転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4486話

「今回の期末テストだが、残念だが赤点が出た」

 

 朝のHRの時間、相澤はそう口にする。

 当然のように、それにショックを受けた様子の三奈や上鳴。

 切島や砂藤といった面々も、今はかなりショックを受けた様子を見せていた。

 この様子からすると、筆記か実技か。

 どっちかは分からないが、とにかく赤点になってしまったという自覚があるのだろう。

 

「従って……林間合宿は全員で行きます」

『大どんでん返しだぁああぁぁあぁっ!』

 

 してやったりといった顔……いや、これはドヤ顔といった表現の方が相応しいのか?

 とにかく相澤のその言葉に、三奈、上鳴、砂藤、切島が驚きと歓喜の表情で叫ぶ。

 まぁ、さっきまでは自分達は林間合宿に行けないかもしれないと思っていたんだから、そんな風に思うのも当然か。

 駄目だと思っていただけに、その喜びもより強いのだろう。

 そんな驚きと歓喜の表情を浮かべている4人を見た相澤は、どこか満足そうに言葉を続ける。

 

「筆記の方は赤点はゼロ。実技で切島、上鳴、芦戸、砂藤。……それと瀬呂が赤点だ」

「林間合宿、行っていいんすか、俺らぁっ!?」

 

 驚きから我に返った切島が、勢いよく手を挙げて相澤に尋ねる。

 切島にしてみれば、自分は……他にも何人か、林間合宿には行けないと、そう思っていたのだろう。

 そこでこの大どんでん返しだけに、勢い込んで聞くのも分からないではない。

 ちなみに瀬呂はと視線を向けると、もの凄いショックを受けている様子だった。

 いやまぁ、実技……演習試験でミッドナイトから無事に逃げ切ったのは間違いないが、それは峰田の力があってこそのものだったらしいしな。

 そう考えれば、教師の方で赤点と認識されてもおかしくはない。

 ちなみにだが、相澤の言葉の中で重要なのは筆記試験の方で赤点は誰もいなかったという事だろう。

 三奈を含めて成績の心配があった……ネギま世界風に言えばバカレンジャーの面々は、しっかりと筆記試験は合格したという事になる。

 バカレンジャー……懐かしいな。

 もっとも、そのバカレンジャーだった面々も、高校を無事に卒業して、今となっては大学すらも卒業して社会人になっているんだが。

 シャドウミラーに来た面々は、一足先に社会に出た……出た……うーん、どうだろうな。

 勿論働いている以上は社会に出たと言ってもいいのかもしれないが、それはそれでどうかと思わないでもないし。

 シャドウミラーは色々な意味で特別な場所だしな。

 社会の荒波に……というのは……いやまぁ、千鶴やあやかといった政治班の面々は思いきり社会の荒波に揉まれているとは思うけど。

 

「今回の試験、我々教師陣……ヴィラン側は、生徒達に勝ち筋を残しつつ、どう課題と向き合うかを見るように動いた。でなければ、課題云々の前に詰む奴ばかりだっただろうからな」

「本気で叩き潰すと仰っていたのは……」

 

 尾白の問いに、相澤はあっさりと答える。

 

「お前達を追い込む為だ。そもそも林間合宿は強化合宿だ。赤点の奴こそ、ここで力をつけてもらわなきゃならん。……合理的虚偽って奴さ」

『ゴーリテキキョギィィイッ!』

 

 その言葉に騒ぐ面々。

 もっとも、飯田のように合理的虚偽にもの申す奴がいたり、それを聞いた相澤が林間合宿での補習は学校に残るよりもきついといったような事で、教室の中は混乱していたが。

 

「ちなみに、相澤先生。演習試験で生徒には勝ち筋を残すって話でしたけど、他の生徒達はともかく、俺の場合は重りをしていたとはいえ、教師が9人にプロヒーローのミルコまでいたんですけど? ちょっと他の生徒と違いすぎませんか?」

「……その難易度の高い試験を完全攻略した奴が何を言っている。それにお前は、生徒達の壁なんだろう? なら、他の生徒よりも難しい試験になるのは、その壁としての実力を見せる為にも当然だろう」

 

 相澤は特に焦るでもなく、あっさりとそう言ってくる。

 こうして突っ込まれるのを予想していたのか、それとも最初からそのつもりでいたのか。

 その辺りは分からないが、相澤の言葉に強い説得力があるのも事実。

 あるいは、俺が演習試験で失敗していたりすれば、あるいはもう少し違った話をしたかもしれないが、生憎とクリアを……それもパーフェクトに近い内容でクリアしたし。

 

「けっ!」

 

