転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4592話

 俺達が会議室の中に入り、プロヒーローは勿論、それ以外の者達……具体的には公安の目良であったり、USJの一件で話を聞いてきた刑事だったりに視線を向ける。

 どうやら結構な面々がこの場にはいるらしい。

 目良は俺を見ると小さく頭を下げ、刑事の方は微妙な表情を浮かべている。

 他にもプロヒーローの面々は俺を……俺達を見て微妙な表情を浮かべている者が多い。

 その理由としては、やはり単純に見た目の問題が大きい。

 俺は言うまでもなく現在は10代半ばの姿。

 イザーク、オウカ、明日菜、桜咲、木乃香は20代だ。

 荒垣は……まぁ、うん。荒垣も20代だが、こっちにはアウトロー的な迫力があるからあまり侮られているっぽい感じはしない。

 唯一この場で侮られたり、疑問の視線を向けられないのは、ムラタだろう。

 ムラタは見るからに強者といった雰囲気を出しており、到底侮る事が出来るような相手ではないのだろう。

 もっとも、ムラタの手にある日本刀を見て、何人かがピクリと反応していたが。

 このヒロアカ世界においては、個性というのが存在する割には銃刀法違反とか普通にあるんだよな。

 いやまぁ、この世界の住人にしてみればそういうのが普通ではあるのだろうが。

 ただ、異世界からやって来た俺達にしてみれば、その辺りが疑問だったりする。

 例えば、異形系の中には身体から刃物が生えてるような奴もいたりするらしい。

 そういう奴は、銃刀法違反にならないのか。

 あるいは鞘……というか、カバー? そういうのをつければ問題ないのか。

 その辺りについては、どうしても俺にとっては疑問ではある訳だ。

 ……とはいえ、だからといってすぐにどうこう出来るという訳ではないんだけどな。

 まだこの世界にあまり慣れていない俺達にしてみれば、その辺りが大きな疑問なのは間違いない。

 ただ、この先もヒロアカ世界と付き合うようになれば、そのうち慣れるかもしれないし。

 ともあれ、そうして俺達が入ると刑事が……USJの時の刑事が口を開く。

 

「今回のヴィラン連合襲撃の件についての説明をさせて貰う、塚内直正警部です」

 

 そう言い、男……塚内は一礼する。

 そんな塚内を見ても、特に誰も不満そうな様子を見せたりはしない。

 この辺りについては、恐らく前もって根回しをしておいたのだろう。

 

「雄英の林間合宿の際、ヴィラン連合……正確には開闢行動隊と称していたようですが、これはヴィラン連合の一部……恐らくはヴィラン連合の中でも精鋭と呼ぶべき者達だと推測されますが、その開闢行動隊に襲撃されました」

 

 塚内の説明に、プッシーキャッツの面々――ラグドール以外――が厳しい表情を浮かべる。

 開闢行動隊の襲撃によって仲間のラグドールを連れ去られたのだから、そのように思うのは分からないでもない。

 

「その際、何とか開闢行動隊を撃退する事に成功。その際、ヴィラン連合の黒霧が開闢行動隊の面々を回収していったのですが、その際にアクセル代表がフラッシュグレネードを投擲し、その結果としてこの神野区にあるとあるバーが丁度その時間帯に眩い光を発したという情報がありました。またそれ以外に脳無と呼ばれるヴィラン連合の兵士を培養している場所も発見されています」

「ちょっと待て。アクセル代表というのは、一体何だ? アクセルは雄英の生徒であって、この場にいる資格があるのか? それに、アクセルと一緒に来た者達は何だ? 見たところ、その殆どが若い奴しかいないように見えるが?」

 

 エンデヴァーの言葉に、俺の事情を知らない面々が同意するように頷いていた。

 あれ、俺達についての情報は大体話したと思っていたんだが、そんな感じじゃなかったのか?

