転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4602話

 上空から降ってきたオールマイトは、そのままの勢いでAFOに向かって拳を振るう。

 

「全て返して貰うぞ、AFO!」

 

 だが、その一撃をAFOはあっさりと受け止め、口を開く。

 

「また僕を殺すか、オールマイト」

 

 その言葉と共に、AFOの立っている地面は爆発する。

 いや、正確には爆発ではないだろう。

 オールマイトの一撃を受けたAFOが衝撃を地面に流した形だ。

 だからこそ、今のオールマイトとの一撃が並大抵のものではないのは明らかだ。

 さて、そうなると……AFOの相手はオールマイトに任せた方がいいだろう。

 なら、俺は何をするか。

 普通に考えればシラタキを始めとしたヴィラン連合のヴィランを取り押さえる方がいいのだろうが……あるいは、俺がオールマイトと共にAFOを倒してしまった方がいいのかもしれないな。

 轟っ、と。

 AFOを中心にして衝撃波……いや、風? とにかくそんなのが放たれ、周辺の土埃を盛大に巻き上げ、それどころか周辺の建物にも被害を与える。

 ちっ、これは……緑谷達をどうにかした方がいいな。

 どうやらAFOは勿論、オールマイトも緑谷達の存在に気が付いていない。

 そうなると、最悪オールマイトの攻撃によって緑谷達に被害が出かねない。

 

「うおっ、くそっ!」

 

 どん、と。

 そんな中、不意に銃声と悲鳴……ではないものの、悔しそうな声が聞こえてくる。

 そちらに視線を向けると、そこでは以前魔獣の森で見たマジシャンっぽいヴィランが後ろに下がっている。

 ……なるほど、どうやら周辺に舞い上がった土埃を利用し、爆豪に近付こうとしたらしい。

 あのマジシャンの個性は触れた者、あるいは物をビー玉のようなものにするというものだ。

 実際に緑谷達から話を聞いた限りだと、林間合宿の時に爆豪が連れ去られたのはその個性によってのものだったらしい。

 であれば、今回も同じように個性を使って爆豪をビー玉にして確保しようとしても、おかしくはない。

 だが、刈り取る者を護衛につけておいたのが幸いし、あの銃身が異様に長い拳銃で撃たれ、距離を取ったのだろう。

 刈り取る者の一撃を回避することが出来たのは素直に凄いと思う。

 あるいは刈り取る者にしてみれば、最初から命中させるつもりはなく、あくまでも牽制での一撃だったのかもしれないな。

 とにかく、刈り取る者に護衛をさせているとはいえ、このままにしておくのも不味いのも事実。

 となると……ここはやはり、緑谷達に預ける、あるいは緑谷達諸共に影のゲートでどこかに移動させた方がいいか?

 オールマイトとAFOの戦いはかなり派手な戦いとなっている。

 だが、爆豪がいればオールマイトが本気を出すような事は出来ないだろう。

 いやまぁ、それを言うならヴィラン連合の面々がいるのにAFOが本気を出せるのかというのがあるが、ヴィランであるのを考えれば、その辺は普通に出来てもおかしくはない訳で……そうだな、やっぱり爆豪についてはこっちで引き受けた方がいいな。

 

「オールマイト、爆豪は俺が引き受けた。お前はAFOの相手に専念しろ」

「助かる、アクセル君!」

 

 そんなオールマイトの返事を聞きつつ……AFOの前で俺の名前を口にするのはどうよ? と思わないでもなかったが、AFOとの戦いの中で俺に返事をしてくるのだから、その辺りについて考えている余裕はなかったのだろうとも思う。

 ……気のせいか、周囲に破壊を撒き散らかすAFOの攻撃が少し弱くなった気がする。

 オールマイトが俺の名前を呼んだのが原因なのか、それともまた何か別の理由があってのものなのか。

 その辺りは生憎と俺には分からなかったものの、爆豪を助け出すというのを考えれば、AFOの攻撃が弱まったのは俺にとってラッキーな事なのは間違いなかった。

 

「爆豪、避難するぞ。刈り取る者はヴィラン連合を牽制しろ、こっちに攻撃を仕掛けてくるようなら、銃の一撃を当てても構わない」

「ちょっ、おまっ、何言ってんだゴラァッ! ヴィランが相手でも、銃を当てていい訳がねえだろうが!」

 

 予想外な事に、爆豪が刈り取る者に対する俺の命令に反応する。

 いや、それを言うのなら雄英の教師のスナイプはどうなるんだ?

