転生とらぶる2   作:青竹(移住)

1929 / 2196
4567話

「ふむ、戦力か。誰をどのくらい出すのかは悩むな」

 

 言葉通り悩む様子を見せるコーネリアだったが、春巻き……それもエビやホタテ、イカ、カニといった具材をふんだんに使った海鮮春巻きを食べているのを見ると、実際にはそこまで悩んでいるようには見えない。

 もっとも、俺もまた小籠包を食べていたので人の事は言えないのだが。

 

「実働班から結構出せるんじゃないか?」

「それは否定せん。しかし、やはり生身となると……寧ろ、鬼滅世界の時のようにネギま世界で麻帆良を通して神鳴流を雇った方がよくはないか?」

「……なるほど」

 

 鬼滅世界では鬼殺隊の損害がかなり大きかった事もあり、神鳴流の剣士を結構な数雇って、派遣した。

 その結果、鬼の被害は加速度的に増え、鬼殺隊の被害は加速的に減っていったのだ。

 鬼滅世界とヒロアカ世界では色々な意味で状況が違いすぎる。

 違いすぎるのだが……類似性があるのも事実

 それは、ペルソナ世界のように生身での戦いを主としている部分だろう。

 そういう意味では、PTを始めとした人型機動兵器を使っての戦いがメインの実働班と比べると、やはり神鳴流の剣士のように生身での戦いを主とした者達の方が向いているだろう。

 これは、実働班の面々が生身での戦いでは弱いと言ってる訳ではない。

 エヴァとの戦闘訓練もあり、それこそ神鳴流の剣士を相手にしても互角に……いや、互角以上に戦えるのは間違いないだろう。

 しかし、それでもやはり実働班は自分達は生身ではなくPTを始めとした人型機動兵器を使っての戦いこそ本領であると認識しているのも事実なのだ。

 勿論、他に手段がなければ話は別だが、幸か不幸かシャドウミラーには神鳴流に依頼するというのを含めて、幾つもの選択肢がある。

 また、実働班ではないものの、生身での戦闘では実働班に負けず劣らずの桜咲とかもいる。

 護衛対象のこのかがいるのでそう簡単に力を貸してくれるとは思わないが、護衛という意味ではそれこそこのかがホワイトスターにいれば……いや、回復系の個性の持ち主が非常に希少である以上、あるいはこのかも連れていってもいいのかもしれないな。

 

「生身での戦いとなると、ムラタはどうだ?」

 

 コーネリアのその意見に悩む。

 

「うーん、ムラタか。いや、実力的な意味では間違いないけど……」

「だろう? それにムラタは生身での戦いも厭わない……いや、寧ろ下手にPTを使うよりも生身の戦いの方を好むしな」

「いや、ムラタの機体はPTじゃ……まぁ、その辺については別にいいけど」

 

 ムラタの機体は正確にはPTではなく、特機だ。

 名称はトリニティゲイン。

 ソウルゲインをベースに、ダイゼンガーとアウセンザイターの部品を流用して作りあげた機体だ。

 武器は両肩のゼネラルブラスターに両腕にシュルター・プラッテ。

 近接武装はヴァイサーガの五大剣の予備を流用しているが……ムラタが乗るようになってからは、シシオウブレードを装備しており、もっぱらそれが専用武装となっている。

 そんな、まさに特機の中の特機とも呼ぶべき機体が、ムラタの機体だった。

 

「けど……ムラタは駄目だな。多分、日本刀でヴィラン連合のヴィランを斬り殺してしまうだろうし」

 

 そういう理由で却下する。

 例えばこれがプロヒーローとかに協力して貰わず、俺達だけで行動するのならムラタがいてもいいだろうし、ヴィランを斬り殺しても問題はないだろう。

 だが、生憎と今回はプロヒーローと……ヴィランを相手にしても、殺すのは禁止されており、それどころか骨を折るとかそういう事をしただけで場合によってはマスゴミに叩かれる、そんな世界での襲撃だ。

 見敵必殺といった行動が基本のムラタがいれば、それこそプロヒーローともぶつかるような事になるだろう。

 場合によっては、プロヒーローが何人も斬り殺されるなんて結果になってもおかしくはない、そんな状況に。

 だからこそ、今回ムラタを連れていくのは止めておきたい。

 ……相手が鬼やシャドウ、あるいはBETAといったように、殺しても、あるいは破壊しても問題ないような連中なら話は別だったのだが。

 そして何より憂慮すべきなのは、そうなったらもしかしたら爆豪も斬り殺されてしまうのではないかという事だろう。

 本人としては普通にプロヒーローを目指しているらしい爆豪だが、その言動は明らかにヴィラン……もしくはヴィラン予備軍でしかない。

 ラグドールはともかく、爆豪は場合によってはムラタと敵対し、バッサリと斬り殺されてもおかしくはない。

 そんな光景が目に浮かぶのは、多分俺だけではないだろう。

 爆豪とムラタの両方を知っている者なら、ほぼ間違いなく俺と同じ結論になる筈だった。

 

