転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4590話

 荒垣が作った料理を何度か味見しながらタッパーや皿、あるいは鍋に入れて空間倉庫に収納し、途中でタッパーとかが足りなくなって追加で買いに行く事になったが……ともあれ、夕方になったところで俺は荒垣とムラタと共に雄英に戻ってきた。

 向かうのは、雄英の校長室……ではなく、会議室。

 

「それにしても、ムラタは今日はずっと時代劇を見ていた訳だけど、そんなに面白かったのか?」

「面白かったぞ。ただし、個性を使っていない時代劇の方が面白かったが」

 

 つまり、古い……個性が知られるよりも前に作られた時代劇だろう。

 ……そもそも、個性が見つかってからまだそんなに時間は経っていない。

 そう考えると、時代劇の時代に個性があるというのが、そもそも間違っていると思うんだが。

 勿論、時代劇と一口に言ってもそれぞれによって舞台となる時代は違う。

 戦国時代だったり、江戸時代だったり、かなり珍しいところでは鎌倉時代ってのもあったな。

 当然ながらそんな時代に個性は存在せず、そういう意味ではやはり時代劇に個性を盛り込むというのは、そもそも無理があるのかもしれないな。

 

「そういうものか。なら、今日の襲撃でも思う存分、昼間に見た時代劇の成果を発揮してくれ」

「アクセル、俺は別に時代劇を見たからといって、それに影響されるようなことはないぞ?」

 

 そうして言葉を交わしながら指示された会議室に入ると、既にそこにはイザークとオウカ、明日菜と木乃香と桜咲が既にいた。

 

「遅いじゃない、アクセル」

 

 俺を見た明日菜が、不満そうに言ってくる。

 

「いや、別に遅刻はしていないだろ?」

 

 約束の時間は午後5時だが、まだそれまで10分程の時間がある。

 ここに集まった中では一番遅かったのは事実だが、だからといって約束の時間前に来たのに遅いと言われるのは微妙に納得がいかない。

 

「ごめんなぁ、アクセル君。明日菜、実はちょっとその……ヴィラン? と遭遇してしまったらしいんよ」

 

 俺が不満そうにしている様子を見て、木乃香が明日菜が不機嫌な理由についてそう言ってくる。

 なるほど、どうやらヒロアカ世界特有の洗礼を受けてしまったらしい。

 ……まぁ、この辺に関しては今が8月という真夏であるのも大きく影響してるだろう。

 どの世界でもそうだが、夏になるとその暑さから犯罪は起きやすくなる。

 それはこのヒロアカ世界でも同じで、ヴィランの行動が活発になっていてもおかしくはない。

 ましてや、ただでさえヴィラン連合が……正確には開闢行動隊が林間合宿をしていた雄英のヒーロー科を襲撃したというニュースによって、ヴィランの行動が活発になっているのだから。

 そういう意味では、街中を歩いていた明日菜達がヴィランと接触するのはそうおかしな事ではない……のかもしれない。

 ましてや、木乃香は大和撫子と呼ぶに相応しく、桜咲は凛とした美貌を持ち、明日菜は……黙っていれば、間違いなく美人だ。

 そんな女が3人でいるのだから、ヴィランでなくても峰田や上鳴みたいな連中にしてみれば、ナンパをしようとしてもおかしくはない。

 あるいは明日菜が苛立ってるのは、ヴィランもそうだがナンパにうんざりしていたのかもしれないな。

 いっそムラタ……は明日菜とは相性が良さそうだけど、何かあったらすぐに斬りそうだから論外として、荒垣辺りを護衛として明日菜達と一緒に護衛をさせたらよかったかもしれないな。

 もっとも、荒垣は荒垣で本人の性格はともかく、外見はかなりの強面なので、そういう意味では危険かもしれないが。

 強面だからこそ、ヴィランに喧嘩を売られたり、あるいはヤンキーに喧嘩を売られたりとか、そういう風になってもおかしくはない。

 

「明日菜の不満はこれから行われるヴィラン連合の拠点を襲撃する際に発散してくれ」

「むぅ……」

 

 俺の言葉に明日菜は不満そう……とまではいかないが、それでも微妙な感じだ。

 もっとも明日菜は桜咲と一緒に木乃香の護衛だし、木乃香は回復役なので前には出ず、後方にいる。

 オールマイトを含む戦力と共にシャドウミラーもいる中で後方が襲われる事は……いや、ないとは言わないが。

 ヴィラン連合には転移の個性持ちの黒霧がいるので、もしかしたら陽動としてこちらの背後に転移してくる可能性もある。

 であれば、明日菜や桜咲も木乃香を守る為にしっかりと戦う事になるだろう。

 そういうのがない方がいいのは間違いないが……そうなると、明日菜の不満を晴らす事は出来なくなる。

 

