転生とらぶる2   作:青竹(移住)

1865 / 2196
4503話

 俺が耳郎とやり合っている間に、緑谷は麗日とイチャついていた。

 いやまぁ、原作主人公とヒロインとして考えれば、そういうのは分からないでもない。

 寧ろこういう場面で好感度を稼ぎ、将来的にくっつく……といった感じなのだろう。

 本人達にそんな意識があるかどうかは、また別の話だったが。

 

「えっと、アクセルさん。私は……どうでしょう?」

 

 耳郎とのやり取りが終わったと思ったのか、茨がそう聞いてくる。

 俺の従者を自認している茨にしてみれば、自分のパーティドレス姿が俺にどのように見えているのか、気になったらしい。

 あるいはこれがもっと別の服装なら、茨もそこまで気にはしなかったのだろう。

 だが、茨はレセプションパーティとか、そういうのに出る機会とかは、今まで殆どなかっただろうし。

 

「ああ、似合ってるぞ」

「アクセルさんにそう言って貰えると、嬉しいです」

「ちょっと、アクセル? 何でウチの時はそうして素直に褒め言葉が出てこないの?」

 

 俺が素直に茨を褒めたのが気に食わなかったらしい耳郎が、ジト目を向けてくる。

 さっきは着物が似合うと言われて、嬉しがったり、着物を着てこなかったのを残念がったりしていたのにな。

 もっとも、以前千鶴から聞いた話だと着物の着付けというのはかなり難しいし、時間も掛かるらしい。

 そういう意味ではレセプションパーティまでの時間が殆どなかったし、もし着物があっても着物を着るのは難しかったのではないかと思う。

 

「いや、まぁ……茨の場合は似合うだろ?」

「それはそうだけど」

 

 俺の言葉に不満そうな様子ではあったが、それでも納得した様子を見せる。

 耳郎の目から見ても、茨のドレス姿は似合っているのだろう。

 勿論、耳郎のドレス姿が似合っていないという訳ではない。

 俺から見ても、似合っているのは間違いないのだ。

 だが……もっと似合う服装があると思えるだけで。

 そうして話していると、再び扉が開き……

 

「デク君達、まだここにいたの」

 

 そう言い、姿を現したのはメリッサ。

 ただし、先程別行動をする前には眼鏡を掛けていたのだが、今はしていない。

 コンタクトにしたのか、それとも伊達眼鏡だったのか、あるいはサポートアイテムによって視力をどうにかしてるのか。

 その辺りは俺にも分からない。

 ただ、眼鏡をしていないだけで……そしてパーティドレスを着ていて、髪型も変わっているのを見ると、先程と比べてかなり大人っぽくなっている。

 また、化粧がされているのもあって、大人っぽさがより高まっていた。

 ヤオモモもかなり大人っぽいものの、メリッサもそんなヤオモモに負けない程に大人っぽくなっていた。

 それを示すように、峰田と上鳴も歓声を上げている。

 ……何だかさっきから、峰田と上鳴は歓声しか上げていないように思えるな。

 耳郎のイヤホンによって悲鳴を上げたりもしてはいたが。

 

「もう、パーティ始まってるわよ!」

「真打ち登場だぜ!」

「やべえよ峰田、俺、どうにかなっちまいそうだぜ」

「どうにでもなれ」

 

 峰田と上鳴のやり取りを聞いた耳郎が、低い声で突っ込む。

 耳郎にしてみれば、自分のドレス姿を馬子にも衣装とか、女の殺し屋とか、そういう風に言っていた2人が、メリッサのドレス姿を見て喜んでいるのが面白くないのだろう。

 ……着物が似合うと言っておいてよかった。

 

「それより、もうパーティが始まっているのなら、早くいきませんと」

 

 ヤオモモの言葉に頷き、早速パーティ会場に向かおうとした時……不意に、警報が鳴り、I・アイランドに爆弾が仕掛けられたという放送がある。

 そして俺達がいたフロアの窓がシャッターによって覆われる。

 完全に防護態勢に入った事を実感させるには十分だった。

 

「おい、ちょっとこれ……やばくないか?」

 

 瀬呂が周囲を素早く見回しながら言う。

 他の面々も何かが起きたのは理解しているので、素早く周囲を見回していた。

 

「耳郎、エレベータは動くか?」

「え? ちょっと待って」

 

 エレベータの近くにいた耳郎に聞くと、耳郎はすぐにエレベータを操作しようとするが……

 

