転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4501話

「どうやら俺達が最初だったみたいだな。……てっきり飯田が最初に来てるのかと思ったけど」

 

 待ち合わせ場所にやって来たものの、そこにはまだ誰の姿もなかった。

 飯田の性格を考えれば、それこそ最初に来ていてもおかしくはないと思ったんだが、その姿はまだない。

 

「それを言うのなら、茨がまだ来てないのも疑問だよ」

 

 そう言う拳藤は、ここまで来るまでの間に多くの者にチャイナドレスのスリットから覗く白く肉付きの良い太股を見られるのにはもう慣れたらしく、周囲の視線を気にせずそう言ってくる。

 

「茨が? 茨の場合は、それなりに着替えに時間が掛かりそうだけどな。いや、茨だけじゃなくて、他の面々も」

 

 女の着替え……それもパーティドレスともなれば、化粧とかそういうのもあり、結構な時間が掛かるのはおかしくない。

 拳藤の場合、着替えたり化粧をしたりするのが妙に早かったが。

 あるいは真っ先にチャイナドレスを選んで、その辺りに時間を使わなかったのかもしれないな。

 

「あのな、アクセル。茨はお前に心酔しているだろう? なら、お前を待たせるような事をしようとは思わない筈だ」

「言われてみれば、その可能性もあるか?」

「まぁ、パーティでアクセルに恥を掻かせないようにしっかりと着飾ったりもするだろうが」

「そうなると、どっちだ?」

 

 俺を待たせない為に着飾るのは最小限にして来るのか、それとも俺に恥を掻かせないようにしっかりと着飾ってくるのか。

 勿論一番いいのは、俺を待たせないで着飾ってくる事だろうけど。

 実際拳藤なんかはそんな感じだったし。

 

「それを私に聞かれても困る。そういうのは、茨が心酔しているアクセルの方が詳しいんじゃないか?」

「……心酔、か。正直なところ、未だに何でそういう風になったのか、全く理解出来ないんだけどな。それだけに、茨の好意を素直に受け取れないし」

 

 勿論、茨の好意というのは、あくまでも心酔している相手に対する好意だ。

 身も心も捧げるとか言われているものの、そこにあるのは決して男女間の好意ではないのだ。

 峰田や上鳴には羨ましがられているものの、何がどうなってそうなったのか分からない以上、迂闊に手を出す訳にもいかないのは事実。

 

「悪いけど、私もその辺は分からないんだよ。体育祭やその後の打ち上げが理由なのは分かるけど」

 

 俺の知り合いの中で、一番茨と親しいのは拳藤だ。

 いやまぁ、取蔭とかもいるけど……うん、ギャル系の取蔭と生真面目な茨だと、決して相性は良くないんだよな。

 勿論同じクラスである以上は何だかんだと上手くやってはいるんだろうが……ただ、拳藤と取蔭のどちらが茨と親しいかと言われれば、やっぱり拳藤だろう。

 小森とかともそれなりに話す機会はあったが、そこまで親しい訳でもないし。

 そんな茨と親しい拳藤であっても、何故茨があんな風に俺に心酔するようになったのかは分からないらしい。

 

「でも……私は、茨がああいう風になったのが、心酔の対象だったのがアクセルだったのは良かったと思うよ」

「そうか?」

「ああ。……こう言っては何だけど、峰田や上鳴のような連中がアクセルの立場だったら、どうなっていたと思う?」

「あー……それはまぁ、うん」

 

 上鳴なら、あるいは何とか我慢するかもしれない。

 だが、極度の女好きの峰田がもし茨に心酔されるようなことになっていれば、恐らく……いや、ほぼ間違いなく身体を要求していただろう。

 何しろ茨本人が身も心も捧げると言ってるのだから、拒む筈もない。

 

「とはいえ、そう考えると峰田を相手に茨が心酔するとは思わないけどな、……そう思わないか?」

 

 そう俺は、こちらにやってきた3人……峰田、上鳴、飯田の3人に視線を向けて尋ねる。

 当然ながら近付いてくる中で俺と拳藤の会話は聞こえていたのか、上鳴は何と言っていいのか微妙な表情となり、飯田は注意したいが注意してもいいのかどうか分からないといった様子で、そして峰田はいつもの如く血の涙を流す……のではなく、拳藤のチャイナドレスのスリットから見える白い太股に目を奪われていた。

 これは……ラッキーと言うべきなのか?

 太股を凝視されている拳藤にしてみれば、とてもではないがラッキーとは言えないだろうが。

 もし峰田が俺と拳藤の話を聞いていれば、恐らく……いや、間違いなく不満を言ってくるだろう。

 あるいは褒めるか?

