転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4597話

「は? ピザ屋? ……いやまぁ、それがこっちの流儀ならそれに従うけど」

 

 目的のバーの近くにある建物から住人を避難させるのが大体終わり、いざバーに突入……という事になったのだが、何故かその突入をする際にピザ屋の振りをするという事になったのだ。

 何で? とそう思ったのは俺だけではなく、他のシャドウミラーの面々も同様だった。

 もっとも、だからといって反対する明確な理由がある訳でもないので、結局それを受け入れる事になったのだが。

 

「いいかい、アクセル少年……いや、アクセル君。勿論私も、ピザ屋だからといって相手が素直に引っ掛かってくれるとは思っていない。だが、それでもピザ屋だと名乗ってすぐ……数秒は、『何故?』といったように疑問に思い、動きが止まるだろう。ましてや、向こうにしてみればこんなに短時間でいきなり私達が……プロヒーローが襲撃してくるとは思っていない筈だ。であれば、少しでも隙を作れるというのは大きい」

 

 そうオールマイトが説明すると、なるほどと思う。

 ヴィラン連合を長時間騙すといったようなことをする必要はなく、あくまでも一瞬……あるいは数秒、出来れば十数秒動きを止めることが出来れば、それは大きな意味を持つ。

 であれば、俺にとっては不満を言う必要はないだろう。

 ……もっとも、相手の意表を突くだけなら、わざわざピザ屋を装うようなことをしなくても、影のゲートを使って奇襲を仕掛ければいい。

 ヴィラン連合にも黒霧という転移の個性を使える奴がいるから、もしかしたら俺の影のゲートに何らかの反応を示す可能性はある。

 可能性はあるのだが、それでもやはり相手の意表を突けるという意味では非常に大きい。

 そうだな、俺達シャドウミラーは基本的にプロヒーロー達のフォロー役だし……

 

「なら、提案だ。そもそもバーの扉そのものはそこまで大きな訳じゃないし、ここにいるプロヒーロー達が一気に中に入るのは難しい筈だ。ましてや、オールマイトやエンデヴァー、ギャングオルカのように身体の大きい連中もいるし」

 

 もっとも扉を破壊し、扉の周辺の壁をも破壊してしまえば、身体の大きな者達でも一気に中に突入するといった事も出来るだろう。

 ただ、それでも破壊しすぎれば最悪建物が崩壊してしまう可能性もある。

 ……まぁ、オールマイトを始めとしたトップヒーローがバーの中で戦闘するような事があれば、その時点で建物全てが崩壊してもおかしくはなかったりするのだが。

 ともあれ、扉の大きさから考えても一度にバーの中に突入する人数が限られるのは間違いない。

 なら、俺を含めたシャドウミラーの面々……俺、ムラタ、イザーク、オウカ、荒垣の5人がプロヒーロー達と一緒に行動する必要もないだろう。

 そもそも俺達は、あくまでもフォローが役目なのだから。

 

「俺は影のゲートという、転移魔法を使える。それを使えば、一気にバーの中に転移出来る。オールマイトがピザ屋の振りをしてヴィラン連合の動きを一瞬止めたら、そのタイミングで俺達も影のゲートを使ってバーの中に突入する。……どうだ?」

「なるほど。……アクセル君はそのような魔法も持っていたのか……」

 

 あれ? オールマイトって俺の影のゲートについて知らなかったか?

 ふとそう思ったのだが、オールマイトの様子を見る限りだと、教えてなかったか、あるいは話しても忘れていたのか。

 その辺りは俺がどうこうといったことを考えても意味はないし、気にしないようにしておくか。

 

「そうだな。シャドミラーではポピュラーな魔法……って訳じゃないけど、そういう魔法も存在する」

 

 今のシャドウミラーにおいて、俺とエヴァだけが使える転移魔法だ。

 ……あるいはレモン辺りなら影のゲートを使えてもおかしくはないと思うが、今のところレモンが使っているのを見た事はない。

 あるいは将来的に……このヒロアカ世界が正式にシャドウミラーと国交を結び、魔法使いとかがこの世界にやって来るようになったり、あるいはこの世界の者達がホワイトスターに行って魔法使いの弟子になったりした場合、このヒロアカ世界でも個性とは関係なく、魔法で転移が出来るようになる奴が出て来ないとも限らない。

 もっとも、あくまでもそうなるかもれしれないという予想だけの話で、実際にどうなるのかはやってみないと分からないが。

 

「で、どうだ? バーの扉や周囲の壁を破壊して中に突入するにしても、俺が中から攻撃したりすれば、ヴィラン連合にも対処は難しいと思わないか?」

「……私はそれでいいと思う」

「オールマイト!?」

 

 オールマイトがあっさりと俺の提案を受け入れたのが意外だったらしい。

 エンデヴァーが驚きの表情を浮かべ、オールマイトの名前を呼ぶ。

 あれ? これ……もしかしたら、エンデヴァーはオールマイトが俺の提案に反対するとか、そんな風に思っていたのか?