「そうなると……量産型Wやコバッタはどうなる? それで解決出来るのなら、幾らでも用意は出来るが」

「やっぱりそうなるか。……けど、俺達の存在はまだ知ってる者は決して多くはない。そうなると、量産型Wやコバッタを大量に……というのは難しいんだよな」

 

 シャドウミラーについて、現在知っているのは今日説明を受けた者達だけだ。

 他の者達……ヴィラン連合の拠点を襲撃する際に集められたプロヒーロー達は、多分知らないままだ。

 あるいは公安が何らかの判断をすれば、襲撃前に状況を説明するような事になる可能性もあったが……正直なところ、その辺については微妙だと思う。

 

「取りあえず、後で実働班の面々に連絡をして、希望者を募ってみるわ」

「悪いな、頼む。そうしてくれ」

「アクセルの頼みなのだから、構わん」

 

 そう言い、笑みを浮かべるコーネリア。

 

「ちょっと良い雰囲気のところ悪いけど、ヒロアカ世界の個性について話を聞きたいのだけれど、構わないかしら?」

 

 マリューのその言葉に、コーネリアは仕方ないといった笑みを浮かべ、頷く。

 

「マリューの頼みとあれば、断る訳にもいかないだろう」

「ありがと、コーネリア。……さ、アクセル。ちょっとこっちに来てちょうだい。エビマヨもあるわよ」

 

 その誘い文句はどうなんだ? と普通なら思うだろうが……マリューのこの誘い文句は、カニよりもエビ好きの俺にとっては大きな効果を持っていた。

 そんな訳で、ひょいひょいとマリューに連れられ、移動する。

 そこにはマリューが言ったように、エビマヨがあり、他にもエビチリがある。

 エビのプリッとした食感を好む俺にしてみれば、こうしてたエビ料理があるのは嬉しい。

 これでエビフライとかがあっても、俺としては嬉しかったんだけどな。

 そう思うも、残念ながら今日の料理は超包子の奴なので、中華料理しかない。

 もっとも、四葉は料理に関しては一流の腕を持っているので、実際には中華料理以外の料理も頼めば作ってくれるのだ。

 今日明日菜と買い物をしている時の話題で、明日菜が超包子でウェイトレスをやっていた時に、何故かピザを頼んだ客がいるという話題があった。

 ……ピザが食べたいのなら、それこそピザの専門店もあるのだからそこに寄ればいいのに、何故中華料理の超包子でピザを頼むのか。

 とはいえ、そこはさすがに四葉。

 ピザ窯がない状態で一体どうやって焼いたのかは分からないが、見事にピザを出したらしい。

 それもただのピザではなく、味付けやトッピングを中華風にしたピザを。

 当然のようにそのピザも美味く、注文した客も満足していたとか。

 そんな四葉なら、例えばエビフライを作って欲しいと頼めば、恐らく普通にエビフライを作ってくれるだろうとは思う。

 思うのだが……やはりその本職は中華料理という事で、今日の料理は中華料理がメインだった。

 

「レモンから少し聞いてるし、ムウからも情報は貰ってるけど……個性についてもっと詳しく教えてくれる?」

 

 エビマヨを皿に取り分け、俺に渡しながらそうマリューが言ってくる。

 なるほど、どうやらマリューも個性については興味津々らしい。

 技術班に所属している以上、当然かもしれないが。

 

「あら、個性の話? それなら私にも聞かせてちょうだい。魔術とは関係ないけど……ちょっと興味深いのよ」

 

 俺とマリューの言葉にそう割り込んで来たのは、凛。

 本人が言ってるように、魔術と個性は似て非なるもの……いや、そもそも似てもいないか?

 敢えて似ているところを挙げれば……そうだな、生身で使うといったところか?