「携帯は圏外だ。情報関係は全て遮断されてしまったようだな」

 

 スマホを手にした轟の言葉に、俺もまたスマホを取り出して見てみるが……なるほど、電波が来ていないな。圏外だ。

 何らかのジャミング装置の類が使われているのか、もしくは電波塔が破壊されたのか。

 その辺りは俺にも分からないが。

 

「駄目、アクセル。エレベータも反応ないよ」

 

 何とかエレベータを動かそうとしていた耳郎が、そう言ってくる。

 どうやらエレベータの扉も止められた、か。

 

「取りあえず、まずは落ち着け。今はまず、現在の状況をしっかりと確認することから始めるんだ」

 

 動揺している皆に指示を出す。

 俺にしてみれば、I・アイランドという特別な場所で、そこにA組の殆どが集まっている。しかも明らかにこのヒロアカ世界において重要人物であるオールマイトの昔の相棒がいるというこの状況を考えれば、原作的な意味で何らかの騒動が起きるというのは予想していた。

 ましてや、レセプションパーティという特別なイベントがある以上、何の騒動が起きない方がおかしいいだろう。

 また、何より俺がこうして落ち着いているのは、今まで多くの経験を積んできたからといった方が正しい。

 それこそ世界の危機と呼ぶべき騒動を何度も潜り抜けてきた俺にしてみれば、この程度の騒動はお遊びのようなものだ。……まぁ、この辺りについては俺の正体を話せない以上、説明は出来ないが。

 

「アクセル、何でお前この状況でそんなに落ち着いていられるんだよ。オイラは……」

 

 峰田が理解出来ないといった様子で視線を向けてくる。

 他の連中も、多かれ少なかれこの状況に動揺しているのを見ると、まずは落ち着かせた方がいいか。

 

「あのな、峰田。お前はUSJで起きた一件もそうだし、保須市の一件にも関与してる。強力なヴィランを相手にしたことがあるんだぞ? それを思えば、今回の騒動はそこまで怯える必要がないだろ」

 

 USJの一件においては、峰田はシラタキや脳無の姿を間近で見ていた。

 保須市の一件は、俺が半ば強引にとはいえ、峰田をステインのいる場所まで連れていった。

 そう考えれば、峰田は轟や爆豪よりも実戦経験は積んでいるという事を意味していた。

 轟はステインの件には関わったが、USJの件では雑魚ヴィランを相手にしていただけだ。

 爆豪はステインと戦った保須市の一件には一切関わっていない。

 そう考えれば、峰田もこのくらいの出来事については慣れてもいい頃なのにな。

 

「それは……言われてみれば、そうだけど……」

 

 完全にではないにしろ、俺の言葉にある程度の説得力を感じたのだろう。

 峰田がそう呟く。

 よし、後はここでもう一押しだな。

 峰田は色々とマイナスなとこが多いのは間違いないが、同時にクラスのムードメーカー的なところもある。

 そういう意味では、ここで峰田をその気にさせればなし崩しに他の面々もやる気になるのは間違いない。

 そして、峰田をやる気にさせるのに一番使えるのは……女だ。

 

「それに、考えてみろ。このI・アイランドは世界的に注目されている場所だ。エキスポが行われるというのもあるしな。そんな世界的に注目されている中で起きた今のこの異常事態。もしそれを峰田が解決したら、どうなると思う?」

「……どうなるんだ?」

「日本だけじゃない。それこそ世界中からメリッサみたいな美人が峰田を知って、興味を抱く。そう思わないか?」

「え? わ、私?」

 

 まさかこの展開でいきなり話を振られるとは思っていなかったのか、メリッサが戸惑った様子で返事をしてくる。

 だが、メリッサはかなり有能な人物なのだろう。

 俺が何をしたいのかを理解し、頷く。

 

「えっと、もし私がI・アイランドの外に住んでいてこの事件を知ったら、一体何があったのかなって気になって調べるのは間違いないと思う」

「だろう? で、どんな奴が事件を解決したのかというのが気になって……それで峰田を見る訳だ」

「じゃあ、オイラ……もしかしてモテモテ?」

「絶対にそうなるとは限らないし、この件を知った全員が峰田に好意を持つとは限らない。けど、多くの者が峰田を見れば、その中には峰田に一目惚れするような奴も出てくるかもしれない」

 

 今は峰田をその気にさせる為にこう言ってるものの、これは別に完全な嘘という訳ではない。

 峰田はその性格を知らなければマスコットキャラ的な愛らしさを持っているし、世の中には色々な趣味の女がいる。

 それこそダメンズ好きとかにしてみれば、峰田はかなりの割合で好ましいと思えるんじゃないか?

