転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4515話

「ん?」

 

 目良が俺の家に来てから数日。

 ソファに寝転がりながらネットの動画を見ていたのだが、スマホに着信……いや、違うな。LINのクラスのグループの方に新しい書き込みがあったらしい。

 とはいえ、これはそこまで珍しいものではない。

 A組の多くが今日は何をしたとか、どこに行ったとか、そういう風に書き込んでいるのだから。

 実際、俺も昨日の昼食に冷やし中華のチャレンジメニューをクリアして賞金を貰ったのをLINに画像と一緒に書き込んでいたし。

 今日も今日とて、別にこれが始めてLINに書き込まれた訳ではない。

 それでもその書き込みを確認したのは、動画を見てるのがちょっと暇だったからだ。

 動画の中では精密に指を動かせる個性を使って料理の動画をアップしている人物が、『捌いていくぅ!』と言いつつ、大きめなウナギを捌いているところだったが、それを横目にLINの内容を確認すると……

 

「へぇ」

 

 そこには峰田、上鳴、瀬呂の書き込みがあった。

 何でも相澤に直談判して、学校のプールを使わせて貰う事になったらしい。

 その為、プールで自由に遊べるようになり、明日はプールに集合と書かれていた。

 ……瀬呂はともかく、峰田や上鳴がこうして書き込んだのは何を狙っての事なのかは容易に想像出来てしまう。

 ヤオモモのビキニとか想像すると、凄いし。

 あるいは峰田と上鳴だけだと疑われるから、瀬呂も引っ張られたのかもしれないな。

 そう思ったのだが、どうやら建前……かどうかは分からないものの、峰田と上鳴が今回の一件を考えたのは、瀬呂を励ます為らしい。

 色々と濁して書き込まれていたが、瀬呂と一緒に行動していた俺にはすぐに分かった。

 瀬呂はI・アイランドでメリッサに一目惚れしていた。

 だが、そのメリッサと一番仲が良かったのは緑谷で、I・アイランドにいる間に結局メリッサの連絡先を聞き出す事は出来なかったらしい。

 I・アイランドというのは、今回はヴィランによって騒動が起きたものの、本来ならタルタロス級の警備システムがあるような場所だ。

 相応の立場があればまだしも、そうでなはい一介の学生では、そう簡単にI・アイランドに行く事は出来ない。

 これで家が名家だとか、大金持ちだとか、そういうのなら話は別だが。

 ヤオモモのように。

 だが、瀬呂の家は特にそういう家ではない。

 つまり、メリッサと連絡を取ろうとしても、まず無理なのだ。

 だからこそ、自分に勇気が足りずにメリッサに連絡先を聞けなかった、あるいは口説く事が出来なかった瀬呂を励まそうとして、峰田や上鳴が頑張ったらしい。

 うーん、これは……瀬呂の為によく頑張ったと言えばいいのか、あるいは自分の欲望の為に瀬呂の事情を利用したのに呆れるべきなのか。

 その辺は俺にもちょっと分からないが……うん、取りあえずプールで遊べるというのは悪くないな。

 なので、俺も参加すると書き込んでおく。

 すると俺に続くように、三奈、ヤオモモ、葉隠、耳郎が参加すると書き込みがあった。

 最終的には、クラスのほぼ全員が参加する事になる。

 少しだけ意外だったのは、こういうのには積極的に参加するようには見えない轟までもが参加すると書き込んできた事だろう。

 ……ちなみに爆豪も最初は参加しないと書き込んでいたのだが……

 逃げるのか?

 そう俺が書き込んだ瞬間、泳ぎ殺してやると参加する事になった。

 うーん……なんというか、こう……爆豪は色々な意味で扱いやすすぎないか?

 場合によっては、それこそあっさりとヴィランの罠に引っかかったりしそうなんだよな。

 とはいえ、爆豪の強さを支えているのはその性格にも大きな理由がある訳で、だとすればその性格を直せと言っても、とてもではないが聞いたりはしないだろう。

 ともあれ、そんな訳で明日にはプールで遊ぶ――名目上は訓練――事になったのだが……

 

「水着、買った方がいいか」

 