 もっとも、そうなるとそれこそネギま世界の魔法はともかく、ペルソナや呼吸だって生身で使うという意味で同類になってしまうが。

 

「凛が個性に興味を? ……ちょっと意外だな」

「あら、そう? でも未知の世界の能力だもの。私だって知っておきたいわ。……悔しいけど、美味しいわねこれ」

 

 凛が麻婆豆腐を食べつつ、そう言う。

 この家に住んでいる面々の中で料理上手なのはマリューと千鶴だが、中華に限っては凛もかなりの腕だったりする。

 それこそ、プロ並の技量を持つくらいには。

 しかし、そんな凛にとって四葉は同じ土俵で戦う、しかも自分よりも明確に格上の存在だ。

 だからこそ、凛にしてみれば超包子の料理は美味いとは思うが、自分よりも高みにいる存在であると認識しているのだろう。

 とはいえ……凛は別に料理人が本職という訳ではない。

 政治班としてしっかりと働いているし、シャドミラーにおける魔術の第一人者としての立場もある。

 それこそ生身での戦闘力では、実働班と戦っても互角に、場合によっては互角以上の実力を持つ。

 そういう意味では、料理の専門家である四葉にその料理で負けるといいうのは、仕方がないとは思うんだけどな。

 ただ、本人は納得していない様子ではあったが。

 

「やっぱり豆板醤の使い方が……いえ、それに豆腐のこの滑らかでいて、しっかりと味がついているのは……それに長ネギの量についても……」

「アクセル、凛は麻婆豆腐の分析に忙しいみたいだから、個性についてはやっぱり私に教えてくれる?」

「あ、ちょっと待った。私も聞く、聞くってば」

 

 マリュー曰く、麻婆豆腐の分析をしていた凛だが、慌ててそう言ってくる。

 どうやらマリューの言葉はしっかりと聞こえていたらしい。

 マリューはそんな凛の様子に笑みを浮かべるものの、それについて特に何か言う様子はない。

 マリューにしてみれば、そんな凛の様子は微笑ましいのだろう。

 ……優雅たれという家訓を持ち、それを守っている凛にしてみれば、納得出来る扱いではないのかもしれないが。

 ただ、やっぱりマリューの方が1枚上手なんだよな。

 

「で、個性の件についてだったな? まず簡単なところから説明すると、個性という名称だが実際には特殊能力的な感じと覚えておけばいい」

 

 何故個性という呼び名になったのか……それは、俺もヒロアカ世界で調べたので知っている。

 中国で光る赤子が生まれ、その子供が色々な者達から注目された時、その赤子を産んだ母親が、これは個性と言ったとか。

 その辺の理由から、ヒロアカ世界の特殊能力は個性と呼ばれるようになった訳だ。

 

「個性ね。……まぁ、特徴的な名前ではあるわよね。魔術とかそういうのに比べると、分かりにくいようで分かりやすいし」

 

 分かりにくいようで分かりやすいって、どういう表現なんだ?

 そう疑問に思ったが、何となく分からないでもない。

 

「で、個性には色々と種類がある。増強系とか異形系とか、そんな感じで。この中で特に注意が必要なのは異形系だな。いや、この場合の注意が必要というのは、異形系の個性を持つ人物が注意する必要があるという意味でだけど」

 

 龍子の事務所がある場所だったり、雄英のある場所のようにな都会であれば、異形系であっても特に問題はない。

 だが……田舎になると、異形系は村八分にされたり、あるいは日常的に虐待されたりするらしい。

 公安や政府も色々と手を打ったりしてはいるらしいが、それでもどうにも手が回らないとか何とか。

 まぁ、実際に田舎で虐待が日常的に起こっていても、それを止めさせる手段とかは……ない訳じゃないけど、そう簡単なものでもないしな。

 なので、それが理由で田舎出身の異形系はヴィランになる事も多いとか。

 また、それが理由となって異形系はヴィランになりやすいと思われ、結果として虐待される事になる。

 そういう意味で、都会はともかく田舎の異形系は……田舎だから絶対にそうなるとは限らないものの、とにかく厄介者扱いされる事が多い。

 その辺りの事情を説明すると、マリューと凛は……それ以外にも近くで話を聞いていた者達は不満そうな、そして不快そうな表情を浮かべる。

 ヒロアカ世界の異形系は、そんな感じで決して恵まれた存在ではないんだよな。

 ……USJに襲撃してきたヴィランの中にも異形系がいたが……いや、けどそれを言うのなら障子だって異形系だ。峰田も……まぁ、うん。

 とにかくそんな感じな訳だし、そう考えるとやっぱり異形系だからヴィランになってもしょうがないとか、そんな風には思えないよな。

 そう思いつつ、俺は個性について説明するのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。