転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4506話

「オールマイトからのメッセージは受け取った。僕は雄英高校の教師であるオールマイトの言葉に従い、I・アイランドから脱出する事を提案する」

 

 元の場所……他の面々が待っていた場所に戻ってきてオールマイトからのメッセージを皆に話すと、真っ先に飯田がそう言う。

 生真面目な性格をしている飯田だけに、オールマイトの指示に従うというのは分からないでもない。分からないでもないが……だからといって、俺としてはその流れに持っていかれると困るのも事実。

 

「飯田の言いたい事は分かるが、さっきは俺達で解決しようって話だっただろ?」

 

 上鳴が不満そうに言う。

 活躍してモテるという、その件について強い思いを抱いているのだろう。

 

「ですが、上鳴さん。私達はあくまでも雄英の生徒ですのよ? 免許も持っていない一介の学生に……」

「俺はそうは思わないけどな。ヤオモモの個性はかなり強力だ。それこそその気になれば、今の時点でプロヒーローをして活躍出来てもおかしくはないと思うくらいには」

「アクセルさん……」

 

 上鳴に反論しようとしたヤオモモだったが、俺の言葉に驚き……何故か少し嬉しそうな様子を見せる。

 

「あのさぁ、こういう時にヤオモモを口説くのはどうかと思うよ」

「……そんなつもりはないんだが」

 

 三奈の呆れが混ざった言葉に、そう返す。

 実際、別に俺はヤオモモを口説いたつもりはない。

 ただ正直に自分の思った事を口にしたまでだ。

 

「コホン。とにかく今はまず、これからの事だろ。アクセルも真面目に頼む」

 

 何故かこちらは若干不満そうな様子の拳藤。

 何か拳藤の機嫌は悪くなるような事をしたか?

 そう思ったが、ここで俺が何かを言えば、余計に拳藤の気分を害しそうだったので、黙っておく。

 

「えっと……いいかな?」

 

 俺達のやり取りを黙って見ていたメリッサが、手を挙げて言う。

 皆の視線が向けられると、それを確認してから口を開く。

 

「まず、I・アイランドからの脱出というのは、難しいと思う。タルタロス並の警備システムが用意されてるから」

 

 メリッサが口にしたのは、俺も知っていた知識だ。

 緑谷もまた、その辺りの知識をもっていたらしく無言で頷いていた。

 

「転移系の個性があればどうにかなるかもしれないけど……そういう個性を持ってる人、いる?」

 

 メリッサのその問いに、誰も何も言わない。

 ……実際には俺には影のゲートという転移魔法があるのだが、それをこの場で知らせるつもりはない。

 俺にしてみれば、緑谷や他の面々には今回の件で実戦経験を積んで貰いたいのだから。

 そんな風に考えている間にも、残っていた面々の間で議論が進む。

 オールマイトに言われたから、あるいはまだ生徒でプロヒーローではないから、何とか脱出を、あるいはプロヒーローが援軍に来るまで隠れて待つ。

 ヒーロー候補生である以上、この場で行動しなくてもいいのか。

 そんな議論が数分行われた。

 当初は俺の意見でこの場にいる面々でこの件を解決するって話になっていたと思うんだが、実際にオールマイトが捕まってしまっているのを直接確認し、その上でオールマイトにI・アイランドから脱出するように言われたのもあり、そうした方がいいのでは? と思っている者もいる。

 ヤオモモ、飯田、拳藤の委員長3人がまさにそんな感じだ。

 自分達の立場を考えた場合、それが正しいのも事実だ。

 もっとも、逃げるのはメリッサの言葉で不可能に近いというのが判明したが。

 ともあれそんな議論の中で話の方向性を決めたのは、緑谷の『助けたい』という主張だった。

 ……この辺は、さすが原作主人公といったところか。

 普段は地味なのに、いざという時は皆を引っ張る力を持つ。

 ともあれ、そんな訳で話の方向性が決まった訳だが……

 

「ちょっといいか?」

「え? どうしたの、アクセル君」

「気が付いたというか、疑問が1つと提案が1つある」

「えっと……何?」

 

 何故か恐る恐るといった様子で緑谷が話の先を促してくるが、何でそこは微妙に怯えてるんだ?

