「これより、ラウの国に向かって侵攻する!」
『うおおおおおおおおおおおおお!』
ドレイクの宣戦布告の声に、それを聞いていた者達から歓声が上がる。
叫んだ者達にしてみれば、ドレイクの力強い宣言は兵士達の感情を揺さぶるものがあったのだろう。
ドレイクは、ラウの国に対して国境線上で起きた小競り合いの件に関して、実行者――ゼラーナ隊――の引き渡しと、それを許容したラウの国としての公的な謝罪、受けた被害に対する賠償を要求した。
だが、ラウの国の国王たるフォイゾンには、そんな要求は決して受け入れられるものではなかったのだろう。
これでフラオン軍を引き渡すというだけであれば、あるいは何とかなったかもしれないが……いや、何とかなったか?
元々フォイゾンは血筋を重視する人物だ。
つまり、アの国の国王はドレイクではなくフラオンでなければいけないと、そう考えている。
そうである以上、ドレイクからの要望に応えるといったような真似をした場合、これまでの対応や……いわゆる国是と矛盾した行動を取らなければならなくなってしまう。
その辺の事情を考えると、フォイゾンがドレイクからの要望に応えるのは難しいだろう。
ましてや、それだけではなくラウの国の公式な謝罪をも要求してきているのだ。
それを考えれば、尚更ドレイクの要求に従うのは難しいだろう。
ドレイクにとってもラウの国との戦争は避けられないと判断している以上、ここで戦いに参加しないという選択肢はなかったのかもしれないが。
ともあれ、そんな訳でドレイク軍の進軍は開始される。
ミの国を占領してから、まだそんなに時間は経っていない。
それでもこうして再度の戦争が可能なのは、何だかんだとミの国との戦争においてドレイク軍側の被害が殆どなかった為だろう。
この辺は、ラウの国にとってもある意味で誤算だった可能性が高い。
そして何より、ドレイク軍の士気が高い理由は……
「間違いなく、あれだろうな」
呟き、ウィル・ウィプスの姿を見る。
オーラシップという存在が最初に現れた時も、かなりの騒動になった。
その後継機……というか、より戦闘力に特化したブル・ベガーが現れた時も、ナムワンが現れた時程ではないにしろ、騒動になった。
だが……オーラバトルシップのウィル・ウィプスは、そんなナムワンやブル・ベガーとは比べものにならないくらい、大きな騒動を巻き起こしている。
まぁ、それも当然だろう。
ナムワンやブル・ベガーは、まがりなりにも船といったような外見と言われれば納得出来た。
しかし、ウィル・ウィプスは違う。
その偉容は、まさに空を飛ぶ要塞といった表現が相応しい。
ナムワンやブル・ベガーとは違い、船といったような外見ではないのだ。
そんな偉容な存在を見た兵士達は、その多くが驚き……そして頼りになると判断したのだろう。
敵に回せば厄介極まりない存在だろうが、このウィル・ウィプスは味方だとはっきりとしている。
それだけに、自分達にとって頼りになる存在だと思ってもおかしくはない。
味方に対してこれだけの影響を与えるのを考えると、ラウの国の面々がウィル・ウィプスを見たら、一体どうなるんだろうな。
中には寧ろ図体だけの存在だと判断して、やる気を見せるような者も出て来そうだが。
「アクセル王、私達もそろそろ出発した方がよろしいかと」
ウィル・ウィプスを始めとするドレイク軍を眺めていたところ、キブツからそんな風に声を掛けられる。
当然ながら、キブツは俺の有するナムワンの艦長として戦いに参加することになっていた。
……もう少し時間があれば、ナムワンではなくてヨルムンガンドで出撃出来たのかもしれないが……いや、ドレイクにしてみれば、それは許容出来ないか。
ウィル・ウィプスは今日が公の場では初めてのお披露目だ。
それだけに、当然ながらウィル・ウィプスの偉容を多くの者に見せつけたいと考えるのは当然だろう。
そんな中で、ウィル・ウィプスと同じくらいの大きさを持つヨルムンガンドもお披露目されたとなれば……単純に考えて、ウィル・ウィプスに対する驚きは半分になってしまう。
これは、ドレイクにとってウィル・ウィプスの価値を下げてしまうような行動と言ってもいいだろう。
意外とヨルムンガンドの完成が遅れているのは、その辺りも関係しているのかもしれないな。
「分かった、なら出発を頼む」
俺の言葉に頷き、キブツは指示を出していく。
