転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4491話

「あ、このソフトクリーム美味しい」

 

 拳藤がブルーベリーのソフトクリームを食べながら、嬉しそうに言う。

 拳藤が最初に行った服屋で幾つかの服を購入し、その後も少し買い物を続け……ちょっと疲れたし、昼になったという事で、喫茶店に入った。

 その喫茶店は……普通の喫茶店で、料理も特筆する程に美味い訳ではなかったが、店のお勧めのブルーベリーのソフトクリームは当たりだったらしい。

 個人的には、出来れば喫茶店ならではのナポリタンとか、そういうのが美味かったら嬉しかったんだが。

 もっとも、そういうのも別に美味いと絶賛する程ではないにしろ、不味い訳でもない、そんなくらいだったが。

 出来ればもっと美味い料理を食べたかったな。

 まぁ、ブルーベリーのソフトクリームが美味いと喜んでいるのを見れば、この喫茶店でよかったかもしれないと思ってはいるが。

 

「こっちのチョコバナナパフェもなかなか美味いな。突出して美味いって程じゃないけど」

 

 チョコとバナナというのは、非常に相性がいい。

 それを使ったパフェだけに、それなりに美味い。

 ただ、この手のパフェというのは、基本的に盛り付けるだけだ。

 ソフトクリームはメニュー表によると、店で作っているらしい。

 ソフトクリームというのはどういう風に作るのかは、俺には分からない。

 とはいえ、こうしてメニュー表できちんと手作りだと書かれている以上は、実は手作りではなくて、パフェのようにどこかから買っているとか、そういうのじゃないんだろうけど。

 

「ふーん。……ねぇ、アクセル。少し貰ってもいい?」

「ああ、いいぞ。その代わりソフトクリームも一口くれ」

 

 拳藤が絶賛する、ブルーベリーのソフトクリーム。

 そこまで美味いのなら、俺も追加で注文をすればいいのだが、実際に食べてみてから注文をした方が確実だしな。

 

「え? ……あ、うん。分かった。ほら」

 

 そう言い、拳藤はソフトクリームを俺の方に向ける。

 テーブル越しにソフトクリームを一口囓る。

 ……なるほど、ソフトクリーム特有の濃厚な甘さがあり、そこにブルーベリーの酸味がある。

 ただ、俺の好みとしては、どうせならもっとブルーベリーの酸味が強い方がいい。

 いや、この場合は別に無理にブルーベリーを使う必要はないのか。

 ブルーベリーを含めたベリー系と一口に言っても、そこには多くの種類がある。

 そういう酸味の強いベリー系を使えば……いやまぁ、その辺については俺がどうこう言うような事じゃないだろうが。

 それに俺にはもっと酸味の強い方が好みではあるが、これだって十分に美味い。

 それに客の中には拳藤のようにこのソフトクリームが美味いと思う者もいるだろうし。

 

「うん、美味いな。じゃあ……ほら、あーん」

「……え?」

 

 チョコバナナパフェをスプーンで掬って差し出すと、ピキリと拳藤の動きが止まる。

 

「どうした? 一口食べたいって言ったのは拳藤だろ?」

「それはそうだけど、別にこうして……ああっ、もう。仕方がないな!」

 

 何故か不満そうな様子の拳藤だったが、それでもチョコバナナパフェの魅力には勝てなかったのか、俺が差し出したスプーンに乗っているチョコバナナパフェを食べる。

 ……ああ、もしかしてこの『あーん』が嫌だったのか?

 そうも思ったが、拳藤の性格を考えればこの程度で照れたりはしないだろう。

 まさか間接キスとかそっち方面で……いや、それもないか。

 そんな訳で、結局俺は何故拳藤がこうして顔を赤くしているのかの理由が分からないまま、話を続ける。

 拳藤も話を続けていればそのうち落ち着いてきたらしい。

 

「それで、午後からだけど、どうする?」

「うーん、私はそれなりに細々とした物が欲しいんだけど、アクセルは?」

「そうだな……カメラとか欲しいかも」

 

 俺が現在使っているスマホは、例によって例の如く最高級グレードの奴だ。

 ぶっちゃけ、その性能の高さを俺が完全に使いこなしているかと言われれば、微妙なところだろう。

 とにかくそんなスマホだが、最高グレートの奴だけあってカメラとしての性能も高い。

 それこそ下手なデジカメと比べても、こっちの方が高性能だったりする。

 ただ、こう……出来ればスマホではない、普通のデジカメも持っておきたいところなんだよな。

 どうしても欲しいとかそういう訳ではなく、あくまでも出来れば欲しいといった程度なのだが。

 ちなみに本当にカメラを使うのなら、それこそ一眼レフのカメラとかそういうのの方がいいかもしれないが、俺はそこまで本気でカメラに取り組む訳ではないので、そういうのはそこまで必要ではなかったりする。

