転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4574話

「へぇ、ここがヒロアカ世界なのね。昨日聞いた限りだと、雄英? とかいう高校の敷地内に……ああ、あれが雄英かしら?」

 

 ゲートでヒロアカ世界にやって来た、俺、シェリル、スレイ、ミナト、マーベル。

 そのうちミナトが興味深そうに周囲の様子を見て、離れた場所にある建物を指さして尋ねてくる。

 

「ああ、正解だ。雄英はヒロアカ世界の中でも大きな……それこそ日本で1番のヒーロー科を持つ高校だしな」

「ヒーロー科、か。……アクセルが学生をやっているのは今まで聞いたことがあるが、その学校がヒーロー科というのは、少しこう……」

「イメージに合わない?」

「そう、それ」

 

 スレイが言い淀んだところでマーベルが付け足すと、スレイがそれに頷く。

 まぁ……うん、自分で言うのも何だが、俺はとてもではないがヒーローといった様子ではない。

 それでも無理矢理ヒーローにするのなら、ダークヒーロー的な?

 それはそれでどうかと思わないでもなかったが。

 

「公安からの依頼を受けての事だったしな」

 

 そう言い、ふと気が付く。

 そう言えばI・アイランドのサークレット的なサポートアイテム、結局まだどうなるか公安……というか、目良からは聞いてないんだよな。

 出来れば複数個……それこそ、あればあっただけ欲しいんだが。

 何しろ、あれを使えばスキル欄の空欄が2つ増える。

 もしかしたら次に使った時に増えるのは1個かもしれないが、それでもとにかくスキル欄の空欄が増えるのは俺にとって嬉しい事だった。

 とはいえ、世界の主要国と協議をする必要があると言われると、それはちょっと難しいかもしれないと思わないでもない。

 その辺については、公安に……目良か、あるいは実際に交渉する人員が、もしくは公安委員長に期待だな。

 

「それは知ってるが、アクセルが壁というのがそもそも間違っているような気がする」

 

 スレイのその言葉に、シェリルとミナト、マーベルもそれぞれ頷く。

 シェリルもミナトもマーベルも、そして当然のようにスレイも俺の実力については十分に理解しているしな。

 それこそシャドウミラーが戦いに参加する時、個人で敵に突っ込んだり……普通なら自殺行為としか思えないようなことをやるのが俺なのだから。

 そんな俺が、ヒーロー科の生徒……それも数ヶ月前までは中学生だった者達の前に立ち塞がって壁となるのだ。

 普通に考えれば、俺という壁は難攻不落の壁で越えようと思っても越えられない、ましてや破壊する事はまず出来ないと、そんな風に思ってもおかしくはなかった。

 ……それでも爆豪のように俺という壁に真っ正面からぶつかってくるような奴もいるんだけどな。

 まぁ、爆豪はそれはそれで色々と普通じゃないが。

 

「勿論、壁となるにしても全力で壁になっている訳じゃない。相応に……しっかりと手加減をして、その上で壁となっている。そういう意味では、自分では丁度いい具合に壁となっていると思っているぞ」

「……アクセルの普通が、他の人にとっても普通だといいわね」

 

 ミナトのその言葉に、俺はそっと視線を逸らす。

 ちょうど視線の先には量産型Wの姿があったので、声を掛ける。

 

「この世界の誰かが、ここに来なかったか?」

「雄英の教師が数人様子を見に来ましたが、それだけです」

「雄英の教師が? ……まぁ、それはそれでそこまでおかしな事ではないのか?」

 

 俺がゲートを設置した時、雄英の教師は全員……その前に俺についての事情とかを説明した時にいた全員が、ここまでやって来ていた。

 そういう意味では、ゲートを見に来たのはそうおかしな事ではないのかもしれないが。

 あるいは、俺から事情を聞いて、実際にゲートを見た後でも、もしかしたら幻影か何かを見せられていたのか? と思ってまたゲートを見に来た可能性も否定は出来ないだろうが。

 

「それで、見に来ただけか? 何か言ってきたり、あるいはゲートに触れようとか、そういう事はしなかったか?」

「いえ、挨拶はしましたが、それだけです」

 

 量産型Wの言葉に、なるほどと頷く。

 こうして量産型Wにきちんと挨拶をしたという事は、何か後ろ暗い考えを持ってるような奴ではないのは間違いないと思う。

 もっとも、それはそれでどうかと思わないでもなかったが。

 

「分かった。なら、この調子で護衛を頼む」

「はい!」

 

