転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4570話

 部屋の中でLINに書き込んだり、メールの返信をしていたりしていると、やがて待ち合わせの時間となる。

 ……ついでなので、1階にあるスーパーで見舞い用の果物の詰め合わせを幾つか買う。

 高級スーパーだけにそれなりの値段がしたものの、公安のカードで支払う。

 そういえば、公安のこのカードもいつまで使えるんだろうな。

 そもそもこのカードを使えるのは公安の仕事の依頼を受けて、雄英の生徒として通っているからだ。

 その辺りがこれからどうなるのか。

 それによっても、これからのことは違ってくるしな。

 取りあえず今はまだ使えるので問題なく使っておこう。

 果物の詰め合わせ以外にも、惣菜とか弁当とかサンドイッチとか、おにぎりとかも買う。

 高級スーパーだけに、おにぎりも1個500円とか普通にあったりする。

 あきたこまちとかのブランド米を使い、中の具も厳選した素材を使っているので、この値段らしい。

 そういう高級おにぎりでありながら、照り焼きチキンマヨネーズとか、そういうジャンクな具もあったりする。

 ただし、照り焼きチキンの鳥肉は比内地鶏の肉で、醤油は秋田県で作られた高級な醤油、マヨネーズもこのスーパーの惣菜コーナーで1から作り、海苔も有明産の一級品。更には専門の職人が握ったおにぎりらしい。

 そう考えると、500円くらいの値段になるのはしょうがないと思う。

 もっとも、その値段で買うかどうかは人にもよるが。

 で、サンドイッチの方も具材を色々と厳選して作っている奴なので、当然ながら高額になるが、そういうのを手当たり次第に購入したところ、結局値段は2万円近くなった。

 ……まぁ、このスーパーでの買い物だと考えれば……うん、それでもちょっと使いすぎかな? と思わないでもなかったが、それでもまぁ、許容範囲内だろう。

 ともあれ、果物の詰め合わせを2個だけ手にして、影のゲートで移動する。

 もし拳藤も見舞いに行くメンバーにいれば、いつものように駅で待ち合わせとかをしてもよかったのだが、拳藤は拳藤でB組の面々と見舞いに行くらしい。

 やっぱりこういう時はクラスの面々で行った方がいいしな。

 本当にベストなのは、A組とB組の合同で行く事だが……B組には物間という、アレな奴代表がいるし、A組はA組でアレな奴代表の爆豪はいないものの、もう1人のアレな奴代表の峰田がいるしな。

 とはいえ、煽る物間とすぐに切れる爆豪の相性は最悪であるものの、峰田と物間の相性となると……これ、どうなんだろうな。

 もし物間が女なら、峰田にとっては物間と絡むのは大歓迎といった事になるのだろうが、生憎と物間は男だ。

 だとすれば……まぁ、峰田も爆豪程ではないが煽りに弱いので、そういう意味では普通に相性が悪いとは思うけど。

 まぁ、爆豪や峰田じゃなくても、A組の面々の大半と物間は相性が悪いしな。

 敢えて相性が悪くない相手となると……梅雨ちゃんとか?

 恐らくはA組女子の中では最も大らかというか、そういうのが梅雨ちゃんだ。

 その梅雨ちゃんなら、意外と物間が相手でも普通に対応出来るような気がする。

 そして、爆豪程ではないが相性が悪いのは、耳郎だろう。

 いや、正確には耳郎ではなく耳郎さん。

 耳郎の時に煽られてもチクチクと言い返す程度だろうが、それが限界を越えると耳郎さんになり……うん、物間がどうなるのかは、容易に予想出来てしまう。

 ともあれ、そんな訳でやっぱりA組とB組は別々に行動した方がいいのは間違いない訳だ。

 とはいえ俺は緑谷の見舞いを終えたら茨の見舞いにも行くつもりなので、もしかしたらその時に物間と遭遇してしまう可能性もあるが。

 とにかく電車で移動する必要がない以上、影のゲートを使って転移する。

 こうも自由に影のゲートを使えるようになると、移動するのがかなり楽になるな。

 ともあれ、LINで決めた待ち合わせの場所までやって来るが、約束の時間までまだあるので……

 

「って、ヤオモモ!?」

「え? あら、アクセルさん。早いですわね」

「いや、それは俺の台詞だろ。何でもういるんだ?」

 

