転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4510話

「はぁ……疲れたな」

 

 ベッドの上で寝転びながら、そう呟く。

 I・アイランドを襲ったヴィラン達の一件。

 そのヴィランを率いていた相手を倒してから、既に数時間。

 本来ならオールマイトはもっと詳細な事情を俺に聞きたかったのだろうが、あのサークレットの影響によって、俺の体調は微妙に優れない。

 オールマイトもその辺を心配し、大雑把に事情を聞いた後は部屋で休んでもいいと言われたのだ。

 ……実際、あのサークレットの影響によって、俺の今の状況は普通ではない。

 なので、こうしてベッドに寝転がり……ステータスを表示する。

 当然ながら、撃墜数とかそういうのは全く増えていない。

 ステータスの撃墜数は、あくまでも殺した事によって増えるので、ヴィランと戦ってはいるが、殺してはいない。

 気絶させる程度で終わらせているので、撃墜数が増えてないのは何も問題ないし、予想通りだ。

 ここで問題なのは、ステータスに表示されているスキル欄。

 つい数時間前までは、俺のスキル欄は完全に埋まっていた。

 だが、今のステータス欄には空欄が2つ増えている。

 これはつまり、新たに2つのスキルを習得出来るという事になる。

 本来なら、このスキルの空欄はレベルが10上がることに増えていく。

 それがレベルは上がっていないにも関わらず、スキル欄の空欄が増えているのだ。

 これが何によってこうなったのかというのは、考えるまでもない。

 ヴィランのリーダーが持っていたサークレットが原因なのは間違いないだろう。

 あのサークレットを開発したのは、メリッサの父親にして、オールマイトの相棒、そしてサポートアイテムの第一人者であるデヴィット・シールドだという話だ。

 具体的にどのような効果を持つサークレットだったのかというのは教えて貰っていないが、あのヴィランのリーダーがあの状況で使おうとしていた事を考えれば、何となく理解出来る。

 多分だが、個性を強化する効果を持っていたのだろう。

 ……その個性を強化するサークレットを使った俺が、何故ステータスの空欄が増えたのかは、分からない。

 そもそもの話、混沌精霊は一応個性という事にしてあるが、実際には個性ではない。

 そんな個性を使えない……無個性というのはちょっと違うが、とにかくそんな感じの俺があのサークレットを使ったら、何故スキルの空欄が増えるのか。

 その辺は全く理解出来ない。

 無理矢理に考えられるとすれば、俺の念動力と個性を強化されるという効果を持つサークレットが相乗効果……というのはちょっと違うか?

 ともあれ、それによって俺のステータスが強化された事は間違いない。

 それは嬉しいし、正直なところを言わせて貰えばもっとあのサークレットを作って欲しいと思う。

 もしかしたら……本当にもしかしたらだが、あれを使えば俺のスキル欄を無限に増やせるかもしれないのだから。

 勿論、そこまで上手くいくとは思ってはいない。

 あくまでもそうなればいいなと思っているだけだ。

 だが、最初にサークレットを使ってスキル欄の空欄が2つ増えたのだから、だとすればもう1度使えば、スキル欄の空欄が1つは増えるのではないかという希望もある。

 

「まぁ……そう簡単にはいかないだろうけど」

 

 ベッドで横になりながら、そう呟く。

 ヴィランのリーダーがああして持っていたという事は、あのサークレットはデヴィットから奪った物なのだろう。

 だが、そのようなサークレットが多数あるのなら、それこそもっと表沙汰になっていてもいい。

 あるいは表沙汰にはならなくても、相応の地位にいる者は知っているとか、そんな感じでもいい筈だろう。

 だが、オールマイトの様子を見る限り、あのサークレットについては何も知らなかったのは間違いない。

 日本のNo.1ヒーローのオールマイトでもそうなら、その件について……いや、待てよ?

 オールマイトは無理でも、ヒーローを纏めている公安ならどうだ?