 そう突っ込みたくなったが、今はそんな事に対して突っ込んでいるような余裕はない。

 今の俺がやるべきなのは、とにかく爆豪を……そして緑谷達をこの場から引き離す事だ。

 

「うるせえ。お前がいるとオールマイトが本気で戦えないんだ。オールマイトの足手纏いになりたいのか?」

「ぐっ……」

 

 俺の言葉に不満そうに呻くものの、反論は口にしない。

 爆豪は普段の態度が色々とアレだが、決して頭が良くない訳ではないので、自分がオールマイトの足手纏いになっているのは理解しているのだろう。

 だからこそ、俺の言葉に反論は出来なかった。

 そんな訳で黙り込んだ爆豪の襟首を掴み、緑谷達のいる方に向かう。

 瞬動……といきたいところだが、爆豪の襟首を掴んだ状態で瞬動を使えば、最悪爆豪の首の骨が折れてしまうかもしれないし、あるいは捻るかもしれない。

 さすがにそんなことになるのは俺としても寝覚めが悪いので、瞬動を使わず普通に移動する。

 

「げほっ、ごえっ、げぼっ!」

 

 襟首を持って引っ張られた爆豪が派手に咳き込んでいるものの、その件については俺は気にしない。

 それこそ今この状態で爆豪から手を離したりしたら、それはそれで不味いというのは容易に想像出来た為だ。

 そうして、オールマイトとAFOが戦っている場所から少し離れた…塀? 壁? とにかくその向こう側にいる緑谷達の側に着地する。

 緑谷に、飯田、切島、轟、ヤオモモ……5人か。

 何故仮装しているのは、ちょっと分からないが。

 ヤオモモがいるのに三奈や葉隠がいなかったり、緑谷と飯田がいるのに麗日がいないのは疑問だが。

 ただ、今はまずここにいる連中を避難させるのが先だ。

 ……本来なら、何故生徒のお前達が今ここにいるのかといった事を注意しなければならないのだろうが、今はそんな注意をしている暇はないし、何よりこれは多分原作のイベントなのだろうというのは緑谷がここにいる事で容易に予想出来た。

 ヴィラン連合に連れ去られた爆豪を取り戻すという意味で、原作の流れっぽいしな。

 ただ……そう考えると、もしかしてやってしまったかもしれないな。

 もしかしたら……本当にもしかしたらの話だが、原作だと緑谷はここでオールマイトと共にAFOと戦っていた可能性は十分にある。

 だとすれば、これはまさに最悪の出来事でしかないだろう。

 何しろ、俺がこうして介入した為に、ラスボスなのだろうAFOと原作主人公である緑谷が戦う機会がなくなってしまったのだから。

 まぁ、その辺は自主訓練でより厳しく鍛えればそれでいいか。

 そう思いながら、俺は緑谷に声を掛ける。

 

「お前達がここにいると、オールマイトが全力で戦えない。ここから避難するぞ」

 

 突然現れた俺を、当然ながら緑谷達は警戒する。

 ただ、それでも即座に構えたりしなかったのは、俺とAFOのやり取りをここから聞いていた……つまり、俺がプロヒーロー側の味方であると、そう認識していたからだろう。

 ……あるいは単純に、AFOやヴィラン連合と互角にやり合うだけの実力を持っている相手だと認識しているからか。

 もしくは、俺が爆豪と一緒に黒い泥で転移してきたのを見ていたから、というのも大きいのかもしれない。

 ともあれ、怪しんではいるが敵であるとは認識していない……そんな感じなのだろう。

 となると、まずはどうにかして俺を信じさせる必要がある。

 そう判断した俺は、ヤオモモに視線を向ける。

 

「ヤオモモ、俺を信じろ」

「え? ……え?」

 

 まさか自分が呼ばれるとは思わなかったのか、ヤオモモは驚きを……うん? あれ? 何でそこまで大きく驚く?

 変装……仮装? とにかくそんな感じで、いつもの制服姿よりは若干、本当に若干だったが大人びた様子を見せているヤオモモが驚いているのを疑問に思うが、轟っ、と壁の向こう側からもの凄い音が聞こえてくる。

 どうやらオールマイトとAFOの戦いが本格的に始まったらしい。

 何故かヤオモモが驚いているのは……あるいは、俺の側にいる刈り取る者が影響してるのか?

 まぁ、刈り取る者はどこからどう見ても味方には見えない。

 それこそヴィランと呼ぶに相応しい外見をしているのだから、それも無理はないか。

 ただ、それでも刈り取る者は爆豪を守っていたのだから、事情を理解していれば刈り取る者を敵であると認識したりはしないだろう。

 そもそもの話、爆豪を味方だと……プロヒーロー側だと認識している者であれば、外見や態度だけでヴィランであるとは認識しないだろう。

 ……それはちょっと大袈裟か?

