転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4552話

 合宿施設の掃除が終わり、早速雄英に帰る事になった。

 爆豪やラグドールの件もあってか、元気に帰るといった訳にはいかなかったものの、それでも空元気も元気のうちといったように、プッシーキャッツの面々は俺達を見送ってくれた。

 ……ちなみに俺がマンダレイと電話番号やLINの交換を終えると、ちょうどそのタイミングでピクシーボブも顔を出し、何故か成り行きでピクシーボブと電話番号やLINの交換をする事になったが……まぁ、それはそれ。

 

「アクセル、お前一体何をしたんだ?」

 

 そう聞いてきたのは、俺の隣に座っている砂藤。

 砂藤が何を言いたいのかは分かる。

 通路を挟んで反対側にある座席には三奈と葉隠が座っているのだが、その三奈が何度も俺に視線を向けてくるのだから。

 それでいながら、俺と視線が合うといかにもそれは偶然ですといった様子でわざとらしく視線を逸らす。

 そんなのが何度か繰り返されれば、砂藤も気になってしまうのだろう。

 

「何をしたって言われても……特に何かをした覚えはないんだけどな」

「何もしてないのに、芦戸があんな風になるのはおかしくないか?」

 

 まぁ、おかしい。

 おかしいとは思うが……だからといって、その理由は分からないが。

 あるいは昨夜の自販機の場所での一件を気にしているのか? とも思うが、あのくらいでここまで照れたりはしないだろう。

 そうなると、もっと何か別の理由なのか?

 そうも思ったが、それはそれで一体何故そのような事になるのか分からない。

 いっそ三奈にどうした? と聞いてみてもいいのかもしれないが……いや、三奈の今の様子を見れば、そういうのを聞いても素直に答えるとは思えない。

 それどころか、俺と目が合ったのも偶然でしかないとか、そんな風に言いそうなんだよな。

 

「おかしいとは思うけど、今の俺に何か出来るような事はないな。……取りあえず、砂藤も眠った方がいいんじゃないか?」

 

 砂藤の話をそう誤魔化す。

 とはいえ、実際バスの中は林間合宿に行く時と比べるとかなり静かだ。

 行く時は皆がバスの中で騒いでいたのだが、それと比べると……

 まぁ、爆豪の件だったり、緑谷のように入院した奴がいるという事もあって、騒ぐ気にはなれないといったところか。

 また、それ以外にも予想通り林間合宿で疲れが蓄積しており、その疲れから眠っている者も多かった。

 結果として、バスの中は静かになってしまった訳だ。

 まぁ、雄英に到着するまでそれなりに時間があるし、眠れるのなら眠ってしまった方がいいのは間違いないけど。

 

「そうか? ふぁああぁ……あー、アクセルがそういう事を言うから、眠くなってきた。じゃあ、俺はお言葉に甘えて少し寝るよ。……その間に芦戸と仲直りしておけよ」

「いや、別に喧嘩をした訳じゃないんだが」

 

 そう言うものの、砂藤は既に目を瞑って眠る体勢になっている。

 勿論、目を瞑ったからといってすぐに眠ってしまった訳ではないだろう。

 だが、これ以上俺の話を聞くつもりはないというのは明らかだった。

 ……さて、そうなるとどうしたものやら。

 そんな風に思って三奈の方を見ると、先程までは起きていた葉隠もどうやら眠ってしまったらしい。

 もっとも透明の個性を持つ葉隠だ。

 実はこうして動かなくても、眠っているように見せて実は起きているといった可能性もない訳ではなかったが。

 その気になれば葉隠が本気で眠っているのかどうか、呼吸を聞いて調べる事も出来るんだが、わざわざそこまでやる必要もないだろう。

 

「で、三奈。どうしたんだ? 朝食の時から様子が変だったけど」

「っ!? な……べ、べ、別に何も変だったとは思わないよ? いつも通りだってば」

 

 いきなり俺に声を掛けられたのに驚いたのか、三奈は慌てたようにそう言ってくる。

 いや、普段のお前なら声を掛けられたくらいでそこまで慌てたりはしないだろ。

 そう思ったが、それを実際に口にすると、三奈を怒らせるだけになりそうなので、止めておく。

 

「いつも通りって……どこからどう見ても、そうは思えないんだが? 何か俺が悪い事をしたか?」

「別に、そんな事はないけど……アクセルって、女心分かってないって言われない?」

「は?」

 

 いきなりの三奈の問いに、どう答えればいいのか迷う。

 とはいえ、自慢ではないが俺は恋人が20人以上いるのだ。

 であれば、女心を……完全にではないにしろ、ある程度分かると言ってもいいだろう。

 もっともそれをこの場で口に出来る筈もなかったが。

 

