転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4499話

『本日は、18時で閉園になります。ご来園、ありがとうございました』

 

 夕方のI・アイランドに、そんな放送が響く。

 爆豪の件が終わってからも色々と遊び歩いていたんだが……どうやらもう時間らしい。

 

「これ、皆で来てくれる?」

 

 そう言い、メリッサが何枚かのチケットをこちらに渡してくる、

 

「これは?」

 

 何故か俺に渡してきたメリッサからチケットを受け取って尋ねると、メリッサは笑みと共に口を開く。

 

「レセプションパーティの招待状よ。さっきデク君達には渡したから、これはアクセル君達の分ね」

「レセプションパーティか。どうする? ……いや、聞くまでもなかったな」

 

 俺と一緒に来た面々に視線を向けると、そこには興味津々といった者達の姿がある。

 これを見れば、レセプションパーティに参加をしないといった選択肢はないだろう。

 ないだろうが……

 

「服はどうするんだ? レセプションパーティともなれば、まさか私服で行く訳にはいかないだろ。いわゆる、ドレスコードの類がある筈だ。……ヤオモモに作って貰うか?」

 

 体育祭の時、峰田と上鳴の陰謀――と呼ぶ程に大袈裟ではないが――により、A組女子はチアリーディングのコスチュームを着て、チアガールをやる事になった。

 その時、チアガール用のコスチュームは、ヤオモモの個性によって作ったのだが……それと同じく、ヤオモモにドレスやタキシードの類を作って貰うのはありだろう。

 もっとも、ヤオモモが個性を使うにはカロリーを消費する必要があるので、何かでカロリーを補給する必要があるだろうが。

 

「私ですか? やろうと思えば出来ますが……」

「あ、大丈夫。ドレスとかはこっちの方で用意してあるから」

 

 ヤオモモの言葉に被せるように、メリッサがそう言う。

 ドレスを用意って……この人数のか?

 あるいは、別にメリッサが俺達の為に用意した訳ではなく、I・アイランド側でドレスの貸し出しをやってるのかもしれないな。

 それはそれで少し興味深くはあるんだが。

 ともあれ、ドレスの心配がいらないということで、レセプションパーティの参加は決まった。

 

「あ、それとさっきの喫茶店の2人……あの人達もデク君のお友達でしょう? 一緒に誘ってあげてくれる?」

「うん、分かった。ありがとう、メリッサさん!」

 

 緑谷がそう言い、嬉しそうに感謝の言葉を口にする。

 何だかんだと、緑谷は人が良い。

 あるいは自分達はこうしてI・アイランドの中を遊んでいたのに、峰田と上鳴は仕事をしていた事に思うところでもあったのかもしれない。

 ……とはいえ、峰田達は自分でバイトをやると選んでこうしてやってきたのだから、そういう意味では自業自得……いや、ちょっと違うか? とにかくそんな感じだろう。

 

「じゃ、さっきの喫茶店に行きましょう。先程の放送を考えると、もうバイトも終わってるでしょうし」

 

 ヤオモモの言葉に頷き、俺達は先程の喫茶店に向かったのだが……

 

「うわぁ……あからさまに疲れている感じだな」

 

 ちょうど喫茶店の扉の前で、峰田と上鳴がぐったりしているのが見える。

 ウェイターやウェイトレスは他にもいたのを考えると、この2人だけが特別に疲れているのはどうかと思う。

 ヒーロー科の授業として、運動とかはかなり厳しい……それこそ他の高校のヒーロー科とは全く違う感じでやっている訳だし。

 とはいえ、峰田達がやっていたのはあくまでも喫茶店のウェイターで、普段やっているのとは全く違う運動となる。

 であれば、体力的な疲れではなく精神的な疲れを抱いていても仕方がない。

 ……峰田と上鳴なら、ウェイトレスの制服を見て喜んで、体力とか全く消耗していない……どころか、回復しているようにすら思えるんだけどな。

 あるいはそうして体力を適時回復しても、それでは回復が追いつかない程の体力の消耗だったのか。

 そうなると、喫茶店の仕事はどれだけ忙しかったんだろうな。

 とはいえ、俺達が喫茶店のオープンテラスにいた時に見た感じでは、そこまで忙しかったようには見えない。

 であれば、俺達が来る前にもの凄く忙しかった……いや、それはないな。

 そうなれば、俺達がいた時にはもう峰田と上鳴が体力を消耗していなければおかしい。

 だが、俺達がオープンテラスにいた時は、峰田も上鳴もかなり元気そうではあった。

 そうなると、俺達がいなくなってから忙しくなったのかもしれないな。

 とはいえ、俺達が喫茶店を使ってから今までそこまで急に忙しくなるとは思えない。

 