 俺の言葉に敬礼をする量産型W。

 取りあえずヴィラン……あるいは脳無辺りが来なければ、そこまで問題はないだろう。

 いや、ヴィランや脳無が何かをしようとも、その時は量産型Wやコバッタが対処出来ると思う。

 そして少し時間稼ぎをすれば、ホワイトスターから次々に援軍が来るしな。

 

「取りあえずゲートについては問題がないという事で……どうする? 影のゲートを使って一気にラーメン屋まで行くか? それともラーメン屋から少し離れた場所まで影のゲートで転移して、少し歩くか。もしくは影のゲートを使わずに電車で移動するか。個人的には1番目か2番目の意見がいいと思うけどな」

 

 シェリル、スレイ、ミナト、マーベル。

 この4人は全員が人目を引く美人だ。

 それだけに電車で移動していれば不愉快な思いをしたりするかもしれない。

 もしくはヴィラン……あるいはヴィラン予備軍に絡まれる可能性もある。

 もっともそうなっても、全員がそのような相手にもどうという事はなく対処出来たりするんだが。

 エヴァとの戦闘訓練は、伊達ではない。

 伊達ではないが……それでも、それによって不愉快な思いをする事になるのは間違いないだろうから、そのような思いはしない方がいい。

 

「うーん、私はちょっとこの世界を歩いてみたいから、3番ね」

 

 シェリルが俺としては避けたい3番を選ぶ。

 

「私は直接ラーメン屋に行きたい」

 

 スレイが1番。

 

「えー、ずっと歩くのはどうかと思うけど、ちょっとくらいはこの世界の様子を見てみたいし、ラーメン屋から少し離れた場所にしましょうよ」

 

 最後にミナトが2番。

 

「じゃあ、私は棄権で」

 

 マーベルが空気を読んだか、棄権。

 

「……って、全員別々じゃないか。寧ろマーベルが選んでくれると、分かりやすかったのに」

 

 思わずそう突っ込む。

 まさか、全員の意見が違うというのは、俺にとっても予想外だった。

 いや、でもこの3人の性格を考えると、最終的にはそうおかしな話でもないのか?

 

「じゃあ、アクセルが選んでちょうだい。この世界について一番詳しいのはアクセルなんだから、アクセルが選ぶのが一番いいでしょ」

 

 シェリルがそう言うと、スレイとミナト、マーベルもそれぞれ頷く。

 いや、そこで結局俺に振るのかよ。

 そう思ったが、実際このヒロアカ世界は個性というのがあるのが普通の世界なので、それを知らないと……あるいは知っていても自分の目で直接見ないと驚いたりしかねないんだよな。

 そういう意味では、シェリルのアイディアはそう悪いものではないと思う。

 

「分かった。じゃあ、2番だな。ラーメン屋から少し離れた場所に転移して、そこからラーメン屋まで歩いて移動しよう。その時、周囲の様子もそれなりに見る事は出来るだろうし」

 

 そうして話が決まると、シェリルとスレイ、マーベルの3人も特に不満そうな様子はなく、素直に俺の言葉に頷くのだった。

 

 

 

 

 

「よし、このくらいの距離でいいか」

 

 雄英から影のゲートを使って移動した先は、ラーメン屋から1km程離れた場所だ。

 このくらいの距離なら、歩いても疲れないだろうし。

 ……いや、エヴァとの訓練もあって、それこそその気になれば瞬動とか虚空瞬動とかを使って、瞬く間に1km程度なら移動出来たりするんだが。

 ただ、今回はヒロアカ世界の日常を見て確認するのがメインなので、そのくらいは問題なかったりする。

 

「いいけど……暑いわね」

 

 シェリルがそう言うのも無理はない。

 今のヒロアカ世界は8月なのだから。

 ましてや、今日も夏らしく太陽がこれでもかと言わんばかりに強烈に自己出張しているし。

 それを思えば、暑いと思うのはおかしくない。

 まぁ、その辺は魔力や気を纏ったり、あるいは魔法とかを使えばどうとでもなるが。

 俺も混沌精霊なので、その辺は全く問題なかったりする。

 

「夏だからな。……さて、じゃあ行くか。昨日のパーティの話だったり、あるいはヒロアカ世界についての情報が伝達されたら知ってるとは思うけど、このヒロアカ世界には異形系の個性を持っている者もいる。その名称通り、異形系というのは人の形をしていない者も多い。そういう連中を見ても、驚いたりするなよ」

 