「だから、女心。分からない?」

「いや、言ってる意味は分かるけど、何でここで女心?」

 

 三奈の言葉にそう尋ねると、三奈は不満そうな様子で俺を見てくる。

 

「いいわよ、それがアクセルが言いたいことなら」

 

 何故怒らせてしまったのかは分からないが、三奈は不満そうな様子を見せると目を瞑る。

 どうやらこれ以上は俺と話をしたくないというのを態度で示したらしい。

 もっともそれ以外にも単純に眠いというのもあるのかもしれないが。

 ……無理もないか。考えてみれば、昨日は他の面々が寝ている中で自販機のあった場所に来て、それなりの時間俺と話をしていたのだ。

 つまり、単純に睡眠不足というのもあるのだろう。

 ……もっとも、本人にしてみればその辺に気が付いているかどうかは微妙なところだが。

 ともあれ、こうして三奈が眠ってしまった以上は俺も特に何か出来ることがある訳でもないので、俺もまた素直に眠るのだった。

 

 

 

 

 

「おい、アクセル。起きろって。もうすぐ雄英に到着するぞ」

 

 睡眠を楽しんでいると、不意にそんな声が聞こえてきた。

 目を開けると、砂藤が俺に声を掛けていた。

 その声に、窓から外を見てみると……なるほど、その言葉通り窓の外の景色は見覚えのあるものだった。

 

「んんー……ふぅ、バスで眠るのは、やっぱり少し窮屈だな」

 

 伸びをしながらそう言う。

 実際問題、バスで眠るのは身体にかなり負担がある。

 数十分、あるいは1時間や2時間くらいならともかく、夜行バスとかだと……ああ、いや。でも夜行バスなら座席をある程度倒してもいいのか。

 このバスも一応座席は倒せるようになっているし、後ろの席に座っている口田や常闇に声を掛けておけば、普通に座席を倒すことも出来たんだが、その辺については普通に忘れてしまっていた。

 伸びをした事で少し落ち着き、何となく隣を見る。

 すると……

 

「な、何よ?」

 

 こちらを見ていた三奈と視線が合う。

 

「いや。何よって言われてもな。三奈が俺の方を見ていたんだろ?」

「べ、別にそんなつもりはなかったんだから。ただ……そう。偶然アクセルの方を見ただけよ」

「ふーん……まぁ、いいけど」

 

 三奈が何を考えているのかは分からない。

 ただ、こうした様子を見る限りだと、俺がここで何を言っても素直に頷くと思えなかった。

 まぁ、今日休めば……そうすればある程度は落ち着くかもしれないけど。

 あるいは爆豪やラグドールの件もあるし、それどころじゃないかもしれないけど。

 そんな風に思っていると、やがてバスは雄英に到着する。

 

「到着したから、それぞれ下りるように。一応最後に挨拶があるから、すぐに帰るなよ」

 

 相澤の指示に従い、バスから下りて荷物の入っている場所から自分の荷物を取り出す。

 ……連れ去られた爆豪や、入院している緑谷の荷物ってどうなるんだろうな?

 AI搭載型のスーツケースを受け取りながら、ふとそう思う。

 多分学校側で預かるか、あるいは相澤が……もしくは他の教師が家まで運ぶとか、そんな感じになるんだとは思うけど。

 

「あ……」

 

 スーツケースを手に……というか、俺の後ろを移動させながら集まる場所に向かっていると、ちょうどB組のバスから下りて荷物を持ってきた拳藤が近くに来る。

 

「眠れたか?」

「あー、うん。バスで眠ったからちょっと身体が痛いけど」

 

 少し困ったように、あるいは照れたように言う拳藤。

 ただ、やはりいつも通りとはいかない。

 昨夜、相澤が呼びに来る前に合宿施設の外で拳藤と話した時もそうだったが、やはり少し無理をしているのが分かる。

 まぁ、爆豪を連れ去られたA組とは違って、連れ去られた者達はいなかったものの、ガスを吸ってしまった為に、あるいは開闢行動隊との戦いで怪我をして入院した奴とかはいるらしいしな。

 とはいえ、拳藤が鉄哲と共に個性を使って森の中にガスを撒いていたヴィランを倒したから、その程度の被害だったというのも事実なのだが。

 ただ、それでも仲間が入院してしまった事には思うところがあったのだろう。

 委員長という立場から、あるいは委員長というのを抜きにしても、B組の頼れる姐御として、他の者達に心配を掛けないように多少は無理をしているのかもれないな。

 