 そんな疑問を抱きつつ、口を開く。

 

「まず気が付いた事だけど……爆豪と切島の件だ」

 

 え? と。

 話を聞いていた皆が、ポカンとした表情を浮かべる。

 

「ケロ。……どういう事かしら?」

 

 梅雨ちゃんに促され、俺は言葉を続ける。

 

「飯田から連絡があったにも関わらず、爆豪と切島はこの場にいない。ただレセプションパーティが面倒だから部屋にいるといった可能性もあるけど……俺が知っている爆豪なら、何かあったら取りあえず突っ込んで解決しようとする筈だ」

 

 そう言うと、自然とこの場にいる面々の視線が、爆豪と一番付き合いの長い緑谷に向けられる。

 緑谷は全員に視線を向けられ……

 

「えっと……かっちゃんなら、そういう事をすると思う」

 

 全員の視線に若干たじろいだものの、それでも緑谷はそう言う。

 優柔不断というのはちょっと違うが、とにかくあまり自分の意見を持たない緑谷がそういう風に言うのは、幼馴染みとして爆豪の性格を知っているからだ。

 すると他の面々も……爆豪については今日ちょっと会っただけのメリッサ以外は、緑谷の言葉に同意するように頷く。

 B組の拳藤や茨までもが頷いているのを見れば、爆豪の行動がどれだけ分かりやすいのか分かる。

 とはいえ、爆豪の場合は行動が分かりやすいのは間違いないが、相応の実力があるのも事実だ。

 だからこそ、今この時に爆豪が既に動き出している可能性が高い。

 

「せめてもの救いは、切島が一緒にいる事か」

 

 溜息と共に、そう呟く。

 そんな俺の呟きに、何人かが頷く。

 切島は懐が広いというか……緑谷を例外とすれば、恐らくA組で爆豪と一番仲が良い人物だ。

 実際、爆豪がI・アイランドに来たのも、切島と一緒に買い物に行き、それでくじ引きだったか何だったかで、チケットを当てたからだ。

 その辺から見ても、爆豪と切島の仲が良いのは間違いない。

 そして何気に常識人でもあるので、爆豪のブレーキ役として働く……のを期待したかった。

 ……そして、何故か若干悔しそうな様子を見せている緑谷。

 何故? と疑問に思ったが、緑谷にしてみれば爆豪は色々と複雑な相手なんだろう。

 背中を追う相手、憧れの相手、ライバル、幼馴染み、自分を苛めていた相手……といった具合に。

 恐らくはこれ以外にも色々と思うところがあるんだろう。

 

「そんな訳で、爆豪と切島が今どこにいるのかは分からないが、爆豪の性格からして、この騒動に巻き込まれているのは間違いない。……異論がある奴はいるか?」

 

 念の為にそう尋ねるものの、誰も異論はない。

 爆豪の性格を知っているだけに、誰も異論や反論は出来ないのだろう。

 

「つまり、爆豪を助ける為にも、結局この騒動は何とかしないといけない訳だ。……で、ここからが提案だ。タワーにいる相手を鎮圧して警備システムを取り戻す奴と、オールマイトを助ける2組に別れた方がいい」

 

 その言葉には全員異論がないのか、頷いている。

 実際、ヴィラン達を焦らせる意味でもタワーに攻撃を仕掛けるというのは悪くない。

 そうなればパーティ会場にいるヴィラン達も動揺し、捕らえられているプロヒーロー達が行動を起こせるかもしれない。

 また、タワーを攻める面々が危なくなった時、オールマイトが援軍に来る事が出来れば、既にこの件は解決したも同然だろう。

 

「で、その組み分けだが……俺がオールマイトの救出に向かう。それ以外は全員がタワー。それでどうだ?」

「危険だよ!?」

 

 真っ先に緑谷がそう言ってくる。

 いやまぁ、緑谷の性格を思えば、そういう風に言ってきてもおかしくはない。

 おかしくはないが……

 

「心配してくれるのはいいけど、まずは話を聞け」

 

 緑谷に越されはしたが、他にも何人かが俺の意見に反対を口にしようとするのを、手を前に出して止める。

 

「俺には個性とは違ってスキル……技術がある。その中でも気配遮断というスキルは、気配を完全に殺して俺の存在を見ても認識出来なくさせる」

 

 実際には監視カメラとかそういうの間に挟むと普通に見えてしまうのだが……その件については、取りあえず言わないでおく。

 この状況でそのようなことを口にしても、それこそ他の面々を心配させるだけだろうし。

 

「だが、当然ながら気配遮断を使っても、認識出来なくなるようになるのは俺だけだ。俺と一緒にいる奴も同じようにするといった事は出来ない。それどころか、そいつだけ見つかってヴィランに攻撃される可能性もある。これが、俺が1人でオールマイトを助けようとする理由だ」

 

