転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4568話

「ねぇ、アクセル。ディアナの方で今ちょっとMSのフレームの開発をしてるんだけど……」

 

 個性の話を終わり、水餃子と焼き餃子、蒸し餃子、揚げ餃子という……餃子の食べ比べをしていると、クリスがそう声を掛けてくる。

 そんなクリスの横には、モニクの姿もあった。

 UC世界の恋人のうち、生真面目タイプの2人が揃って俺に何の用件だ?

 いや、MSのフレームを開発してるって話だったけど。

 揚げ餃子のパリパリとした食感を楽しみつつ、ウーロン茶で口の中をさっぱりさせる。

 

「フレームか。……まぁ、UC世界のMS技術はその辺が少し遅れてるしな」

 

 今のUC世界のMSは、モノコック構造か、あるいはセミモノコック構造によるものだ。

 まぁ、モノコック構造やセミモノコック構造が悪いとは言わない。

 それを作るのに高い技術力を必要としないという点は大きい。

 だが……だからこそ、低い技術力で作れるモノコック構造やセミモノコック構造は、欠点も多い。

 もっとも、UC世界でもその辺りについての情報は知っており、だからこそガンダム開発計画において開発された試作1号機には新機軸のフレーム構造が使われていた。

 そういう点で、ディアナでも同じようにMSのフレームの開発をしているのはおかしな話ではない。

 

「ええ、だから……という訳でないけど、少し前にここに泊まりに来た時、レモンやマリューがオルフェンズ世界のガンダムフレームについての話をしていて、その設計図とかそういうのを見せて貰って、それを今UC世界でも開発してるの」

「それは……」

 

 クリスのその言葉に、どう反応したらいいのか少し迷う。

 いや、勿論フレーム技術を進歩させるという意味では、俺としても問題はないと思う。

 だが同時に、オルフェンズ世界のガンダムフレームをベースにMSフレームの開発を行えば、それはつまりUC世界独自の技術とは言えなくなるのではないかとも思うのだ。

 俺としては、出来ればシャドウミラーと関係のある世界で作られている人型機動兵器の類に対する技術は、その世界独自の技術で開発して欲しいと思う。

 ……いや、でも考えてみればUC世界ではディアナとSEED世界のアドゥカーフ・メカノインダストリー社がMAを共同開発しているという話だったし、ルナ・ジオンが地球に唯一持つ領土のハワイではW世界やSEED世界の水中用MSとかを普通に使っている。

 それにルナ・ジオンが正式採用した主力艦はSEED世界のザフトで運用されていたナスカ級をUC世界用に改修して使っている。

 これだけを見ても、他の世界の技術がどうこうといったような事を考えても意味はない。

 つまり、オルフェンズ世界のガンダムフレームをベースにしてMSのフレームを開発するのも当然か。

 

「けど、オルフェンズ世界のガンダムフレームとUC世界のMSだと、動力源とかそういうのも違うだろ?」

 

 そう、これは重要な問題だった。

 オルフェンズ世界のガンダムフレームは、基本的に厄祭戦でMAを倒す為にエイハブ・リアクターを、しかも2基使えるようになっていた。

 だが、UC世界のMSは当然ながらエイハブ・リアクターではなく、核融合炉を運用する。

 その点だけでも、ガンダムフレームとUC世界のMSフレームには大きな違いが出る筈であった。

 

「ええ、だからその辺についてはUC世界のMSに相応しいように改修する予定になってるわ」

「なるほど」

 

 それなら、UC世界独自……とまではいかないが、UC世界の特色を活かしたという意味では悪くない。

 

「で、色々とアドバイスが欲しいところなんだけど……」

「いや、それを俺に聞くのか?」

 

 俺が有するMSの知識というのは、あくまでもそれなり程度のものでしかない。

 素人に比べればマシだろうが、本職の専門家に比べれば劣る。

 そういう意味で、クリスは本職なのだから俺に何を聞きたいというのか。

 

「テストパイロットとか、そういうのなら幾らでも……まぁ、ヒロアカ世界での騒動がある程度片付いたらだけど、とにかく手伝えるとは思うけど」

 

 ガンダム開発計画においても、俺はテストパイロットをしていた。

 もっとも、俺が向いているテストパイロットとなると、例えば限界性能を調べる為にパイロットの安全を無視して最大限の性能を発揮させるとか、そういう感じでのことになる。

 そして、一般的なパイロットが操縦しやすいような数値を出すとか、そういうのは……出来ない訳ではないものの、そこまで得意という訳でもない。

 

「テストパイロットはまだ必要じゃないのよ。まだフレームの目処すら立っていないんだから」

 

 クリスの言葉は、つまりフレームが完成し、それを使ってMSを開発したら俺にテストパイロットをやって欲しいと、そういう事か?