 まぁ、エンデヴァーにしてみれば、シャドウミラーというのは色々な意味で怪しい存在だ。

 さすがに公安の後ろ盾がある以上、俺達がヴィラン連合と繋がっているとか、そういう風には思っていないだろうが。

 それでも完全に俺達を信じるといった事は出来ないのだろう。

 

「エンデヴァー。彼なら……彼らなら信じられる」

「……ふんっ」

 

 オールマイトが俺達を信じられると言うと、結局エンデヴァーは不機嫌そうにしながらも、それ以上文句を言う様子はなかった。

 

「よし。じゃあ話は決まったな。……明日菜、そっちはそっちで頼む」

「分かってるわよ。怪我をしても木乃香が治すから、安心してちょうだい。その木乃香は、私と刹那さんで絶対に守るから」

 

 明日菜がそう言うと、明日菜の側にいた桜咲も任せて欲しいと手にした太刀を握る。

 ……木乃香の回復魔法は間違いなく一級品だ。

 そういう意味では、ここに木乃香がいるのはリカバリーガールがいる以上に治療には期待出来る。

 そのような木乃香を守るのだから、明日菜と桜咲という戦力を用意するのはおかしな話ではない。

 ないのだが……それでも、明日菜や桜咲がこっちにいれば、十分な戦力になっただろうにとは思う。

 いや、桜咲の場合は決して木乃香から離れるような事はないのだろうから、もし戦力として使えるとしても、明日菜だけだが。

 ましてや、今回の襲撃はあくまでも逮捕が目的で、相手を殺す訳ではない。

 そういう意味でも、明日菜向けではあるんだよな。

 明日菜は人を殺すといった経験はしていないが、純粋な戦闘能力そのものはかなり高い。

 本人の戦闘センスもあるが、やはり咸卦法が強いんだよな。

 とはいえ、本人の戦闘センスはあるものの、進んで戦闘をしたい訳ではない……まぁ、あやかを相手にすれば話は別だが。

 俺がネギま世界に行った時から……正確にはその前、明日菜やあやかが小学生の時から、ずっと喧嘩友達的な感じだったらしい。

 まぁ、木乃香に言わせれば親友という話らしいし、俺もそれには納得したのだが。

 ともあれずっとそんな感じで来たので、今でも明日菜とあやかがホワイトスターで遭遇すると言い争いになったりするらしい。

 時には言い争いだけではなく、実力行使になったりもするとか。

 お互いに大人になっても、子供の頃からの付き合いのある相手だけに、どうしてもそういう感じになるのだろう。

 だからといって、他人がどうこう言っても意味はなかったりするのだが。

 あるいはそうした喧嘩が模擬戦として役立っているのかもしれないな。

 

「取りあえず明日菜達はそれでいいとして、俺達だ。……最優先で鎮圧する必要があるのが、身体が黒い霧で出来ている黒霧だ。転移の個性持ちで厄介な相手だというのは、以前説明したから分かるよな?」

 

 そう言うと、突入組はそれぞれが真剣な表情で頷く。

 俺やエヴァの影のゲートといった転移魔法を知っているだけに、余計にその危険性については理解出来てしまうのだろう。

 ……そういう意味では、個性の転移の方が魔法の転移よりも使いやすいのかもしれないな。

 何しろ魔法で転移を使えるようになるのは、非常に高い才能が必要になるのだから。

 魔法というのは、ある程度……一定程度までなら、余程の例外でもない限り習得出来る。

 ちなみにこの余程の例外というのは、例えば高畑のように呪文の詠唱が出来ない体質とか、そういう者達だな。

 だが、それは本当に例外の話でしかない。

 しかし……そうやって魔法を使えるようになっても、一定以上の魔法を使うにはどうしても才能が必要になる。

 例えば野球にしろサッカーにしろ、誰でも遊ぶことは出来る。

 真面目に練習をすれば、小学校や中学校ならレギュラーに選ばれることも難しくはないだろう。

 だが、これが全国大会常連校のような強豪校でレギュラーになれるのか、あるいはそこで更に目立ってプロとしてやっていけるのか、もしくはプロになった上で国の代表になってオリンピックや世界大会に出場出来るのか、あるいはメジャーリーグであったり、欧州のプロリーグで活躍出来るのか。

