のインゲニウムが襲われて、飯田は途中で帰った。

 何らかの急な用件という事を考えると、青山の昨日の一件が重なって見える。

 とはいえ、兄の件があってから飯田は視野が狭くなり、ステインに復讐する事だけを考えていた。

 それに対して、青山はそこまで切羽詰まった様子には見えない。

 

「ちょっと用事があってね」

「ふーん。まぁ、用事ってのは急に出来たりするものだし、それならそれで仕方がないとは思うけど。青山の今の様子を見ると、そこまで大きな問題にはならなかったみたいだな」

「……そうだね」

 

 あれ? 何で今の話の流れで残念そうな……いや、ちょっと違うか。申し訳なさそうな? とにかくそんな感じになるんだ?

 

「おい、本当に大丈夫なんだよな? 見た感じ、何かあったように見えるけど」

「っ!? い、いや。何でもないよ。僕は今日もいつものように煌めきを纏っているから、心配しないでくれ」

 

 そう言う青山は、元気一杯といった様子を見せる。

 うーん……何だか俺から見ると無理に元気になっているようにしか見えないんだが……いやまぁ、ここで俺がどうこう言ったところで、青山の性格を考えれば素直に話したりしないだろうし。

 取りあえず、今日のところはこれ以上は何も言わないでおくか。

 そう判断し、俺は話題を変えて青山と話を続けるのだった。

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