「大丈夫か?」

「うぇーい」

 

 俺の言葉にそう返してきたのは、上鳴だった。

 ただ、いつもの個性を使いすぎてウェイっている状態ではない。

 まさに体力を限界まで使ったが故に、今のような返事しか出来ないようになっている感じだ。

 

「峰田は?」

「……プレオープンでこんなに疲れるとは思わなかったよ。オイラ達、明日大丈夫なのか分からない……いつ死んでもおかしくないと思う」

 

 大袈裟だろう。

 そう思わないでもなかったが、実際に峰田と上鳴の様子を見ると峰田の言葉は決して大袈裟ではないと思う。

 

「緑谷」

「あ、うん」

 

 限界まで疲れ切った峰田と上鳴を見て驚いていた緑谷は、俺の言葉で我に返ると、ここに来る前に緑谷に渡してあった2枚のチケットを峰田と上鳴に渡す。

 

「はい、これ」

「……何だよ、これ。チケット?」

「うん。レセプションパーティのチケット。メリッサさんから、峰田君と上鳴君にプレゼントだって」

『え?』

 

 緑谷のその言葉に、先程までは完全にグロッキー状態だった峰田と上鳴が、元気よく……それこそ、さっきまでの態度は何だったのかと言いたくなるような感じで立ち上がると、チケットを受け取ってメリッサに近付こうとし……

 ヒュンッ、と。

 そんな峰田と上鳴の前を、瀬呂の放ったテープが通りすぎる。

 

「……瀬呂、オイラの邪魔をするって、一体どういうつもりだ? 上鳴の邪魔をするだけなら、まだ許せるんだけどよ」

「おいおい、そこは峰田の邪魔だけをするのなら……といった感じだろう?」

「お前達のようなA組の恥部を、メリッサさんに近づける訳にはいかない」

 

 瀬呂のその言葉にメリッサは驚きの表情を浮かべていたが……それ以外の面々は、瀬呂の行動が正しいといった様子で頷いていた。

 ここまで女達に……それもA組だけじゃなくてB組の拳藤や茨にも信用されていないのは、ある意味で凄いとすら思ってしまうな。

 とはいえ、今まで峰田がやってきた事を思えば、こういう反応も仕方がないとは思わないでもなかったが。

 ただ、そうなると上鳴は完全に峰田の巻き添えだな。

 上鳴もかなりの女好きではあるものの、峰田程に暴走していない。

 ……いや、この場合は峰田の暴走が酷すぎるから、上鳴の女好きについてはそこまで目立っていないという感じか?

 

「お前……なるほど、オイラ達の敵になるということか」

 

 ゆらり、と何とか立っているといった様子だった峰田が瀬呂に向かってそう言うと、それに続くように上鳴も瀬呂を強い視線で見てくる。

 

「敵だって? そこまで疲れている状態で何が出来るってんだよ?」

 

 そんな2人を前に瀬呂がいつでも個性を使えるように構えるが……

 

「いい加減にしないか! これからレセプションパーティの準備があるんだぞ! 今はそのような事で言い争っている場合ではない!」

 

 飯田が瀬呂と峰田&上鳴の間に立ち塞がる。

 普段ならこういう時は、委員長のヤオモモが前に出るべきでは?

 少しだけそう思ったが、この場合は飯田が前に出る方が向いていたといったところなのだろう。

 まぁ、お互いに本気ではない……いや、どっちもある意味では本気だったが、それは意気込みだけで、軽くならともかく本格的に個性を使って戦おうとしている訳ではないのは明らかだった。

 それを思えば、ヤオモモも本気で止めようとは思わなかったのかもしれないな。

 それに……こう言っては何だが、ここはI・アイランドであって、教室ではないのだから。

 

「飯田さんの言う通り、その辺にして下さい。レセプションパーティが行われるのは、今夜ですのよ? であれば、今からすぐにでもその準備に取り掛からなければ……」

 

 そうヤオモモが言う。

 なるほど、飯田に任せたのはその辺を考えてのことでもあったらしいな。

 実際、他の女達もレセプションパーティについて色々と考えている様子だったし。

 俺にとてはこの手のパーティというのは、今まで何度も経験している。

 だが、家が金持ちのヤオモモはともかく、他の面々はこの手のパーティに参加した経験は殆どない、あるいはこれが初めてなのだろう。

 だからこそ、想像の中で自分が一体どのようなドレスを着るのか、あるいはそのドレスを着てパーティに参加している光景を思い浮かべたりしているといったところか。

 

