転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4586話

 俺達の自己紹介が終わると、ヒロアカ世界組の面々の自己紹介が終わる。

 だが……そうして自己紹介が終わって今日の本題に入ろうとしたところで、イザークが口を開く。

 

「そこの相澤とやらの個性は、抹消……相手の個性を消す個性だろう? この世界についてはまだ詳しくない俺にとっても、その抹消という個性が非常に強力なのは分かる。なのに、ヴィラン連合の拠点を襲撃する時、記者会見をやってその強力な個性は使わないのか?」

 

 そのイザークの疑問は、俺も分からないではない。

 実際、抹消という個性は見て分かるような派手な……例えば爆豪の爆破や轟の氷のように、一目で分かるような個性ではない。

 だが、それでも……いや、地味だからこそと言うべきか? とにかく相手の個性を消す、つまり個性を使えなくするという意味で、非常に強力なのは間違いないのだ。

 特に今回はヴィラン連合の拠点を襲撃する訳で、そこには敵のラスボスとも言えるAFOがいるかもしれないし、触れただけで崩壊させる個性を持つシラタキは確実にいるだろう。

 後は開闢行動隊の中にいた、蒼炎の個性を持つ奴。

 炎系の個性の中でも、かなり強力な個性なのは間違いない。

 しかし、そんな強力な個性であっても相澤の抹消を使えば使わせない事が出来る訳だ。

 そう考えれば、相澤の抹消という個性がないのは襲撃をする上で疑問を抱くのは間違いない。

 

「正直なところ、俺もそう思う」

 

 だが、まさか相澤本人の口からそんな風にイザークの言葉を肯定するような返事があるとは思わなかった。

 イザークにとっても、それは意外だったのだろう。

 ……もっとも、相澤の性格を知っている者なら、もしかしてと思わないでもなかったが。

 

「だが、今回の襲撃では俺が参加しない代わりに、アクセル代表達が、シャドウミラーの者達が参加してくれる。アクセル代表がどれだけの力を持っているのかは、それこそヒーロー科のA組担任として1学期を見てきたから、知っている。そんなアクセル代表の仲間達が参加するのだから、戦力的な心配は一切ない」

 

 そう言う相澤の言葉に、イザークが微妙な表情を浮かべる。

 いや、イザークだけではなく、他の面々も……それこそ荒垣も含めて同じような表情を浮かべていた。

 

「いや、その……一応言っておくが、アクセルは俺達の中でも特別だからな? 俺達にアクセルと同じ強さを求められても困るぞ?」

 

 イザークにしては珍しい、弱音。

 だが、シャドウミラー側の他の面々も……それこそムラタも含めてイザークの言葉に同意するように頷いていた。

 いや、それはそれでどうなんだ?

 そう思うも、俺も自分で自分の強さについては十分に知っている。

 自分で言うのもなんだが、混沌精霊になった今の俺の生身の戦闘力は、それこそPTとかの人型機動兵器を相手にしても普通に勝利出来るだけのものがあるのは間違いなかった。

 ……とはいえ、それでこういう態度を取られた事に納得出来るかと言われれば、それは微妙なところであったが。

 

「アクセル?」

 

 イザーク達の反応を見た相澤が、俺に向かってそう声を掛けてくる。

 代表といった言葉をつけ忘れているのにも、気が付いた様子がない。

 それだけ相澤にとって、俺の実力は色々な意味で常識外れなものだったのだろう。

 ……とはいえ、雄英に入学してから本当の意味で全力を出した事はないし、そういう意味ではイザークと相澤の間には微妙に擦れ違いがあったりするのだろう。

 だからといって、俺がそれに突っ込んだりするつもりはなかったが。

 

「俺がシャドウミラー最強であるというのは事実だな」

 

 そう言うと、イザークが悔しげな表情を浮かべ、ムラタもピクリと反応する。

 イザークとムラタは、どちらも俺に勝つ為にシャドミラーに入った。

 もっとも、ムラタはともかくイザークは今となってはそこまで俺との勝負に拘ったりはしていないようだったが。

 だからといって、俺を相手に勝てないというのにも思うところがあるらしい感じではあったりするが。

 ムラタの方は本気で俺に勝つのを目的にしている。

 ……もっとも神鳴流を使えるようになった今のムラタでも、まだ俺には及ばないが。

 ただ、神鳴流って元々が人ならざる存在……つまり、モンスターや妖怪、幽霊、そんな諸々を相手にする為の流派だ。

 そういう意味では、混沌精霊である俺を相手にするにはこれ以上ない程に相応しい流派であるのは間違いない。

 そう考えれば、ムラタは……他にも、桜咲も俺を相手に有効な戦闘技術を持っているんだよな。

 まぁ、それでも俺が異常な戦闘力を持っているので、神鳴流が相手でも対処は可能だったりするのだが。

 