 約束の時間は午前10時なので、まだ30分以上ある。

 なのに、まさかもうヤオモモがいるとは思わなかった。

 ……そして、俺がヤオモモと話しているのを見て、何人かの男達が離れていくのが見える。

 どうやらヤオモモをナンパしようとしていたらしい。

 いやまぁ、それは無理もないか。

 ヤオモモは顔立ちも美人なのは間違いないし、その身体も非常に女らしさを感じさせる。

 そんなヤオモモが1人でいれば、夏という事もあって性欲で頭が一杯になった者達がヤオモモを口説こうとするのは無理もない。

 もっとも、昨夜20人近い恋人達全員と熱い夜を楽しんだ俺に性欲がどうとか言われても、納得出来ないとは思うけど。

 

「約束の時間に遅れるような事はあってはなりませんもの。それに……入院している人達が心配ですし」

 

 なるほど。どうやら昨夜俺は色々と楽しんだものの、ヤオモモは入院している者達の事が心配だったのだろう。

 

「それに……こうして少し早く待ち合わせ場所に到着していれば、アクセルさんとお話出来る機会があると思いましたし」

「おう? ……いやまぁ、そういう風に言われると俺としても嬉しいけど」

 

 ヤオモモのような美人にそういう風に言われて、嬉しく思わない者などいないだろう。

 ……いやまぁ、世の中には色々な趣味の持ち主がいるので、絶対とは言い切れないが。

 取りあえず、俺は嬉しい。

 

「とはいえ……待ち合わせの時間までまだそれなりにあるし、このまま外で待っているってのも危険だよな」

 

 今は8月と、夏真っ盛りだ。

 当然のように真夏の太陽というのはこれ以上ない程に自己主張をする。

 俺の場合は混沌精霊なのでその辺の心配はいらないものの、ヤオモモは普通の人間だ。

 つまり、熱中症になる可能性が高い。

 

「そうですね。では……あそこでお茶でもしながら待つというのはどうでしょうか?」

 

 ヤオモモが示したのは、待ち合わせ場所かえら少し離れた場所にある喫茶店。

 ファーストフード店の類ではなく、喫茶店を選ぶ辺りヤオモモの育ちの良さが出ているよな。

 もっとも、ヤオモモもファーストフード店の類は嫌いという訳ではない。

 夏休み前、自主訓練が終わった後で買い食いをする時、ファーストフード店に行けるのをそれなりに喜んでいたし。

 もっとも、当初こそファーストフード店は殆ど経験のないヤオモモだったが、そうしてそれなりにファーストフード店に通うようになって大分慣れたりもしたのだが。

 ただ、それを込みで考えてもやはりファーストフード店に入るのを喜んでいたりする。

 そんなヤオモモが喫茶店を選んだのは……待ち合わせ場所の近くにあるから、というのが一番大きな理由だろう。

 実際には少し離れた場所まで移動すれば、ファーストフード店もあったりするのだが。

 

「分かった。じゃあ、あの喫茶店に行くか」

 

 そうして俺はヤオモモと喫茶店に向かったのだが……多くの者達から嫉妬の視線を向けられる。

 夏だから出会いを求めてナンパをしに来たという連中にしてみれば、ヤオモモのような極上の女を掻っ攫っていった俺が許せないのだろう。

 だが、恋人……かどうかは分からないが、女と一緒にいるのに俺がヤオモモと一緒にいるのを見て不満そうにして、一緒にいる女がそんな男の様子を見て不満そうにするというのは、どうなんだ?

 いやまぁ、俺がわざわざそういう連中の心配をしてやる必要とか、そういうのはないのだが。

 

「どうしましたの、アクセルさん?」

 

 喫茶店に向かって歩いていると、ヤオモモがそう聞いてくる。

 

「いや、何でもない。ヤオモモは目立つと思ってな」

「そうですか?」

 

 俺の言葉に不思議そうに首を傾げるヤオモモ。

 これは多分、普段から目立っていて人目を引いているから、それが普通になってるんだろうな。

 社交界とかそういう場所だと、八百万家の娘という事で目立つだろうし、それがなくてもその美貌と大人顔負けの……葉隠だったか、三奈だったが以前何かで口にした発育の暴力で目立つし、純粋に学生としても天下の雄英の推薦入学出来る程に優秀な訳で……これでよく原作ヒロインにならなかったな。

 いや、あるいは完璧すぎるからこそ、麗日が原作ヒロインになったのかもしれない。

 ヤオモモは、いわゆる高嶺の花的な存在で。

 

「あ、その……アクセルさん、その果物の盛り合わせ、片方私が持ちますわ」

「ん? 別に構わないけど……まぁ、ヤオモモがそう言うのなら」

 

