転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4587話

「ここがアクセルの部屋か。……悪くない部屋だな」

 

 荒垣が俺の部屋を見て、そう呟く。

 ムラタもまた、周囲の様子を見ているが、特に何も言う様子はない。

 影のゲートを使っての転移なので、直接部屋の中に姿を現した形になり……だからこそ、俺達の存在を察知したのかロボット掃除機がこちらに向かって姿を現す。

 

「アクセル、これは何だ? まるで俺を警戒するかのように周囲を回っているが」

「取りあえず靴を脱げってことじゃないのか?」

 

 影のゲートで直接転移してきたので、当然ながら俺達の足には靴が履かれている。

 それでフローリングの床に立ってるのだから、ロボット掃除機にしてみれば掃除の対象と判断してもおかしくはないだろう。

 そんなムラタは、俺の言葉に頷くと靴を脱ぐ。

 俺と荒垣も靴を脱ぎ、玄関に置いてくる。

 こうして問題のない状態になると、ロボット掃除機が汚れた床を掃除していた。

 

「……アクセル、このロボット掃除機、何だか妙に賢くないか? いや、勿論コバッタとかに比べると劣るだろうが」

 

 床を掃除しているロボット掃除機を見つつ、荒垣がそう尋ねてくる。

 ペルソナ世界でもこの手のロボット掃除機はもう売られている筈だが、俺の持っているロボット掃除機と比べると、どうしてもAIの性能が劣ってしまうのだろう。

 

「だろうな。このヒロアカ世界は個性の為もあってか、それなりに技術が進んでいるからな。特にAIの類はかなり進んでいる」

 

 分かりやすい例だと、雄英の入試の実技試験で使ったロボットとかだろう。

 かなり口が悪いのもそうだが、個々にそれなりの判断能力があり、その上で他のロボットと連携を取ったりもする。

 そういう意味では、かなり高性能なAIを持っている。

 勿論、雄英で……日本でNo.1のヒーロー科を持つ雄英で使われているロボットのAIと普通に商品として売っているロボット掃除機のAIでは色々と違うところも多いだろうから、一緒にする事は出来ないが。

 

「それに、このロボット掃除機はグレードが一番高い奴だしな。当然ながらそういう意味でも、他のロボット掃除機のAIよりも高性能だったりする」

 

 公安の金だから、その辺は遠慮しなかったんだよな。

 実際、その判断は間違っていなかったと思うし……

 

「おい、アクセル。あれはなんだ?」

 

 ロボット掃除機を見ている荒垣と話していると、今度はムラタがそう尋ねてくる。

 何だ? とムラタの方に視線を向けると、ムラタの視線の先にはAI搭載型スーツケースの姿があった。

 どうやらロボット掃除機が心配でやってきたらしい……というのは、俺の勝手な予想だろう。

 そもそもの話、AI同士でそうした自我を持っていて、自由にやり取りをしているのかと言われれば、正直微妙なところだ。

 微妙なところだとは思うのだが……ただ、俺から見た感じだとそういう感じがあるように思える。

 

「以前旅行とか林間合宿用に購入した、AI搭載型スーツケースだよ。自分でわざわざ運ばなくても、AIが判断して俺を追ってくるし、盗まれそうになった時は大きな音を立てて周囲に知らせる。後は、ロボット掃除機と微妙に仲が良い……ように見える」

 

 実際にAI同士で仲が良いとは断言出来ないのだが、以前から何らかのやり取りをしているのを見た事があるので、それを考えるとそう間違っていないように思えるんだよな。

 

「……何でスーツケースが部屋の中を移動している?」

「さぁ、何でだろうな? 俺もその辺りは分からない。多分、AI同士で何かあるんだろ」

「疑問に思わんのか?」

「別に俺に何か不利益がある訳じゃないしな」

 

 例えばこれで、AIが何かを企んで俺に攻撃してくるとか、そういう事でもあるのなら俺も自由にしたりはしない。

 それこそ即座に破壊するか、あるいは空間倉庫に収納したりするだろう。

 だが、今のところそんな様子はない。

 ……一応、本当に一応優にはロボット掃除機が攻撃、というか体当たりしたりするが、それについては優が床を散らかしてロボット掃除機を怒らせたりしたのが悪い訳で、それはそれで仕方がないと思う。

 

「いや、だからってロボット掃除機はともかく、スーツケースの方はどうなんだ?」

 