「とにかく、こちらの戦力は非常に強力だ。それこそ……その気になれば、俺達だけで爆豪やラグドールを助けられるくらいにはな」

 

 これは大袈裟でも何でもなく、正真正銘の事実だ。

 ここにいる戦力だけで、本気になればそのくらいの事は容易に出来る。

 ……もっとも、爆豪やラグドールにしてみれば、俺達が助けに来たところで見覚えのある存在が俺くらいしかいないのもあり、素直に助けられるかどうかはまた別の話だったが。

 そもそもの話、もし俺がプロヒーローであっても、爆豪の性格を考えると素直に助けられるとは思わないのは……まぁ、うん。

 ともあれ、そういう意味でも爆豪が一目置いているオールマイトがいるというのは、この場合非常に大きいのだろう。

 もっとも、オールマイトがいるという事は、恐らくAFOもいる訳で……いっそ、今日の戦いで俺がAFOを殺してしまえば全て丸く収まるんじゃないか?

 スライムで吸収すれば、個性もゲット出来るだろうし。

 あれ? これ、実は結構いい考えのような気がしてきたぞ?

 とはいえ……公安はともかく、雄英とこれからの協力関係を結んでいくと考えれば、そういう事は出来ないんだよな。

 プロヒーローというのは、基本的に相手を殺すといったことは禁止されている。

 AFOのようなラスボスが相手でも、当然ながら殺しは禁止だろう。

 そんな中で、俺がスライムを使ってAFOを吸収しようものなら……うん、間違いなく雄英との関係は悪くなる。

 勿論、関係が悪くなっても表向きはしっかりと協力関係を結んだりは出来るかもしれないが、これからの事を考えるとそういう薄っぺらい協力関係ではなく、しっかりとした協力関係を結んでおきたいんだよな。

 となると、もしAFOをスライムで吸収するにしてもタルタロスに収監された後……それも収監されてすぐにとなると怪しまれそうなので、ある程度時間が経ってからってところか?

 

「アクセル代表達なら出来るかもしれないが、既にこちらもしっかりと戦力を用意してるんだ。それを思えば、シャドウミラーだけに任せる訳にはいかないね」

 

 校長のその言葉に、それもそうかと納得する。

 今回の一件は、あくまでもメインはプロヒーロー達だ。

 俺達は戦力的には十分だが、実際にはフォロー役を任されているのだから。

 とはいえ、別にヴィラン連合の拠点を襲撃するのを映像で残す訳ではない。

 ……いや、そういう映像があったら、それはそれで参考資料として便利そうではあったりするが。

 ただ、今回の一件はそれを残すようなことは出来ないといった感じなのだろう。

 

「分かった。なら、こっちもそういう感じでやらせて貰うよ」

「ありがとう、助かるよ」

「それで、今回の作戦に参加するプロヒーロー達との顔合わせはどうするんだ? さすがに顔合わせもなしでいきなり作戦開始といったようなことをする訳にはいかないだろう?」

「まだ集まっていないメンバーも多いから、もう少し待ってくれないか? 今回の件は秘密裏に運んでいる。当然ながら今回の作戦に参加するプロヒーロー達も、それを悟らせないように夕方くらいまでは普通に仕事をしているのさ」

 

 なるほど、相澤達が記者会見をやって自分達はまだヴィラン連合の拠点を見つけていませんよとやっているのに、プロヒーローが何人も……あるいは何十人も同じ場所に集まっていたりすれば、一体何が起きている? とヴィラン連合を警戒させてもおかしくはない。

 そうしない為に、日中は普通に仕事をしている訳だ。

 その考えは悪くないと思う。

 思うのだが……いやまぁ、うん。何となくAFOについての話が本当なら、見破られていそうな気がするんだよな。

 それでも何もやらないよりはマシだろうし、もしかしたらAFOも引っ掛かる……もしくは引っ掛からなくてもどうでもいいといったように考えてヴィラン連合の面々に話していなかったりする可能性もある。

