転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4580話

 さて、取りあえず俺の騒動が一通り片付いた――最もうるさかった峰田と上鳴は思い切りスルーした形だが、とにかくそんな感じでどうにかなった訳だが。

 

「……大丈夫かい?」

 

 オールマイトが心配そうに俺を見ている。

 どうやら校長から俺の写真がネットにアップされているのを聞いて心配したらしい。

 

「あー……まぁ、取りあえずは大丈夫だと思う。何かがあっても、その時はその時でどうとでも対処出来るから、安心してくれ」

 

 ルリとラピスという協力者……養子だが、とにかくその2人がいるのは嬉しい。

 

「それならいいんだけど」

「いざとなったら、オールマイトの影響力を使ってどうにかして貰うのもいいかもしれないな」

「あのな、アクセル少年。私もそこまで影響力はないんだ」

「いや、あるだろ」

 

 自覚がない……訳ではないだろう。

 オールマイトの有名具合は、かなりのものだ。

 それこそ日本の総理や政治家の顔を知らなくても、オールマイトは知っているというくらいにはオールマイトの影響力はあるのだ。

 オールマイト本人もその辺りについての自覚もある筈なのだが、それはどうなんだろうな。

 あるいはネットとかSNSとかそういうのにはオールマイトも自分の影響力はないと思っているのかもしれないな。

 

「そうかい?」

「俺はそう思ってるよ。……実際、ネットでもオールマイトの名前を調べると色々と出てくるだろうし」

「それは……」

「まぁ、その件についてはどうかと思うけど、取りあえずヴィラン連合の件だ。俺がスマホを弄っている間にどうなったんだ? そもそも拠点については分かったのか?」

「ああ、分かったよ。これもアクセル代表のお陰だ」

「……俺の?」

 

 オールマイトの言葉に首を傾げる。

 林間合宿の時に開闢行動隊を撃退するのに大きく尽力したという意味では、褒められても納得出来る。

 だが、生憎と開闢行動隊の、ヴィラン連合の拠点について調べる件については、俺は何もしていない。

 それこそいざとなればルリやラピスに頼んでネット方面から爆豪達のいる場所を見つけるといったことをしたかもしれないが、今のところまだそのような事はしていない。

 であれば、オールマイトに感謝されるようには思えない。

 勿論、オールマイトの治療を行い、その結果としてオールマイトが完全復活とまではいかないものの、相応に力を発揮出来るようになった件については大きな意味があると思うが。

 ただ、今の話からするとそんな感じでの話ではないだろう。

 ヴィラン連合の拠点についての話なのだから。

 そんな俺の不思議そうな様子を見て、校長が口を開く。

 

「相澤君からの報告によると、開闢行動隊が黒霧の転移で逃げた時、アクセル代表がスタングレネードの類を放り投げたとか」

「ああ、そうだな」

 

 その件については相澤に報告してあるので、相澤から校長に報告が上がったのだろう。

 それについては別に特に隠すような事でもないので、特に気にする必要はない。

 

「そのお陰で、警察が動いた時に拠点の場所を割出しやすかったらしい」

「あー……なるほど」

 

 拠点が具体的にどこにあるのかは俺にも分からない。

 だが、例えばそれが街中にあるどこかの建物だとか、もしく倉庫だとか、そういう場所にあった場合、夜にいきなり眩い光を周囲に照らし出すのだから、それで目立つなという方が無理だった。

 それこそ場所や場合によっては、何かあったのかと警察……いや、この場合はプロヒーローなのか? とにかく誰かを呼んでもおかしくはない。

 もしくは、人気の少ない場所……倉庫街とかそういうのがある場所だったら、もしかしたら見つかったりしないかもしれないが。

 それ以外だと、そうだな。山の中とか無人島とか?