 まぁ、俺の混沌精霊もヒロアカ世界の個性に照らし合わせれば、一応異形系という事になるんだろうけど。

 人じゃないし。

 もっとも、人でないのは明らかだったが、だからといって俺の姿を見て人じゃないと思う者もまずいないと思う。

 異形系ではあるが、外見からは普通の人でしかないしな。

 実際、俺の個性についても異形系とかそういう風には認識されず、強力な増強系と炎獣を生み出す個性という風に認識されていたし。

 ともあれ、田舎はともかく都会では異形系だからといって差別の類も……全くないって訳ではないのだろうが、それでもそこまで大袈裟なものではない。

 なので、異形系だからといって驚いたりすると、それはそれで面倒な事になりかねない。

 ……あるいは単純に、異形系の相手にショックを与えたりとか、そういう感じになってもおかしくはないし。

 

「ええ、分かったわ。安心しなさい。私達は普段ホワイトスターで暮らしているのよ? 異形系とかいう個性の持ち主を見ても、そこまで露骨に驚いたりはしないわよ」

 

 ミナトが自信満々にそう言うが……ホワイトスターにいるのは、基本的に人だ。

 あるいはエルフか。

 そう考えると、異形系の面々とは大きく違うと思うんだが。

 あ、でも量産型Wやコバッタが普通にいるのを思えば、そこまでおかしな事ではなかたりするのか?

 その辺については、実際に異形系を見れば対処出来るだろう。

 三奈や峰田のような異形系ならそこまで驚く事もないだろうし……常闇は……うーん、どうだろうな。常闇の場合はその外見よりも厨二病の方でどうにかなったりしそうな気がする。

 そうなると、A組の中で一番異形系らしい外見を持ってるのは、障子か?

 もっとも障子の場合は面倒見がいいというか、性格はヒーロー科にいても全く問題ない。それこそ爆豪よりもヒーロー向きの性格はしている。

 ……爆豪が連れ去られたのって、実はその辺りも理由にあるのかもしれないな。

 ふとそう思うが、それが正しいのかどうかは、生憎と俺にも分からない。

 

「ほら、じゃあ行くぞ。今言った注意は守れよ」

 

 そう言い、歩き出す。

 すると、シェリルが右、ミナトが左で腕を組む。

 両腕……正確には両肘に、柔らかな感触がある。

 昨夜散々触って舐めて……それ以外にも色々とした柔らかな感触。

 

「む、お前達、それはずるくないか?」

「あら、早い者勝ちよ。ねぇ、ミナト?」

「ええ、シェリルの言う通り。スレイは実働班の割に動き出しが遅かったんじゃない?」

「ぐぬぅ」

「私も出遅れてしまったわね」

 

 そんなやり取りをしながら街を歩くのだが……

 

「おいおい、ちょっと見ろよあれ」

「うっそだろ、あんな極上の女を4人も……しかもこれ見よがしに連れ歩きやがって」

「悔しい……妬ましい……恨めしい……」

「でも……女が4人とも大人の美人って感じなのに対して、男の方は何だか若くないか?」

「って事は、まさか姉弟!?」

「いやいや、姉弟でああして身体未着させるとか、そういうのはまずないから。あれは男女の関係だよ」

「ぐがががが、ぎゃがやぎゃがた……」

「うわ、壊れた」

「今日は暑いしな」

「いや、それはこの場合関係ないと思う」

 

 そんなやり取りを聞きながら歩いていると、ふとミナトが口を開く。

 

「そういえば、何でアクセルは10代半ばの姿なの? いつもなら20代なのに」

「あー……雄英の生徒だからな。そうなると、20代とかにはならないだろ? ……あ、でも今は別に雄英の生徒として行動している訳でもないんだから、別に20代の姿でもいいのか。……気が付くのが遅かったけどな」

 

 今もうこの状態で多くの人目についている中で、まさかいきなり20代の姿になる訳にもいかないだろう。

 そう思っていると……

 

「あれ? あれってもしかしてアークエネミー、アクセル・アルマーじゃね?」

 

 ピクリとそういう声が聞こえ、周囲がざわめく……前に足早にその場から移動する。

 ゲートの設置とホワイトスターに帰れるようになった件ですっかり忘れていたが、そういえば俺ってこのヒロアカ世界では有名人だったんだよな。

 オリンピックに取って代わった雄英の体育祭や、ステインとの戦いで有名になってしまったし。

 I・アイランドの件や林間合宿の件は……どうなんだろうな?

 I・アイランドでは俺は表に出なかったから、そこまで知られていないものの、林間合宿では既にマスゴミも動いているって話だし、その辺から情報が漏れてもおかしくはない……と思う。

 そういう中で、俺がこうして美人4人といかにもな雰囲気で歩いているのがネットにアップされたら……うん、ラーメン屋の近くに直接転移した方がよかったのかもしれないな。

 そう思いながらも、俺は両腕の感触を楽しみつつ、街中を移動するのだった。

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