転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4498話

『さて、飛び入りで参加してくれた2人目のチャレンジャー! 私、この人を知っています。日本の雄英高校のヒーロー科1年にして、体育祭で優勝したアクセル・アルマーさん。凄いのはそれだけではなく、日本でヒーロー殺しと呼ばれていたヴィラン、ステインを倒した人物と言えば、動画がネットに上がっていたので知ってる人も多いでしょう。一体、そんなアクセルさんはどんな記録を出してくれるのでしょうか?』

 

 司会の声が周囲に響く。

 結局俺は爆豪と茨のやり取りの結果、このヴィランアタックとかいうアトラクションに参加することになってしまった。

 ちなみに俺の前に何故か爆豪の八つ当たりの原因になった緑谷もヴィランアタックに参加してなかなかの好成績を出した。

 ……もっとも、現在1位の爆豪のタイムである15秒には及ばなかったか。

 

『では……スタート!』

 

 司会の言葉を聞いた瞬間、俺は瞬動を使って一気にヴィラン役のロボを撃破する。

 俺は他の生徒に対する壁として雄英にいる以上、他の者に……爆豪を相手にしても、俺は決して負ける訳にはいかない。

 なので、それなりに本気を出して瞬動を使い、次々とヴィラン役のロボを破壊していき……

 

『さ……3秒!? アクセル・アルマーさんのタイムは3秒! これはぶっちぎりの1位です! というか、プロヒーローでもこのタイムを出すのは無理じゃないですか!?』

『わああああああああああああああああああ!』

 

 司会の言葉に、多くの観客達が歓声を上げる。

 そんな歓声に手を振り返す。

 ヒーロー科1年のトップとして、こういうファンサービスもする必要がある。

 とはいえ、今の俺はヒーローコスチュームを着ているので、アークエネミーとしての対応ではあったが。

 とん、と地面を蹴って観客席に戻る。

 

「さすがアクセルさんです。誰も文句が言いようのない、素晴らしい成績です」

 

 茨が戻ってきた俺に対し、そう言葉を掛けてくる。

 

「ぐぎぎぎぎぎ」

 

 そんな茨とは裏腹に、爆豪は俺を見て悔しそうに睨み付けてくる。

 先程までは茨と言い争っていたのだが、その結果が俺の3秒というタイムだったので、爆豪は悔しさを如実に表情に出していた。

 それでも爆豪の長所は、こうして負けても悔しがりはするが、それで俺が何か卑怯な真似をしたとか、そういうのは言わない事だろう。

 もし自分の負けを納得出来ないのなら、それこそ俺が何か卑怯な真似をしたとか、そういう風に言ってきてもおかしくはないのだから。

 とはいえ、俺がこのI・アイランドに来るのは今日が初めてである以上、何らかの卑怯な真似と言われても、それが具体的にどのようなことなのかと言われれば、爆豪にも答えたりは出来ないだろう。

 ……個性を使っていないから卑怯だと言われれば、俺としても反論は出来ないのだが。

 ただ、このヴィランアタックというアトラクションは、絶対に個性を使わないといけないという決まりはない。

 あくまでもやるべきなのは、仮想ヴィランであるロボを全て破壊するタイムを競うというものなのだから。

 

『きゃあああああ、凄い凄い凄い。14秒! 先程のアクセルさんには及ばないものの、2位! 素晴らしいタイムです!』

 

 不意に聞こえてきたその声にアトラクショの方を見ると……アトラクションの多くが氷に埋まっていた。

 それが誰の仕業なのかは、考えるまでもない。

 I・アイランドにA組の生徒の多くが集まっている以上、原作的にここが何らかの騒動の舞台になるのは間違いなく、そうなればA組の中でもトップクラスの実力を持つ、爆豪と並ぶNo.2の座にいる轟がここに姿を現さない訳がない。

 そんな俺の予想通り、14秒という俺には少しだけ及ばなかったタイムでクリアしたのは、轟だった

 ……少しだけ意外だったのは、轟の性格を思えばこういうアトラクションに自分から参加するとは思っていなかったという事か。

 轟が一体何を考えてヴィラアタックというアトラクションに参加したのか。

 もっとも、体育祭での緑谷との戦いで、轟は一皮剥けた。

 実際にさっき司会が言っていた、俺が倒したという事になっている……いや、実際に最後に倒したのは俺なので、その表現は決して間違ってはいないいのだが、かなりのダメージを与えたのは緑谷、飯田、轟、峰田の4人だ。

