転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4608話

 グラントリノとの話が終わり、現場――という表現でいいのかどうかは微妙だが――に戻ってくる。

 そこでは既に警官が多く集まっており、現場検証をしていた。

 危ない場所……崩れそうな瓦礫については、プロヒーロー達が既に片付けているので、本当の意味で現場検証と言ってもいいのかどうか、少し微妙ではあるが。

 ただ、それでもこうしてみる限りだと、そう間違っていないように思える。

 そして、AFOを運ぶ為の拘束具……と言っていいのかどうかは分からないが、とにかくそんなのも到着していた。

 意識がないAFOを数人掛かりで立ち上がらせ、拘束していく。

 それを見ていると、AFOの警戒はもういいと判断したのか、オールマイトがこっちにやってくる。

 

「アクセル君、お師匠も……一体どこに行っていたんです?」

「けっ、お前が気にするような事じゃねえよ」

 

 グラントリノがオールマイトの問いに、不機嫌そうな様子で言う。

 ……オールマイトの心配をしていた筈なのに、それを表情に出さないってのは素直じゃないな。

 もっとも、それがグラントリノらしいのかもしれないが。

 そんな風に考えていると、オールマイトが手を出してくる。

 

「ん?」

「アクセル君のお陰で、AFOを倒せたんだ。それを考えると、感謝しかない」

 

 ああ、なるほど、握手か。

 

 オールマイトの様子に少し驚きながらも、俺は素直に握手をする。

 すると、先程のヘリではないが、いつの間にか地上にも……規制線の向こう側にいたTVカメラとリポーターがこっちに気が付き、TVカメラを向けてくる。

 リポーターが興奮した様子で何かを言ってるようだったが……そんな中、オールマイトは俺と握手をしていない方の手をTVカメラに向け、口を開く。

 

「次は君だ」

 

 そう言うオールマイトの言葉に、一体どういう意味があるのかは俺にも分からない。

 それこそオールマイトのファンである緑谷が聞けば、オールマイトが何を言いたいのか分かるかもしれないが。

 ただ、次は君だと誰かに託すかのような言葉を口にするのは……どうなんだ?

 いやまぁ、長年、それこそ何十年もNo.1ヒーローとしてやって来た事を考えれば、そういう言葉を口にしてもおかしくはないと思う。

 思うのだが、しかしそれでもやはりちょっとそれはどうだ? という風に思えてしまうのも事実。

 ただ、そのように思ったのは俺だけで、他の者達……今のオールマイトの言葉を聞いたヒロアカ世界の住人達は、全員が強い衝撃を受けたように、あるいは感動したかのような態度を取っていた。

 うーん、これは……俺やシャドウミラーの面々にとってはそこまで大きな衝撃を受けるようにな言葉には思えなかったんだけど。

 この辺はヒロアカ世界ならではの何かがあるのかもしれないな。

 とはいえ、その件については俺がどうこう考えても多分意味がないので、その辺は気にしないようにする。

 そうして取りあえずオールマイトの『次は君だ』宣言が終わると、俺は少し離れた場所でオールマイトと話をする。

 

「アクセル君、君には……いや、君達には本当に助かった。それに奴にも君の事を誤解されてしまったままだ」

 

 俺が誤解というのが、何について言ってるのか……それは明らかだった。

 

「OFAの事か? まぁ、気にしていないと言えば嘘になるけど、その辺についてはグラントリノとも色々と話したしな」

「お師匠と……」

「それに、AFOはどうやってか分からないが、今の俺をアクセル・アルマーだと……アークエネミーと名乗っているヒーロー科の生徒のアクセル・アルマーだと察したようだったしな」

「あれか。……私も一体何故ああもあっさりと見破られたのか、全く理解出来ない」

 

 苦々しげな様子でオールマイトが言う。

 実際、その辺りについては俺も分からないというのが正直なところだ。

 一体どうやってAFOは俺がヒーロー科のアクセル・アルマーだと認識したのかは分からない。

 AFOがラグドールからサーチの個性を奪ったのは間違いないが、サーチを俺に使っても認識出来ないというのはラグドールが実際に試して分かっている。

 ……あるいは、AFOはラグドール以上にサーチという個性を使いこなしているのかもしれないが、それはそれで若干疑問が残るのも事実。

 個性を奪ったばかりで、その個性を存分に使いこなせるのか? と。

 あるいは今まで幾つも個性を奪ってきているので、サーチと似たような個性も使えるようになっており、結果として最初からサーチを使いこなせたという可能性もあるが……だが、それだってAFOは俺にサーチを使えないというのは分からない筈だ。