「イザークとオウカの方はどうだった?」

「異形系だったか? そういう連中をそれなりに多く見る事が出来た」

 

 イザークのその言葉に、オウカも同意するように頷く。

 どうやらその様子からすると、こちらは特に何も問題はなかったらしい。

 明日菜達と同じくオウカも美人……それこそ大和撫子的な美人だ。

 だというのにナンパとかそういうのがなかったのは……イザークがいるからだろう。

 もっとも、イザークはイザークで顔立ちが整っており、こちらもまた美形と称してもいい。

 そうなるとナンパ……いや、逆ナンか。雪子城的な? ともあれ、そんな感じで逆ナンされてもおかしくはないのだが、どうやらそういうのもなかったらしい。

 あるいは、そちらの方はオウカが牽制していたのかもしれないな。

 ともあれ、異形系については……なるほど、ヒロアカ世界の住人にとってはいて当然といった様子かもしれないが、シャドウミラーのように他の世界から来た者達にしてみれば、かなり驚くべき光景だろう。

 

「こういう発展している場所だと、異形系も普通に暮らせるんだけどな」

「どういう事だ?」

 

 俺の言葉を聞いたイザークは、訝しげな様子でそう言ってくる。

 そうだな、これは別に隠しておく必要がある訳でもないし、喋ってもいいか。

 

「田舎では、異形系というのは迫害の対象になってる事も多いんだよ」

 

 どの田舎でも全てがそうだという訳ではないが、話を聞く限りだと結構な数の田舎ではそういう感じらしい。

 

「……ふんっ!」

 

 俺の言葉に、面白くないといった様子で鼻を鳴らすイザーク。

 イザークにしてみれば、コーディネイターがSEED世界でどのような目に遭っていたのかというのを思い出したりしたのだろう。

 もっとも、地球ではなくプラントにいればその辺の心配は必要なかったりするのだが。

 いや、寧ろプラントはプラントでナチュラルよりコーディネイターの方が進化した種族であるという論調が多かったりするのだが。

 理由はともあれ、イザークにとって田舎で異形系が差別されているのは面白くないことなのだろう。

 

「それで、俺達はそんな感じだったが、アクセルの方はどうだったんだ?」

 

 話題を変えようとしたのか、それとも単純に気になっただけなのか、イザークはそう聞いてくる。

 別に隠すような事でもないので、俺は素直に口を開く。

 

「俺の部屋で適当に時間を潰していたよ。ムラタはこのヒロアカ世界の時代劇に興味津々で、ずっと見ていたけど。……ああ、けど俺の部屋のシステムキッチンが高性能だからってことで、荒垣が昼食に豪華な料理を作ってくれたな」

「え? そうなん?」

 

 俺の言葉に木乃香が興味深そうに言ってくる。

 木乃香はそれなりに料理が得意だった筈なので、それだけにシステムキッチンに興味を示したのだろう。

 

「ああ。フォアグラのソテーとか、A5ランクの牛肉を使ったしゃぶしゃぶとか、エビフライとか」

「……どう考えても昼食に食べるメニューじゃないと思うんだけど」

 

 呆れの様子でそう言う明日菜。

 まぁ、うん。実際に昼食のメニューとしては豪華すぎると思うのは間違いない。

 そう思わないでもなかったが、今日これからヴィラン連合の拠点を襲撃する以上、豪華な夕食を食べているような余裕はないしな。

 あるいはヴィラン連合の拠点の襲撃がこれ以上ない程に上手くいったら、打ち上げとして派手に飲み食いをしたりしてもおかしくはない。

 普通に考えればそこまで上手くいくとはとてもではないが思えない。

 だが、俺達シャドウミラーが協力するのだから、そういう風に上手くいく可能性も……まぁ、ない訳ではない。

 

「俺の住んでいるマンションの1階が高級スーパーでな。システムキッチンを使うのに、色々と材料を買ってきて料理をして貰ったんだよ。そういう意味では、俺達は当たりだったな」

「……羨ましい」

 

 ポツリと、明日菜が呟くのが聞こえてきた。

 

「いや、明日菜は明日菜で木乃香や桜咲達とヒロアカ世界を楽しんで来たんだろ?」

「そうだけど、それでも羨ましいと思ったんだもん」

 