 いやまぁ、それはそれで構わないとは思うんだが。

 

「じゃあ、何でだ? 今の、フレームがまだ完成していない時点で俺が手伝えるような事ってあるか?」

 

 そう聞くと、クリスは今まで黙っていたモニクに視線を向ける。

 あれ? 何でここでモニク?

 そう疑問に思ったのだが、俺が何かを聞くよりも前にモニクが口を開く。

 

「レモンから少し聞いたんだけど、アクセルのニーズヘッグに使っている、T-LINKフレーム。そのアイディアを出したのはアクセルだと聞いたのだけど?」

「……え?」

 

 モニクのその言葉に、そう言われれば……? と思い出す。

 グロウセイヴァーでは俺の能力についてこられなくなり、ニーズヘッグを開発するという時に、俺がT-LINKフレームについてのアイディアを出した覚えはある。

 覚えはあるのだが……あれ? けど、それって俺は一体いつ、どうやってそのアイディアを思いついた?

 T-LINKフレームについてのアイディアを出したのが俺なのは間違いない。

 それは覚えているが、何故そのようなアイディアを思いついたのかと言われると、残念ながらその辺については全く分からなかった。

 あれ? 何だこれ? 何でその辺りを覚えていない?

 これが例えば、数年前の今日の夕食で何を食べたのか……といったようなことであれば、その辺について覚えていなくてもおかしくはない。

 いやまぁ、世の中には何を食べたのかといった記録を健康面の問題で記録している者もいるので、そういう奴なら記録を見れば思い出せるかもしれないが。

 ただ、今回はそのような毎日の風景の一件ではない。

 T-LINKフレームという、ニーズヘッグの根幹技術の1つについてだ。

 だというのに、何故そのようなアイディアを出したのか分からないのは、自分でも不思議……というか、とてもではないが納得出来なかった。

 考えられる可能性としては、何がある? ……原作知識?

 そう考え、すぐに思い当たった。

 そう、俺はペルソナ世界で原作知識を失っている。

 それでも俺の転移する世界が原作のある世界であるというのだけは覚えているので、いわゆるメタ読みによってこの人物が原作主人公であったり、この人物と仲が良いので原作でも重要キャラであったり、仲の良い異性がいれば原作ヒロインであったりと、そんな風に予想する事は可能な訳だ。

 もっとも、それはあくまでも予想でしかないので、外れる可能性も高いのだが。

 とにかく原作知識についてはそういう風にどうにか出来るものの、T-LINKフレームにおいては、恐らくどの原作の知識かは分からないが、その原作知識によってアイディアを出せたのだろう。

 そういう流れであれば、俺がT-LINKフレームについてアイディアを出したのは間違いないものの、どうやってそのアイディアを思いついたのか覚えていないという理由は納得出来た。

 

「アクセル、どうしたの?」

「いや、T-LINKフレームについては俺がアイディアを出したんだったよなと思って」

「あのね……私が言うのもなんだけど、T-LINKフレームというのはかなり凄いのよ?」

「まぁ……だろうな」

 

 クリスが真剣な表情で言ってくるが、俺もそれは同意する。

 普通に考えれば、まさかT-LINKシステムをフレームに鋳込むなんて、そう簡単には思いつかないだろう。

 T-LINKシステムを搭載する場所を考えるだけでも、ニーズヘッグを開発する上で大きな意味を持っている筈だ。

 ましてや、ニーズヘッグは15m程の小型機なのだから。

 ただ……多分、これは本当に多分なのだが、T-LINKフレームのアイディアはUC世界だと思う。

 理由としては、ニュータイプは念動力の下位互換といった面が強いからだ。

 つまり原作知識を持っていた時の俺は、そこからT-LINKフレームのアイディアを……あ、でもあの時はまだUC世界に行ってなかったよな?

 ……まぁ、それでも可能性が高いのはやはりサイコミュシステムをT-LINKシステムに置き換えて、T-LINKフレームのアイディアを出した感じか?

