転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4581話

「ふーん、ハイザックか。連邦もそういうのを考えるようになったか」

 

 雄英での話が終わってホワイトスターに戻ってきたのだが、家にはシーマとクリスの姿があった。

 昨日の今日でまたそういう事をしに来たのかと思ったのだが、どうやら違ったらしい。

 少し前……俺がまだホワイトスターに戻ってくるよりも前に、アナハイムからルナ・ジオンに新型機が譲渡されたらしい。

 本来なら昨日その件について話すつもりだったらしいが、昨日は色々と忙しかった。

 ……いやまぁ、久しぶりに俺が帰ってきて色々とはしゃいだというのが正しいだろうが。

 そんな訳で、シーマとクリスがこうしてまたホワイトスターに来る事になったらしい。

 もっとも、俺がヒロアカ世界にいた時でも、シーマ達は頻繁にこの家に泊まりに来ていたので、別に今日が特別といった様子でもないのだが。

 

「ええ。ただまだ連邦も試行錯誤の最中というか、それとも適当にやっているだけというか……まさか、ジオンの流体パルスと連邦のフィールドモーターの2種類を同時に採用するとは思わなかったわ」

「それはまた……」

 

 クリスの話を聞く限りだと、なるほど色々とおかしいと、そう思えるのは間違いない。

 とはいえ、連邦にとってもその辺りは本来なら十分に理解している筈……と思わないでもないのだが。

 ただ、恐らくだがこれからはフィールドモーターがメインになっていくだろうな。

 フィールドモーターだけが使えるマグネットコーティングという技術が、優秀すぎる。

 流体パルスも、ギャンで採用された流体パルスアクセラレーターという、通常の流体パルスの上位互換はあるし、ギャン・クリーガーを使っているルナ・ジオン軍ではその辺についての研究もされているものの、やはりフィールドモーターの方が色々と使いやすいらしい。

 もっとも、流体パルスアクセラレーターについても研究を重ねればそのうち何らかの技術に昇華出来る可能性もあるので、細々とではあるが研究は続けるらしいが。

 

「ただ、ハイザックも悪いところだけじゃないのよ? 操縦性はかなり素直で、MSの初心者が操縦するには向いていると思うわ」

「その辺が、連邦軍がハイザックを採用した一番大きな理由なんだろうな」

 

 話を聞いた限りだと、ハイザックは色々と難点がある。

 しかし、操縦性が良いというのは連邦軍的に非常に大きな意味を持っているのだろう。

 とはいえ、個人的には関節駆動システムについては流体パルスかフィールドモーターのどちらかにして、動力炉についてもアナハイムが当初予定していたものにしておいた方がよかったと、そう思うのだが。

 アナハイムにしてみれば、連邦軍からの要望とかそういうのもあってそうするしかなかったんだろうけど。

 

「ええ。まぁ……悪い機体ではないわ。実際、ガルバルディβと比べてもそう違いはないし」

「いやいや、ガルバルディβとそう違いがないという時点でこの場合は問題だろう?」

 

 クリスの言葉に、シーマがそう突っ込む。

 実際、その言葉はそこまで間違っている訳ではない。

 ルナ・ジオン軍は1年戦争が終わってすぐにガルバルディαを改修し、ガルバルディβにした。

 それこそ、今頃ハイザックを開発した連邦と違って、1年戦争終了直後に連邦系とジオン系の技術の融合を行ったのだ。

 1年戦争が終わってから既に4年程。

 それだけ経ってようやく開発出来たのが、ガルバルディβとそう性能差のないMSというのは……どうなんだ?

 もっともルナ・ジオンと連邦ではその性格が大きく違う。

 ルナ・ジオンは建国したばかりで柵も何もなく、その上で率いるのはUC世界最高のニュータイプであるセイラだ。

 もし自分の利益の為にルナ・ジオンに不利益になるような事をしようとか考えていれば、セイラにはそれを読み取られる。

 また、ルナ・ジオンは建国はしたものの、実際にはシャドウミラーの下部組織的な感じであり、もし何かをすればシャドウミラーが手を下す。

 もっとも、実際にはシャドウミラーが何か手を出すよりも前に、ルナ・ジオンにいる量産型Wやコバッタが対処するだろうが。

 そんな訳で、ルナ・ジオンは何をやるにしても不正にどうこうといった事は出来ない。

 しかし、連邦軍となれば巨大な組織だけに様々な柵がある。

 だからこそ、何かをするには様々な根回しをしたり、それをする際に自分の利益は? と聞いてくる相手に対処したりと、思いついてもすぐにどうにかするのは難しい。

 その辺りが連邦軍が今頃になってガルバルディβと互角の性能を持つハイザックをようやく開発出来たのだろう。

 ハイザックに採用された動力炉の件についても、連邦側でその会社から献金を貰っている軍人や政治家の動きでそうなったと考える方が自然だし。

 うわぁ……と、そう思わないでもないが、それが連邦軍や連邦政府という組織だと言われれば、俺としては納得するしかない。

 