 うん、今は無理だがI・アイランドの一件が終わったら公安に連絡をしてみてもいいだろう。

 上手くいけば……本当に上手くいけばの話だが、あのサークレットを複数作れる可能性がある。

 勿論、そのように上手くいくかどうかは分からない。

 だが、可能性があるのなら試しておきたかった。

 俺にとっての最高の展開なのは、サークレットを使えば使う程にスキル欄の空欄が増えていくことだ。

 ……まぁ、ただ……これは正直なところ、無理だろうと思っている。

 出来ればそうなって欲しいものの、俺にとって都合のいいようにはならないだろうし。

 だが、最初にサークレットでスキル欄が2つ増えたのだから、次に1つ増えるくらいは期待してもいい筈だ。

 そうなれば、スキル欄の空きが3つとなる。

 

「3つとなるのはいいけど……それなら、どういうスキルにするべきか」

 

 ごろん、ベッドの上で寝返りをし、そう呟く。

 そう、スキル欄の空欄が増えるのは俺にとっては非常に大きな意味を持つものの、この場合問題なのは一体どのようなスキルを習得するかという事だ。

 ステータスを表示し、そこにあるスキルを見ていく。

 現在俺が習得しているのは、EXPアップ、SPブースト、念動力、アタッカー、ガンファイト、インファイト、気力限界突破、魔法(炎)、魔法(影)、魔法(召喚)、闇の魔法、混沌精霊、鬼眼、気配遮断A+となる。

 これらのスキルの中で今の俺に必須なのは、念動力と各種魔法、混沌精霊、鬼眼、気配遮断といったところか。

 あ、いや。でも魔法の中でも既に闇の魔法はいらないのか?

 闇の魔法が進化――という名の暴走――をして、それによって混沌精霊となったのだ。

 つまり、混沌精霊は必要だが、闇の魔法は既にあっても意味がない。……ないよな?

 実はこれで闇の魔法をどうにかした結果、混沌精霊である俺に妙な影響が出るとか、そういう事がなければいいんだが。

 うん、ともあれ闇の魔法については置いておくとしよう。

 念動力や鬼眼、気配遮断は今の俺にとって必要なものなのは間違いない。

 もっとも、鬼眼は強力なスキルであると同時に、敵に与える効果はランダムだ。

 相手を殺したくないのに殺したり、殺したいのに殺せなかったりとか、そんな風になるものの……まぁ、それはつまり対抗措置もないという事を意味している訳で、そう考えれば悪くないだろう。

 ともあれ、これら必須のスキル以外のスキルについて考えると……EXPアップはレベルがもの凄く上がりにくくなっている今の俺にとって、必要なのか必要ではないのか、微妙なところだ。

 いやまぁ、あればあったでいいんだろうが、必須という程ではない。

 SPブーストは、SPアップLv.9&SP回復&集中力の効果を持つ複合スキルとなる。

 そしてこの場合重要なのは、SPというのはイコール魔力であるという事だ。

 つまりSPアップによって魔力の最大値が上がり、SP回復によって魔力が自然と回復するのが早くなり、集中力によって本来必要な魔力よりも少ない魔力で魔法を使えるという事を意味しているのだ。

 魔力で身体を構成されている混沌精霊の俺にとって、魔力というのは非常に重要な物となる。

 アタッカー、インファイト、ガンファイト。

 これらは人型機動兵器に乗っている場合にそれぞれ純粋な攻撃力、近接戦闘、射撃戦闘に影響するスキルだが、同時に生身の戦闘にも影響を与えるので、非常に有用なスキルではあるのだろう。

 気力限界突破……これは……どうなんだろうな。

 多分だが、これと闇の魔法が今の俺のスキルの中ではそこまで必要ではないものだろう。

 とはいえ、闇の魔法は混沌精霊の前提スキルとなったものである以上、消せたとしても消すのはちょっと怖い。

 そういう意味では、本当にいらないスキルは気力限界突破か。

 しかもこのスキルはPPを使用して習得したスキルだというのを考えると……今更、本当に今更の話ではあるが、この気力限界突破を習得した時の俺は何を考えていたんだろうな。