 峰田にしてみれば、俺が茨に手を出すというのは羨ましいという思いがある筈だ。

 だからこそ、俺が茨に手を出していないのを知れば、峰田は喜ぶだろう。

 ……もっとも、俺に恋人が20人程もいると知れば、峰田は一体どのような対応をするのか分からないが。

 それこそ最悪の場合は嫉妬で憤死してもおかしくはない。

 

「彼女の事については、僕にも分からない。……ただ、表向きのものではなく、本心からアクセル君に心酔しているのは分かる。ただ、その……そのような事を理由に、そのような行為をするのはいけない事だと思う」

 

 具体的な名称は口にしなかったが、飯田が何を言いたいのかはすぐに分かる。

 というか、まさか飯田がそちら方面について口を出すとは思わなかった。

 俺が知っている飯田であれば、そのような事を言ったりするとは思わなかったんだが。

 くそ真面目といった表現が相応しいのが、飯田だし。

 ……とはいえ、飯田も高校生であるのは間違いない。

 思春期である以上、女に興味があるのはおかしくはない……というか、自然な事なのだから。

 あるいは、女に興味はあるがそれを表情に出さないようにしている、いわゆるムッツリなのか。

 

「そういうつもりはないから安心しろ」

「あーあ、勿体ないよなぁ」

「上鳴君! 君も雄英の生徒として……」

 

 上鳴の言葉に飯田が激しく説教を始める。

 いつもならこういう時は上鳴じゃなくて峰田の役目だったと思うんだけど、これはちょっと意外だったな。

 ……そう思ったが、峰田の視線がチャイナドレスのスリットから覗く太股に向けられている……いや、凝視しているのを見れば、飯田の言葉に何も言わなかったのには納得出来てしまう。

 男のチラ見は女のガン見。

 そう言われる事があるが、チラ見どころか凝視していれば当然ながら拳藤も峰田のそんな視線には気が付く訳で、そっと持っていた小さめなバッグでスリットの上の部分を隠し、峰田に呆れの視線を向ける。

 そんな拳藤の様子に気が付いたのだろう。

 峰田は慌てて拳藤から視線を逸らし、こちらを見てくる。

 

「それで、何でアクセルのスーツはそんなに真っ白なんだよ? オイラ達は普通のスーツなのに」

 

 それは誤魔化し方としてどうなんだ?

 そう思ったが、飯田も何故か上鳴に対する説教を止めて俺を見ているのを考えると、それなりに気になっていた事ではあるのだろう。

 とはいえ、その辺については俺も特に何か言えるような訳ではない。

 この白いスーツは別に俺が選んだ訳でもないしな。

 俺用に用意されていたというのが正しい。

 メリッサが選んだ訳じゃないとすれば……こういうのを専門に用意する者達が選んだのだろう。

 いわゆるプロだ。

 ……だが、プロだというにも関わらず、何故俺に白いスーツを選んだのかは分からないが。

 いや、あるいは俺は自分の象徴とも呼べる色が赤だと理解しているから白いスーツは似合わないと思っているだけで、もしかしたらそういうのを抜きにして客観的に見た場合、この白いスーツは俺に似合っていたりするのか?

 うーん……けど、こう、いまいち似合っているようには思えないんだが。

 とはいえ、拳藤が俺のスーツを見た時に特に何もその辺については言ってなかったんだよな。

 自分のチャイナドレスが似合ってるかどうか考えていて、それで俺のスーツを見ていなかった……といった事もあるが。

 

「俺に言われてもその辺は分からないな。部屋に用意されていたのがこのスーツだったんだし」

「ホストみてえ」

 

 上鳴のその言葉に、峰田が同意するように頷く。

 どうやら、やっぱり上鳴や峰田の目から見てもそういう風に見えるらしい。

 とはいえ、他にスーツがあった訳でもないしな。

 しかもこのスーツ、白というのはどうかと思うが、生地はかなり高級な物を使っている。

 基本はウール……いわゆる羊毛で、その中にシルクが混ざっているので、白という色以外に光沢もあったりするんだよな。

 それを思えば、かなり高級品なのは間違いない。

 ……もっとも、これはあくまでも俺の認識だ。

 このヒロアカ世界においては、俺の思いも寄らない技術が発展していたりするので、それを思えば俺には想像も出来ないような生地とかがあってもおかしくはない。

 ただ、それでも一般的に見た場合、この生地がかなりの高級品……それこそ貸衣装的な感じで使われるようなものではない。

 いやまぁ、中にはそういう高級品のレンタルとかそういうのもあるのだろうが、俺は……実際の身分はともかく、公安によって作って貰った表向きの身分はあくまでも一般人でしかない。