ミの国との戦争の一件からか、俺のナムワンはドレイク軍の最後尾……ではなく、ウィル・ウィプスのすぐ近くに配置されていた。
ドレイクにしてみれば、自分と同格の存在である以上、自分の近くにいた方がいいと、そんな風に感じたのだろう。
俺にとっては、その辺りは正直どうでもいいといった感想だったのだが。
ともあれ、こうして準備が出来たところで移動を開始する。
現在のドレイク軍にはトッドの姿はないが、トッド率いるドレイク軍はミの国を通った時に、こちらと合流する筈だった。
とはいえ、ミの国はまだ併合したばかりだ。
当然ながら、その併合を面白く思っていない者も多いだろうし、ピネガンと一緒にミの国を出なかった者もいる。
そういう連中への対処も必要になると考えれば、やはりトッドとしては全ての戦力をこっちに持ってくるといった真似は出来ないだろう。
だとすると、こっちに合流するのは少数精鋭といったところか。
まぁ、ドレイクにしても現在のミの国の状況を考えれば、あるだけ戦力を寄越せなどといったようには言わないだろうが。
「どうしたの、アクセル。何かあった?」
マーベルのその言葉に、何でもないと首を横に振る。
「トッドが合流する時に、一体どれだけの戦力を連れてくるのか、少し気になっただけだ」
「ミの国の状況を考えれば、そんなに多くの戦力を連れてくるのは無理じゃない?」
「ああ、俺もそう思っていた。現在はミの国を無事に治めることが最優先だろうし。……そういう意味だと、トッドがこっちに来るというのは分からないでもないんだけどな」
現在ミの国の支配者であるトッドが、ラウの国という大国を相手に大きな活躍をする。
それはミの国の住人達にとっては、大きな意味を持つ。
元々反乱軍側であったり、そうでなくてもトッドが治める事によって特に税金が上がったりしないで今まで通りの生活をしている者にしてみれば、そのような強者がミの国の支配者であるというのは、いざという時に頼れるという事を意味している。
ピネガンに忠誠を誓っていたが、何らかの理由でミの国に残ったり、もしくは単純に他国……それもバイストン・ウェルの人間ではなく地上の人間に自分達が支配されるのが面白くないと、そう思っている者にしてみれば、トッドの実力を見せつける事で妙な真似をしないように押さえる事が出来る。
そういう意味では、トッドの活躍は何気に重要なのだろう。
「トッドも、随分と出世したわね」
俺の言葉を聞き、しみじみと呟くマーベル。
マーベルにしてみれば、トッドがバイストン・ウェルに召喚された時からの付き合いだ。
その中でもショウはギブン家に亡命し、トカマクはジェリルの舎弟というか、恋人……というのはちょっと難しいかもしれないが、ともかくそんな感じになっている。
そしてトッドは、俺やマーベルに自分が強くなる為の協力を要請してきた。
そういう意味では、初期に召喚された3人の中では一番俺達と近しい存在と言ってもいいだろう。
また、本人も戦果を挙げて自分の土地を欲していたという意味では、念願を叶えたのだ。
それだけではなく、聖戦士の中でも一番高い地位にあるというのも明示され、アレンに対するコンプレックスも今は既にない。
トッドは、まさに今が絶好調といったところか。
「ラウの国は、どう出て来ると思う? ラウの国にいたのなら、フォイゾンがどういう風に行動するのか、予想出来ないか? 俺が知ってるのは、あくまでも人伝の情報だったり、他人から聞いた話だったりするから、正確なところは分からないんだよな」
「フォイゾン王は苛烈な性格をしています。宣戦布告がなされたとなると、それこそ自らがオーラバトラーに乗って前線に出て来るといった真似をしかねない程に」
「それは、また……」
ファンタジー世界である以上、国王が直接軍を率いるというのは、普通にあってもおかしくはないだろう。
ドレイクもまた、こうしてウィル・ウィプスに乗って最前線に出るのだから。
だが、ドレイクとフォイゾンは大きく違う場所がある。
それはフォイゾンがオーラバトラーに乗るのに対して、ドレイクはウィル・ウィプスに乗っているという事だ。
オーラバトラーは、現在このバイストン・ウェルにおいては最強の機動兵器と言ってもいい。
だが同時に、防御力という点では決して十分なものではなかった。