 いやまぁ、今ここでそのような事を考えても意味はないが。

 ただ、基本的に現在俺が習得しているスキルにおいては、スライムを使って相手を吸収して習得したスキルの方が有用なのは間違いない。

 となると、今回サークレットによって増えた2つのスキル欄で何を習得するのかは、しっかりと考えておく必要がある。

 現在いるヒロアカ世界でとなると、当然ながら習得するスキルは個性となるだろう。

 ……ただ、個性でスキル欄が1つに纏められるのかどうか分からないのが痛いな。

 例えばネギま世界の魔法においては、炎、影、召喚と魔法の種類ではなくその属性の魔法でスキル欄が1つずつ消費している。

 だとすれば、個性で1つのスキル欄となる可能性も……可能性も……あ、これ無理だな。

 何故かは分からない。

 あるいは念動力が教えてくれたのかもしれないが、とにかく無理だろうというのが本能的に理解出来た。

 あるいは、サークレットでスキル欄の空欄が増えた事による影響なのかもしれないが。

 とにかくスキルについては個性はそれぞれの個性で1つとなる。

 そして、この世界の一件が終わった後でまた別の世界に行った時、新たなスキルを習得したいと思うような事があった場合の為に、スキル欄を1個は空けておきたい。

 そうなると、習得出来る個性は1つだけ。

 それもスライムを使って吸収する、つまり相手を殺さないといけない以上、プロヒーローから個性を奪う訳にはいかないだろう。

 だとすれば、習得出来る個性はヴィランの持つ1つとなる訳だが……どうなんだろうな、これ。

 原作知識があれば、どのヴィランが有用な個性を持っているのかというのを知る事が出来て、狙う相手も選べるんだが。

 ……普通に考えれば、俺が習得するべき個性は、例えばこの世界のラスボス、本来なら原作主人公の緑谷が倒すべきラスボスなんだろうけど。

 ただ、具体的にどういう個性を持っているのか分からない以上、そのラスボスと遭遇する前に有用な個性を持つ相手と遭遇したら、その個性を奪ってしまいそうなんだよな。

 場合によってはラスボスと遭遇するよりも前にスキル欄が1個埋まってしまって、ラスボスの個性をスライムで奪った結果、再びスキル欄の空きがなくなる……そんな風になりそうで、ちょっと怖い。

 基本的には1個、どうしようもなくなったら2個といったところだが、これらの個性を具体的にいつ習得出来るのかは……うん。まぁ、取りあえず今は考えなようにしておこう。

 そんな風に思いながらゆっくりとしていると、やはりそれなりに疲れていたのだろう。自然と眠りに落ちていき……

 不意にコンコンと扉がノックされ、目が覚める。

 ……え? あれ? 何でだ?

 扉の前にいる気配が誰のものなのかを察した俺は、驚きながらもベッドから起き上がって扉を開ける。

 すると、そこにはやはり……

 

「龍子、一体どうしたんだ?」

 

 予想通り、龍子の姿がそこにはあった。

 

「あら、いきなりね。まずは部屋に入れてくれない?」

 

 その龍子は俺を見るとそんな風に声を掛けてくる。

 ただ、どこかその声には安堵した様子が見て取れる。

 

「入ってくれ。とはいえ、もてなしとかはあまり出来ないけどな」

 

 幸い、俺が使っている部屋はそれなりの部屋だ。

 その為、龍子が入ってもゆっくり出来るだけの余裕はある。

 これが安い部屋……I・アイランドで宿泊料金は出来るだけ抑えたいような者達が使う部屋なら、本当に寝るだけの空間的な余裕しかなかったりもするらしいが。

 あるいは雑魚寝だけの宿泊施設もあるとか何とか聞いた覚えがあるが……まぁ、今はそんな事を考える必要もないだろう。

 

「ありがと。……あら、なかなかいい部屋ね」

「体育祭の優勝の賞品だしな。……それで、龍子がここに来たって事は、俺の後見人だからか?」

 

 そうでなければ、わざわざ龍子がI・アイランドに来るとは思えない。

 いや、勿論龍子がI・アイランドに興味がないと言ってる訳ではなく、単純に龍子が忙しいからI・アイランドに来る暇はないという事だ。

 轟がエンデヴァーの代理としてやって来ているみたいに。

 ……なら、オールマイトは? と思わないでもなかったが、原作について考えればオールマイトがいるのが前提でのイベントだろうしな。

 

「そうなるわね。……正直なところ、まさかI・アイランドが襲われるとは思っていなかったわ。いえ、正確には今まで何度か襲われたのは知っているけど、ここまで大掛かりな襲撃があるとは思わなかったのよ。内部にヴィランと繋がっていた人がいる以上は当然かもしれないけど」

「内部にヴィランと……?」

 

 そう尋ねると、龍子は少しだけ驚く。

 

「あら、もしかしてまだ聞いてないの?」

「まぁ……色々とあったしな」

 

 サークレットを被った俺が体調に異変があった為、心配したオールマイトによって即座にこの部屋につれてこられたしな。

 なので、詳細については知らないのだが……まぁ、あそこまで綺麗にタワーとかレセプションパーティの会場を占拠したのを思えば、内部に手引きした人物がいてもおかしくはないかと納得するのだった。

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