 俺と相澤の会話に、面白くなさそうな様子で吐き捨てる爆豪。

 まぁ、無理もないか。

 緑谷から聞いた話だと、爆豪は緑谷と2人で……本当にあの爆豪が? と思ったんだが、とにかく最終的には緑谷と協力してオールマイトを相手の演習試験をクリアしたらしい。

 しかし、俺はそんなオールマイトに1人で勝った。

 しかもオールマイトだけではなく、他の教師全員に追加でプロヒーローのミルコを相手にして。

 勿論、ミルコ以外の面々……オールマイトも含めて他の教師達は生徒の演習試験をやった後なので、体力的には決して万全といった訳ではない。

 しかし、それでもある程度は体力を回復した教師達とミルコを相手にして、勝利したのだ。

 爆豪にしてみれば、それが気に食わないと思うのもそうおかしな話ではない。

 とはいえ、このクラスの面々も数ヶ月を爆豪と一緒に生活してきたのだから、今のような爆豪の様子を見ても、特に何か反応する者はいない。

 ……あ、いや。緑谷がそんな爆豪を少し心配そうに見ているな。

 緑谷も相変わらずだな。

 まぁ、幼馴染みで付き合いも長い……結構な期間苛められていたらしいが、とにかくそれでも幼馴染みは幼馴染み。

 原作的には恐らく緑谷のライバルなのだろうから、そう考えれば緑谷が爆豪を心配するのも分からないではないか。

 

「とにかくアクセルは……まぁ、取りあえず赤点なんてことはまずないから、心配しないでいい。林間合宿の心配をしているんだな」

 

 相澤は半ば話を誤魔化すようにそう言い、HRの続きをするのだった。

 

 

 

 

 

「ねぇ、ねぇ。アクセル君。耳郎もちょっといい?」

 

 休み時間、耳郎からお薦めの音楽について聞いていると、葉隠が声を掛けてくる。

 ちなみに耳郎が俺に音楽について話したのは、昨日の打ち上げで行ったカラオケが理由らしい。

 俺があまりにも最近の歌……正確にはこの世界の歌を知らないので、見るに見かねてといったところらしい。

 とはいえ、これは単純に俺が歌とかにあまり興味がないからなんだが。

 ただ、耳郎は善意からこうして歌について教えたり、お勧めのCDを貸してくれたりするのだから、まさかそれを断る訳にもいかない。

 そんな中で葉隠に声を掛けられたので、これ幸いと葉隠に視線を向ける。

 ……もっとも、葉隠はいつものように個性で透明なので、制服が浮いているようにしか見えないのだが。

 

「どうした?」

「実は明日はテスト明けで休日だし、林間合宿で使う物を色々と買い出しに行こうって事になったんだけど、2人はどうする?」

「明日か。……耳郎はどうする?」

「え? ウチ? うーん、色々と買いたい物はあるし、行こうかな」

「そうか。なら、俺も行くか」

「えー……ちょっと、アクセル君。今の話の流れはちょっとおかしくない?」

 

 俺と耳郎の話を聞いていた葉隠が、何故か微妙に不満そうな様子でそう言ってくる。

 今の話の流れで、どこかおかしいところがあったか?

 そう疑問に思ったが、葉隠の様子を見る限りでは、やはり何かがあったのは間違いないのだろう。

 耳郎の方に視線を向けると、その耳郎は何故か薄らと頬を赤くして俺から視線を逸らしている。

 えっと、何がどうなってそうなったんだ?

 疑問に思うが、多分俺には分からないような何かでこういう事になっているのだろうと思っておく。

 

「話の流れはどうか分からないが、とにかく俺も明日の買い物には行くという事で。……1週間分となると、結構な荷物になるな。スーツケースとか、そういうのも買った方がいいか」

 