「とはいえ、ガルバルディβと同性能のMSというのは、私達にしても厄介なのは間違いないんだけどね」

「そうね。シーマが言う通りだと思うわ。何しろ、ルナ・ジオン軍と連邦軍では数が違うもの。MSの技術や練度的な意味で考えればまだルナ・ジオン軍の方が有利ではあるけど、その数が圧倒的に違いすぎるのよ」

 

 シーマの言葉に同意するクリスは、元連邦軍だからこそ理解出来るのだろう。

 実際、1年戦で連邦軍が勝利したのはルナ・ジオンやシャドウミラーの協力があったからというのもあるが、それ以上に連邦軍の物量によるものなのは間違いないのだから。

 ぶっちゃけ、もしルナ・ジオンやシャドウミラーが協力していなくても、連邦軍は独力で1年戦争に勝利出来たと思う。

 勿論、その場合はルナ・ジオンやシャドウミラーが協力した時に比べて、連邦軍の被害も大きかっただろうが。

 連邦軍にはそんな物量があるのに対し、ルナ・ジオンという国は連邦軍に負けたジオン公国の一部から分派するような形で出来た国だ。

 勿論、他のコロニーからの移住者だったり、それこそ連邦からの移住者もいるので、そういう意味では建国当時よりも十分に人材が増えたりしてはいるのだが。

 

「そうなると、ルナ・ジオン軍でもエース級はともかく、一般兵士用の新型MSを開発した方がいいんじゃないか? ……ペズンでその辺を開発しているって以前聞いた事があるけど」

「ああ、ゼクシリーズね。ただ、技術的なところで足踏みをしているから、開発したいからといってすぐに完成とか、そういう風には出来ないのよ」

 

 クリスの言葉に、だろうなと納得する。

 ルナ・ジオン軍にとってはペズンで開発しているMSは肝入りだ。

 だからこそ、何かあった時すぐに対処出来るようにサイクロプス隊の拠点となっていたりもするのだから。

 ……もっとも、ルナツーのように連邦軍の拠点がすぐ側にあるからというものだったり、サイド7がティターンズの拠点として整備が始まったとか、そういうのに対処する為でもあるんだが。

 

「ああ、ペズンのサイクロプス隊って事は、バーニィがいた筈だよな? あいつにハイザックは乗せてみたのか?」

 

 サイクロプス隊に所属するバーニィは、素の操縦技術はそこまで高い訳ではないものの、ザク系のMSに乗った場合はエース級の実力を発揮出来る。

 そう考えれば、バーニィがハイザックに乗った時にどうなったのかは興味がある。

 

「彼、本当に一体何なのかしらね?」

 

 はぁ、と。

 呆れたようにクリスが息を吐く。

 どうやらその様子を見る限りだと、ハイザックでもかなりの性能を出したらしい。

 一応……本当に一応、ハイザックというのは今のUC世界において最新鋭のザクだ。

 敢えてハイザックに対抗出来るとすれば……そうだな、やっぱりペズン計画で開発されていたアクト・ザクか?

 年代的にはハイザックよりも古い機体なのは間違いないものの、ザクなのにビーム兵器は普通に使えるし、フィールドモーターなのでマグネットコーティングによって高い運動性を持つ。

 ぶっちゃけ、もしルナ・ジオン軍がガルバルディβを量産型MSとして採用していなければ、恐らくアクト・ザクが量産MSとして採用されていた……いや、ないな。

 確かにアクト・ザクは高性能なMSだが、それでもザクだ。

 ジオン軍の象徴たるザクという事を考えると、ジオン公国から独立するようにして出来たルナ・ジオン軍において、ザク系MSを量産型MSとして採用するとは思えない。

 勿論、バーニィが乗っているように、個人、あるいは少数の部隊単位で使うのなら問題はないだろうが。

 

