転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4504話

 I・アイランドにある最新技術がヴィランに奪われたら、どうなるか。

 どう考えても最悪の未来しかないだろう。

 開発した者達は、それを平和利用して欲しいと思っても、実際に使う者によっては凶悪な兵器となる。

 例えば、ダイナマイト。

 本来であれば、例えば鉱山における採掘作業であったり、あるいはトンネルを作るのに使ったりといったような平和利用の道具としても使える。

 だが同時に、その爆発力は戦争において人を殺す武器としても使えるのだ。

 そう考えれば、もしこのI・アイランドにある最新技術がヴィランの手に渡った場合、どうなるのかは容易に想像出来るだろう。

 それがどれだけ危険なのかは、I・アイランドに住んでいるメリッサの様子を見れば明らかだ。

 ……まぁ、もしかしたら……本当にもしかしたらの話だが、この騒動がI・アイランドにある最新技術を狙ったものではないといった可能性もあるのだが……いや、やっぱりないか。

 I・アイランドで……それもオールマイトを含めて多数のプロヒーローが集まっている中で、最新技術を求めた訳ではないのに、ヴィランがこんな騒動を起こすとは思えない。

 これだけの騒動を起こしたという事は、当然ながら単独のヴィランではなく、かなりの数のヴィランが組織だって……あれ? おい、まさか……

 

「ヴィラン連合の仕業とか、そういう事はないよな?」

 

 そう呟くと、それを聞いていたA組の面々は顔を強張らせる。

 俺は特殊な例だから除外するとして、他の面々にとってUSJの一件を引き起こしたヴィラン連合は強烈な印象を抱き、恐怖、あるいは警戒の対象なのだろう。

 だが、それならこっちにとっても都合がいいので、そのまま使わせて貰おう。

 

「ヴィラン連合がI・アイランドの最新技術を奪う可能性があり、それでいてオールマイトを含めたプロヒーローが行動出来なくなっている可能性がある。……そう考えれば、俺達が出る必要があるんじゃないか?」

 

 あくまでもこれは予想に予想を、仮定に仮定を重ねた結果でしかない。

 とはいえ、実際にI・アイランドがピンチなのも、間違いのない事実なのだ。

 であれば、やはりここは俺達が行動する必要がある。

 そう言うと、ヤオモモ、飯田、拳藤の委員長3人組もそれ以上は俺の言葉を否定出来なくなってしまう。

 

「……で、どうする? もっとも向こうはもう既に完全にやる気になっているけど」

 

 そう言う俺の視線が向けられたのは、峰田と上鳴。

 先程口にした、この事件を俺達が解決したら目立ってモテるという期待に燃えている。

 もっとも、ステインの時の事を考えると、もし俺達がこのI・アイランドで起きている騒動を解決したとしても、それが表沙汰になるかどうかは微妙なところだが。

 実際、ステインの時だって俺だけが龍子から個性を使う許可を貰っていたのもあって、俺がステインを倒した事になったし。

 ……ネットにアップされた、あの映像が決定打になった事は間違いないだろうけど。

 あの映像をアップした人物、何でも噂によるともの凄い金額を貰ったらしい。

 再生回数がそれだけ多かったって事なんだろうな。

 とはいえ、これはあくまでもネットの噂なので、正しいかどうかは分からない。

 肖像権とか、その辺りはどうなっているんだろうな。

 

「分かりましたわ。ただし、危険な行為はぐれぐれも避ける方針で」

 