 あるいは自分よりも小さい相手しか好きになれないような女とか。

 他にも色々な趣味を持つ者がいるのを考えれば、世界中の多くの者達がI・アイランドの事を知った時、その中に峰田に一目惚れするような奴がいてもおかしくはない。

 

「よっしゃぁ、行くぞおらぁっ! この事件、オイラ達が解決して見せる!」

「ちょっ、おい、峰田!? アクセル、峰田だけじゃなくて、俺はどうなんだよ!?」

 

 やる気が溢れた峰田を見て、上鳴がそう聞いてくる。

 よし、この調子だな。

 

「当然、上鳴だって峰田と同じように注目を集めると思うぞ?」

 

 というか、上鳴の場合はチャラい性格をしているが、顔立ちそのものは整っているので、峰田よりも多くの女に好意を抱かれてもおかしくはない。

 まぁ、そのチャラさであったり、ウェイっているのを見れば、2枚目じゃなくて2枚目半といった扱いになってもおかしくはないが。

 

「ちょっと待って下さい、アクセルさん!」

 

 俺が峰田と上鳴をやる気にさせていると、ヤオモモからそんな風に声を掛けられる。

 ……実際に俺に声を掛けたのはヤオモモだったが、拳藤と飯田の2人も俺に声を掛けようしているように見えた。

 しまったな、この場には委員長が3人――正確には飯田は副委員長だが――もいた。

 これでB組の副委員長もいれば、ヒーロー科1年の委員長全員集合といた事になっていたのか。

 ともあれ、こうしてヤオモモが声を掛けてきたのは何を思ってなのか……それは容易に想像出来てしまう。

 

「レセプションパーティにはオールマイトを始め、多くのヒーローが参加しています。であれば、わざわざ私達が出る必要はありません!」

「そうだ、アクセル君。この場については、本職のプロヒーローに任せるべきだ」

「私もこの2人に同意見だな。ここで私達が勝手に行動すれば、それこそプロヒーローの邪魔になると思うよ」

 

 ヤオモモ、飯田、拳藤の順番でそう言ってくる。

 うん。まぁ……この3人の言ってる事は、決して間違ってはいない。

 普通ならこういう時はプロヒーローに任せるんだろうし。

 だが……俺の場合、これが原作のイベントだろうと知っている。

 それはつまり、何らかの理由でオールマイトを始めとするプロヒーローが動けないからこそ、原作主人公の緑谷がこの事件を解決するのだろうと。

 しかし、これはあくまでもこの世界に原作があるというのを知っているからこその話で、まさかその辺りについて説明する訳にはいかない。

 となると、もっと何か別の理由で説明する必要がある訳だが……何とかなるか?

 話の流れを考え、口を開く。

 

「ヤオモモ達が言いたい事も分かる。分かるけど……なら、何でまだ解決していない?」

「え?」

 

 ヤオモモが、そして俺達のやり取りを聞いていた他の面々も、同じような表情を浮かべる。

 

「緑谷程にヒーローには詳しくないけど、それでも俺だってオールマイトの凄さは知っている。それこそ、オールマイトがもし動けるのなら、この騒動を即座に解決してもおかしくはない筈だ。実際、それだけの実力がオールマイトにはあるんだから」

 

 そう言いつつも、恐らくそれは難しいんだろうなと思う。

 オールマイトに何があったのか、俺には分からない。

 分からないが、動画とかで見る以前のオールマイトと今のオールマイトでは、明らかにその実力が下がっている。

 とはいえ、それでもオールマイトが並のプロヒーローよりも強いのは間違いない。

 なら、この騒動……具体的にどのくらいの騒動なのかは、ちょっと分からないが、それでもオールマイトの実力があれば対処出来る筈。

 だというのに、オールマイトが動く様子はない。

 これはつまり、オールマイトが……そして他のプロヒーローも何らかの理由で動けないという事を意味しているのではないか。

 そう予想するのは決して間違いではなく……そうなると、ヤオモモ達が口にした、プロヒーローの邪魔になるから動けないという前提が崩れる。

 ましてや……

 

「このI・アイランドは最新技術の集まった場所だ。ヴィランにそれが奪われたら、どうなると思う?」

 

 そう言うと、最悪の未来を想像したらしいヤオモモ達の顔が青くなるのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。