 そう呟く。

 一応空間倉庫の中にはどこで買ったのか既に忘れたものの、水着はある。

 あるのだが……このヒロアカ世界は個性のお陰もあってか、かなり技術が発展している。

 その為、ちょっとした物であっても高性能なんだよな。

 その分かりやすい例が、リビングで動き回っている、AI搭載型のスーツケースとロボット掃除機だろう。

 ロボット掃除機にいたっては、それこそ優を天敵と認識するくらいの知能を持っているようには思える。

 そう考えると、やはりここはヒロアカ世界の水着を買ってもいいだろう。

 ……まぁ、水着に特別な機能とかそういうのは、それこそヒーローコスチュームとかでもない限りは搭載されてないだろうけど。

 そんな訳で、俺はマンションの外に出る。

 外に出てから気が付いたけど、もしかしたらマンションの1階にある高級スーパーにも水着とかって売ってたりしないか? ……しないか。

 あくまでもスーパーだしな。

 あるいはもしスーパーにあっても、それは十分な種類はない筈だ。

 なので、わざわざここで購入するような事はせず、駅前に向かう。

 駅前なら色々な店があり、スポーツショップの類もある。

 特に今は夏であるのを考えると、水着とかはまさに今が売り時なので、多くが売り場にあるだろう。

 そうして駅前に向かっていると……

 

「あれ、アクセル?」

「拳藤?」

 

 駅前に近付いたところで、見覚えのある顔……拳藤の姿を見つける。

 

「どうしたんだ、こんな所で?」

「いや、それは私の台詞だと思うんだけど」

 

 拳藤がそんな風に聞いてくるが……あれ? 俺がこういう場所にいるのはらしくないのか?

 

「俺がこういう店にいるのは似合わないか?」

「うーん……アクセルは何だかスポーツをするって感じには見えないんだよな」

「……言われてみればそうかもしれないな」

 

 自分の今までの行動を考えると、なるほど拳藤が言うように俺はあまりそういうのが似合っているようには思えない。

 これが模擬戦とかそういうのなら、俺もそれなりに似合ってはいるのかもしれないが。

 

「だろ?」

 

 ふふん、と。

 何故か自慢げな様子の拳藤。

 何だか俺よりも俺の事を分かっていそうな感じだな。

 とはいえ、それでも完全に俺について理解しているとか、そういう訳でないのだろうが。

 具体的には、異世界人とかそういう感じで。

 

「拳藤は……なるほど、何だかスポーツをするタイプには見えるな」

「ありがと。で?」

「……で? とは?」

「いや、だから結局、何でアクセルがこの店に来てるのかって事だよ」

「ああ、その件か。実は明日、クラスで雄英のプールを借りる事になってな。……実際には訓練という名目だが、当然ながら遊ぶ方がメインになると思う」

 

 恐らくは相澤もその辺りは承知の上だろう。

 林間合宿があるのだから、今のうちにしっかりと遊んでおくようにと、そのように合理的に考えて峰田の要望を許可したのかもしれないな。

 ……もっとも、峰田が関与しているとなると風紀的な意味で危険かもしれないと考えたりするかもしれないが。

 

「ああ、それで。……へぇ、けどプールなんて借りられるんだ」

 

 どうやら拳藤はプールを借りられるというのは知らなかったらしく、驚いた様子を見せる。

 

「そんな訳で、どうせなら新しい水着でも買おうと思ってな。……で、拳藤は?」

「私も同じだよ。もっとも、学校のプールじゃなくて少し離れたところにあるレジャープールだけど。何でも滑り台が結構有名らしいね。……けど、雄英でプールが借りられるのなら……いや、でも滑り台を楽しみにしてる奴もいるし……」

 

 なるほど、どうやら俺達よりも遊ぶ方に比重を置いた楽しみ方をするらしい。

 実際、雄英のプールは当然ながら学校のプールである以上、滑り台とかそういうのはないしな。

 ……まぁ、セメントス辺りに頼めば、あっという間に作ってくれそうな気がするけど。

 

「まぁ、そういう事なら仕方ないか。じゃあ、俺は水着を買うから……」

「あ、ちょっと待ってアクセル」

「うん?」

 

 拳藤がこの店に来た理由も分かったので、それならさっさと自分の水着を買おうと思ったところで、不意に拳藤に呼び止められる。

 

「どうした?」

「えっと、その……もし良ければ、本当にアクセルが良ければなんだけど、私の水着を選ぶのを手伝ってくれないか?」

「は? えっと……本気か?」

「ああ。男の目線から選んだ水着が欲しいんだ」

 

 何だ? B組の中に拳藤の気になる男でも出来て、その男が喜ぶような水着を選びたいとか、そういう感じか?