 いやまぁ、あればあったで面白いかもしれないとは思うが。

 

「カメラ? スマホじゃ駄目なの? アクセルの奴、カメラの性能もいい奴じゃない?」

「そうなんだけど、出来ればもっとこう……スマホのカメラじゃなくて、本物が欲しいんだよ」

「ふーん」

 

 拳藤の様子からすると、俺の言葉の意味は完全には理解出来ていないらしい。

 ただ、それでもそういう事があるかといった様子で、ある程度は納得したぽいな。

 

「じゃあ、まずはカメラを見にいこうか」

「いいのか? さっき、拳藤も細々とした物が欲しいって言ってただろ?」

「そうだけど、午前中はかなりアクセルに付き合って貰ったしね。なら、午後は最初にアクセルが欲しいのを買ってもいいと思ったんだよ」

「まぁ、拳藤がそれで問題ないのなら、俺もそれで構わないけど」

 

 家電とかって、見ているだけでも楽しいんだよな。

 ……もっとも、技術班に頼めば俺が思っている以上の家電を作ってくれるのだが。

 ただ、そうなると、ちょっと違う感があったりする。

 いやまぁ、技術班が作る家電なので間違いなく高性能ではあるのだが、それでも実際にはやっぱりこう……うん、何でなんだろうな?

 

「じゃあ、まずはアクセルの、次に私のって事で」

 

 そうして午後の予定を手早く決めると、店を出る。

 ちなみに拳藤はしっかりしてるので、きちんと割り勘……というか、それぞれの料理代はそれぞれで払う事になった。

 まぁ、これがしっかりとしたデートでも……いや、拳藤の性格を考えると、これがしっかりとしたデートであっても普通に割り勘になりそうだな。

 拳藤にとってはそっちの方がいいんだろうし、それはそれで俺としては構わないけど。

 寧ろ一緒に食事をしたのだから男が奢って当然といったような奴の場合、付き合いたくないし。

 そんな訳で喫茶店を出た俺と拳藤はまずはカメラを買いにいく。

 

「駅前だから、そこまで大きな店じゃないんだよな」

 

 駅の近くにある電気屋の中を見て回りながら、そう感想を口にする。

 この手の店は多くの家電……いや、家電に限らず、それこそマッサージチェアとかの大きな物も売っていたりするので、校外に大きな店があるのが一般的だ。

 勿論、最善なのは駅の近くに大型の店舗を用意する事なのだが、そうなると当然ながら土地の値段やら、あるいは家賃の類でかなり高額になってしまう。

 また、郊外にある店なら客が車で来て、購入した商品を自分達で運ぶといった事も出来るだろうが、駅前だと駐車場を用意するのも難しくなる。

 もっとも、別に自分で運ばなくても購入した店で運んで貰うといった手段もあったりするが、店によっては別途料金が必要になったりするしな。

 そんな訳で、駅前で電気屋というのは……ない訳ではないが、店舗としては小さくなる。

 勿論、資金に余裕があるのなら大型店舗にしたり、あるいはビルを建ててその全てが電気屋といった事も出来るだろうが。

 

「あ、これちょっといいかも……」

 

 電気屋の中を移動していると、拳藤がそう呟く声が聞こえてきた。

 その声のした方を見ると、そこではドライヤーを見ている拳藤。

 ドライヤー? と疑問に思ったが、当然ながらこのヒロアカ世界で売っているドライヤーがただのドライヤーな訳がない。

 いや、勿論シンプルなドライヤーも売っているので、そういうのが全くないって訳でもないんだが。

 ただ、拳藤が見ているドライヤーは、説明のところを見ると……まぁ、うん。

 そういうのに詳しい者にしか通じないような専門用語が複数使われているが、それを何とか理解してみると……このドライヤーはとにかく凄いドライヤーで、髪にも優しいというか、艶を与える? そんな感じのドライヤーらしい。

 

「買うのか?」

「え? うーん……どうしようかな。欲しいのは間違いないけど、ちょっと高いし。ただ、私の髪型はこうだろ? 何気に髪とか皮膚にダメージがあったりするんだよな」

 

 そう言い、自分の髪を……サイドポニーに触れる拳藤。

 拳藤らしい髪型だとは思うんだが、どうやら気楽に出来るというものではないらしい。

 