 同じスポーツをやっていても、一定以上はどうしても才能が必要となる。

 魔法についても、難易度の高い魔法はその才能が必須になる。

 そして影のゲートを始めとする転移魔法も、その才能がいる一部の魔法に入っている訳だ。

 それと比べると、黒霧は才能とかそういうのを完全にスルーして、転移が出来る訳だ。

 ……もっとも、個性として転移を持っている以上、他の個性は当然ながら使えないが。

 例えば、氷とか風とか、あるいは増強系とか。

 そう考えると、突出した才能がないと使えない転移魔法と同じ事が自由に出来るというのと、自分の個性以外の個性は使えないというのは……どうだろうな。

 黒霧のように転移とかのような個性ならそれでもどうにか出来るかもしれないが、例えばちょっとした魔法……『火よ灯れ』の魔法を個性で使えるだけとなると……うーん、不憫だ。

 ともあれ、そんな訳で、個性は個性、魔法は魔法で便利だったりそうでもなかったりと、色々とある訳だ。

 個人的にはそれはそれでどうかと思わないでもないが……まぁ、その辺については今更の話か。

 俺がここでどうこう考えても意味はない。

 

「個性か。……そう考えると厄介だな」

 

 荒垣が面倒臭そうに言う。

 ……ただ、そういうペルソナだって大概だからな?

 本人はペルソナを使い慣れているのもあってか、あまりそういう認識はないようだったが。

 

「斬ればいいのだな」

「斬ってもいいけど殺すなよ」

 

 日本刀を手に呟くムラタにそう突っ込んでおく。

 ここで注意しておかないと、普通に斬り殺しそうだし。

 個人的にはヴィラン連合に所属する者達は軒並み殺してもいいと思うんだが、それはあくまでも俺の考えだ。

 このヒロアカ世界の常識で考えると、プロヒーローがヴィランを相手であっても殺すと大きな騒動になる。

 ……ましてや、俺達はプロヒーローという訳ではなく、シャドウミラーだ。

 このヒロアカ世界の常識で考えれば、全く理解出来ない存在ということになる。

 だからこそ、こうしてムラタに殺さないように言っておく必要があった。

 ヒロアカ世界とシャドウミラーの関係が一体どういう感じになるのかは、生憎と俺には分からない。

 だが、それでもこれからのことを思えば、その辺りはしっかりと対策をしておいた方がいいのは間違いなかった。

 この世界と友好的な関係を結んだ後で、実はシャドウミラーの面々がヴィラン連合に所属する者達を殺していたというニュースが流れたりしたら、それこそ洒落にならないし。

 特にヒロアカ世界は個性が存在するという意味で、非常に興味深い世界だ。

 そう考えれば、この世界との関係はあまり壊したくない。

 荒垣のいるペルソナ世界もそういう意味では貴重な世界ではあるのだが、ペルソナ世界にはペルソナを使える者は非常に希少だ。

 それに対して、ヒロアカ世界では個性の効果の差はあれど、大半の者達が個性を使える。

 そういう意味では、このヒロアカ世界との関係はそれなりに重要なものであるのは間違いないのだ。

 もっとも、だからといって絶対に必要という訳ではなく、切り捨て……いわゆる、損切りをする必要があるのなら、躊躇する事はないが。

 ただ、出来ればそうならないようにしたいと、そのように思うのも事実ではある。

 具体的にどうなるのかは、それこそ実際にシャドウミラーについて公表するまで分からないだろうが……とにかく、今はまずヴィラン連合の拠点の襲撃の件だな。

 

「俺達がこれからこの世界とどう関わっていくのか……その辺りについては、今回の戦いの一件で決まると思う」

 

 そう言うと、イザークとオウカ、荒垣が頷く。

 ……荒垣は正式なシャドウミラーの所属ではないんだが……まぁ、外見とは違って真面目だしな。

 ムラタは、その辺については特に気にした様子もなく、俺の言葉にも頷いたりしないでスルーしていたが。

 

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