 本来なら、空間倉庫がある俺にはスーツケースとか大きなバッグとか、そういうのは別にいらない。

 いらないのだが、それはあくまでも俺が空間倉庫を自由に使えればの話だ。

 俺の個性――という事になっている――の混沌精霊については、増強系と炎獣についてはもう皆に知られているが、空間倉庫については知られていない。

 龍子を始めとして、俺の事情を理解している者達であれば空間倉庫についても知っているが。

 ……というか、様々な個性があるヒロアカ世界なら、俺の空間倉庫と同じような能力を持つ個性とか、そういうのがあってもおかしくないんだが。

 まぁ、いたら……ヴィランなら絶対に確保して、一般人やプロヒーローならシャドウミラーに協力して貰おう。

 上手くいけば……本当に上手くいけばだが、もしかしたら量産型Wに空間倉庫に近い能力を持たせる事が出来るかもしれないし。

 それに、どうにかしてマジックアイテムとかに空間倉庫の能力を付与する事が出来れば、シャドウミラーにとって大きな利益になる。

 それこそ、それだけでヒロアカ世界に来た甲斐があると思える程に。

 まぁ、それはともかく。

 とにかく林間合宿に向けてスーツケースの類は購入した方がいいのは間違いない。

 そしてどうせ購入するのなら高性能な奴がいいだろう。

 林間合宿は学校行事なんだし、そうなるとこれも公安からの依頼の一件と見なしても間違いではない筈だ。

 そんな訳で、公安のブラックカードを使って最高級のスーツケースを購入しよう。

 出来ればAI搭載の奴がいいな。

 ロボット掃除機のAIがかなり賢いので、スーツケースのAIも同じように賢い奴が欲しい。

 もしかしたらロボット掃除機のAIと同じように独自の判断をしたりとかして……更にはAI同士で仲良くなったりとか、そういう流れになるかもしれない。

 とはいえ、それは夢を見すぎか。

 

「どうせなら、格好いいスーツケースを買おうよ」

 

 葉隠のその言葉に、悩む。

 

「俺としては、出来ればAI搭載型のスーツケース……そういうのがあればだが、そういうのが欲しいんだよな」

「あら、アクセルさん。そういうのが欲しいのですか?」

 

 俺と葉隠の言葉に、ヤオモモがそう会話に入ってくる。

 

「ああ、出来れば高性能なAIが搭載されているようなスーツケースが欲しいな」

「えー……でも、スーツケースにAIって、どういう感じになるの? 私はどういうのなのか、ちょっと思いつかないけど」

 

 格好いいスーツケースを勧める葉隠にしてみれば、俺が言うAI搭載型のスーツケースというのは、あまり趣味ではないのだろう。

 いやまぁ、AI搭載のスーツケースだからといって、それが格好よくないとは限らないんだが。

 それこそAI搭載型ともなれば、相応に……普通のスーツケースと比べても高額になるのは容易に想像出来る。

 であれば、その値段に相応しいような外見にしてもおかしくはないと思うんだが。

 

「では……そうですね。後でカタログでも送らせて貰いますわ。もし明日買い物に行ってないようでしたら、通販という手段もありますし」

「そうだな。なら、そんな感じで」

「ぶーぶー」

 

 俺とヤオモモのやり取りに、不満そうな様子を見せる葉隠。

 

「ほら、落ち着けって。スーツケースも葉隠がいいと思えるような、格好いい奴かもしれないだろ?」

「えー……どうなの、ヤオモモ?」

「そう言われましても……以前見た時は、そう悪くないもののようには思えましたわね」

「な? ヤオモモも格好いいって言っているんだし」

「ウチとしてはパンクなスーツケースがいいんだけど」

 

 折角落ち着いたと思ったところに、今まで黙って様子を見ていた耳郎の言葉が投げ掛けられるのだが……

 

「いや、パンクなスーツケースってどんなのだよ?」

 

 耳郎の言葉に意味が分からず、首を傾げる。

 パンク……パンクか。例えばスーツケースにLEDのランプを幾つも付けるとか?

 それも青、赤、緑といったように様々な色に輝く的な。

 ……いや、駄目だな。

 ちょっと想像してみたが、それだとパンクではなくゲーミングスーツケース的な感じになる。

 まぁ、それならそれで悪くないかもしれないとは思うけど。

 

「パンクな奴だよ」

「いや、だからそのパンクな奴ってのが分からないんだが。そもそもパンクってどんな概念なんだ?」

「概念っ!? 何でそんな大袈裟な話になるのさ」

 

 パンクという概念という言葉に、耳郎が驚きの声を上げる。

 いや、それはただの純粋な驚きではなく、呆れの色も混ざっているように思えた。

 とはいえ、それをここで俺がどうこうといったところで意味がないような……いや、そうでもないのか?

 

「あ、そうだ。ねえねえ、どうせならB組も誘わない?」

 

 葉隠の不意の言葉に、何と言えばいいのか迷う。

 いやまぁ、拳藤のようにそれなりにA組と親しい面子ならともかく、物間のようなアレな奴が来たら、間違いなく雰囲気が悪くなるだろうしな。

 

「拳藤とかならいいと思うけど、物間とか来たら……ああ、でも物間と相性の悪い爆豪は多分来ないから大丈夫か」

 

 一応切島が爆豪も誘っていたみたいだったが、爆豪は即座にそれを断っていた。

 そんな訳で、それなら構わないかも? と思うのだった。

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