 であれば、そんな俺に……体育祭の優勝者だからといって、高級なスーツを貸すとは思えなかった。

 もしレセプションパーティで汚したりしたら、弁償しなければいけなくなるかもしれないのだから。

 いやまぁ、体育祭で優勝したという事は、将来的にはプロヒーローとして活躍する可能性が高いので、恩を売っておきたいと思った服飾メーカー辺りが手を回したとか言われても、納得出来ない訳ではなかったが。

 

「言うな。ただでさえ爆豪にはホスト野郎とか言われてるんだから。最近はヒモ野郎だが」

「俺、そういう風に言われて怒らないアクセルって、実は心が広いんじゃないかと思うんだよな」

 

 上鳴のその言葉に、何と反応すればいいのか迷う。

 何しろ上鳴とかは知らないが、実際に俺は恋人が20人程いる。

 また、この世界でも龍子や優、ねじれといった面々と最初に知り合い、雄英の受験の時には三奈、拳藤、葉隠と親しくなり、入学してからもヤオモモを始めとしたA組の女達と一緒にいる事が多い。

 勿論、瀬呂が一緒にいるし、峰田とかもよく一緒にいるので、俺のハーレムとかそういう訳ではないのだが。

 ただ、それはあくまでも俺の意見であって、客観的に見た場合にどうなるのかというのは、また別の話だろう。

 客観的に見た場合、ホスト野郎とかヒモ野郎とか、そんな風に言われても仕方がないなと、微妙に納得してしまう。

 だからこそ、それによって苛立つといった事はない……訳ではないが、そこまで強くなかったりもする。

 とはいえ、言わせて貰うのなら恋人が多いからホスト野郎とか、あるいはハーレム野郎と呼ばれるのはともかく、ヒモ野郎ってのはちょっと違うぞと主張したい。

 ヒモというのは、いわゆる女に稼いで貰うタイプの職業……職業? 生き方? とにかくそんな感じだ。

 俺は恋人こそ20人近くいるが、別にその恋人達に稼いで貰っている訳ではない。

 寧ろこのヒロアカ世界においては、俺は公安からの依頼で普通に稼いでいる。

 ……まぁ、公安にしてみれば俺の存在は色々な意味で爆弾なので、大人しくしていて貰うのと、どうせなら日本で最高のヒーロー科を持つ雄英で他の生徒達を鍛えて貰えればラッキー程度に思っての仕事なのだろう。

 それであれば、月100万の報酬に各種生活費を支払っても、安いものだと判断したといったところか。

 

「とにかく、そろそろ待ち合わせの時間だろ?」

 

 そう言い、スマホで時間を確認すると、現在は6時20分。

 待ち合わせの時間までは残り10分。

 ここに来てから何だかんだと色々とやっていたような気がするけど、まだそれなりに時間があるな。

 

「僕は5分前行動をするべきだと思う!」

 

 何故か挙手をしながら言う飯田。

 何でわざわざ挙手をしてるのかは分からないが……まぁ、言ってる事は別に間違ってはいない。

 約束の時間の5分くらい前に来ていれば、それが最善なのは明らかなのだから。

 

「とはいえ……あ、瀬呂と轟だ。珍しい組み合わせだな」

 

 瀬呂はヤオモモが用意したチケットで来たので、階層こそ違うが俺と同じホテルだ。

 轟は……エンデヴァーの代理で来たという事なので、どこのホテルに泊まっているのかは分からないが。

 何しろこのI・アイランドはサポートアイテムの本場とでも言うべき場所だけに、多くの観光客が来る。

 つまり、その分だけホテルの類もある訳で……轟がどこのホテルに泊まっているのかは分からない。

 聞いてないしな。

 ただ、日本のNo.2ヒーローであるエンデヴァーの代理としてきたんだから、それなりに良いホテルに泊まっているとは思うが。

 ちなみに瀬呂は水色のスーツで、轟は黒のスーツを着ている。

 ……ただし、峰田達が着ているのと同じ黒のスーツではあるが、轟の黒いスーツは明らかに質感が峰田達のスーツよりも上だ。

 この辺はやっぱり轟がエンデヴァーの代理としてやってきた人物だからなんだろう。

 そう思いながら、俺は瀬呂や轟に向かって軽く手を振るのだった。

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