 いや、でも爆豪の普段の態度やその外見からすると、ヴィランと間違えられても決しておかしくはない。

 なら、刈り取る者もきちんと味方だと思って欲しいというのは、そうおかしな話ではない……と思う。

 実際のところ、その辺の判断は人によって違うので、俺がそう思うからそうだという風にはならないのだろうが。

 

「時間がない、早く決めろ。今ここにずっといて、オールマイトの戦いの邪魔をするか、それとも俺と一緒にこの場から避難してオールマイトの邪魔にならないようにするか。時間はないぞ」

 

 決めろと言ってはいるが、実質的に選択肢は存在しない。

 もし俺を怪しんで行かないと口にするのなら、それこそ強引にでも連れて行く必要がある。

 そう思っていると、不意にこちらに近付いてくる気配を感じる。

 それも歩いてくるのではなく、飛んで……あるいは跳んで? くるといった感じの動きだ。

 

「刈り……」

 

 刈り取る者と、こちらにやって来る存在……恐らくはヴィラン連合の誰かを止めるように刈り取る者に指示を出そうとした瞬間、どん、と。

 何かが落ちてくる。

 その何かが人の身体だと……巨大化したマウントレディの手だと理解する。

 巨大化したマウントレディの手は、壁の向こうからこちらに向かって突っ込んで来ていたヴィラン……マウントレディの手によって潰されたようなので、それが具体的にヴィラン連合の誰なのかまでは分からなかったが、とにかくそのヴィラン諸共壁を破壊したのだ。

 

「マウントレディ!?」

「……ふふ……少しは……良いところ、見せ……行き……セル……」

 

 息も絶え絶えといった様子のマウントレディは、まさに最後の力を使って俺達のフォローをしたのだろう。

 ちっ、出来ればマウントレディも連れて転移したいところだけど、それは後回しだな。

 とにかくまずは、緑谷達を避難させるのが先決だ。

 この出来事は間違いなく原作の中でも大きなイベントとなるのは間違いない。

 だが、そこに俺が介入した影響によって、緑谷達が戦いに巻き込まれ……怪我をする程度ならともかく、意識不明の重体……どころか、最悪死んだりしてもおかしくはないのだ。

 だからこそ、俺としては緑谷達を絶対にここから避難させる方が先だった。

 

「マウントレディ、すぐに戻る」

「ふふ……」

 

 俺の言葉に笑みを浮かべると、次の瞬間には意識を失って地面に崩れ落ちた。

 恐らくAFOにやられた時点で限界ではあったのだろう。

 だが、そんな中でこうして一時的にしろ限界を超える事が出来たのは、マウントレディの持つ素質のおかげか、あるいは俺との訓練の影響なのか。

 ともあれ、それでも最後の力を振り絞ったのは間違いなく、今は完全に気を失い、身体の大きさも縮み始めていた。

 

「マウントレディ!?」

 

 緑谷が叫ぶも……

 

「マウントレディが限界を超えて時間を作ったんだ。それでもまだ迷うのか?」

 

 そう言うと、緑谷は……そして他の面々も決意を固めたのか、こちらに視線を向けてくる。

 ヤオモモだけは、若干訝しげというか、疑問の表情を浮かべてもいたが。

 

「おら、いくぞデク! オールマイトの邪魔をする訳にはいかねえだろうが!」

 

 爆豪が不満そうな様子で叫ぶ。

 そんな爆豪の言葉に、緑谷はすぐに頷く。

 

「分かったよ、かっちゃん」

 

 そうして緑谷も頷くと、改めて俺に視線を向けてくる。

 

「それで、どうすればいいですか?」

「別に難しい事じゃない。全員、俺の周囲に集まれ。それだけでいい」

「え?」

 

 まさかそんな事を指示されるとは思っていなかったのか、緑谷が訝しげな声を上げる。

 

「急げ、説明してる時間はない。こうしている今もオールマイトは俺達に被害を出さないように戦っているんだぞ」

 

 そう言いつつ、俺は刈り取る者に視線を向ける。

 その視線だけで刈り取る者は俺が何を言いたいのか理解したのだろう。

 あっさりと俺の影に沈んでいく。

 

「え? ちょ……おい!?」

 

 刈り取る者が消えて行く様子を見た切島が驚きの声を上げるも……今はそのようなことをしている余裕はない。

 そんな訳で、全員が俺の周囲に集まると……

 

「うわぁっ!」

「きゃあっ!」

「な、何だこれは!?」

「おいおいおいおい!」

 

 そんな声を上げつつ、全員が俺の影に沈んでいくのだった。

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