「となると、今のバーニィが使える最強のMSは、ハイザックって事か?」

「残念ながらそうなるわね」

「……面白い特性ではあるんだけどねぇ」

 

 クリスとシーマの様子に、うわぁ……と思わないでもない。

 

「まぁ、ハイザックに関しては……技術情報が盗めるのならそれを盗んで、ディアナが開発するMSとかに採用すればいいんじゃないか? ……話を聞く限りだと、特に新しい技術が使われているようには思えないけど」

 

 それでもどこかに見るべきところはあるかもしれないので、その辺りについてはディアナに頑張って貰うとしよう。

 

「そうね。こっちの方でも一応動いてみるわ」

 

 そうしてシーマとクリスとの話を終えると、俺はPDAで何らかのデータを見ているコーネリアに声を掛ける。

 

「コーネリア、ヒロアカ世界でヴィラン連合の拠点を襲撃する際の面子ってどうなっている? やっぱり量産型Wが出るのか?」

 

 そう尋ねると、コーネリアは首を横に振って俺の言葉を否定する。

 

「いや、ムラタや五飛を始めとして何人かが立候補している」

「五飛はともかく、ムラタは……どうなんだ?」

 

 コーネリアの言葉はある意味で俺の予想通りではあったが、同時にムラタを受け入れるのが危険だろうと思えた。

 これが殺し合い……相手を生け捕りにするのではなく、殺すのを前提とした作戦であれば、俺もムラタを連れて行くのには賛成する。

 だが、プロヒーローであっても……いや、プロヒーローだからこそと言うべきか、ヴィランを相手にしても殺人は基本的に禁止されている。

 あくまでも必要なのは生け捕りで、そういう意味ではとてもではないがムラタに向いてはないのだ。

 

「アクセルの心配も分からないではない。だが、ムラタも相手を可能な限り殺さないと言っている」

「……ムラタがか?」

 

 あのムラタがそこまでしてヒロアカ世界での戦いに参戦したいというのは、正直なところよく分からない。

 

「ああ、『あの』ムラタがだ」

 

 あの、という言葉を強調してコーネリアが言ってくる。

 それでもコーネリアがムラタの参加を否定しないのは、ムラタが本当にヴィランを殺さないつもりだと、コーネリアは判断しているらしい。

 

「その言い方からすると、コーネリアはムラタを参加させてもいいと思うのか?」

「私が見たところでは、暴走する心配はない。……ムラタにしてみれば、個性を使う相手を斬ってみたいということなのだろう」

「いや、斬られると困るんだが」

「勿論、斬り殺すのではなく、斬るだけだ」

 

 コーネリアのその言葉は、つまり相手を斬りはするが殺さないという事らしいが……ムラタにそんな事が出来るのか?

 いや、戦闘技術という点では、ムラタは間違いなく本物だ。

 相手を殺さずに斬るといった事はやろうと思えば容易に出来るだろう。

 しかし……出来るからといってやるかと言われれば、当然ながらそれは否な訳で。

 俺が知ってるムラタという人物の性格を考えれば、とてもではないがそのような事をするとは思えなかった。

 なのに、ムラタがこうしてヴィラン連合の拠点の襲撃に加わるとなると……コーネリアが言うように、個性持ちと戦ってみたいと思っているのが一番可能性が高い訳だ。

 とはいえ、そこまでムラタが個性持ちと戦いたがる理由が、俺には分からない。

 ……鬼滅世界で鬼と戦ったのが、それだけ楽しかったとか?

 鬼滅世界で戦った鬼は、人間離れした身体能力を持つと同時に、血鬼術という……その鬼特有の能力を持っていた。

 そういう意味では、ヒロアカ世界の個性と同じようなものだろう。

 もっとも、鬼の習性を知れば、ヒロアカ世界の住人はそんなのと一緒にするなと叫んでもおかしくはなかったが。

 ともあれ、鬼滅世界において鬼を率いていた無惨が死んだ事により鬼も消えた。

 そういう意味では、ヒロアカ世界のヴィランは血鬼術に似たような個性を使い、しかも敵である以上は斬っても問題はない。……いや、斬り殺さなければ問題はない。

 斬られる方にしてみればたまったものではないだろうが……まぁ、シラタキを始めとしたヴィラン連合について俺が心配する必要もないだろう。

 

「取りあえず……ムラタと話してみよう。それで納得出来たら戦力として連れていく」

 

 そう言うと、コーネリアは分かったと頷くのだった。

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