 そう言うと、皆が難しい表情を浮かべる。

 A組の中……特にUSJで俺が気配遮断を使ったのを見ていたのだろう、緑谷、峰田、梅雨ちゃんは納得の表情を浮かべる。

 他の面々も、何度か見た覚えがあるのか納得の表情を浮かべていた。

 拳藤と茨、そしてメリッサはまだ完全に納得した様子はない。

 特にメリッサは、今日俺と会ったばかりであるのを考えると、そういう態度になってもおかしくはない、

 そんな中で口を開いたのは、茨

 

「アクセルさん。それでも私は連れていって貰えないでしょうか? 私の個性は探索にも優れています。アクセルさんの邪魔には決してなりません」

 

 茨にしてみれば、俺の従者であるという認識なのだろう。

 だからこそ俺が1人でオールマイトを助けると口にすると、自分も一緒に行きたいと言ってきた。

 実際、茨の個性は耳郎程ではないが、探索能力に優れている。

 そして今回の行動をする上で探索能力が重要なのは間違いないが……

 

「いや、だからこそ茨にはタワーの方に回って欲しい。ヴィランがタワーを占拠している以上、多数のヴィランがいる筈だ。探索能力を持つ者は多ければ多い程にいい」

「ですが、それでは……」

「茨が何を言いたいのかは、分からないでもない。けど、それでもこっちは俺に任せてくれ」

 

 しっかりとそう言うと、茨も完全に納得した様子ではないものの、それでも俺の言葉に頷く。

 ……実際、気配遮断を使うのであれば、茨はいない方が色々とやりやすいのは間違いない。

 それに離れた場所で探索をするにしても、茨の場合は髪の毛を伸ばす必要があり、それをヴィランに見られてしまう。

 これが耳郎なら、音を使って探索をするので敵に見られずに様子を探ることが出来るのだが。

 その辺は大きく違う。

 ……とはいえ、だからといって耳郎が俺と一緒に来たいと言っても断るが。

 耳郎がいなくても、俺は普通に気配を察知出来たりするので、そっち系の個性を持つ者が絶対に必要という訳ではないのだから。

 

「……分かりました。アクセルさんがそう仰るのであれば」

 

 残念そうに、そして悔しそうにしながらも、茨は俺の言葉に頷く。

 茨にしてみれば、仕える俺と一緒に行動したいものの、俺が改めて駄目だと言えば、その言葉に従わない訳にもいかなかったらしい。

 

「でも、アクセル。オールマイトの件、本当に大丈夫なのか? いや、アクセルが強いのは知ってるし、多分大丈夫だとは思ってるけど……敵はその辺のヴィランじゃないんだぜ? 銃も持ってるし、幾ら何でもアクセル1人だと……」

 

 瀬呂が心配そうに言ってくる。

 何だかんだと、瀬呂とは受験の時からの付き合いだ。

 ……あれ? そう考えると、実まだ半年にも満たない付き合いなのか?

 そもそも、俺がこのヒロアカ世界に来てから、まだ一年も経っていなかったりするのだが。

 ただ、それでも何だかんだとこの場にいる男の中では一番付き合いの長い相手でもある。

 それだけに、瀬呂も心配しているのだろう。

 

「瀬呂が心配する気持ちは分かる。けど、俺にとってはあの程度の相手なら何とでもなる。それこそ、スナイプのような個性を持っているのなら話は別だけど、ヴィランの組織……それも一兵卒程度の相手だ。何をどうしても俺をどうにか出来る筈もないよ。そもそも俺の今までの実績を考えてみろ。あの程度の相手にどうにかされると本気で思っているのか?」

 

 そう言うと、瀬呂が……いや、瀬呂だけではなく、俺と一緒に行動したいと言っていた茨も含め、他の面々も同様に何も言えなくなる。

 

「とにかく、俺の方は心配いらない。結局のところ、オールマイトを助ければどうとでもなる。パーティ会場にいるヴィラン達は、それこそ一瞬で倒せる筈だ。それより、この場合重要なのは俺じゃなくてお前達だぞ。占拠されたタワーを取り返す……まではいかないが、乗っ取られた警備システムを奪い返す必要があるんだからな」

 

 この場合、重要なのは緑谷達の戦力もだが、メリッサの存在だ。

 何しろこの場にいる者達は、ハッキングとかそっち系の個性を持っている者はいないし、単純にそういう技術を持っている者もいない。

 そうなると、そのような事が出来るのは唯一メリッサのみな訳で、ヒーローでも何でもない、それこそ身体を鍛えている訳でもないメリッサを連れて移動する必要がある。

 ……まぁ、俺がハッキングツールを貸せばどうとでもなるんだが、それだと緑谷達の実戦経験にもならないし、何故そのような物を持っているといった話にもなるので、そちらについては俺がどうこうする訳にはいかなかった。

 そんな俺の言葉に、他の面々は覚悟を決めたように頷くのだった。

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