 俺達は今日は夕方まで自由だったが、その間に他の面々に……ああ、いや。この襲撃がヴィラン連合に知られないように、この場にいるプロヒーロー達の多くは日中は普通にプロヒーローとして仕事をしていたんだんだったな。

 そうなると、ここに集まっているプロヒーロー達も俺やシャドウミラーについてはまだ殆どが知らないのといったところか。

 あるいはメールか何かで連絡をしていた……といった可能性もあるが、そうなればそうなったで色々と不味いことになるだろうしな。

 何しろこういう情報というのは一体どこから漏れるのか分かったものではないし。

 うっかり喋る……あるいは信じられないといった様子で誰かに尋ねるといったような事になると、シャドウミラーの存在が中途半端に広まる可能性がある。

 シャドウミラーと交渉をしている公安や、あるいは雄英にとってもそれは絶対に避けたいところだろう。

 

「アクセル・アルマーさんは、とある組織の代表です。その身元については公安で保証しましょう」

 

 目良がエンデヴァーにそう言う。

 目良にしてみれば公安という立場からしてそうしなければならないことではあったのだろう。

 だが、残念ながらプロヒーローの中には公安について疑惑の視線を向けている者もいる。

 だからこそ、目良の言葉を聞いたプロヒーローの中にはあまり良い顔をしない者もいる。

 ……とはいえ、公安というのはプロヒーローを纏める立場にいるのは間違いなく、正面から公安に向かって不満を言うような者はいない。

 あるいはオールマイトならNo.1ヒーローとして公安に対して不満を言えたりするのかもしれないが、幸い……と言ってもいいかどうか微妙だが、とにかくオールマイトは俺達の事情を知っている。

 それどころか、今のヒロアカ世界の中で一番シャドウミラーの恩恵を受けているのが誰かと言われれば、間違いなくオールマイトだろう。

 何しろAFOとの戦いで負った怪我を治療して貰ったのだから。

 魔法球の中でかなりの時間治療していたのは間違いないオールマイトは、量産型Wの技術を流用し、弱っていた組織とかを入れ替えたりしている。

 そういう意味では、半分量産型Wに近い……いや、そこまでいかないのか?

 とにかく、少し前までの弱っていた状態と比べるとかなり強くなってるのは間違いない。

 もっとも、OFAについては既に緑谷に譲渡しているので、個性についてはどうしようもないし、年齢からくる衰弱もあるので、トゥルーフォームとマッスルフォームの使い分けが重要になるのは間違いなかったが。

 

「とある組織だと? ……その言い方からすると、ヴィランではないんだな?」

「ええ、エンデヴァーが心配するようなことはありません。個性に似た力を使う集団……とでも言っておきましょう」

 

 その目良の言葉に、多くの者達が俺に視線を向けてくる。

 個性ではなく、個性に似た力というのが気になったのだろう。

 実際、魔力や気については才能の有無はあれども、訓練を重ねれば基本的には誰でも覚えられるようなものだしな。

 シャドウミラーの存在が公になれば、プロヒーローの中にも魔力や気を習得する者も出て来るだろうし、無個性で本来ならプロヒーローになれないような者でも、魔力や気を使ってプロヒーローになるような者も出てくるかもしれない。

 もっとも、このヒロアカ世界では個性が非常に大きな意味を持つ。

 個性至上主義……というのは少し大袈裟かもしれないが、とにかくそんな奴が多いのも事実。

 そういう者達にしてみれば、個性に取って代わる……それこそ個人で変わる個性とは違い、習得出来れば同じような能力で戦える魔力や気については、決して認めることは出来ないだろう。

 

「個性に似た力、か。……話は分かったが、実際にどれだけの力を持っているのか分からないのでは、今回の一件に協力して挑むことは出来ん。ここにいる面々は、プロヒーローとしてお互いの実力についてはよく分かっている。一緒に行動したことがない相手でも、ニュースやネット、あるいは口コミお互いの能力や実力は分かるが、アクセル達は違うだろう? ……いや、アクセルの場合は体育祭やステインとの一件である程度実力を分かっている者もいるが」

 

 エンデヴァーの視線が向けられたのは、イザークと荒垣だ。

 ムラタは一目で強者だと分かるので、今回は選択肢に入っていないのだろう。

 オウカ、明日菜、桜咲、木乃香の4人は……女だからというのが、この場合は大きいと思う。

 

「なら、どうする? 手合わせでもするか? 俺は構わんぞ」

 

 そう口にしたのはイザーク。

 エンデヴァーに侮られるように言われたのが不満だったのだろう。

 実際、イザークは生身でもそれなりにに強い。

 実働班全体の中では……中の下、甘く見て中の中といったところか?