 荒垣が呆れた様子でそう言ってくるも、実際それで特に何か困ったりした事はないしな。

 歩くのに邪魔になったりする事もない。

 それどころか、俺が移動しようとしたりすると、邪魔にならないように移動したりするくらいだ。

 

「ペット感覚……って程じゃないけど、まぁ、それと似たような感じなのは間違いないな」

「……これがペットか。まぁ、アイギスの件もあるし、そう考えればおかしくないのかもしれないな」

 

 荒垣の言葉に、アイギスを思い出す。

 とはいえ、アイギスはペルソナ関係の技術で作られている面もあり、純粋なAIという訳ではない。

 それはつまり、その技術をヒロアカ世界の技術と融合すれば自我を持つAIが量産可能だったりするという事になりそうな……

 

「取りあえず、やる事がないお前達はここでゆっくりとしていてくれ。TVを見ていれば暇潰しにはなるだろうし、ネットとかを見たいのならスマホ……PDA的な奴を貸すから」

 

 そう言うと、ムラタと荒垣はソファに座り、TVをつける。

 この2人が並んでソファに座っているのって、ちょっとこう……何だか微妙な感じだよな。

 迫力がある的な。

 そんな風に思っていると……

 

『ですから、私は以前から言っていたでしょう。雄英だからと特別視するようなことはせず、他の高校と一緒に扱う必要があると。今回の林間合宿におけるヴィランの襲撃も、私の言う通りにしておけば起きなかった筈です』

『えっと……ですが、雄英にはしっかりとした実績があるのは間違いありません。それを思えば、その分だけ特別視するくらいはしてもいいのではないでしょうか?』

 

 TVの中では、相変わらず雄英の林間合宿の襲撃の件が話題になっていた。

 ……いや、相変わらずって、まだ襲撃があってから数日なんだし、それは仕方がないか。

 だからといって、ああいう風に好き勝手に言われるのは面白くないが。

 あのコメンテーター……自分の言う通りにしておけばって、自分が雄英の経営に関わりたいだけだろうな。

 何だか以前にも同じような事を思った気がするが……まぁ、こういう奴はどこにでもいるしな。

 もしかしたら以前俺が同じように思った奴と同一人物といった可能性も否定は出来ないが……まぁ、その時はその時でいいだろ。

 

「このコメンテーターは、一体何を言っている?」

 

 驚いたことに、荒垣が不満そうにそう言ってくる。

 どうやら荒垣にしてみれば、このコメンテーターの言ってる内容が面白くないらしい。

 

「まぁ、ペルソナ世界もそうだったが、このヒロアカ世界もマスコミはマスゴミが多いんだよな」

 

 ペルソナ世界においても、マヨナカテレビの件で俺が泊まっていた天城屋旅館の件でも雪子にしつこくインタビューをしようとしていたマスゴミがいたしな。

 もっとも、そのマスゴミについては美鶴に報告し、その結果としてTV局の出資が引き上げられたとか、CMを全て取り下げたとか、そんな感じのお仕置きをされたと聞いた事があったが。

 その結果、具体的にどうなったのかは生憎と俺にも分からないが。

 ともあれ、ペルソナ世界においてもそういうマスゴミはいるのだが、このヒロアカ世界のマスゴミはそれよりも上だ。

 このコメンテーターは、マスゴミの中でもまだマシな方……とまでは言わないが、とにかく面白くない存在なのは間違いない。

 

「ふんっ」

 

 ムラタの方は面白くなさそうにではあったが、鼻で笑うだけだ。

 この様子を見る限りだと、取りあえず斬りに行くとか、そういう風には思っていないらしい。

 ……もっとも、実際に目の前にこのコメンテーターがいたら、斬ってもおかしくはないと思うのは俺だけではない筈だが。

 ムラタとこういう、口だけの奴ってのはつくづく相性が悪いからな。

 

「取りあえずチャンネルを変えた方がいいんじゃないか? ……俺は部屋にいるから、何かあったら知らせてくれ。ああ、それと冷蔵庫の中には飲み物や食べ物が色々と入ってるから、適当に食べたり飲んだりしてもいいぞ。……酒はないが」

「当然だろ」

 

 俺の言葉に荒垣が即座に言い返してくる。

 荒垣は俺が酒を飲んだ時に何が起きるのか、知っているのだろう。

 まぁ、それなりに頻繁にホワイトスターに来ているんだから、荒垣もそういう話を聞く機会はあったのだろう。

 もしここで俺が酒を飲んだら……最悪、このマンションが破壊されてしまいかねない。

 それどころか、気が付けばAFOが半殺しの状態になっていても驚きはしない。

 ……女関係は……その、ちょっとアレだが。

 