 陽動については、やっても損にはならない……失敗したら、それはそれと考えると、やれるだけやった方がいいのは間違いない。

 もっとも、陽動をやる為に抹消の個性を持つ相澤が使えなくなるのは痛いが……まぁ、それはしょうがない一面もあるか。

 抹消の個性を持つ相澤が作戦に参加しない代わりに、シャドウミラーの面々が参加すると考えれば、そう悪い話でもないだろうし。

 

「そうなると、時間までどうするんだ? まだそれなりに……というか、かなり時間はあるけど」

 

 ホワイトスターにある転移区画の前で待ち合わせをしていたのが、8時くらいだ。

 それからこのヒロアカ世界にやって来て、今こうして話をして……校長室にある時計を確認すると、9時前くらいになっている。

 で、話を聞く限りだとヴィラン連合の拠点を襲撃するのは夜になってから。

 つまり、12時間……はちょっと長すぎるか? 10時間くらいは余裕である訳で。

 その10時間を一体するのかといった問題がある。

 10時間もあるのなら、いっそ一度ホワイトスターに戻るというのもありかもしれないと思う。

 もっとも、そうなるとそうなったで、また集合する時に色々と面倒なことになったりしそうだけど。

 かといって、ここに来た面々でヒロアカ世界の観光をするのは……目立つ。

 間違いなく目立つだろう。

 あ、でもそうだな。この集団で行動すれば目立つが、2人から3人くらいでの行動となると、あまり目立たないか?

 もっとも、ムラタの場合は日本刀を持っているのもあって、その時点でどうしても目立ってしまうが。

 

「出来れば雄英にいて欲しいのさ」

「……夜までずっとか?」

「あるいは、アクセル代表の部屋にいてもいいと思うけど、出来ればあまり人目についてほしくないのさ。ヴィラン連合の目がどこにあるか分からないしね」

 

 あー……これは多分、あれだな。

 雄英の中にいる内通者を心配して……いや、それだと雄英にいろというのも、それはそれでおかしいか?

 いや、夏休みの今、それも林間合宿の一件があってすぐだ。

 そうなると、雄英にいるのは教師だけな訳で……だとすれば、校長は教師には内通者がいないと思っているとか?

 何故そのように判断したのかは分からない。

 だが、校長は偉人と呼ばれる程の人物――正確には人ではないが――だ。

 だとすれば、俺には気が付かない何かを察して、教師の中に内通者はいないと、そのように考えていてもおかしくはない。

 勿論、これはあくまでも俺の予想であって、実際にどうなのかは分からない。

 もしかしたら、俺の勘違いであるという可能性も否定は出来ないのだから。

 

「全員で纏まってってのは無理でも、数人ずつで街中を見て回るとか、そういうのはどうだ?」

「うーん……まぁ、僕の立場としては止められないけど、出来れば止めて欲しいかな。……ああ、でもこっちから誰か一緒に人を出してもいいのなら……」

 

 それが、校長の妥協案だったのだろう。

 ふむ……まぁ、実際のところ校長のその提案は決して悪いものではない。

 ここにいる面々がそれぞれ好き勝手に動いた結果、自分にとっては常識であっても、ヒロアカ世界では非常識であるという可能性も十分にあるのだから。

 そのような時、雄英の教師が一緒にいてくれれば判断はしやすい。

 そうなると、後の問題は雄英から派遣された教師と上手くやれるかという事になる。

 例えば、相澤は記者会見があるので派遣される中には入らないが、イザークと相澤はかなり相性が悪いような気がする。

 

「アクセル君、うち、この世界を色々と見てみたいんやけど」

 

 木乃香がそう言うと、当然ながら桜咲もそれに同意し、明日菜もまた親友と一緒に行動したいと言ってくる。

 明日菜達3人はこれで決まりか。となると……

 

「イザークとオウカも見て回るか?」

 

 そう聞くと、イザークは少し迷い……オウカに尋ねる。

 

「どうする?」

「私もこの世界には興味があるし、異世界でのデートもいいでしょう?」

「ばっ! ……アクセル、そういう訳だ」

 

 うーん、性格的にはイザークがオウカを引っ張っていく感じに思えたのだが、こうして見るとオウカの方がイザークを引っ張ってるよな。

 

「そうなると、荒垣とムラタはどうする?」

「俺はアクセルの部屋でいい」

「俺もだ」

 

 どっちも特にこの世界を見て回りたいという思いはないらしく、そう言うのだった。

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