……ガラリアから聞いた話によると、地上ではオーラ力がバリアになるオーラバリアが防御力として運用出来たらしいが、生憎とバイストン・ウェルにおいてはそのオーラバリアが発揮される様子はない。
また、バストール程に極端ではないとはいえ、基本的にオーラバトラーというのは機動力や運動性を重視し、防御力はそこまで重視されてない。
勿論、防御力もあればあっただけいいのだが、能力という点ではやはり機動性や運動性の方が重要視されている。
フォイゾンが乗っているのは、恐らく反ドレイク陣営の中では現在最も性能の高いボゾンであり、国王が乗るという事から多少なりとも改修されているかもしれないが、それでも限界はある。
つまり、ダメージを受けた場合、あっさりと撃破される可能性が高いのだ。
それに比べると、ドレイクは最前線に出るという意味では同じでも、乗っているのは強固な防御力を持つウィル・ウィプスだ。
オーラバトラーとは違い、そう簡単に撃破されるといった事はない。
フォイゾンが勇猛なのは理解出来るが、だからといってそれが全ての面で正しく作用する訳ではないという証拠だろう。
「キブツが言うようにフォイゾンが前に出て来る性格をしてるのなら、もしかしたらラウの国との戦争は思ったよりもあっさりと片付く可能性もあるな」
バイストン・ウェルというファンタジー世界において、国王が死んでしまえば、それは国にとって致命的だ。
いや、別にファンタジー世界に限った話ではないが、軍の最高司令官が死んでしまえば、当然ながらそれに動揺する者が多くなるだろう。
ただ、近代化された軍隊であれば、例え軍の最高司令官が死んだとしても、すぐに次の階級にある人物が指揮を執るのだが……ファンタジー世界で国王が死んだとなると、そう簡単にはいかない。
ましてや、フォイゾンは1人娘のパットフットとは縁を切っている。……一応、ピネガンと共に現在ラウの国の国内にはいるようだが。
そうなると、もしかしてパットフットが……いや、その夫のピネガンがラウの国の国王になるとか、そういう展開もあるのか?
「そうなってくれると私も嬉しいんだけど。でも、アクセルが言うように簡単にそういう事にはならないと思うけどね。今までの経験から考えると」
「いや、それはどういう意味だよ」
「あら、言わないと分からない? ……本当に?」
「ぐぬぅ……」
マーベルの指摘に、言葉に詰まる。
今までの出来事を考えれば、マーベルの言葉に対して素直に反論は出来ない。
ラウの国との戦いにおいては向こうが大国なだけに、結構長引きそうだし。
とはいえ、長引くなら長引くで、こちらとしてもそれなりにやるべき事はある。
具体的には、ミの国にやったようにラウの国に侵入してオーラバトラーや部品、オーラシップといった諸々を奪ってくるといったように。
特にラウの国では、ボゾンという新型のオーラバトラーもあるし、それ以外にも新型のオーラシップや、現在建造中と思われるオーラバトルシップもあるらしい。
オーラバトルシップは奪ってもまだすぐには使えないとなると、やっぱり狙うのはボゾンと未知のオーラシップか。
そんな風に思うものの、ラウの国に関しては情報が足りないんだよな。
ドレイクも一応ガロウ・ランを送り込んだりしているらしいが、向こうもかなり警戒しているだろうし。
……まぁ、ピネガンにしてみれば何らかの手段で自分の国の機械の館を襲われたのを理解しているんだろうから、それについての情報をフォイゾンに渡してもおかしくはない。
ピネガンも、何の手土産もなくラウの国に亡命するといったような真似は、出来ないだろうし。
正直な話、ミの国があそこまであっさりとドレイク軍に負けたのは、反乱軍やフラオン軍との内乱もあったが、機械の館の襲撃や、見回りをしていたダーナ・オシーを結構な数撃破したというのも、大きいと思う。
ラウの国にそのような損害を与えたくないというピネガンが、その件をフォイゾンに教えてもおかしくはない。
あるいは、フラオン……というより、ギブン家はダーナ・オシーの後継機たるボゾンをラウの国と一緒に作っているので、協力体制はそれなりに強固だろう。
そちらから情報を得ているという可能性もあるかもしれないな。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1560
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1680