「ともあれ、腹が減ったりしたら適当に食べて飲んでしてくれ」

 

 そう言い、俺は自分の部屋に戻る。

 昨日もホワイトスターに泊まった……というか、自分の家に戻った事もあって、今日ヒロアカ世界に来たら、LINやらメッセージや着信履歴が凄い事になっていたのだ。

 いやまぁ……今の状況を考えると、そういう風になってもおかしくはないのかもしれないが。

 特に昨日は、俺がシェリル達と出掛けていた画像もネットにアップされたようだし。

 特に峰田からのメッセージが多い。

 もしここに峰田がいたら、それこそ血涙を流して俺を睨み付けてくるだろうと思えるくらいには、峰田のメッセージが多かった。

 ……勿論それは峰田のものだけではなく、上鳴だったり、瀬呂だったり……三奈、葉隠、耳郎、ヤオモモといった面々からも相応に来ている。

 他の面々も今挙げた者達よりは少ないが、それなりに連絡をしてきているのは間違いない。

 

「さて、これをどうするべきか」

 

 いや、これ本当にどうすればいいんだ?

 取りあえず、メッセージと着信履歴の方はスルーしてLINの方に書き込もう。

 とはいえ、そうなるとそれはそれでどんな風に書き込めばいいのか、俺には分からなんだが。

 

「ちょっと電波のないところにいて、今戻ってきた、と」

 

 そう書き込むと、即座に何人もから返事があった。

 ……幸いなことに、俺がシェリル達と出掛けていた件について書き込む者がいなかったのは、俺にとっても幸運ではあったのだろう。

 もっとも、何人かは意図的にその辺りに触れないようにしているように見えたが。

 三奈とか葉隠とか耳郎とか。

 ……ヤオモモは、うん。特にそういうのを気にした様子はないっぽい感じの書き込みがあるけど。

 ちなみにいつものメンバーのグループでは、拳藤が一体あの写真の美人は誰だと驚いた様子を見せていた。

 いやまぁ、実際このヒロアカ世界にいる女の顔面偏差値は基本的に高い。

 異形系とかもいるけど、それも愛嬌と言えばそれらしい感じになってるしな。

 あるいは単純に、原作キャラだからこそそういう風になってる……といった可能性もあるけど。

 ともあれ、そんな顔立ちの整っている面々の中でもシェリル達は一際輝いていた。

 うん、昨日街中を歩いている時点で多くの者達に注目を浴びる筈だよな。

 ともあれ、拳藤や三奈達もそういう意味で驚いているのだろう。

 ともあれ、その件については適当に誤魔化し……

 

「うーん、こっちは残念だけどいけないな」

 

 昨日に引き続き、今日も緑谷の見舞いにいかないかという誘いがあったものの、ムラタと荒垣と一緒にいる状態であることを考えると、さすがに見舞いにはいけない。

 なので、今日はちょっと用事があって行けないと書いておく。

 ついでに、明日も多分ちょっと忙しいかもしれないと。

 何しろ、今夜ヴィラン連合の拠点を襲撃すれば、明日はその後処理とかで忙しくなるのはほぼ間違いないだろうし。

 もしかしたら……本当にもしかしたらの話だが、俺達はあくまでも助っ人なので、後処理には関わらなくてもいいと言われるかもしれないが……その辺り、どうなるか分からないしな。

 とはいえ、校長や公安側としては、シャドウミラーの戦力は欲しいものの、だからといって今はまだ表に出したくないだろう。

 AFOが裏で糸を引いてるのだろうヴィラン連合の行動によって、ヴィランの多くは動きが活発になっている。

 だからこそ、今はまだシャドウミラーの存在を……異世界からの来訪者の存在を公にしたくないのだろう。

 考えようによっては、シャドウミラーのインパクトでヴィラン活発化の衝撃を打ち消すといった事も出来ると思うんだが。

 あるいはそれを狙ってはいても、今はまだ……という事なのかもしれないな。

 AFOの暗躍が半ば確定的になったのを考えると、それこそAFOの一件が露わになった時にシャドウミラーの存在を露わにし、自分達には助けがいるといったように大々的に発表するという可能性も分からないではないし。

 まぁ、その辺りは校長や公安、あるいはシャドウミラーの政治班がお互いに相談をするだろうから、俺は気にしないでおくとしよう。

 そんな風に思いつつ、俺はLINやメッセージの返信をするのだった。

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