 これがヤオモモにとっては最大限の譲歩なのだろう。

 もっとも、そうは言っても最終的には間違いなく危険な事になるだろうけど。

 本当にこの騒動を起こしたのがヴィラン連合かどうかは分からない。

 保須市でも脳無が出て来た事を考えると、この件にもヴィラン連合が関わっていてもおかしくはない。

 ショッピングモールでシラタキが緑谷に接触したって話もあるしな。

 であれば、このI・アイランドでもヴィラン連合が出て来てもおかしくはない訳だ。

 ともあれ、ヤオモモの言葉でこれからどうするのかは決まる。

 とはいえ……さて、どうしたものだろう。

 ここで俺が前に出れば、ヴィラン連合にしろ、あるいは他のヴィランにしろ、この騒動を起こした者達は容易に鎮圧出来る。

 これだけの騒動を起こしたという事は単独ではなく数も多いのだろうが、数という意味では俺もまた炎獣を生み出せるので対処するのは難しくはない。

 だが……ここで問題になるのは、やはり原作主人公である緑谷や、これから緑谷達と共に戦うのだろう他の面々の実戦経験だ。

 俺がヴィランを鎮圧してしまえば、その実戦経験を積む事が出来なくなる。

 それこそ、USJの時のように。

 今はそれでもいい。

 だが、将来的に……原作的な意味で緑谷が戦う相手と向き合った時、実戦経験を積んでいなければ、一体どうなるのかは容易に想像出来てしまう。

 もしそういう事になっても、最悪俺が出て緑谷が戦う相手……ラスボスと戦うという手段もあるだろう。

 しかし、原作の設定とかそういうのを考えると迂闊に俺が前に出るといった事は難しい。

 特に緑谷は本来なら幼児の時に目覚める筈の個性が、雄英の入試前にようやく個性が目覚めるという特殊性がある。

 そうした特殊性を考えれば、やはり何か俺には分からない……俺が迂闊に手を出した場合、最悪の未来が持っている可能性もあるんだよな。

 だからこそ、出来ればラスボスを倒すのは俺ではなく原作通り緑谷にやって貰うのが最善なんだよな。

 そういう訳で、緑谷にはしっかりと実戦経験を積んで貰いたい。

 そういう意味では、今回のI・アイランドの一件も悪くない……というか、原作には当然ながら俺が存在しない訳で、そうなると原作においてもI・アイランドの一件は緑谷達が解決した筈だ。

 そうなると、このI・アイランドの件を緑谷達に解決させたとしても、原作通りの実戦経験となるだけだろう。

 だからこそ、俺が出しゃばるような事は出来る限り避けたかった。

 そうなると……俺は前線に出ない方がいいのか?

 いや、けどそれはそれでこの場で最強の俺が戦いに出ないというのは、他の者達に不安や、場合によっては不満を抱かれるかもしれない。

 そんな風に考えている間にも緑谷達はメリッサに色々と聞いていた。

 このI・アイランドについて一番詳しいのは、やはりここに住んでいるメリッサだ。

 であれば、やはりメリッサに直接事情を聞いた方が一番事情を把握しやすいのは間違いない。

 

「爆発物があっても、それだけでここまでの警戒態勢になんて……おかしいわ。以前にも爆発物が仕掛けられたことがあったけど、ここまでの警戒態勢にはならなかったもの」

 

 その言葉からすると、爆発物がI・アイランドに仕掛けられるのは珍しくない……とまではいかないが、絶対にそのような事が起きないといった感じではないらしい。

 いやまぁ、このI・アイランドに集まっている最新技術について考えれば、それを欲する者がどれだけ多くてもおかしくはない。

 そしてヴィランにしてみれば、欲しい物は奪えばいいと判断してもおかしくはなかった。

 つまり、これまでにもこのI・アイランドは多くのヴィランに狙われてきたのだろう。

 もっとも今まではプロヒーローとかが護衛にいたりして、無事だったのだろうが。

 

「アクセル君、パーティ会場に行ってみない?」

「オールマイトか?」

「うん。オールマイトがパーティ会場にいるのは間違いないんだ。なら、合流して……」

「そうか! それならオイラも安全に目立てるな! ……あ、すいません」

 

 緑谷の詞に、先程のモテる発言でその気になっていた峰田が元気にそう言うものの、次の瞬間、耳郎……いや、耳郎さんに睨まれて黙り込む。

 最近、耳郎さんになりすぎじゃないか?

 そう思ったが、その辺に突っ込んだら、それはそれで不味いような気がするので止めておく。

 というか、今はそれどころじゃないし。

 

「えっと、峰田君の言ってる事もそうだけど、オールマイトがいればこの状況をどうにか出来る……と思うんだ」

「さっきも言ったが、オールマイトがいるのに事態が動いていないって事はオールマイトが動けない理由が……いや、待て」

「アクセル君?」

 

 途中で言葉を止めた俺に緑谷がそんな風に声を掛けてくるが、俺はそれに手を伸ばして考える。

 オールマイトはレセプションパーティのパーティ会場にいるにも関わらず、この事態がまだ解決していないのはオールマイトが動けない状態であるのは間違いない。

 そして俺の目的は緑谷達に実戦経験を積ませる事。

 それはつまり、俺がいない状況で緑谷に……緑谷達に今回の一件を起こしたヴィランを相手に戦って貰う事を意味している。

 だが、自分で言うのも何だがこの場にいる中で最大戦力は間違いなく俺だ。

 ヴィランと戦うのに、その最高戦力である俺がいないというのは、明らかにおかしいだろう。

 しかし、俺がその場にいられない理由があったら?