「委員長もこう言っているから、準備をしよう」

 

 そう言い、飯田がこの場にいる皆に視線を向ける。

 

「パーティにはプロヒーロー達も多数参加すると聞いている。雄英の名に恥じない為にも、正装に着替え、団体行動でパーティに出席しよう! 18時30分にセントラルタワーの7番ロビーに集合! 時間厳守だ! 轟君や爆豪君には、俺からメールしておく。では、解散!」

 

 そう言うと同時に、飯田は個性を使って素早くこの場から立ち去る。……いや、この場合は走り去るといった表現の方が正しいのか。

 とにかくそんな感じで、飯田は姿を消す。

 というか、エンデヴァーの代理としてきている轟はともかく、福引きの賞品で来た爆豪と切島は……どうなんだ?

 メリッサが峰田と上鳴にレセプションパーティのチケットを渡したように、I・アイランドにいる誰もが自由に参加出来るといったものではないと思うんだが。

 もしくは、メリッサが用意してくれたチケットの中には爆豪達の分も入っていたのかもしれないな。

 ともあれ、飯田達が解散したのもあって俺達もその場で解散となる訳だが……

 

「じゃあ、僕はこっちだから!」

 

 最初に緑谷がそう声を掛け、離れていく。

 緑谷はオールマイトと一緒に来たのもあって、当然ながらホテルは別なのだろう。

 オールマイトは、何十年もNo.1ヒーローだった。

 つまり、それだけの報酬も受け取っているという事になる。

 その上、オールマイトの性格を考えれば、何かに金を使うとか、そういう感じにはならない。

 それこそ仕事がプロヒーローなら、趣味もプロヒーローといったような感じだろうし。

 あ、でも……オールマイトの性格を考えると、何らかの慈善団体に対する寄付とか災害を受けた地域に対する募金とか、そういうので儲けた金の大半を使っていてもおかしくはないんだよな。

 ……実力についてはともかく、性格については何だかんだと間の抜けたところもあるから、そうなると気が付いたら自分で自由に使える金が殆どなかったりする……といったような事になってもおかしくはないと思う。

 後で緑谷にはオールマイトと一緒に泊まっている部屋がどういう部屋なのか、ちょっと聞いてみてもいいかもしれないな。

 ともあれ、緑谷はそんな感じで……

 

「じゃあ、オイラ達も一度部屋に戻ってから、正装……タキシードとかスーツとかか? そういうのに着替えるから」

「うぇーい」

 

 峰田の言葉に上鳴がそう続く。

 この2人は……飯田も含めてだが、バイトでI・アイランドに来ている。

 つまり、寝泊まり出来る部屋もバイト先の方で用意している訳だ。

 バイトが使う部屋である以上、ホテルの部屋のように立派な部屋ではなく、最悪の場合は寝る事が出来るような部屋といったような部屋であってもおかしくはない。

 

「あ、ごめんなさい。私ちょっとデク君に用事があるから」

 

 不意にメリッサがそう言い、緑谷を追う。

 

「ふーん」

 

 そんなメリッサを見て、微妙に麗日さんになりかける麗日。

 とはいえ、レセプションパーティが楽しみなのか、結局麗日さんにはならなかったが。

 

「ケロ、ドレスを着るのは少し恥ずかしいわね」

 

 そう言う梅雨ちゃんだったが、照れているようには……いや、薄らと、本当に薄らと頬が赤くなっているか?

 ともあれ、残りの面子は纏まってホテルに向かうのだが……

 

「そういえば、今更……本当に今更の話だけど、何で俺達のホテルは一緒なんだ?」

 

 体育祭優勝の賞品としてI・アイランドに来ている俺と拳藤なら、ホテルが同じでもおかしくはない。

 ……ちなみに、当然ながらホテルは一緒でも部屋は違う。

 男と女だから……というか、それこそ最初から部屋は2つあったんだよな。

 とにかくそんな訳で俺と拳藤が同じホテルなのはともかく、俺達とは別口で……ヤオモモが手配したチケットでI・アイランドに来た面々と同じホテルなのは、今になって思えば少し疑問だ。

 

「あら、私達が一緒のホテルだと、何か問題でも? どうせなら一緒の方がいいと思って、そうしたのですが」

 

 あっさりとそう言うヤオモモ、

 

「アクセル君、アクセル君、これがヤオモモ家の権力パワーなんだよ」

 

 そう葉隠が言ってくる。

 そこはヤオモモ家じゃなくて八百万家だろうと言いたいが、実際にその言葉で何が言いたいのか分かったので、取りあえず納得しておく事にするのだった。

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