 そうしてやり取りをしていると、誰かがこちらに近付いてくるのを気配で感じる。

 俺から遅れ、他の者達もその気配に気が付いたらしく、視線を扉の方に向けていた。

 これがこのヒロアカ世界の住人であれば、気配を察知とかは出来ない……いや、あるいは中には出来る者もいるのかもしれないが、とにかく出来る者はかなり少ないので、もしここにヒロアカ世界の住人がいれば、何で全員がいきなり扉に視線を? と疑問に思ってもおかしくはないだろう。

 

「お待たせ……きゃっ! え? 何?」

 

 ちょうどそのタイミングで部屋に入ってきたミッドナイトは、会議室に入った瞬間に多くの者の視線を浴びて、驚きの声を上げる。

 

「ミッドナイトか。気にしないでくれ。気配を感じたから、皆が扉に視線を向けていたんだ。この状況だと仕方がないだろう?」

 

 そう言うと、ミッドナイトは微妙な表情を浮かべる。

 あ、これはあれだな。今の件は気にしていないものの、俺が以前ムウの名前を名乗ってミッドナイトと会ったのを、どう判断すればいいのか分からない感じなんだろうな。

 

「アクセルがそう言うのならいいけど……シャドウミラーって全員がそういう事を出来るの?」

「全員が完全にって訳じゃないけど、大体は出来るな」

 

 実際、この中では実働班の所属ではない明日菜も出来ていたし。

 桜咲も当然のように出来ていたが、それについては今さらだろう。

 この中では、唯一木乃香だけが出来なかったっぽい。

 まぁ、木乃香の場合は基本的に桜咲が側にいるし、気配を察知出来なくても困らないんだろう。

 ……あるいは気配を察知はしていたものの、単純にそれを表に出さなかっただけなのかもしれないが。

 

「気配を察知する件については置いておくとして、それでどうしたんだ?」

「え? ……ああ、すっかり忘れていたわ。バスの用意が出来たから、ヴィラン連合の拠点を襲撃する人達が集まっている場所に向かうわよ。顔合わせはしておいた方がいいでしょう?」

「顔合わせが随分と遅い気がするけどな」

「こっちにも色々とあるのよ。……雄英の教師達だけで出撃するのならそこまで気にしなくても良かったんでしょうけど」

「その言い方からすると、それなりに色々なプロヒーローが集まったのか?」

「ええ、アクセルの知り合いとなると、リューキュウやマウントレディもいるわね」

「あいつらが……いや、考えてみれば当然なのかもしれないな」

 

 俺が……シャドウミラーが今回の件に関わる以上、当然ながら俺の後見人であった龍子や優が参加するようなことになってもおかしくはない。

 本人の意思か、もしくは公安からの要望か……その辺は分からないが。

 ただ、龍子の性格からすると普通に自分から立候補してそうだ。

 そして龍子が立候補すれば、龍子とチームアップをしている優もそれに巻き込まれるのは当然な訳で。

 ……ただ、そうなると龍子の事務所にインターンで行っているねじれとかも参加したりしないだろうな?

 いや、勿論インターンに参加している以上は雄英側に実力を認められ、十分に戦力として数えられるというのは知っている。

 知ってはいるが……それでも今回のようにAFOがいる可能性が高い場所にねじれを連れていくのは……

 

「龍子が来るのはいいけど、龍子の事務所にインターンで行ってるねじれはどうなった?」

「え? ……さぁ? リューキュウの事務所で参加するというのは聞いてるけど、そうなると……そう言われれば、彼女はリューキュウの事務所にインターンで行ってたのよね」

 

 どうやらミッドナイトもねじれについては知っていたらしい。

 いやまぁ、ねじれは現在の3年の中でもビッグ3の1人として有名だ。

 また、同じ女というのもあって、ミッドナイトがねじれについてしっかりと知っていてもおかしくはない。

 

「ねじれも来ると思うか?」

「どうかしら。ただ、インターンで行っている以上、来ると言っても止める事は出来ないし、十分に戦力となるのは間違いないわ」

 

 この感じを見ると、どうやらミッドナイトはねじれが参加するのに賛成らしい。

 ……あるいは、これもまた青春だとか、そういう風に考えているのかもしれないが。

 

「大丈夫なんだよな?」

「あのね、雄英の3年……それもビッグ3と呼ばれているうちの1人よ? アクセルから見たら未熟かもしれないけど、一般的には戦力として数えられるだけの実力はあるわ」

 

 そう断言するミッドナイトに、それもそうかと納得するのだった。

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