「そういうものなのか?」

「ああ。けど、子供の頃からずっとこの髪型だったから、今更別の髪型にしたりするつもりもないし。ただ、このドライヤーを使えば……けど、値段がなぁ。無理をすれば購入出来ない訳じゃないってのが……」

 

 悩む拳藤。

 ドライヤーの値段を見ると、なるほど、それなりの値段だ。

 拳藤にしてみれば、購入するかどうかな迷いどころといったところか。

 

「……なぁ、アクセルはどう思う?」

 

 悩んでいた拳藤が、そう聞いてくる。

 

「いや、どう思うと言われても……俺はドライヤーとかそういうのにはそこまで詳しくないし」

 

 俺の場合は、大は小を兼ねるじゃないが、とりあえず迷ったら最高グレードの奴を買っておけばいいという認識だしな。

 何しろ支払いは俺じゃなくて公安なので、その辺については特に気にする必要もないし。

 ……公安の金を好き勝手に使ってもいいのか? という思いがない訳でもないが、公安は未だにゲートを設置する土地については現状維持のままだ。

 いやまぁ、ステインの件とか、ヴィラン連合の件とか、原作が始まった事で色々と忙しくなっているのは、分かる。

 原作主人公の緑谷が雄英に入学して原作が始まり……何だかんだと、まだ3ヶ月かそこら。

 今が原作において、どの辺りまで来ているのかは分からない。

 既に原作の中盤になっているのか、それともまだ序盤なのか。

 さすがに終盤近いといった事はないと思うが。

 あ、でもこの世界の原作が途中で打ち切りになった場合とかを考えると、実は今が終盤といった可能性もあるのか。

 もっとも、そこまで考えてはあまり意味がないので、取りあえずまだ序盤から中盤という風に考えておく。

 そうなると、これからもっと多数の面倒が起きるのは確実で、それがヴィランとかヒーロー関係であるとなれば、当然ながら公安も忙しくなるだろう。

 それを考えれば、ゲートを設置する土地を用意するのが遅れても仕方がない。

 仕方がないが、それはそれ、これはこれ。

 俺をこうして待たせているんだから、公安の金で多少俺が好き勝手しても構わないだろう。

 なので……

 

「このドライヤー、買うか?」

「え? ちょ……幾ら何でも、アクセルに買って貰う理由なんてないだろ!?」

 

 まさか俺にそんな風に言われるとは思わなかったらしく、拳藤は驚き……いや、動揺した様子でそう言ってくる。

 この辺も拳藤が好ましいところだよな。

 

「けど、その髪型は拳藤に似合っている。俺が初めて拳藤と会った時も、その髪型だったろう? このドライヤーを買う事で拳藤がいつまでもその、拳藤らしい髪型をしてくれるのなら、俺にとっても嬉しいしな」

「……ふえ?」

 

 何故かたっぷりと30秒程も沈黙した後、拳藤らしからぬ声でそう言う。

 

「拳藤?」

「っ!? な、何でもない! 全く……本当に全く、そういうところだぞ、アクセル。もしここに茨がいたら、一体どうなっていたと思うんだ?」

「は? いきなりそんな風に言われても、意味が分からないんだが?」

「……あーっ、もう。いいからほら、行くよ。アクセルはカメラを買いにきたんだろ? なら、まずはそっちだ!」

「ドライヤーはいいのか?」

「っ!? 今はちょっと考えられないから、後でだ、後で。アクセルがカメラを買った後で考えさせて貰うよ」

 

 顔を真っ赤に染めながら、店の迷惑についても考えているのか、小声で叫ぶという器用な事をする拳藤。

 拳藤がそう主張するのならという事で、カメラ売り場に向かうのだが……

 

「ちょっと多いな」

 

 この店はそこまで大きい訳ではないが、カメラのコーナーはそれなりに広く、多数のカメラが売られていた。

 この店の店長の趣味なのか、それともこれが普通なのか。

 ただ、このカメラ売り場にあるのは普通のデジカメで、一眼レフのカメラ……優のファンのキタコレ族が持っているような立派なカメラの類ではない。

 ああいうカメラって、やっぱりカメラ専門店とかで売ってるんだろうか。

 まぁ、どのみち俺が欲しかったのはあくまでも邪魔にならない程度で持ち運べるような奴なので、ああいうカメラは欲しいとは思わないが。

 その後、色々と店員から話を聞き、最終的には高性能でいながら素人でも扱いやすいカメラを買い、ついでに拳藤のドライヤーも購入するのだった。

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