 黒霧によって出入りをするのなら、どんな辺鄙な場所に拠点があっても問題はないだろうし。

 いや、寧ろ今回のようにプロヒーローによる襲撃とかを考えた場合、無人島とかそういう場所の方が拠点が見つからないという意味で安全だろう。

 もっとも、そうなると当然ながら拠点から出入りするには黒霧が必須になる訳で、ヴィラン連合や開闢行動隊の面々がそれに耐えられるかといった問題がある。

 特にシラタキなんかは我慢弱い性格をしており、自分の思い通りにならないと泣き喚く……とまではいかないが、苛立ちを露骨に見せたりすると思う。

 USJで見た時から成長していれば話は別だが……あれから、また4ヶ月くらいしか経っていない。

 いやまぁ『男子、3日会わざれば刮目して見よ』とか、そういう諺もあるくらいだし、それを思えば4ヶ月というのは成長するには十分だとは思う。

 思うのだが、それでも俺が見たシラタキ、それに緑谷から聞いたショッピングモールでのシラタキの様子からすると、恐らくそこまで違いはないと思う。

 そんな訳で、無人島のように本当に出入りが難しい場所にはヴィラン連合の拠点がないと思う。

 それに、俺のお陰で見つかったって話だったから、それを思えばやっぱり無人島とかじゃないだろう。

 ……あ、でもあのスタングレネードって、具体的にどのくらいの光の強さなのか分からないんだよな。

 テロ組織かどこかから奪った奴だし、そう考えれば改造されて本来の光よりも眩しくなっていてもおかしくはないと思う。

 そうであれば、山や無人島とかそういう場所に拠点があってもどうにかなるのか。

 

「まぁ、拠点が見つかったのは何よりだ。それで、いつ襲撃するんだ? 今すぐだと、集められる戦力はそう多くないけど」

 

 量産型Wやコバッタなら結構な数を集められるが、実働班の面々はこの時間だと既にプライベートな時間だ。

 ……ムラタ辺りなら、寧ろ嬉々として戦いに参加するかもしれなかったが。

 もっとも、それでも本当に危険な状態であれば呼び出したりとかもするけど……ヴィラン連合や開闢行動隊の戦力を見る限りだと、そこまでじゃないんだよな。

 

「いや、明日だよ。……まぁ、この件については作戦に協力してくれるアクセル代表に教えてもいいだろう。明日、僕達は記者会見を行う。当然、その理由については林間合宿の件についてだね」

 

 校長のその言葉に、囮かと納得する。

 ヴィラン連合や開闢行動隊にしてみれば、雄英が記者会見を行うのは自分達の負けを認めたようにしか思えないだろう。

 もしくは、そこまでいかなくても雄英側が不利な状況であると認めた形になるのか。

 だからこそ、そうした向こうの隙を突く形で襲撃を行える訳だ。

 

「……当然ながら、責められるぞ?」

 

 記者会見という選択肢は、それなりに悪くないものだとは俺にも思える。

 だが同時に、このヒロアカ世界のマスコミはマスゴミと呼ぶべき連中が大半だ。

 そうなると、当然ながら記者会見にもそういう連中は多数来るだろう。

 そういう連中の相手をするのは、雄英側にとってもかなりのストレスの筈だ。

 

「それが雄英の教師としての責任だ。逃げる訳にはいかないよ」

 

 きっぱりとそう言う校長の様子に、俺はこの校長が偉人と呼ばれ、雄英という日本においても最高峰の高校で校長をしている理由について理解する。

 

「話は分かった。……それでも、俺を含めたシャドウミラーの戦力は、どうすればいい? 明日の午前中にでも戦力を率いて雄英に来ればいいのか? なんなら、明日の戦闘に参加する面子が集まっている場所を教えて貰えれば、直接そっちに向かってもいいけど」

 

 俺の場合は影のゲートがあるので、それを使えば直接作戦に参加する者達がいる場所に合流出来る。

 出来るのだが……それを知っているオールマイトが、すぐに首を横に振る。

 

「いや、それは止めて欲しい、アクセル少年。明日の作戦に参加する者達には、まだアクセル少年達について詳しい説明はしていない。……リューキュウやマウントレディのように、事情を知っている者もいるが」

 

 なるほど、オールマイトの言いたい事は分かる。

 公安や雄英としても、まだ俺達の件については知らせていないのだろう。

 普通に考えれば、異世界から誰かがやって来ていると言われても、そう簡単に信じられるようなものではない。

 ……いやまぁ、個性の存在するヒロアカ世界である事を考えると、そういう個性を持った者が異世界からやって来た……そんな風に思ってもおかしくはないだろう。

 とはいえ、そうなったら、それはそれで問題になりそうではあるが。

 

「分かった」

「おや、まさかこうもあっさりとこちらの要望を受け入れてくれるとは思わなかったね」

 

 俺があっさりと受け入れた為か、校長が驚いた様子を見せる。

 だが、俺だって別に無理矢理に自分の言う事を聞かせたい訳ではない。

 

「別に俺もどうしても今……って訳じゃないしな。それに、こういうのはいっそ時間を与えない方がいい」

 