 ただ、これはあくまでも実働班という、他のどの世界にいってもトップエースになれるだけの実力の持ち主達が集まっている中での中の下だ。

 それにイザークの本領はあくまでも生身の戦いではなく、人型機動兵器に乗っての戦いだ。

 イザークの場合は、ヒュッケバインMk-Ⅲだな。

 ……とはいえ、まさかヒロアカ世界でヒュッケバインMk-Ⅲを出す訳にもいかないし。

 

「ほう。元気な小僧じゃねえか」

 

 イザークの言葉に反応したのは、グラントリノ。

 何故かそんな風にやる気満々といった様子のグラントリノの後ろでは、オールマイトが慌てた様子を見せているが……何なんだろうな。

 エンデヴァーの方は、グラントリノが前に出たのを見て、それ以上は何も言う様子はない。

 エンデヴァーの性格を考えると珍しいと思ったが、そういえばこの2人、ステインの一件で脳無と戦った時に共闘していたな。

 その時のことを思えば、こすいてやる気満々になってもおかしくはない……のかもしれない。

 あくまでも俺の予想だが。

 

「目良、どうする? 俺としては、一度戦いを見せておいた方が双方共にこれから協力して戦う上で、良い結果が出るとおもうけど」

 

 今回のヴィラン連合の拠点の襲撃、俺達は基本的にサポートというか、裏方に回るつもりだった。

 それは今も変わってはいないが、サポートするにしろヒロアカ世界側とシャドウミラー側でお互いの実力が分かっているのといないのとでは大きく事情が違ってくる。

 勿論お互いの実力を知らなくても最低限の協力は出来るだろうけど、お互いの実力を知っていた方がより深い協力が出来るのも事実。

 

「……出来れば大一番を前に、主戦力となる方々にはあまり消耗して欲しくはないのですが……今回は仕方がないでしょう。ただ、当然ながらこの場で戦うのは危険なので、しっかりと運動出来る場所まで移動しましょう」

 

 目良のその言葉に、俺達は全員その場から移動するのだった。

 

 

 

 

 

「ホテルにこういう場所があるんだな」

 

 先程の会議室から移動したのは、体育館と呼ぶべき場所だった。

 もっとも、そこまで大きくはない。

 具体的には、バスケットボールのコートが一面分くらいだから……小体育館とか、体育館(小)とか、そんな感じの場所だな。

 

「このホテルは公安とも関係がありますしね。公安の人員の腕が鈍らないように簡単に身体を動かせるような場所を用意するくらいは当然でしょう」

 

 そう言う目良の言葉は、どこか自慢げだ。

 公安用の施設だけに、自慢出来るのが嬉しいとか?

 ただ、見た感じでは別に公安専用の体育館……運動場といった様子ではなく、普通に一般人が使ったりも出来そうな場所だけどな。

 

「それが役に立ってよかったな。……それより、さっさとやるぞ。ヴィラン連合の拠点を襲撃するまであまり時間もないし」

「そうですね。では、グラントリノとそちらの……」

「イザークだ」

「イザークさんは前に出て下さい。アクセル代表が口にしたように、今日はこれからが本番です、この戦い……模擬戦で熱くなりすぎて、この後の仕事に影響がないようにして下さいね」

 

 そう言うと、イザークとグラントリノが前に出る。

 

「ねぇ、アクセル。そっちのイザークって子、強いの?」

 

 聞き覚えのある声に視線を向けると、そこにはピクシーボブとマンダレイの姿があった。

 虎は……と思ったらな、何故かムラタと何かを話している。

 いや、どんな組み合わせだよ。

 そう思ったが、2人の性格を知っている俺にしてみれば、意外とあの2人の相性は悪くないのもしれないなと思いながら、ピクシーボブに向かって口を開く。

 

「そうだな。強いか弱いかで言えば、間違いなく強いと思う。それこそエンデヴァーやオールマイトとやり合えるくらいにはな」

「なら、次は私が戦ってもいいぞ!」

 

 そうミルコが俺の隣に着地しつつ、言ってくる。

 まぁ……うん。ミルコの性格を思えば、イザークと戦いたいと思ってもおかしくはない。

 いや、寧ろ今まで黙って様子を見ていた方が驚くべき事だろう。

 あるいは誰かに止められていたのか。

 

「イザークはグラントリノと戦うみたいだから、ミルコが戦うとしたら荒垣と戦え」

「おい、アクセル。てめえ何言ってやがる!」

 

 少し離れた場所にいた荒垣が不満そうに叫ぶ。

 

「なるほど、あいつか。ならちょっと行ってくる」

 

 そう言い、ミルコは荒垣の方に向かう。

 

「それで、アクセル。随分とこの世界の美人と仲良くなってるのね」

 

 ミルコがいなくなったと思ったら、今度は何故か明日菜が俺を責める視線で見ながら、そう言うのだった。

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