「そうか。なら、今日家に帰ったら、早めに休んだ方がいいな。まぁ、明日もまだ夏休みだし、ゆっくり出来る時間はあると思うけど」

「あはは、そうだね。なら、今日帰る時に電車で眠らないようにアクセルと話をしてるよ。……いいよな?」

 

 最後だけいつもの強気な様子ではなく、縋る……というのは少し大袈裟だったが、不安そうな様子で聞いてくる。

 

「ああ……と言いたいところなんだけど、多分俺は今日一緒に帰る事は出来ないな」

 

 そう口にした理由は、ちょうどこの瞬間、雄英の敷地内に目良の姿が見えたからだ。

 勿論、これが偶然といったようなことはまずないだろう。

 それこそ目良にしてみれば、俺にしっかりと姿を見せるつもりで姿を現したと考えるべきだ。

 つまり、やはり俺についての事情の説明は今日行われるらしい。

 雄英にしろ、公安にしろ、あるいは龍子達にしろ……どうせ事情を説明するのなら、早い方がいいと判断したのだろう。

 何しろこれから、爆豪やラグドールを取り返す必要もあるのだから。

 けど……そうなると、プッシーキャッツやミルコはどうなるんだ?

 事情を説明する時、一緒にするって話だったと思うんだが。

 もしかしたら、今頃はもうプッシーキャッツもこっちに向かってるのかもしれないな。

 ……ミルコがどうなのかは分からないが。

 個人的には、ミルコについては戦力として奪還作戦に協力して欲しいとは思っている。

 ただ、問題なのはミルコは一種の自由人なので、協力して欲しい時にいなかったり、連絡が取れなかったりする事だろう。

 

「よし、クラス毎に並べ。長々と話をしてもしょうがないから、短く終わらせるぞ」

 

 相澤がそう言い、話を始める。

 こういう時、合理性を重視する相澤がいてくれるのは嬉しいよな。

 もしここで長々と話をしようものなら、うんざりとする者もいるだろう。

 夏の日中だけに、場合によっては熱中症で立ち眩みを起こすような者も出てきかねない。

 また……何が不味いって、昨夜の開闢行動隊の襲撃の件もあり、話そうとすれば幾らでも話せてしまうという事だろう。

 効率を優先する相澤は、その辺りについても最低限の話をするだけで終わる。

 とはいえ、それでも今回の襲撃の件はネットやSNSに書き込まないようにとか、マスコミに余計な事を言わないようにとか、そういう必要な事は話していたが。

 

「では、今日はこれで解散とする」

 

 そう言う相澤の視線は俺に向けられている。

 何を言いたいのかは、すぐに理解出来た。

 これで解散はするが、俺は残るようにと、そう言いたいのだろう。

 目良がいた件を思えば、それは別にそこまで驚くような事ではない。

 なので、相澤に対して頷いておく。

 それを見た相澤もまた頷き……これで解散となる。

 

『アクセル』

 

 そんな俺に対し、何人かが近付いてきた。

 三奈、拳藤、ヤオモモ。

 耳郎と葉隠はこっちに来ようとしたものの、先に3人が近付いてきたのもあってか、足を止めている。

 瀬呂や上鳴もこっちに来ようとしていたが、三奈達がやって来たのを見て、離れていく。

 ……峰田は、いつものように血の涙を流していたが。

 あ、いや。でも林間合宿中は血の涙は殆ど見なかったような?

 そう思いながら、俺は近付いてきた3人に向かって口を開く。

 

「多分帰るのに誘いにきてくれたとも思うんだが、残念ながら俺にはこれからちょっと用事がある」

「あー……やっぱり。さっきの話から多分そうだとは思ったから駄目元だったんだけど、そうなるとしょうがないね」

 

 拳藤が残念そうにしながらも、前もって言ってあった事もあり、軽い様子でそう言ってくる。

 

「えー……全く。アクセルに女心を教え込もうと思ったのに」

 

 三奈の方は、どうやらバスでのやり取りをまだ引きずっていたらしく、そう言ってくる。

 

「そうですか、残念です。昨日の件で色々とお話をしたかったのですが」

 

 ヤオモモは、なるほど。どうやら開闢行動隊の襲撃の件で話をしたかったらしい。

 こういうのは、真面目だよな。

 

「悪いな。ただ、何かあったらLINで書いてくれれば対応するから」

 

 まぁ、説明会の最中はさすがにLINを見たりとかは出来ないだろうけど……それが終わった後なら、何とかなる。

 そう思いながら、俺は返事をするのだった。

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