 空間倉庫に収納しない……というか、学生達にはまだ俺の正体を話していないので、堂々と使えないんだよな。

 なので見舞い用の果物の盛り合わせは、しっかりと手で持っている必要がある訳だ。

 そんな果物の盛り合わせを1つヤオモモに渡し、喫茶店に到着する。

 特に躊躇もなくヤオモモは喫茶店に入り、俺もそれに続く。

 喫茶店って、入り慣れていないと微妙に入りにくかったりするんだけど、ヤオモモは一切の躊躇がない。

 もっとも、それを言うのなら俺もまた、今まで幾つもの喫茶店に入ってきたので、躊躇はなかったりするが。

 そんな訳で入った喫茶店は……まぁ、普通。

 古き良き喫茶店って訳でもないし、最新のシステムを使った喫茶店って訳でもない。

 本当に喫茶店と言われてすぐに思い浮かぶような、そんな喫茶店だ。

 これは、あれか? もしかして『こういうのでいいんだよ』って感じの喫茶店なのか?

 まぁ、考えてみれば俺達みたいに待ち合わせとかそういうのに使ったりする喫茶店な訳で……それを思えば、こういう喫茶店でいいのかもしれないな。

 

「取りあえず約束の時間までもう少しだし、ガッツリしたのは食べないでおくか」

「そうですね。私もその方がいいと思います」

 

 これが普通の女なら、この状況でガッツリしたものを食べるといった選択肢はないのだろう。

 だが、相手はヤオモモだ。

 個性を使うのにカロリーを消費するだけに、カロリーを補給出来る時には補給しておくという習慣になっているのだろう。

 あるいは林間合宿の一件があったからかもしれないが。

 そんな訳で、蜂のような目を持つ異形系のウェイトレスに席に案内されると、メニューを見て注文する。

 俺が注文したのは、アイスティーとショートケーキ。

 ヤオモモが注文したのは、ミルクティーとシュークリーム。

 取りあえずナポリタンとかそういうのを食べている訳ではないので、ガッツリしたものではないの間違いない。

 そうして注文するとすぐに……それこそ5分も経たないうちにそれらが届くのだが……

 

「アイスティーはそれなりだけど、ショートケーキは……いまいちだな」

「私の方も同じですね。これ……多分、どこかの業者から仕入れているものでしょうね」

 

 ヤオモモが不満そうに言うも、ケーキの類を業者から仕入れるというのは、喫茶店としては珍しい事ではない。

 勿論、凝っている喫茶店の中には自家製のケーキを出している店とかもあるが、この喫茶店はそういう喫茶店ではなく、普通の喫茶店だ。

 ただ……多分だが、経費削減の問題かケーキとかを仕入れているのが業者は業者でも、スーパーとかコンビニ、それもそんな中でも安い奴だと思う。

 このヒロアカ世界ではどうなのか分からないが、多くの世界の日本において、スーパーやコンビニで売っているお菓子の類は他の国だと専門店で売ってるような、そんなレベルの品である事が多い。

 そういう意味では、この喫茶店で出ているケーキとかも、世界的に見た場合はそう悪いものではないのだろう。

 ただ、日本的に見た場合はいまいちであるのは間違いない。

 

「取りあえず……不味い訳じゃないから、問題はないけど。その割には値段はそこそこだけど」

「利益重視なのでしょうね」

 

 がっかり……といったようにヤオモモが呟く。

 そう言うヤオモモの様子を見て、ふと気が付く。

 

「疲れてるのか?」

「あ……えっと、疲れているという訳ではないのですが、昨夜少し眠れなかったので」

 

 そう言いながら、ミルクティーを一口飲むヤオモモ。

 なるほど。まぁ、ヤオモモにしてみれば、一昨日の夜のようにヴィランの襲撃を受けるといったような事はなかった筈だ。

 そう考えると、昨夜なかなか眠れなかったのは分からないでもない。

 ……俺の場合はそういうのには慣れているのもあって、昨日ホワイトスターで恋人達と熱い夜を楽しんだのだが。

 これ、もしヤオモモに知られたら一体どういう視線を向けられる事になるんだろうな。

 今の状況を思えば、絶対に知られないようにする必要があるな。

 

「家に帰ったのなら、安心してゆっくり眠れてもいいと思ったんだけどな」

「そうですね。私もそう思ったのでゆっくり眠れると思ったのですが……ただ、今夜はゆっくり眠れるといいのですけど」

 

 ふぅ、と。ヤオモモは息を吐く。

 そうして、俺はヤオモモと待ち合わせの時間になるまで話を続けるのだった。

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