 そう考えると、やっぱりサーチによって俺の正体を把握したって事はないと思う。

 ……ちなみにだが、マンダレイが無事だったのは喜んでいいんだろうか。

 ふと、そう思う。

 何しろマンダレイのテレパシーは普通に使う分には全く何の問題もないのだが、俺に使った場合、とんでもない被害が出る。

 具体的には、念動力がレベル11の俺に、超能力系統であるテレパシーを使うと、そのレベル差によって、マンダレイがその……性的な意味で絶頂してしまう程なのだ。

 マンダレイだから、あの光景は問題なかった――本人的にはこれ以上ないくらいに大きな問題だろうが――が、もしAFOがテレパスをも入手していて、そしてAFOが俺にテレパスを使ったら……まぁ、うん。攻撃する方にしてみればこれ以上ない程に大きな隙となるのだろうが、だからといってそんな状態のAFOに攻撃をしたいかと言われれば、正直なところ微妙だろう。

 いや、微妙どころか俺としては絶対に避けたいと、そのように思ってしまうが。

 ともあれ、そんな感じになるのは間違いないので、そういう意味でもマンダレイが無事だったのはよかった。

 

「アクセル君、どうしたのかな?」

「いや、ラグドールが無事だといいなと思って」

「ああ……」

 

 まさかマンダレイのああいう事とか、AFOのそういう場面とかを想像していたとは言える筈もないので、そう誤魔化しておく。

 実際、ラグドールが心配だったのは間違いないし。

 そのラグドールは、どうやら脳無の生産工場の中に倒れていたらしい。

 それを虎が発見し……AFOが登場した訳だ。

 そうしてAFOにやられた者達は、俺がAFOと話して時間稼ぎをし、その時に回収されている。

 もっとも、AFOも俺が時間稼ぎをしているというのは当然ながら知っていただろう。

 それを知った上で……それでも俺との会話を楽しんでいた、と。

 少しでも俺の情報を知りたいと思ったのか、それとも単純に俺という存在と話をするのが楽しかったのか。

 その辺りについては、残念ながら俺も分からない。

 ……タルタロスに捕まったAFOに面会する機会があったら、その辺について聞いてみてもいいかもしれないな。

 個人的には、AFOの個性……それこそ名称になっているAFOは是非とも欲しいと思うし、オールマイトの治療をする時にタルタロスからヴィランを何人か貰う約束をしているが……こちらについては、そもそもタルタロスは校長の立場でどうにか出来る訳ではないし、もしそうだとしてもAFOのような重要人物をシャドウミラーに渡すとは思えない。

 とはいえ、AFOの事だからタルタロスにいても大人しくしているとは思えない。

 それこそタルタロスの中でも何かを企んでいる可能性が高いし、それを思えば俺達がその身柄を受け取ってみるというのは悪くない事だとは思うんだけどな。

 まぁ、ヒロアカ世界の面々にもプライドがあるだろうし、とてもではないがAFOを自分達では抑えきれないので、シャドウミラーでどうにかして下さいとか、そういう風には言えないだろうが。

 

「大丈夫だと……そのように思っておきたいな」

 

 オールマイトにとっても、そう言うしかなかったのだろう。

 とはいえ、戦いの中でラグドールの様子も少し見たが、特に乱暴の類がされているようには思えなかった。

 プロヒーローとして個性を奪われたという意味では致命的だったが、女としての貞操が無事だったのは不幸中の幸いだろう。

 ラグドールもプッシーキャッツの一員だけあって、顔立ちはかなり整っている。

 そうである以上、ヴィラン連合に所属するヴィランによって、性的な意味で襲われてもおかしくはなかった。

 その辺はAFOに感謝してもいいのかもしれない。

 もっとも、AFOにしてみれば、そういう目に遭ったラグドールから個性を奪うのを好まなかったからとか、そういう事かもしれないが。

 