 とにかく、体育祭前の轟であれば他の面々と協力してステインと戦うといったことはしなかっただろう。

 そうして以前……雄英に入学した当初とは変わった轟だからこそ、ヴィランアタックというアトラクションに参加した可能性も十分にあった。

 とはいえ、爆豪と切島は福引きで当たったチケットによってI・アイランドに来た訳だが、轟は一体どういう伝手で……いや、考えるまでもないか。

 ヤオモモの家にチケットが来たのを見れば分かるように、轟も父親にして、No.2ヒーローのエンデヴァーにチケットが送られてきたのだろう。

 

「ぐぎぎぎぎぎぎぎゃぎゃぎゃぎゃ!」

 

 うわ、俺だけじゃなくて轟にも自分のタイムを抜かされた爆豪が、何だかとんでもない事になってる。

 

「もう1回だ……」

「え? かっちゃん、一体どうしたの?」

 

 ポツリと呟かれた爆豪の言葉に、近くにいた緑谷がそんな風に尋ねるも、爆豪はそれを無視して、俺を睨んでくる

 

「もう1回やってやらぁっ! ヒモ野郎にも半分野郎にも、負けてたまるかってんだぁっ!」

 

 BOMB、と爆発を起こした爆豪は、再びアトラクションに……轟のいる場所まで戻っていく。

 どうやら爆豪にしてみれば自分が3位であるというのが我慢出来なかったのだろう。

 とはいえ、このアトラクションは何気に爆豪とは相性が悪いんだよな。

 アトラクションの様々な場所にヴィラン役のロボットが配置されているものの、そのロボット同士の距離はそれなりに離れている。

 轟の場合は氷を使った範囲攻撃が出来るので、全て纏めて倒す事が出来る。

 俺は……まぁ、うん。瞬動であったり、混沌精霊としての身体能力が高すぎるので、その辺については論外として。

 そんな轟とは違い、爆豪は個性の爆発を使って素早く移動し、次々にロボットを倒して行く必要がある。

 ……まぁ、そんな自分向きではないアトラクションなのに、それでも広範囲攻撃が得意な轟と1秒差というのは素直に凄いとは思うが。

 

「爆豪か。アクセルや緑谷達も来てんのか」

「無視すんなやごらぁっ!」

 

 クールというか、飄々といた様子で呟く轟だったが、爆豪はそんな轟の様子が気に食わないらしく、轟に食って掛かっていた。

 

「大体、何でヒモ野郎だけじゃなくて、てめえまでここにいんだよ!」

「招待を受けた親父の代理で」

 

 そんな会話が聞こえてくる。

 轟がI・アイランドにいるのは、予想通りではあった。

 エンデヴァーなら、I・アイランドに招待を受けても不思議ではないのだから。

 

『あのぉ、次の方が待っていますので……』

「うるせぇっ! 次は俺だぁっ!」

 

 司会の言葉に、爆豪が叫ぶ。

 こういうのを見ると、やっぱり爆豪はヒーローじゃなくてヴィラン向きだよな。

 いやまぁ、爆豪の素質を考えると、もしヴィランになっていたらシラタキやステインと同じくらいの……それこそ、いわゆるネームドと呼ばれるヴィランになっていた可能性が高いから、そういう意味ではヒーロー科にいたのはこのヒロアカ世界の者達にとっては良い事なのだろうが。

 

「皆、爆豪君を止めるんだ! 雄英の恥部が世間に晒されてしまうぞ!」

 

 飯田が走りながら、そう言ってくる。

 ……というか、今更、本当に今更の話だが、飯田も峰田や上鳴と一緒にバイトをしてるんじゃなかったか?

 峰田と上鳴はまだバイトに残っているのに、何で飯田がここにいるんだ?

 あ、でも飯田は喫茶店で姿を現した時から、峰田や上鳴と違って制服を着ていなかったし、それを思えば休憩時間なのかもしれないな。

 そんな風に思いながらも、俺は指示を出す。

 

「瀬呂、茨」

 

 俺が指示を出した2人は、相手を拘束しやすい個性を持つ2人だ。

 本来ならここに峰田もいれば、拘束にはもっと有利だったんだが……いないのであれば、仕方がない。

 瀬呂と茨は素早く個性を使う。

 とはいえ、同じように拘束向きの個性ではあっても、その個性の使い方は大きく違う。

 瀬呂は肘からテープを飛ばすといった方法で、ある程度の距離があっても拘束向きはあるが、茨の場合は髪を伸ばして移動させなければいけないので、どうしても蔦を爆豪のいる場所まで伸ばすにはそれなりに時間が掛かる。

 その為、瀬呂は今までいた観客席からテープを飛ばし、茨は観客席から下りて爆豪に向かいながら髪の毛を伸ばす。

 そして爆豪の相棒……というのは少し違うが、間違いなくA組で一番爆豪と仲の良い切島と、爆豪のライバルである緑谷もまた跳躍して爆豪に向かう。

 俺も行くか?