 

「駄目か?」

 

 拳藤らしくもない、しおらしい態度。

 どうするか……と思ったが、拳藤とは一緒に行動する事が多いんだし、そのくらいは別にいいかとも思う。

 今日は特に何かやるべき事がある訳でもないしな。

 

「いや、構わない。特に何か用事がある訳でもないし。それに俺が買う水着はそれこそ数分で決められるだろうし」

「いや、数分って……頼んだ私が言うのもなんだけど、もう少ししっかりと考えた方がいいんじゃないか?」

「特に拘りがある訳でないしな。……ふんどしとか、ブーメランパンツとかそういうのに拘りがあれば別だけど」

「……ば、馬鹿。いきなり何を言ってるんだよ」

 

 一体何を想像したのか、拳藤の頬が赤く染まる。

 いや、本当に何を想像した?

 そんな疑問を抱くも、俺は何故か照れた様子の拳藤と共に水着売り場に向かう。

 スポーツショップの水着売り場だが、当然のように男女で別コーナーだ。

 いや、一応隣接してはいるんだけどな。

 ただ、男のコーナーに入る女、女のコーナーに入る男というのは決して多くはない。

 勿論それは、自分用に買うのではなく一緒に来た相手……こういう場合だとやっぱり恋人とか、あるいは友達以上恋人未満とか、そんな感じでの男女となる。

 男のコーナーでは女と一緒にいるのに嫉妬の視線が向けられたり、女のコーナーでは男と一緒にいるのに嫉妬の視線が向けられたりする。

 とはいえ、まだ水着だ。

 恋人とはいえ、女の下着コーナーに一緒に行くとかに比べると、大分マシだろう。

 ……まぁ、それはかなり上級コースではあるが。

 そんな風に思いながら女の水着コーナーに入っていくと……

 

「ちょっと、あれ。もしかしてアクセル・アルマーじゃない? 体育祭で優勝して、ステインを倒した」

「え? うわ、本当だ。一緒にいる子って……どこかで見たような……」

「あ、私知ってる。ウワバミのCMに出てた胸の小さい方。……あれ? でもこうして見ると結構大きいね」

「そういう判別方法をするって事は、胸の大きい方って一体どんな感じだったのよ」

「へぇ……あの2人が付き合ってるんだ」

「羨ましい……私、アークエネミーのファンだったのに。こうなったら掲示板にしっかりと書かないと」

 

 何だか色々な声が聞こえてくるものの、掲示板については……いやまぁ、雄英のヒーロー科1年のNo.1という立場にある以上、そんな風に扱われても仕方がないのかもしれないが。

 

「アクセル? どうしたんだ?」

「いや、何でもない。ちょっと目立ってると思ってな」

「有名人だし、しょうがないでしょ」

「……一応言っておくと、拳藤はその有名人と一緒にいるんだからな? しかも女用の水着売り場に。そうなるとどういう扱いを受けるのかは、考えるまでもなく明らかだって気が付いているか?」

 

 そう言うと、何を想像したのか拳藤はそっと視線を逸らし、口を開く。

 

「ほら、とにかく水着を選ぼう。アクセルは私にどういうのが似合うと思う?」

 

 何かを誤魔化すようにそう言うが……うーん、拳藤に似合う水着か。

 普通に考えれば、黒いビキニとかが大人っぽくて拳藤に似合うと思う。

 さっき胸の小さい方とか言われていたが、それは発育の暴力と称されるヤオモモと比べての話であって、平均以上の胸を持っているのは間違いない。

 だからこそ、黒いビキニもかなり似合うというのは間違いのない事実だった。

 

「これとかどうだ?」

「……え? アクセル、その……本気で言ってるのか?」

 

 黒いビキニを指さす俺に、拳藤は驚きの視線を向けてくる。

 

「いや、何で驚く? 俺が見た限りでは、間違いなく拳藤に似合ってると思うぞ? ほら、着てみたらどうだ?」

 

 この水着コーナーには、当然ながら着替える為のスペースもある。

 この手の水着は買った後で着てみたら、実はサイズが……といった事もあるらしいし。

 以前美砂や円からちょっとそんな風に聞いた覚えがある。

 

「う……い、いや。これはちょっと露出が大きすぎるだろ。もうちょっとこう……」

「あれとか?」

「んな訳あるかっ!」

 

 俺が指さした方には、水着というよりも紐と称する方が相応しいものがあった。

 痴女……とまではいかないが、余程自分のプロボーションに自信がなければ着る事が出来ないような水着だな。

 

「いや、意外と拳藤には似合いそうな……」

「あのな。アクセルの趣味は分かったけど、私が行くのはレジャープールだぞ? 滑り台とかああいうのを着て滑ったら、どうなると思う?」

 

 そう言われると、なるほどと頷くしかない。

 そうして結局拳藤はワンピースの水着を購入するのだった。

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