「その辺はプッシーキャッツの面々に任せるしかないな。……ああ、暗い話をしてしまった。とにかく、AFOを倒す事が出来たのはオールマイトにとっては喜ばしい事だろう? それに、オールマイトもホワイトスターで治療をした結果、万全の状態……とは言えないが、それでも考えられる限り万全の状態でAFOと戦う事は出来たんだし」

 

 OFAがもうオールマイトの中にない以上、本当の意味で万全な状態でオールマイトが戦える、全盛期のように戦えるといった事はまずないだろう。

 ただ、それでも過去にAFOと戦って怪我をした部位の治療は終わったので、肉体的な意味では間違いなく以前と比べても万全の状態になっている。

 オールマイトにしてみれば、身体は全盛期……とまではいかないが、それでもかなり回復しているのに、OFAがないせいで全力を出せないという感じで残念に思ってもおかしくはないけど。

 

「そうだね。アクセル君には……いや、シャドウミラーには感謝しかないよ。君達のお陰で、私はこうしてAFOを倒せた」

 

 しみじみと言うオールマイトの言葉に、ふと違和感を抱く。

 燃え尽き症候群とまではいかないが、それに近い何かがあるような……それに、さっきの『次は君だ』という発言。

 あれ? これ、もしかして……いやまぁ、でもオールマイトの年齢を考えれば無理もないのか。

 そんな風に思いながら、俺はオールマイトとの会話を続ける。

 

「AFOについては、タルタロスに収監する事が出来たからといって、それで安心出来る訳でもないけどな」

「……そうだね。奴の事だ。タルタロスの中でも何かを企むと言われても、違和感はない」

 

 俺の言葉にオールマイトは同意した様子を見せる。

 ちなみにオールマイトの場合はAFOを知っているからこそ、このような返事をしてきたのだろう。

 だが、俺の場合は原作知識的な意味での判断だ。

 俺はペルソナ世界でニュクスと戦った際に、原作知識と呼ばれるものは消失している。

 もしかしたら、俺はこのヒロアカ世界の原作知識を持っていた可能性もあるが、その知識も完全に失われているのだ。

 ただ、それでもこの世界が原作のある世界であるというのは分かっている。

 つまり、今日の戦いがこの世界の原作の最後の戦闘……いわゆるラストバトルであったとした場合、それなら原作主人公である緑谷が何故その戦いに一切関与してないのかというのがある。

 もしかしたら俺がいない原作では爆豪を助けるという名目で戦いに参加した可能性はある。

 あるのだが、それでも緑谷が戦いに参加したからといって、それでどうにか出来るとは思えない。

 緑谷の今の実力は、ヒーロー科の生徒としてはそれなりに高いものの、あくまでもそれなりでしかない。

 具体的に言えば、A組のNo.2である爆豪や轟にも及ばない。

 であれば、そんな状態で物語の最終回を迎えるか?

 ……まぁ、実はこの世界の原作は人気がなくて打ち切りになり、俗に言う俺達の戦いはこれからだ! で終わる可能性もない訳ではないが……まぁ、多分それはない。

 というか、そうなると原作知識を持っていない俺にとっては、どうしようもないから考えたくないというのが正しい。

 そんな訳で、本当の意味でのラストバトルとなると原作主人公の緑谷もしっかりと活躍する筈で、そういう意味ではやはり今日の戦いはラストバトルではない。

 そしてラストバトルではない以上、この世界のラスボスだろうAFOがタルタロスで大人しくしているとは到底思えない。

 タルタロスと言われれば、最強の警備装置が配備されているという印象が強いのだが……同等の警備装置があった、I・アイランドの一件を見るとやっぱりちょっとな。

 それこそI・アイランドを襲撃したヴィラン達でどうとでもなったのだから、AFOであればどうとでもなるのは間違いないように思える。

 

「つまり、今回タルタロスに送る事が出来たけど、油断は出来ないという事だな。……シラタキ達にも逃げられたし」

 

 ああ、あるいはAFOは本当にこれで終わりで、これからのメインの敵はシラタキ率いるヴィラン連合になるのかもしれないな。

 

「AFO、ここで殺していればよかったんだけどな」

「……私はその言葉を聞かなかったことにするよ」

 

 オールマイトの様子を見ると、俺の言葉に完全に同意するといった訳ではないものの、それでもある程度は共感するところがあったらしい。

 とはいえ、オールマイトの立場としては、俺の言葉に素直に同意する訳にはいかなかったのだろう。

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