 そう思ったが、これだけの人員が向かっているのを見れば、わざわざ俺が行くまでもないだろう。

 ……そう思っていたのだが、爆豪が予想外に粘る。

 轟が爆豪を押さえるのに協力してないからというのもあるが、それでも緑谷達がいても、取り押さえる事が出来ない辺り、爆豪の実力が存分に発揮されていた。

 いやまぁ、こんなところで爆豪がその実力を発揮してどうするんだと、そう突っ込みたくなるが。

 

「アクセル、あんたは行かないのかい?」

 

 眺めていると、拳藤がそう声を掛けてくる。

 

「そうだな。もう少しこのまま見ておきたいな。……ああ、別に意地悪でこういう風に言ってる訳じゃないぞ?」

 

 俺が出れば、恐らく……いや、ほぼ間違いなく爆豪を鎮圧して大人しくさせる事は出来るだろう。

 だが、暴れる爆豪を鎮圧するというのは、緑谷にとってもそれなりの訓練になっているのは間違いない。

 であれば、これは俺が迂闊に手を出すよりも、訓練がてら緑谷に動いて貰った方がいい。

 一応、自主訓練で緑谷にはかなりの訓練をさせてはいるが、それでも俺が介入した影響で原作と違って緑谷の実戦経験が少なくなっているのは間違いない筈だ。

 だからこそ、訓練が出来る機会を見逃す訳にはいかなかった。

 

「あのな……飯田が言っていただろ? このままだと雄英の恥部が表沙汰になってしまうんだぞ?」

「……アクセル君、もしそうなれば相澤先生に怒られると思うんだけど」

 

 拳藤と葉隠にそう言われ……なるほど、言われてみればそうかも? と思い直す。

 I・アイランドの件を相澤が知っているとは、俺も思わない。

 だが、もし何かの拍子にそれを知り、爆豪がみっともないところを見せていた……いや、それだけならいいんだが、それを知った上で俺がいるのに、何もせずにただ見ていたというのを知られると、怒られる可能性は十分にあった。

 あるいは反省文を書かされたりする可能性も否定は出来ない。

 相澤の言葉を言えば、ここで緑谷達に訓練をさせるのも効率的ではあると思うんだが。

 とはいえ、反省文とかそういうのを書かされる事になるのは避けたいし……

 

「分かった。じゃあ、行ってくるか」

 

 瀬呂のテープと茨の蔦を回避しつつ、緑谷、切島、飯田を相手に大立ち回りをしている爆豪を見ながら、そう言う。

 もう少し時間が経てば、恐らく爆豪も捕まるとは思うんだが。

 もし爆豪が本気で逃げたり、あるいは倒そうとすれば、恐らくはもっと大きな騒動になっている筈だ。

 だが、今こうして見る限りではそこまでの騒動になってはいない。

 つまり、爆豪も本気でどうにかしようとは思っていないのだろう。

 戯れている……といった表現を使えば、恐らく爆豪は食って掛かってくるだろうが、こうして見る限りではそんな感じなのは間違いないと思う。

 だが、相澤に怒られるかもしれないと思えば、この光景をずっとそのままにしておく訳にもいかない。

 そんな訳で、観客席から跳び降りて地面に着地した次の瞬間、爆豪が爆発を使って急激な方向転換したのを見て、一気に距離を詰める。

 瞬動ではなく、普通に地面を蹴っての跳躍。

 

「んなっ! てめぇっ、ヒモ野郎!」

 

 俺を見た爆豪が、咄嗟にこちらに掌を向けてくる。

 それは爆豪にといって、反射的な行動ではあったのだろうが……その手を……正確には手首を軽く蹴る。

 勿論手加減に手加減を重ね、間違っても爆豪の手首の骨を折ったりはしないようにしてだ。

 コン、と。

 そんな感じで爆豪の掌はあらぬ方に向けられ、そのまま爆豪の手を掴み……次の瞬間、爆豪は掴まれた手に力を入れ、その力を受け流して地面に叩き付ける。

 ……いや、正確には地面ではなく、瀬呂がテープで罠を張っていた場所というのが正しいだろう。

 

「くそがぁっ!」

 

 さすが爆豪と言うべきか、投げられた瞬間に自分のミスを悟り、そう叫ぶ。

 ただ、咄嗟にもう片方の手を使って体勢を立て直そうとするが……

 

「くそがあああぁぁぁあぁっ!」

 

 そこで瀬呂のテープに触れ、自分のミスに気が付いた爆豪が叫ぶ。

 他の面々がその隙を逃さずに爆豪に殺到し……無事、爆豪は捕縛されるのだった。

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