 そうなると、サイコミュフレーム……いや、これだとちょっと違和感があるな。サイコフレーム……そう、多分だけどUC世界においてはいつになるか分からないけど、サイコフレームが開発される可能性がある訳だ。

 待てよ? なら、それをわざわざ待つ必要があるか?

 幸いにも、ルナ・ジオンにはアルテミスというニュータイプ研究所がある訳で。

 

「クリス、モニク」

「え? 何よ、いきなり」

「どうしたのかしら?」

 

 クリスとモニクは、不意に俺が名前を呼んだ事に……というか、俺の言葉が真剣な色だった為か、不思議そうにしながらも、真面目に俺を見てくる。

 うーん、生真面目な2人だけにこういう真剣な表情は魅力的だな。

 そう思うも、今はそんな事を考えている場合じゃない訳で。

 

「T-LINKフレームについてだが、サイコミュでも同じ事が出来ないかと思ってな。ニュータイプ用のMSとなると、巨大になるかMAになるしかないけど、それはサイコミュを小型に出来ないから、あるいは出来ても限界があるからこそだろう?」

 

 現時点においてニュータイプMSと言えば、ジオングがそれだろう。

 だが、そのジオングは足がない状態であっても一般的なMS並の大きさを持つ。

 これもまた、サイコミュの小型化が難しいからだろう。

 一応、アクシズではハマーンの乗っていたリックドムに搭載出来るくらいにはサイコミュを小型化出来たらしいが、それはそれでまた難しい状態であるのも事実なんだよな。

 サイコミュはともかく、そのサイコミュで使うビットの収納されたコンテナは別口だし。

 だが……サイコミュを小型化して、T-LINKフレームのようなサイコフレームに出来れば、普通サイズのMSにサイコミュを搭載出来るだろう。

 これはニュータイプ研究所のアルテミスで研究する価値のある物なのは間違いない。

 

「……なるほど、アクセルの言いたい事は分かったわ。ちょっとUC世界に連絡をしてくる」

「ちょっと待ちなさい、クリス。この件は大きくなるだろうし、私も一緒に行くわ。アクセル、アイディアありがとうね。ただ、出来ればMSのフレームについてのアイディアが欲しかったんだけど」

「悪いな、思いついたのがそれだったんだよ」

 

 そう言うと、モニクも呆れたように息を吐き、感謝の印か少しだけ照れた様子で俺の頬にキスをすると、クリスを追う。

 それにしても、T-LINKフレームか。……もしかしたら、他にも同じような理由で俺がアイディアを出しながら忘れている何かがあるのかもしれないな。

 

「お熱いねぇ……」

 

 そんな声に視線を向けると、そこにはシーマの姿がある。

 

「シーマ? ……見てたのか」

 

 お熱いというのが何を意味するのかは、先程のモニクの行動を見れば明らかだ。

 あるいはこれで、俺の頬にキスをしたのがクリスなら、シーマもここまで意外そうな、それでいて面白そうにはしなかっただろう。

 だが、生真面目な……それこそUC世界の恋人の中でも一番生真面目で、俺の恋人全員で見ても間違いなく上位に入る生真面目さを持つモニクが、俺の頬にキスをしたのだ。

 それを見て珍しいと思うなという方が珍しいだろう。

 

「ああ、見ていたよ。……で、何があってああなったんだい?」

「サイコミュのアイディアを話しただけだよ。それをアルテミスに知らせに行ったらしい」

「ああ、なるほど。それで……」

 

 納得した様子を見せるシーマ。

 ルナ・ジオンは、UC世界最高のニュータイプであるセイラが女王をしている国だ。

 それだけにニュータイプ研究は盛んだし、ジオン・ズム・ダイクンの示唆したニュータイプの存在もあり、ニュータイプについては国是のようなものがある。

 もっとも、ジオン・ズム・ダイクンの示唆したニュータイプと、一般的にニュータイプと呼ばれている存在は実は微妙に違ったりする可能性が高いのだが……ただ、ジオン・ズム・ダイクンの娘のセイラがと思うと、どうしてもちょっとな。

 

「まぁ、その話はいいとして……ガーベラ・テトラ改の操縦についてちょっとアドバイスを貰えないかい?」

 

 そう聞いてくるシーマに俺は頷き、ガーベラ・テトラ改について話すのだった。

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