 ヴィラン連合の拠点の襲撃は、明日。

 今日のうちに俺……というか、シャドウミラーについて話した場合、下手に時間があるだけ色々と考え、結果として許容出来ないような者もいるだろう。

 だが、明日……襲撃の少し前にシャドウミラーについて説明されれば、色々と考えるような時間はない。

 もっとも、そうした存在だけに怪しいという事で、信頼は出来ないといった感じで連携に支障が出る可能性もあるが……まぁ、その時はプロヒーロー組とシャドウミラー組で別々に動けばいいだけだ。

 あ、でも俺がシャドウミラー組を率いるとなると、正体を隠すのは色々と難しいか?

 俺の顔は体育祭で全国的に知られているし、アークエネミーの格好もステインの一件で知られている。

 ならいっそ、堂々と顔を出すか……あるいは、20代の姿で戦いに参加するか。

 いっそ、10歳の姿でも……いや、さすがにそれは無理がある。

 今のこの状況で10歳くらいの子供が出て来たら、明らかに怪しいだろう。

 あるいはエヴァのような存在がこの世界にいたら、もしかしたらある程度誤魔化せる可能性もないではなかったが。

 とはいえ、それでも今の状況を考えると、それはそれで難しそうではあるけど。

 なので、取りあえず10歳の姿はないという事にして、そうなると考えられるのはやっぱり20代の姿となる。

 この件について話してもいいか? と疑問を抱くも、シャドウミラーについて話してある以上、別に隠しておく必要はないだろうと判断する。

 

「ちょっといいか?」

 

 そう声を掛けると、校長とオールマイトは俺に視線を向けてくる。

 

「明日のヴィラン連合の襲撃の件だけど……」

 

 パチン、と。

 指を鳴らすと同時に俺の全身が白炎に包まれる。

 

「アクセル少年っ!?」

 

 咄嗟の事もあってか、オールマイトは慌てて俺の名前を呼ぶ。

 校長の方は、少し目を大きく見開いているものの、それ以上に動揺した様子はない。

 そんなオールマイトと校長の前で、俺の姿は急速に成長していく。

 10代半ばの、ヒーロー科の生徒としてのアクセル・アルマーから、20代半ばの、シャドウミラーの代表としてのアクセル・アルマーに。

 そして姿が完全に20代のものとなったところで、俺の身体を覆っていた白炎が消える。

 

「この状態の俺なら、シャドミラーの代表という事で表に出てもおかしくはないだろう?」

「それは……いや、だが……アクセル少年……いや、その外見を見る限りだと、少年と呼んでもいいのかどうかは微妙だが。とにかくその姿は一体何なんだい?」

「俺の混沌精霊としての力だな。ちなみにこういうのも出来る」

 

 パチンと再度指を鳴らすと、俺の姿は再び白炎に包まれる。

 それでも先程の一件があったからか、校長やオールマイトはそこまで驚きを露わにしたりはしない。

 そして、今度の俺の姿は10歳のものに変わる。

 

「まぁ、こんな感じで、俺は外見の年齢を3種類に変えられる」

 

 実際には年齢を変える以外にも、混沌精霊らしい外見にすることも出来たりするんだが、それについては黙っておく。

 何しろ、混沌精霊としての外見は見るからにモンスター、それこそヴィランと呼ぶに相応しい外見だしな。

 であれば、普通にヴィランに間違えられたりしそうだし。

 これがオールマイトのトゥルーフォームとマッスルフォームのような違いなら、そこまで恐れられたりはしないんだろうが。

 

「それは……一体、どれが本物なんだい?」

 

 訝しげな様子で聞いてくるオールマイトだったが、俺はそれに対して首を横に振る。

 

「いや、どれが本物って事はない。どれも本物だよ」

 

 俺が混沌精霊になった事によって、俺の外見はある程度自由に変化させることが出来るようになった。

 そういう意味では、どれもが俺であるのは間違いないのだ。

 ……もっとも、敢えて無理矢理本物はどれかと言われれば、恐らくは20代の外見がそうなんだろうけど。

 ただし、年齢とかそういうのは混沌精霊になった事によって、あまり意味がなくなった。

 それこそネギま世界の精霊には数千歳、数万歳といったような者もいるらしいし。

 そんな精霊になった俺の年齢とかそういうのは……まぁ、考えるのがそもそも間違っているのだろう。

 そんな風に思いつつ、俺は再び20代の外見に姿を変えるのだった。

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