 具体的には、俺が何とかしてオールマイトを助けるべく行動し、それ以外の面々にはヴィランと戦って貰う。

 幸い、俺にはそういう流れでどうにかする為の能力もある。

 

「分かった。オールマイトが今もまだ事態の解決に動いていないという事は、そう出来ない何らかの理由がある筈だ。まずはそれを確認する為にも、パーティ会場の様子を見たい」

「メリッサさん、パーティ会場に行くにはどうしたらいいですか?」

 

 俺の言葉を聞いた緑谷が、待ってましたと言わんばかりに即座にメリッサに尋ねる。

 恐らくだが、俺が今のように言うよりも前にメリッサに尋ねるべきだと思っていたのだろう。

 

「そっちにある非常階段を使えば、多分行けると思う。警戒態勢になっても、非常階段とかはロックされていない筈だし」

 

 緑谷の問いに即座に答えるメリッサ。

 なるほど、非常階段はその名称通り非常時に使う階段だ。

 I・アイランドが警戒態勢に入っても、非常階段とかは使えるようになっているのだろう。

 ……ヴィランを相手にした警戒態勢だった場合、ヴィランがその非常階段とかを使う可能性があるので、それはそれで本末転倒な気がするけど。

 ただ、その辺は考え方次第だろう。

 ヴィランを相手にしても警戒態勢である以上、ヴィランから逃げる際に使えるという考えもあるし。

 ともあれ、パーティ会場まで行けるのは分かったのだから、まずは行動だろう。

 

「じゃあ、俺と緑谷で……」

「待って、パーティ会場の様子を探るなら、ウチも行った方がいいと思う」

 

 俺と緑谷の言葉に耳郎がそう言ってくる。

 なるほど。耳郎の個性のイヤホンは、オールマイトと連絡を取るのに使えるか。

 

「分かった。じゃあ、俺と緑谷、耳郎で一度パーティ会場を見てくる。他の面々は何があっても即座に対処出来るように準備をしておいてくれ」

「アクセルさん、私もお連れ下さい」

 

 俺の言葉にそう言ったのは、茨。

 俺に仕える立場であると認識している茨にしてみれば、俺だけを危険な場所に向かわせるのは避けたいのだろう。

 そんな茨柄の気持ちを理解しつつも、俺は首を横に振る

 

「いや、今はまだヴィランに見つからないようにして動く必要がある。なら、少人数で動くべきだ」

「では、何故そちらの方は一緒に?」

 

 俺の言葉に茨は緑谷を見ながら不満を口にする。

 しまったな。俺は最初から緑谷を連れていくつもりだったが、それはあくまでも緑谷がこの世界の原作の主人公だからだ。

 俺にとってはそれが十分な理由だったが、それはあくまでも俺にとってはの話だ。

 俺に仕える立場の茨にしてみれば、自分ではなく緑谷が行くのは納得出来なかったのだろう。

 となると、緑谷を連れていく何らかの理由が必要な訳で……あ、理由があったな。

 

「緑谷はヒーロー全体について非常に詳しい。パーティ会場にどういうヒーローがいるのかといった事や、場合によってはヴィランについても知っている可能性がある。それが俺が緑谷を連れていこうとしている理由だ」

 

 咄嗟に出てきた理由だったが、実際にこの理由は間違っている訳ではない。

 緑谷は日本のマイナーヒーローについても知っている。

 それが世界中ともなればどうか分からないが……とにかく今のI・アイランドが日本の側にあるという事を考えれば、世界規模の知識はそこまで必要ではないだろう。

 ヴィランについては、もし海外のヴィランなら緑谷も分からないかもしれないが、その辺についてはそこまで気にしていない。

 取りあえずパーティ会場にいるヒーローについてだけ分かれば、それで十分なのだから。

 そう説明すると、茨も残念そうにしながら……一瞬だけ緑谷に鋭い視線を向ける。

 ビクリ、と。

 そんな茨の視線を向けられた緑谷が反応するものの、ここは緑谷としても退けないだろう。

 いつもなら茨に譲ったりするのだろうが、そのようなことを口にすることはない。

 

「茨」

「……申し訳ありません」

 

 茨の名前を呼ぶと、茨はそう謝ってくる。

 取りあえずこの件はこれで終わり……俺と緑谷、耳郎の3人は非常階段からパーティ会場に向かうのだった。

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